特許法 第200条の2
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査証人又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第200条の2は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第200条の2の条文原文は「査証人又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 特許法第200条の2は第十一章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第200条の2の前の条は特許法第200条です。
- 特許法第200条の2の次の条は特許法第200条の3です。
- 特許法第200条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第200条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第200条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/200_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法200条の2は、査証人またはその経験者が査証で知った秘密を漏らし、または盗用した場合に、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を科す規定である。
Q · 裁判所が選んだ査証人が、うちの工場で見た製造秘密を漏らしたらどうなるの?
一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金が科されます
特許法200条の2により、査証人または査証人であった者が査証で知り得た秘密を漏らし、または盗用したときは、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金が科されます。損害賠償で済む民事の問題ではなく、前科がつく刑事罰です。査証人を退任した後でも本罪は成立するため、時間の経過で責任が消えるわけではありません。公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)で、起算点は漏示または盗用の時点です。
解説
2020年10月、日本の特許訴訟に「査証」という新しい武器が加わった。特許権者が「あの工場で自分の特許が侵害されている」と疑っても、相手の工場内部は覗けない。そこで中立の技術専門家(査証人)が裁判所の命令で相手の工場に立ち入り、製造方法を調べて報告書を作る制度ができた。だが、ここで一つの危険が生まれる。査証人はあなたの会社の製造ノウハウ、つまり門外不出の営業秘密を全部見てしまう。もしその査証人が情報を漏らしたり、自分のビジネスに流用したりしたら、あなたの会社は致命傷を負う。200条の2は、まさにこの恐怖を抑える鍵だ。査証人または元査証人が査証で知った秘密を漏らし、または盗用したとき、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金が科される。この刑罰があるからこそ、あなたは安心して査証を受け入れられる。逆にあなたが査証人を引き受けるなら、この一線を越えた瞬間、前科者になる。
法的な位置づけ
特許法200条の2は、特許権侵害訴訟の査証制度において、中立の技術専門家である査証人またはその経験者が、査証で知り得た秘密を漏示しまたは盗用した場合の刑事罰を定める規定である。法定刑は一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金であり、査証制度の実効性と信頼性を担保する。
よくある質問 AI による整理
Q1特許の査証制度とは?
特許権侵害訴訟で、裁判所が指定した中立の技術専門家(査証人)が相手方の工場等に立ち入り、製造方法を調査して報告書を作成する証拠収集制度です。令和元年改正で新設され2020年10月に施行されました。
Q2査証人の守秘義務違反の罰則は?
査証人または査証人であった者が査証で知った秘密を漏示・盗用すると、特許法200条の2により一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金が科されます。民事賠償では済まない刑事罰です。
Q3査証人秘密漏示罪の時効は何年?
法定刑が一年以下の拘禁刑のため、公訴時効は刑事訴訟法250条2項により3年です。起算点は漏示または盗用という犯罪行為が終わった時点で、退任で時効が動き出すわけではありません。
Q4査証を拒否したらどうなる?
正当な理由なく査証を拒めば、裁判所は査証で証明されるべき事実に関する相手方の主張を真実と認めることができます。拒否そのものが不利な事実認定につながるリスクがあります。
Q5査証人の忌避はできる?
査証人と相手方当事者に取引・共同研究などの利害関係がある場合、当事者はその経歴を調べて忌避を申し立てられます。査証が始まる前に動くことが秘密保護の要です。
Q6査証と証拠保全はどう違う?
証拠保全は既存の証拠が散逸するのを防ぐ手続で当事者主導に近く、査証は技術専門家が製造方法を専門的に調査する制度です。査証は営業秘密への接近が深いぶん、守秘の担保が重視されます。
Q7特許の査証はいつから始まった?
令和元年(2019年)の特許法改正で査証制度が新設され、2020年10月1日に施行されました。本条の査証人秘密漏示罪もこのとき同時に新設された比較的新しい規定です。
Q8査証人が秘密を盗用したら刑事告訴できる?
できます。特許法200条の2違反として刑事告訴・告発が可能で、並行して不正競争防止法の営業秘密侵害罪(同法21条)や民事の損害賠償も検討できます。盗用は客観的痕跡が残り立証しやすい類型です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1査証人ってそもそも誰がやるんですか?弁護士ですか?
多くは弁護士ではなく、その技術分野の専門家(大学教授、技術士など)です。裁判所が指定します。技術内容を理解できなければ侵害の有無を見極められないからです。実務のポイント:査証人候補が被疑侵害者や特許権者と過去に取引・共同研究の関係を持つことは珍しくない。当事者は指定された人物の経歴を調べ、利害関係があれば忌避を申し立てられる。経歴調査を怠ると、競合に近い専門家に自社の秘密を見せる結果になりかねない
Q2査証で見られた秘密が訴訟の相手にバレることはないんですか?
査証報告書は原則として相手方も見ますが、営業秘密が含まれる場合は開示を制限する申立てができます(特許法105条の2)。査証人個人を200条の2で縛っても、報告書経由で相手に渡れば意味がありません。実務のポイント:秘密保持命令と組み合わせ、相手方の閲覧者を限定するのが実務の定石。報告書が出てから慌てるのではなく、査証の段階で秘密保護の枠組みを先に設計しておくのがプロのやり方
Q3うっかり漏らしたのと、わざと盗んだのとで罪は変わりますか?
