特許法 第98条(登録の効果)
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- 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
- 一特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
- 二専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
- 三特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
- 2.前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
この条文の基本情報
登録の効果とは何ですか?
定義登録の効果とは、特許法第98条に定められた規定で、「次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第98条(登録の効果)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第98条の条文原文は「次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。」で始まります。
- 特許法第98条は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第98条の前の条は特許法第97条です。
- 特許法第98条の次の条は特許法第99条です。
- 特許法第98条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第98条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第98条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/98
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法98条は、特許権の移転・専用実施権の設定や移転・質権の設定について、特許原簿に登録しなければ効力を生じないと定める。相続等の一般承継は登録不要で効力が生じる。
Q · 特許の譲渡契約にサインして代金を払えば、特許はもう自分のもの?
いいえ、特許庁に登録するまで移転の効力は生じない
特許法98条1項により、特許権の移転・専用実施権の設定や移転・質権の設定は、特許原簿に登録しなければその効力を生じません(効力要件主義)。契約書にサインし代金を払っても、登録前は当事者の間ですら移転の効力がなく、売主が特許権者のまま残ります。売主が同じ特許を第三者にも売り先に登録すれば、あなたは代金を払っても権利を取得できません。ただし相続その他の一般承継は登録なしで効力を生じ、遅滞なく特許庁長官へ届け出る義務があります(同条2項)。
解説
不動産なら、売買契約を結んだ瞬間に所有権は買主へ移る。登記は第三者に対抗するための条件にすぎない(民法177条)。ところが特許は違う。特許権を譲り受ける契約書にサインし、代金を払い、握手まで交わしても、特許庁の特許原簿に登録するまで、その移転は当事者の間でさえ効力を生じない。つまり登録前のあなたは「特許を買った人」ではなく「特許を買う約束をしただけの人」だ。売主はなお特許権者で、もし売主が同じ特許を別の誰かにも売って先に登録されたら、あなたは代金を払ったのに権利を失う。専用実施権(独占ライセンス)も同じ構造で、契約を結んでも未登録なら法的に独占の効力は出ていない。あなたが信じている「契約した=手に入れた」という常識は、特許の世界では通用しない。鍵は紙ではなく原簿にある。
法的な位置づけ
特許法98条は、特許権の移転、専用実施権の設定・移転・変更・消滅・処分の制限、およびこれらを目的とする質権の設定等について、特許原簿への登録を効力発生の要件とする規定である。相続その他の一般承継による移転はこの登録を要せず効力を生じるが、遅滞なく特許庁長官への届出を要する。不動産物権変動の対抗要件主義(民法177条)と対比される効力要件主義を採る。
手順
- 1.取引前に特許原簿の謄本を取得して名義を確認 契約に入る前に特許庁で特許原簿の謄本を取得し、売主が本当に登録名義人か、既に質権・専用実施権・処分の制限・差押えが入っていないかを確認する。原簿は誰でも取得できるため、最初に見た側が交渉の主導権を握る
- 2.契約成立と登録申請を同時に走らせる 譲渡契約が成立したら、代金の支払いと特許庁への移転登録申請を同時に段取りする。一日でも登録を遅らせた隙に売主が第三者へ二重譲渡し先に登録すれば、代金を払っても権利を失う
- 3.専用実施権・質権も忘れず登録 独占ライセンス(専用実施権)や特許を担保にする質権も、それぞれ登録して初めて効力が生じる。契約書の表題が『専用実施権』でも、未登録なら第三者に独占を主張できず差止訴訟も起こせない
- 4.相続・合併の場合は遅滞なく届出 相続その他の一般承継で特許権を取得した場合は登録なしで効力が生じるが、遅滞なく特許庁長官へ届け出る(98条2項)。放置すると原簿の名義が亡くなった人のまま残り、後の売却やライセンス設定で手続が止まる
よくある質問 AI による整理
Q1特許権の移転はいつ効力が生じますか?
特許庁の特許原簿に登録した時点です(特許法98条1項1号)。契約や代金支払いだけでは、当事者の間ですら移転の効力は生じません。相続等の一般承継は例外で登録不要です。
Q2特許の二重譲渡はどちらが勝ちますか?
先に特許原簿へ登録した方が権利を取得します。効力要件主義のため、契約の先後ではなく登録の先後で決まります。負けた買主は売主への損害賠償請求権しか残りません。
Q3専用実施権は登録しないと効力がありませんか?
