特許法 第105条の5(秘密保持命令の取消し)
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- 秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
- 2.秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その電子決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
- 3.秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
- 4.秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
- 5.裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
この条文の基本情報
秘密保持命令の取消しとは何ですか?
定義秘密保持命令の取消しとは、特許法第105条の5に定められた規定で、「秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第105条の5(秘密保持命令の取消し)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第105条の5の条文原文は「秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し…」で始まります。
- 特許法第105条の5は第二節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第105条の5の前の条は特許法第105条の4です。
- 特許法第105条の5の次の条は特許法第105条の6です。
- 特許法第105条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第105条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第105条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/105_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法105条の5は、秘密保持命令の取消しを申立人・名宛人の双方に認める規定。取り消す裁判は確定しなければ効力を生じないため、決定日ではなく確定日から解放される。
Q · 特許訴訟の秘密保持命令って、訴訟が終わったら自動で消えるんですか?
消えません。取消しの裁判が確定して初めて解けます
特許法105条の5により、秘密保持命令は取消しの申立てをして裁判が確定するまで効力が続きます。申立てができるのは命令を受けた者だけでなく、命令を申し立てた側も同じです(1項)。取消しの裁判に対しては即時抗告ができ(3項)、取り消す裁判は確定しなければ効力を生じません(4項)。つまり決定が出た日ではなく確定日から自由になります。違反には特許法200条の2の刑事罰が個人に科されます。
解説
秘密保持命令とは、特許訴訟の中で相手方の営業秘密が書面や証拠として出てくるとき、それを見た人に「訴訟以外の目的で使うな、他人に漏らすな」と裁判所が命じる縛りである。違反すれば刑事罰(特許法200条の2、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金)が待っている。ところがこの縛りは、一度かかると自動では消えない。105条の5が用意しているのは、その縛りを外すためのボタンだ。しかも押せるのは、命令を受けた側だけではない。申立てをした側、つまり秘密を守らせたい当事者自身も取消しを申し立てられる。ポイントは「取り消す裁判は確定しなければ効力を生じない」(4項)という一行にある。あなたが勝ち取った取消決定は、相手が即時抗告できる期間を過ぎ、あるいは抗告審が終わるまで、実質的にはまだ発効していない。取消しが認められた翌日に営業秘密を使い始めたら、まだ有効な命令に違反したことになる。ボタンを押した瞬間ではなく、確定した瞬間から自由になる。
法的な位置づけ
特許法105条の5は、秘密保持命令の取消手続を定める規定である。同法105条の4第1項の要件を当初から欠く場合又は事後に欠くに至った場合に、申立人又は名宛人が訴訟記録の存する裁判所に取消しを申し立てることができ、取消しの裁判は確定によって効力を生ずる。同一営業秘密の他の名宛人には裁判所が通知する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.105条の4第1項の要件が今も揃っているか点検 命令の対象となった営業秘密が、現在も非公知であり、訴訟遂行以外の目的での使用等により事業活動に支障が生じるおそれがあるかを検証する。要件を「当初から欠く」場合と「欠くに至った」場合の双方が取消事由になるため、発令時の疎明資料も併せて読み直す
- 2.公知化の証拠を日付入りで収集 相手方自身の公開特許公報、プレスリリース、展示会配布資料、有価証券報告書、業界紙記事など、対象情報が公になったことを示す資料を発行日付とともに保全する。相手の自己開示資料が最も強い証拠であり、時間が経つほど入手可能性が下がるため、公表を確認した週のうちに押さえる
- 3.訴訟記録の存する裁判所を特定して申立て 訴訟記録が存する裁判所へ取消しの申立書を提出する。訴訟記録の存する裁判所がない場合は秘密保持命令を発した裁判所に申し立てる(1項)。訴訟終結から年数が経っている場合は、記録の保存状況を書記官に事前照会してから提出する
- 4.電子決定書の送達を受け、即時抗告期間を管理 取消しの申立てについての裁判があると、電子決定書が申立人及び相手方に送達される(2項)。送達日から即時抗告期間(民事訴訟法332条の1週間の不変期間)をカレンダーに登録し、抗告の有無を確認する
- 5.確定を確認してから営業秘密の取扱いを変更 取り消す裁判は確定しなければ効力を生じない(4項)。書記官に確定証明書を申請し、確定日を社内記録に残したうえで、名宛人となっていた従業員への解除通知と情報取扱ルールの更新を行う。確定前に使用を開始すると200条の2の違反となる
よくある質問 AI による整理
Q1秘密保持命令の取消しとは何ですか?
特許法105条の5に基づき、105条の4第1項の要件を欠く(欠くに至った)ことを理由に、裁判所へ命令の解除を求める手続です。営業秘密が公知になった場合が典型例です。
Q2秘密保持命令の取消しはどこの裁判所に申し立てますか?
