特許法 第105条の6(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)
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- 秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。
- 2.前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
- 3.前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。
この条文の基本情報
訴訟記録の閲覧等の請求の通知等とは何ですか?
定義訴訟記録の閲覧等の請求の通知等とは、特許法第105条の6に定められた規定で、「秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第105条の6(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第105条の6の条文原文は「秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。」で始まります。
- 特許法第105条の6は第二節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第105条の6の前の条は特許法第105条の5です。
- 特許法第105条の6の次の条は特許法第105条の7です。
- 特許法第105条の6には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第105条の6 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第105条の6(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/105_6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法105条の17は、秘密保持命令を受けていない者が訴訟記録の秘密部分の閲覧を請求すると、書記官が秘密提出者へ通知し、請求から2週間は閲覧を停止すると定める。
Q · 特許訴訟の記録に出した営業秘密を、相手方の社員に勝手に見られてしまうのですか?
請求後2週間は見られず、その間に秘密保持命令を申し立てられます
特許法105条の17により、秘密保持命令が発せられた訴訟記録につき、命令を受けていない者が民事訴訟法92条1項の秘密記載部分の閲覧等を請求すると、裁判所書記官は秘密を提出した当事者へ直ちにその旨を通知します(1項)。そして請求日から2週間、または請求者への秘密保持命令の申立てに係る裁判が確定するまで、その者には閲覧させません(2項)。ただし閲覧制限を申し立てた当事者全員が同意すれば、通知も2週間のロックも適用されません(3項)。
解説
特許侵害で訴えた、あるいは訴えられた。その訴訟の立証のため、自社の製造ノウハウや顧客データといった営業秘密が証拠として裁判記録に載った。ここで多くの企業が見落とす事実がある。訴訟記録は原則として誰でも閲覧できる(民事訴訟法91条)。だから秘密保持命令(特許法105条の4)で人を縛り、記録の閲覧を当事者に限る決定(民事訴訟法92条1項)で記録に蓋をして、二重に守る。ところが、ここに穴が空いている。秘密保持命令を受けていない人、たとえば相手方企業の別部署の社員が、当事者の立場で記録の閲覧を請求してきたらどうなるか。命令の網はその人にかからない。本条はその穴をふさぐ装置だ。閲覧請求があった瞬間、裁判所書記官は秘密を出した側へ直ちに通知し、請求日から2週間、その人には見せない。あなたはこの2週間で、その人物に対する秘密保持命令を申し立てるかどうかを決める。動かなければ、2週間後に営業秘密は穴から流れ出す。
法的な位置づけ
特許法105条の17は、秘密保持命令が発せられた訴訟記録につき、命令を受けていない者から秘密記載部分の閲覧等の請求があった場合の通知および閲覧停止を定める規定である。裁判所書記官は秘密提出側へ請求を通知し、請求日から2週間、または請求者への秘密保持命令の申立てに係る裁判が確定するまで閲覧を停止する。閲覧制限を申し立てた当事者全員の同意があるときは適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.閲覧請求の通知を受けたら締切を確定 書記官から閲覧請求の通知が届いたら、通知が来た日ではなく「閲覧請求の手続が行われた日」を確認し、そこから2週間の締切をカレンダーに記入する。暦日計算のため土日も含む
- 2.請求者の立場を確認 閲覧を請求した者が当該訴訟で秘密保持命令を受けていない者かを確認する。命令を受けていない者であれば本条の通知・2週間ロックが働くため、対応要否を社内で即判断する
- 3.開示不可なら2週間以内に秘密保持命令を申立て 請求者への開示が許容できない場合、直ちにその者を名宛人とする秘密保持命令(特許法105条の4)を申し立てる。請求日から2週間以内に申立てを出せば、裁判確定まで閲覧停止が延長される
- 4.提出前なら全当事者の閲覧同意を先に設計 そもそも営業秘密を証拠提出する前に、閲覧制限を申し立てる当事者全員の同意の枠組みを設計しておく。提出前に握れば本条3項で通知も2週間ロックも回避でき、攻防自体が発生しない
よくある質問 AI による整理
Q1秘密保持命令とは何ですか?