はい。専用実施権の設定は登録が効力発生の要件です(98条1項2号)。未登録では法的に専用実施権者ではなく、自分の名前での差止請求もできません。
Q4相続した特許は登録しないと無効になりますか?
無効になりません。相続その他の一般承継は登録なしで効力が生じます。ただし遅滞なく特許庁長官へ届け出る義務があります(98条2項)。
Q5特許原簿は誰でも見られますか?
はい。特許原簿の謄本は特許庁で誰でも取得できます。取引前に登録名義人・質権・処分の制限の有無を確認すれば、二重譲渡や名義違いを事前に避けられます。
Q6特許を担保に融資を受けるには登録が必要ですか?
必要です。特許権を目的とする質権の設定は登録が効力発生の要件です(98条1項3号)。未登録の質権は債務不履行時に実行できず、担保スキームが崩れます。
Q7登録前に売主が倒産したらどうなりますか?
移転が未登録なら特許権は倒産財団に属し、買主は原則として取り戻せません。代金返還は破産債権にとどまり、契約と同時に登録を済ませることがリスク回避の鍵です。
Q8特許権の放棄も登録が必要ですか?
はい。放棄による特許権の消滅も登録しなければ効力を生じません(98条1項1号)。専用実施権者や質権者がいる場合、その承諾を得なければ放棄できません(特許法97条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許の譲渡契約書にサインして代金も払ったのに、まだ自分のものじゃないってどういうことですか?
特許権の移転は登録が効力発生の条件だからです(特許法98条1項1号)。不動産の登記が第三者対抗要件にすぎない(民法177条)のと違い、特許は登録するまで当事者の間ですら移転の効力が生じません。実務のポイント:特許原簿の謄本は誰でも特許庁で取得できます。契約前に原簿を取り、売主が本当に登録名義人か、先に質権や差押えが入っていないかを確認する人は驚くほど少ない。これを見るだけで二重譲渡や名義違いを事前に避けられる
Q2独占ライセンス(専用実施権)を結べば、他社が同じ技術を使ったら自分の名前で訴えられますよね?
登録していれば、です。専用実施権は登録して初めて効力が生じ(98条1項2号、特許法77条)、登録後は自分の名前で差止請求ができます。未登録なら法的には専用実施権者ではなく、独占の主張も差止訴訟もできません。実務のポイント:実務では多くの独占ライセンス契約が未登録のまま放置されます。理由の一つは、ライセンサーが独占の事実を原簿で公示されるのを嫌うから。そこで登録不要の「独占的通常実施権」という設計が使われることがあるが、これは第三者への差止力が弱い。契約書の表題が『専用実施権』でも、登録の有無で持っている力はまるで違う
Q3親が持っていた特許を相続したんですが、これも登録しないと無効になりますか?
いいえ、相続その他の一般承継による移転は登録なしで効力が生じます(98条1項各号の括弧書で一般承継を除外)。ただし遅滞なく特許庁長官へ届け出る義務があります(98条2項)。実務のポイント:届出を怠ると原簿の名義が亡くなった方のまま残り続けます。後で第三者へ売却したりライセンスを設定するとき、名義が古いままだと手続が止まり、相続関係を証明する書類を揃え直す手間が発生する。相続した時点で早めに名義を整えておくのが得策
間違えやすい点 AI による整理
- 契約書にサインして代金を払えば特許は自分のものだ、と思っている。実は違う。登録するまで移転は当事者の間でさえ効力を生じず、売主が依然として特許権者のままだ。あなたが握っているのは権利ではなく、権利を移す約束にすぎない
- 登録が必要なことは知っていても、その遅れがどれほど危険かを分かっていない人が多い。登録前に売主が二重譲渡し、相手が先に登録すれば、あなたは代金を払い済みでも権利はゼロ。残るのは資力の怪しい売主への損害賠償請求権だけ。「いずれ登録すればいい」の一日が命取りになる
- 「独占ライセンスを結んだのだから他社を排除できる」という問いの立て方そのものが誤っている。専用実施権は登録して初めて効力が生じる(98条1項2号)。未登録のあなたが持っているのは独占権ではなく、契約上の地位にすぎず、第三者にも侵害者にも独占を主張できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登録の法的性質 | 特許法98条:効力要件(登録しないと当事者間でも効力なし) | 民法177条:対抗要件(当事者間では移転済み、第三者に対抗するため登記) 特許法99条:当然対抗(通常実施権は登録不要で対抗可) |
| 対象となる権利変動 | 特許権の移転・専用実施権の設定移転・質権の設定等 | 不動産の物権変動一般 通常実施権(非独占ライセンス) |