条文上はどちらも「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」で法定刑は同じですが、量刑で大きく差が出ます。故意の盗用は自己の利益のための悪質な行為として重く扱われます。実務のポイント:盗用は「自分のビジネスに流用した」客観的痕跡(競合製品、特許出願、研究発表)が残るため、漏示より立証されやすい。査証で得た知識を自社開発に使うのは、最もバレやすく最も重く罰せられるパターンだと心得るべき
間違えやすい点 AI による整理
- 「査証人は裁判所が選ぶプロだから秘密は安全」と思われがちだが、その安全は性善説ではなく刑罰で担保されている。漏らせば前科がつくという脅しがあるからこそ査証人は口を閉ざす。逆に言えば、この刑罰がなければ専門家の良心だけが頼りという危うい構造だった
- 査証人に守秘義務があることは知っていても、その違反が損害賠償では済まず、刑事罰(拘禁刑)まで科される深刻さを知る人は少ない。民事の問題だと油断していると、ある日警察の捜査対象になる
- あなたから見れば「秘密を漏らした」のは口を滑らせた一回の失言かもしれない。だが法律から見れば、漏示も盗用も同じ条文の射程にある。むしろ自分のビジネスにこっそり流用する盗用の方が客観的痕跡が残り立証されやすい。この落差を理解していないと、軽い気持ちの流用が刑事事件になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象者 | 査証人・査証人であった者(査証制度の技術専門家) | 審判・訴訟等で秘密を知り得た関与者(特許法200条) 特許権・専用実施権を侵害した者(特許法196条) |
| 禁止行為 | 査証で知得した秘密の漏示または盗用 | 職務上知り得た秘密の漏示 特許権・専用実施権の侵害 |
| 法定刑 | 一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金 | 一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金 十年以下の拘禁刑もしくは千万円以下の罰金またはこれらの併科 |
| 制度上の役割 | 査証で開いた密室から秘密を持ち出させない封印 | 手続関与者一般の守秘を担保する罰則 特許権侵害そのものを罰する本体犯罪 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は2023年改正で日本の査証を参考にした查證制度を導入し、査証人の守秘義務と違反への制裁を設けた。制度設計が日本に近い
ドイツは特許侵害の立証に Besichtigungsverfahren(検分手続)を用い、裁判所が任命した鑑定人の守秘義務違反は一般的な秘密漏示罪で処理されうる
フランスは saisie-contrefaçon(差押検分)で侵害を立証し、関与する専門家の守秘義務違反は職業上の秘密漏示罪で捕捉されうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が特許侵害で訴えられ、裁判所から査証の命令が出た。査証人が工場の製造ラインを見て回り、独自の配合比率や工程をすべて記録する。その査証人が競合他社の技術顧問も兼ねていたら? 報告書に書かれた秘密が競合に流れる悪夢が現実になる。だから査証人の選任段階で利害関係を徹底的に洗う必要がある
- もしあなたが技術専門家として査証人に指名されたら、見聞きしたことを後日の学会発表や自社開発に使いたくなる誘惑が来る。その一回の流用が200条の2違反だ。査証人であった者、つまり仕事が終わった後でも刑事責任は消えない
- 査証人が酒の席で「あの会社の技術はすごかった」とうっかり具体的に喋った。それも秘密の漏示になりうる。守秘義務に時効も終わりもない
- 査証を受ける側のあなたに、報告書の開示まで残された時間はわずか。査証報告書に営業秘密が含まれていれば、相手方への開示を制限する申立てを期限内に出さないと、秘密が訴訟相手に丸見えになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 秘密が漏れた、または流用された証拠を確保:報告書の流出経路、競合製品との技術的類似性、査証人の関与記録2. 刑事告訴・告発を検討し、捜査機関に被害を申告3. 並行して民事で損害賠償請求(民法709条)、不正競争防止法の営業秘密侵害(同法21条、4条)も検討4. 査証人の所属する専門家団体への懲戒申立ても圧力になる。刑事・民事・懲戒の三方向から攻める
訴えられた側:1. 「漏らした」「盗用した」の事実認定をまず精査し、職務上知り得た秘密と、もともと公知だった情報を切り分ける。公知情報の利用は本罪に当たらない2. 秘密と認識していたか、つまり故意があったかを争う3. 弁護人を通じ、被害企業への謝罪・示談で情状を整える4. 専門家としての登録・資格への影響も視野に、刑事と並行して資格維持の対応を進める
時効(請求できる期限):公訴時効は法定刑(一年以下の拘禁刑)に対応し、刑事訴訟法250条2項により3年。起算点は犯罪行為が終わった時(漏示または盗用の時点)。査証人を退いた後でも本罪は成立するため、退任で時効が動き出すわけではない(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年) 特許法改正(令和元年法律第3号)により査証制度が新設され、本条もこのとき新設。査証人の秘密漏示・盗用に対する刑事罰を初めて創設した。施行は2020年10月1日
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う「懲役」と「禁錮」の「拘禁刑」統合により、法定刑の表記が一年以下の懲役から一年以下の拘禁刑に変更された
改正の年表
- 1.令和元年(2019年) 新設:特許法改正(令和元年法律第3号)により査証制度が新設され、本条もこのとき新設。査証人の秘密漏示・盗用に対する刑事罰を初めて創設した。施行は2020年10月1日
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法改正に伴う懲役・禁錮の拘禁刑統合により、法定刑の表記が一年以下の懲役から一年以下の拘禁刑に変更された
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