訴訟で開示された営業秘密を、名宛人となった者が第三者に漏らしたり目的外で使ったりすることを禁じる裁判所の命令です(特許法105条の4)。違反には刑事罰があります。
Q2訴訟記録は誰でも閲覧できますか?
原則として何人でも閲覧を請求できます(民事訴訟法91条)。ただし秘密記載部分は閲覧制限決定(民訴92条1項)で当事者に限定でき、105条の17が二重に守ります。
Q3秘密記載部分の閲覧制限とは何ですか?
営業秘密など秘密が記載された訴訟記録の閲覧・謄写を当事者に限る民事訴訟法92条1項の決定です。105条の17はこの決定を前提に通知と閲覧停止を働かせます。
Q4秘密保持命令の申立てはいつまでにすべきですか?
閲覧請求があった日から2週間以内に請求者を名宛人として申し立てれば、その裁判が確定するまで閲覧停止が延長されます(105条の17第2項)。期限を過ぎると閲覧を止められません。
Q5不正競争防止法にも同じ制度がありますか?
はい。営業秘密に関する訴訟には、ほぼ同等の秘密保持命令と閲覧請求通知の制度が置かれています。退職者による営業秘密訴訟でも同じ攻防が起きます。
Q6秘密保持命令に違反するとどうなりますか?
命令に違反して秘密を使用・開示すると刑事罰の対象となります。社内の同僚にすら漏らせなくなるため、命令を受けたら情報管理体制を即整える必要があります。
Q7閲覧停止の起算点はいつですか?
通知を受けた日ではなく、閲覧等の請求の手続が行われた日から起算します。郵送のタイムラグで実際に動ける日数はさらに短くなる点に注意が必要です。
Q8査証制度と秘密保持命令は関係しますか?
2019年改正で新設された査証(105条の2の2以下)で得た情報も訴訟記録に現れ得ます。査証報告書の秘密部分にも105条の17の閲覧通知が及ぶ場面があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1全当事者が同意すれば、本当に2週間待たなくていいんですか?
そのとおりだ。秘密記載部分の閲覧制限を申し立てた当事者の全員が同意すれば、通知も2週間のロックも適用されない(本条3項)。一人でも反対すれば原則どおりロックがかかる。実務のポイント:実務では共同原告など利害が近い当事者が複数いると全員同意の取り付けに時間を食う。同意を急ぐ側は、誰が民事訴訟法92条1項の閲覧制限を申し立てた当事者なのかを記録上で先に特定しておくと、交渉すべき相手を絞り込める
Q2通知を放っておいたら、結局どうなるんですか?
2週間が過ぎ、かつ請求者への秘密保持命令を申し立てていなければ、書記官は閲覧を止められなくなり、その人物は秘密記載部分を見られる(本条2項の反対解釈)。実務のポイント:この2週間は土日も含む暦日計算が原則で、想像より短い。通知が郵送で届くタイムラグも食うので実質動ける日数はさらに減る。起算点が『通知を受けた日』ではなく『閲覧請求があった日』である点を見落とすと、締切を丸ごと読み違える
間違えやすい点 AI による整理
- 「秘密保持命令さえ取れば営業秘密は守れる」と思われているが、命令は名宛人になった人を縛るだけだ。命令を受けていない第三者が当事者の立場で閲覧請求すれば、命令の網はかからない。本条の通知と2週間ルールがなければ、命令は素通りされてしまう
- 通知が来ること自体は知っていても、その2週間が「失効する締切」だと理解している人は少ない。2週間を過ぎ、かつ請求者への秘密保持命令を申し立てていなければ、書記官は閲覧を止められなくなる。期間の重さを知らずに通知を放置すると、その時点で手遅れになる
- 「相手に通知が行くなら、こっそり閲覧すればいい」という発想は、問いの立て方そのものが誤っている。閲覧請求の手続を行った瞬間に書記官の通知義務が発動する(本条1項)。請求した時点で、こっそりは成立しない。本当に問うべきは、いつ全当事者の同意(本条3項)を取り付けるかだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 105条の17:閲覧請求時の通知と2週間の閲覧停止 | 105条の4:秘密保持命令(人を縛る) 民訴92条1項:秘密記載部分の閲覧制限(記録に蓋) |