| 一般承継の扱い | 相続・合併は登録不要で効力発生、ただし届出義務あり(98条2項) | 相続も登記なく効力発生、第三者対抗には登記要 登録制度そのものを要しない |
| 二重譲渡時の優劣 | 登録の先後で決まる(早い者勝ち) | 登記の先後で対抗関係を決する 実施の事実で当然対抗、優劣問題が生じにくい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は登記を『第三者への対抗要件』とする対抗要件主義で、当事者間では契約により移転が生じる。効力要件主義をとる日本とは公示の位置づけが異なる。
韓国も特許権の移転等について登録を効力発生要件とし、日本の効力要件主義と同構造。相続等の一般承継を例外とする点も共通する。
ドイツは特許登録簿を備えるが、譲渡の効力は当事者間の合意で生じ、登録は主に対抗・公示的機能を担う点で日本の効力要件主義と差がある。
米国は特許譲渡を書面で行い、譲受後3か月以内または後の善意有償譲受人登録前に記録すれば善意の第三者に対抗できる記録制度(recording)を採る。効力要件ではなく対抗要件に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが特許の譲渡契約を結んで代金を全額振り込んだあと、売主が同じ特許を競合他社にも売り、向こうが先に特許庁へ登録したらどうなる? あなたは権利を一切取得できず、手元に残るのは売主への損害賠償請求権だけ。早い者勝ちの登録レースに、あなたは知らないうちに参加していた
- スタートアップのあなたが「うちはこの基幹技術の独占ライセンスを持っている」と投資家に説明する。だが専用実施権の登録をしていなければ、法的にあなたが持つのは独占でも何でもなく、せいぜい通常実施権。他社が同じ技術を使い始めても、自分の名前で差止訴訟を起こせない
- あなたが特許を相続した。登録しないと無効になるのかと焦るが、相続その他の一般承継は登録なしで効力が生じる。ただし遅滞なく特許庁長官へ届け出る義務がある(98条2項)。これを忘れると原簿の名義が亡くなった人のまま残り、後で売却やライセンスをするとき手続が止まる
- 企業買収のデューデリで、相手の「優良特許ポートフォリオ」を理由に高値を提示した。あと3日で最終契約。ところが特許原簿を取り寄せたら、過去の譲渡が未登録で、売主が本当の権利者ではなかった。買収価格の根拠が一夜で崩れる
- あなたが特許を担保に銀行から融資を受ける。質権設定契約を結んで安心していたが、登録を怠っていた。いざ返済が滞ったとき、銀行は登録なき質権を実行できず、担保スキーム全体が空中分解する
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず特許庁で特許原簿の謄本を取得(誰でも取得できる)、登録名義人が誰かを確認2. 自分への移転・専用実施権・質権が未登録なら直ちに登録申請、相手の協力が要る登録は契約書を根拠に登録手続を請求3. 売主が二重譲渡の兆候を見せたら処分禁止の仮処分を検討4. 既に他者へ先を越されていたら、売主への債務不履行・損害賠償(民法415条)に戦線を切り替え、契約書の表明保証条項を確認する
訴えられた側:1. あなたが現在の登録名義人なら、法的にはなお特許権者、慌てて権利を手放さない2. 過去に交わした譲渡契約が未登録のまま放置されているなら、相手から登録手続を求められる立場、契約内容と時系列を確認3. 二重譲渡を疑われたら、各契約の成立時期と登録の先後を整理4. 紛争化する前に、登録への協力と引き換えに残代金や条件を交渉する余地がある
時効(請求できる期限):登録自体に法定の期限はないが、効力は登録の先後で決まるため実質的に早い者勝ち。一般承継(相続・合併など)の場合は遅滞なく特許庁長官へ届け出る義務がある(特許法98条2項)。登録手続請求権や損害賠償請求権には一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:特許法98条は効力要件主義を採り、登録は第三者対抗要件ではなく権利変動の効力発生要件である。無体財産は占有による公示が効かないため、特許原簿という単一の公的記録に権利関係を集約して取引の安全と画一的明確性を確保する趣旨とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法の制定に伴い、特許権の移転・専用実施権・質権等について登録を効力要件とする規定を置いた。
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