訴訟記録の存する裁判所です。記録が存する裁判所がない場合は、秘密保持命令を発した裁判所に申し立てます(1項)。訴訟終結後は記録の所在確認が第一歩になります。
Q3秘密保持命令の取消しに期限はありますか?
申立て自体に期間制限はなく、要件を欠くに至った時点でいつでも可能です。ただし取消しの裁判に対する即時抗告は送達から1週間の不変期間です(民事訴訟法332条)。
Q4秘密保持命令の取消決定に不服がある場合はどうしますか?
即時抗告ができます(3項)。抗告すれば取消しは確定せず、命令の効力が続きます(4項)。営業秘密を守りたい側にとって時間を稼ぐ実務上の重要手段です。
Q5秘密保持命令の取消しは誰が申し立てられますか?
「申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者」の双方です(1項)。秘密を守らせたかった当事者自身も、自社の説明活動が萎縮する場合には取消しを求められます。
Q6秘密保持命令に違反したらどうなりますか?
特許法200条の2により刑事罰の対象で、行為者個人が処罰されます。取消しの裁判が確定するまでは命令が生きているため、確定前の使用は違反となります。
Q7秘密保持命令の取消しは他の名宛人にも効きますか?
効きません。5項は同一営業秘密の他の名宛人へ「取り消す裁判をした旨」を通知すると定めるだけで、通知は情報提供です。各自が別途申立てをする必要があります。
Q8秘密保持命令の取消しが認められるのはどんな場合ですか?
105条の4第1項の要件を欠く場合です。相手方自身のプレスリリース・公開特許公報・展示会資料などで営業秘密が公知になったことの立証が最も通りやすい類型です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴訟が終わったら秘密保持命令も自動で終わるんじゃないんですか?
終わりません。条文上、命令の失効事由として訴訟終結は挙げられておらず、105条の5の取消しの裁判が確定してはじめて解けます。違反には特許法200条の2の刑事罰が個人にかかります。実務のポイント:企業側の代理人は判決が出ると案件をクローズしがちで、取消しの申立てまで面倒を見ないことが多い。委任契約の範囲に「秘密保持命令の取消申立てまで」と明記しておくと、後で追加着手金を取られずに済む
Q2取消しの決定が出た日から、その情報を自由に使っていいですか?
だめです。4項が「取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない」と定めており、相手方の即時抗告期間(送達から1週間、民事訴訟法332条)が経過し確定するまで、命令は生きています。実務のポイント:確定を証明する書類として裁判所書記官の「確定証明書」を取っておく。数百円の手数料で、後日「いつから使ってよかったのか」を争われたときの決定的な証拠になる
Q3他の人が取消しを申し立てて認められたら、自分の命令も消えますか?
消えません。5項は、取消しの申立人や相手方以外に同じ営業秘密の秘密保持命令を受けている者がいる場合、裁判所がその者に「取り消す裁判をした旨」を通知すると定めるだけです。通知は情報提供であって、あなた自身の命令の解除ではない。実務のポイント:この通知が届いたら、それは自分も取消しを申し立てる好機のサイン。同じ理由(公知化など)が自分にも当てはまるなら、先例が事実上できている状態で申し立てられる
Q4自分が命令を申し立てた側なのに、取り消してもらう意味はあるんですか?