| 誰に効くか | 命令を受けていない閲覧請求者に自動で2週間の時間差防御 | 命令の名宛人となった特定の者のみ 当事者以外の第三者の閲覧を一律制限 |
| 回避・失効 | 全当事者の同意で不適用(3項)/2週間放置で失効 | 取消手続(105条の5)で消滅 秘密性が失われれば制限解除の余地 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も知財訴訟で秘密保持命令と訴訟資料の閲覧制限を制度化。日本と同様、命令を受けていない者による閲覧をめぐる手続保障が問題となる
韓国特許法も비밀유지명령(秘密保持命令)を置き、訴訟記録閲覧との調整を図る。日本の秘密保持命令制度と近い構造を持つ
ドイツは営業秘密保護法で係争中の営業秘密の秘密扱い(Geheimhaltung)を裁判所が指定できる。EU 営業秘密指令2016/943の国内実施として整備
米国は連邦民事訴訟規則の保護命令で営業秘密の開示範囲を制限。特許訴訟では protective order と attorneys' eyes only 指定が実務の中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が製造方法の特許で競合を訴え、立証のため自社の製造ノウハウの一部を裁判所に提出した。ある日、相手方の名で記録閲覧請求があったと書記官から通知が届く。請求者は秘密保持命令を受けていない人物。あなたに残された時間は2週間。この間に秘密保持命令を申し立てなければ、ノウハウが相手の手元に渡る
- あなたは被告企業の知財担当。訴訟記録の秘密部分を確認したいが、自分は秘密保持命令を受けていない。閲覧を請求した瞬間、相手にあなたの動きが筒抜けになり(本条1項)、2週間以内にあなた個人へ秘密保持命令が飛んでくる。命令を受ければ、その秘密を社内の同僚にすら漏らせなくなる
- もし全当事者が閲覧に同意していたらどうなるか。その瞬間、2週間のロックも通知義務も丸ごと消える(本条3項)。同意の取り付けこそ、実務で最初に動く一手だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 書記官から閲覧請求の通知が届いたら、まず請求があった日を確認し、そこから2週間の締切をカレンダーに書き込む2. 請求者が秘密保持命令を受けていない人物かを確認する3. その人物に開示してよいか社内で判断。だめなら直ちにその者を名宛人とする秘密保持命令(特許法105条の4)を申し立てる。申立てが期間内に出せれば、裁判確定までロックが延びる(本条2項) 4. 開示を許容できる相手なら、無理に争わず時間と労力を温存する
訴えられた側:1. 秘密部分を閲覧したいが命令を受けていない場合、閲覧請求した瞬間に相手へ通知が飛ぶことを覚悟する(本条1項) 2. 請求後、相手があなたへ秘密保持命令を申し立てれば、その裁判が確定するまで閲覧できない(本条2項) 3. 確実に早く見たいなら、全当事者の同意を取り付ける道を探る(本条3項)。同意があれば通知も2週間ロックも適用されない4. 命令を受けたら、その秘密を社内外に漏らさない体制を即整える。命令違反には刑事罰がある
時効(請求できる期限):閲覧請求があった日から2週間。ただしその期間内に請求者を名宛人とする秘密保持命令の申立てがされた場合は、その申立てについての裁判が確定するまでロックが延長される(本条2項)。起算点は通知を受けた日ではなく、閲覧請求の手続が行われた日である点に注意
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:秘密保持命令制度の導入に伴い、秘密保持命令を受けていない者の記録閲覧請求に対する通知と閲覧停止の仕組みを新設(当時の条番号は105条の6)
- 2.令和元年(2019年) 改正:査証制度(105条の2の2以下)の新設に伴う条文の繰り下げにより、閲覧請求通知の規定が現行の105条の17に移行
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