特許法 第21条(手続の続行)
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特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、その事件に関する手続を続行することができる。
この条文の基本情報
手続の続行とは何ですか?
定義手続の続行とは、特許法第21条に定められた規定で、「特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、そ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第21条(手続の続行)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第21条の条文原文は「特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、そ…」で始まります。
- 特許法第21条は第一章 総則に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第21条の前の条は特許法第20条です。
- 特許法第21条の次の条は特許法第22条です。
- 特許法第21条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第21条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第21条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法21条は、事件が特許庁に係属中に特許権が移転した場合、特許庁長官または審判長が承継人に対し手続を続行できると定める。買主は係争ごと当事者の地位を引き継ぐ。
Q · 特許を買ったら、前の持ち主が抱えていた特許庁の審査や無効審判もそのまま引き継ぐの?
はい。承継人が係争ごと引き継ぎ、特許庁は新権利者を相手に手続を続行できます。
特許法21条により、特許庁に事件が係属している間に特許権その他特許に関する権利が移転すると、特許庁長官または審判長は承継人(権利を引き継いだ側)に対し、その事件の手続を続行できます。さらに20条により、前任者がした手続の効力も承継人に及びます。つまり特許を取得した側は、審査や無効審判といった係争を当事者として丸ごと引き継ぎ、『買っただけ』という言い訳は通りません。
解説
特許を一件買い取った、あるいは会社ごと M&A で取得した。そのとき、その特許に対して誰かが特許庁へ無効審判を仕掛けていたとしたら。特許法21条は、特許庁長官または審判長が、事件が特許庁に係属している最中に特許権が移転したとき、新しい権利者(承継人、つまり権利を引き継いだあなた)に対してその手続を続行できると定める。つまり、あなたが買ったのは特許そのものだけではない。それに付随する係争中の戦いごと引き継いでいる。前の持ち主が始めた審査や審判の途中経過は、20条によってあなたに引き継がれ(前任者がした手続の効力が承継人に及ぶ)、21条によって特許庁はあなたを相手に手続を進められる。「自分は買っただけ、争いは前の持ち主の話」という言い訳は通らない。買う前に、その特許が今どんな手続の渦中にあるかを確認しなかった側が、知らないまま当事者席に座らされる。
法的な位置づけ
特許法21条は手続の続行を定める規定であり、特許庁に事件が係属している間に特許権その他特許に関する権利が移転した場合、特許庁長官または審判長が、その承継人に対し当該事件に関する手続を続行できる旨を規定する。20条(手続の効力の承継)と一対をなし、権利移転による手続の中断ややり直しを防ぎ、審査・審判の連続性を確保する機能を担う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取得前に特許庁の経過情報を照会する 特許を買う、または会社を買収する前に、J-PlatPat の経過情報・包袋情報で、その特許に係属中の審査・無効審判・異議申立てがないかを確認する。権利の有無だけでなく手続の履歴という第二の帳簿を開く
- 2.係属中手続のリスクを弁理士に評価させる 係属中の審判や異議があれば、その内容と勝敗見込みを弁理士に評価させ、無効リスクを取得価格に織り込む。無効が確定すれば特許は紙切れになるため、価格交渉の根拠にできる
- 3.譲渡契約に表明保証・補償条項を入れる 譲渡契約に、係属中手続の存在と結果について売主の表明保証・補償条項を盛り込む。21条で買主が当事者になるリスクを、契約で売主に転嫁する
- 4.取得後すみやかに移転登録と名義変更を行う 取得後は特許権移転登録(98条)と特許庁への名義変更届を速やかに行い、特許庁からの通知・審決を確実に受け取れる体制を整える。名義を放置すると期限徒過による不利益を招く
よくある質問 AI による整理
Q1特許の手続の続行とは何ですか?
特許庁で審査や審判が進行中に特許権が移転した場合、その手続を最初からやり直さず、新しい権利者(承継人)を相手に続けることです。特許法21条が根拠で、20条と一体で機能します。
Q2特許権を譲渡したら審査や審判はどうなりますか?
リセットされません。特許庁長官または審判長が承継人に対して手続を続行できます(特許法21条)。前任者が提出した主張や認否の効力も20条で承継人に及びます。
Q3特許でいう承継人とはどういう意味ですか?
譲渡・相続・合併などで特許権その他特許に関する権利を引き継いだ側を指します。承継人は前任者の手続上の地位も引き継ぎ、特許庁の手続の名宛人になります。
Q4特許法20条と21条の違いは何ですか?
20条は前任者がした手続の『効力』が承継人に及ぶことを定め、21条は特許庁側が承継人に対して手続を『続行できる』ことを定めます。効力の承継と手続の続行という表裏の関係です。
Q5特許の経過情報はどこで確認できますか?
特許庁の J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で経過情報・包袋情報を照会できます。係属中の審査・審判・異議の有無を、譲渡や買収の前に確認するのが実務の基本です。
Q6M&A で特許のデューデリでは何を見るべきですか?
権利の有無だけでなく、J-PlatPat の包袋で『係属中の無効審判・異議・審査』の有無を確認します。係争があれば21条で買収後に自社の戦いになるため、価格と表明保証条項に反映します。
Q7審査中の特許を相続したらどうなりますか?
相続人が承継人として手続を引き継ぎ、拒絶理由通知などの名宛人になります(特許法21条・民法896条)。何もしていなくても、意見書提出などの期限が相続人に適用されます。
Q8無効審判の係属中に相手が特許を譲渡したら移送されますか?
移送の問題ではなく、承継の問題です。審判長は21条で承継人に手続を続行できます。請求側は移転登録(98条)を監視し、名義変更を追跡する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許を買ったら、前の持ち主が起こされていた無効審判も自動で引き継ぐんですか?