あります。条文は「申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者」の双方に取消申立権を認めています(1項)。秘密が公知になった後も命令が残ると、自社の技術説明や別訴での主張まで萎縮させます。実務のポイント:M&A のデューデリジェンスで、対象会社に未解除の秘密保持命令が残っていると、買い手側の法務が偶発債務としてチェックリストに載せる。売却前に外しておくと交渉が一つ軽くなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「秘密保持命令の取消しは、命令をかけられた側が争うための制度」と読まれがちだが、条文は「申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者」と書いている。秘密を守らせたかった当事者自身も取消しを申し立てられる。自社の秘密がすでに公知になったのに命令だけ残っている状態は、自社の訴訟活動や説明責任をも縛るからだ
- 取消決定が出たことは知っていても、その決定が「確定しなければ効力を生じない」(4項)という重みを理解している人は少ない。即時抗告期間中は命令が生きたままであり、この期間に営業秘密を使えば違反である。取消しの申立てが認められたという吉報が、そのまま刑事リスクの解除通知だと思い込む、その一日か二日のズレが200条の2の罰則の射程に入る
- 「訴訟が終結すれば秘密保持命令も自動的に失効する」と考えている企業法務は多いが、条文のどこにもそうは書かれていない。判決確定後も命令は残り、取消しの裁判を経なければ解けない。名宛人となった技術者が転職しても、退職しても、命令は本人についていく
- あなたから見れば「もう公知になった情報だから命令は無意味」でも、裁判所から見れば「取消しの申立てがない以上、命令は有効」である。この落差が、善意で情報を扱った社員を被疑者の位置に立たせる。法律の世界では、実態が変わったことと、その変化が手続に反映されたことは別の出来事だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 105条の5:秘密保持命令の取消手続と確定要件 | 105条の4:秘密保持命令の発令要件と手続 105条の6:訴訟記録閲覧等請求の通知手続 |
| 申立権者 | 命令の申立人又は命令を受けた者の双方(1項) | 営業秘密を保有する当事者(保有者側のみ) 秘密記載部分の閲覧等を請求した第三者に関し当事者が対応 |
| 効力発生時点 | 取り消す裁判の確定時(4項)。決定日ではない | 決定書の送達により命令の効力が発生 閲覧請求後の一定期間経過等の手続進行に連動 |
| 不服申立て | 即時抗告可(3項)。抗告中は命令が存続 | 申立てを却下した裁判に対して即時抗告可 手続内での対応が中心で独立の抗告枠組みではない |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は日本法をほぼ踏襲し、秘密保持命令の発令要件と撤銷手続を分けて規定する。撤銷の裁判が確定してはじめて効力を生ずる点も同じ構造で、日本条文を参照した立法と評される
韓国は特許法ではなく不正競争防止法側に秘密保持命令とその取消しを置く。取消申立権を命令の申立人と名宛人の双方に認める点、確定により効力が生ずる点は日本と共通
米国は protective order の修正・解除を裁判所の裁量に委ね、日本のような法定の確定要件を置かない。違反はコンテンプト(法廷侮辱)で処理され、刑事罰の条文を独立に設ける日本とは制裁構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合他社との特許侵害訴訟で、相手の製造ノウハウが記載された証拠に秘密保持命令がかかった。あなたの社内の技術部長2名も名宛人。訴訟が和解で終わって2年、その営業秘密は展示会で相手自身が公表していた。「要件を欠くに至った」典型例であり、取消しを申し立てられる。放置すれば技術部長は退職後も刑事罰リスクを背負い続ける
- もし、秘密保持命令の名宛人になった社員が転職したいと言い出したら? 命令は訴訟終結後も効力が残り、転職先での業務が命令違反を疑われる火種になる。会社としては本人のために取消しを申し立てるか、少なくとも命令の射程を書面で確認しておく必要がある
- あなたが申立てをした側で、自分が守らせていた営業秘密がもう秘密でなくなった。取消しを申し立てるのはむしろあなた自身の利益になる。命令が残っていると、あなたの側の証拠開示や説明までもが萎縮するからだ
- 取消決定が出た。相手方の即時抗告期間は1週間(民事訴訟法332条)。この7日間、あなたはまだ何も自由に使えない。カレンダーに確定日を入れずに動いた担当者が、後で刑事告訴の材料を相手に渡してしまう
- 同じ営業秘密について5名が秘密保持命令を受けていて、そのうち1名だけが取消しを申し立てて認められた。裁判所は残る4名に「取り消した旨」を直ちに通知する(5項)。あなたが通知を受け取った側なら、それは自分の命令も同時に消えたという意味ではない。ここを取り違えると、有効な命令の下で秘密を漏らすことになる
取るべき行動
被害を受けた側:命令に縛られている側なら、1. 105条の4第1項の要件(訴訟で提出された営業秘密であること、訴訟遂行以外の目的での使用等により事業活動に支障が生じるおそれ)が今も揃っているか点検する2. 公知化の証拠(相手の公開特許公報、プレスリリース、展示会資料、業界紙)を日付入りで収集3. 訴訟記録が存する裁判所(記録がなければ命令を発した裁判所)に取消しの申立て4. 決定が出ても即時抗告期間(1週間)と確定を確認するまで秘密は動かさない。確定日を書面で記録に残す
訴えられた側:取消しを申し立てられた側(秘密を守らせたい側)なら、1. その営業秘密が今も非公知・有用・秘密管理されているかを証拠で固める2. 一部が公知でも、命令の対象情報全体が公知になったわけではないことを分説する3. 取消決定が出たら即時抗告(3項)を検討、抗告すれば取消しは確定せず命令の効力が続く(4項) 4. 並行して、不正競争防止法上の秘密管理性を維持する社内措置を継続し、命令が外れた後の防御線を確保する
時効(請求できる期限):取消しの申立て自体に期間制限はなく、要件を欠くに至った時点でいつでも可能。ただし取消しの裁判に対する即時抗告は、電子決定書の送達を受けた日から1週間の不変期間(民事訴訟法332条)。取消しの効力発生は確定時(4項)であり、決定の日ではない
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