はい。特許庁に事件が係属している間に特許権が移転すると、特許法21条により審判長は承継人(あなた)に手続を続行できます。さらに20条で、前任者がした手続の効力もあなたに及びます。実務のポイント:M&A の知財デューデリでは『特許が有効か』だけでなく『J-PlatPat の包袋に係属中の審判・異議がないか』を必ず確認する。ここを見ない買い手が、係争ごと特許を掴まされるのが現場の典型的な事故です
Q2相手が審判の途中で特許を別会社に譲渡したら、自分の請求は無駄になりますか?
無駄にはなりません。21条は審判長が承継人に手続を続行できると定めているので、新しい権利者を相手に審判を続けられます。ただし承継人を特定し名義変更を追跡する手間は請求側にかかります。実務のポイント:相手の譲渡は時間稼ぎや当事者隠しに使われることがある。請求人は移転登録(98条)を監視し、承継があれば速やかに審判長へ上申して手続を確定させる。放置すると審理が止まり、その間に相手が訂正審判で穴を塞ぐ時間を与えてしまう
間違えやすい点 AI による整理
- 「係争は前の持ち主の問題だから、自分が買えばリセットされる」と考える人がいる。だが、その問いの立て方そのものが誤っている。特許は手続の履歴ごと移転するもので、リセットボタンは存在しない。あなたは前任者が途中まで戦った地点から、そのまま当事者として引き継ぐ
- 「特許庁が承継人に手続を続行するには、承継人の同意がいる」と思われがちだが、21条は『続行することができる』とし、特許庁の判断で進められる構造になっている。承継人が望むかどうかは要件ではない
- 21条の存在は知っていても、その深刻さを見落とす人が多い。手続が続行されるということは、前任者が提出した不利な主張や認否も、20条を通じてあなたに引き継がれるということ。あなたが関与していないところで打たれた手が、あなた自身の手として記録に残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 定める内容 | 特許法21条:特許庁が承継人に手続を続行できる | 特許法20条:前任者の手続の効力が承継人に及ぶ 特許法98条:特許権移転は登録が効力発生要件 |
| 作用の向き | 特許庁 → 承継人(手続の続行) | 前任者の行為 → 承継人(効力の承継) 移転自体の対外的効力(登録) |
| 承継人の同意 | 不要(特許庁の裁量で続行できる) | 不要(法律上当然に効力が及ぶ) 登録が必要(登録なければ移転の効力なし) |
| 見落とし時のリスク | 知らぬ間に係争の当事者席に座らされる | 前任者の不利な主張・認否を背負う 第三者に権利移転を対抗できない |
他国ではどう定めているか 3 か国
韓国特許法20条は、特許庁または特許審判院に手続が係属中に権利が移転した場合、承継人に対し手続を続行できると定め、日本21条とほぼ同型の規定である
ドイツは特許登録簿への移転登録(PatG § 30)を基礎とし、係属中手続の当事者承継は民事訴訟法(ZPO § 265等)の法理を準用して処理する
米国は特許の譲渡・承継を35 U.S.C. § 261が定め、USPTO の係属中手続における承継の取扱いは連邦規則(37 CFR)による
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、買収しようとしている会社の主力特許に、競合がすでに無効審判を請求していたとしたら? クロージング後、その審判の当事者はあなたの会社になる。買収価格の算定にこのリスクを織り込んでいなければ、無効が確定した瞬間、高値で買った特許がただの紙切れに変わる
- あなたが無効審判を請求した側だとする。審理の途中で相手が特許を別会社へ譲渡した。審判長は21条で承継人に手続を続行できるが、名義変更を見落とすと、あなたの書面は誰に向けたものか宙に浮く。次の弁駁書期限まであと二週間、今争っている相手が誰なのかを今すぐ確認する必要がある
- 親が個人で取得した特許を相続した。気づけば、その特許の審査が特許庁でまだ続いていた。あなたは何もしていないのに、拒絶理由通知の名宛人になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 特許を取得する前に、特許庁の経過情報照会(J-PlatPat の包袋情報)で、その特許に係属中の審判・異議・審査があるか確認する2. 係属があれば、その内容と勝敗見込みを弁理士に評価させ、取得価格に反映する3. 譲渡契約に、係属中手続の存在と結果について売主の表明保証・補償条項を入れる4. 取得後は速やかに移転登録(98条)と名義変更届を行い、特許庁からの書面を確実に受け取れる体制を整える
訴えられた側:1. 承継人として手続を続行される立場なら、前任者がそれまでに提出した主張・認否(20条で引き継がれる)を全て取り寄せ、戦況を把握する2. 不利な主張があっても、新たな証拠や訂正審判(126条)で挽回できる余地を検討する3. 自分が無効審判の請求側で相手が特許を譲渡したら、名義変更を追跡し、審判長に承継人への続行を促す4. いずれの立場でも、答弁書・弁駁書の期限を死守する。期限徒過は不利な認定に直結する
時効(請求できる期限):21条自体に特定の期限はない。ただし続行される手続には個別の期限があり、無効審判の答弁書提出期間(審判長が指定、最新の運用をご確認ください)や審査の意見書提出期間(拒絶理由通知から原則60日、在外者は3月)など、各手続の期限が承継人にそのまま適用される。起算点は承継人が手続を引き継いだ時点ではなく、元の通知時点であることが多いため要注意
学説
通説:特許法21条の手続続行は20条の効力承継と表裏をなし、権利移転による手続の中断・やり直しを防ぐ手続経済の要請に基づく。承継人の同意は要件ではなく、特許庁の裁量的判断(『続行することができる』)で進められるが、承継人は引き継いだ地点から防御を組み直せる。
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