特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。
要点特許法 95 条は、特許権等に質権を設定しても、質権者は契約で別段の定めをしない限り当該特許発明を実施できないと定める。実施権は特許権者に残り、質権者は処分価値のみ押さえる。
Q · 特許を担保にお金を借りたら、貸した相手がその特許を使い始めるのでは?
いいえ。契約で特に定めない限り質権者は実施できません。
特許法 95 条により、特許権・専用実施権・通常実施権に質権を設定しても、質権者は契約で別段の定めをした場合を除き、当該特許発明を実施できません。実施権能は担保に供した特許権者の側に留保され、質権者に与えられるのは、債務不履行時に特許を換価して優先弁済を受ける処分価値だけです。つまり特許を担保に差し出しながら、その特許で製品を作り事業を回し続けられます。逆に契約書に「質権者も実施できる」旨の一文が入っていれば極めて異例であり、事業の生命線を相手に渡す危険な条項です。
資金繰りに詰まったスタートアップが、唯一の資産である特許を担保に銀行から融資を受ける。ここで多くの経営者が身構えるのは「担保に取られたら、貸し手が自分の発明を使い始めるのではないか」という不安だ。特許法 95 条はその恐れを正面から否定する。質権を設定しても、質権者(お金を貸して担保を取った側)は、契約で別段の定めをしない限り、その特許発明を実施できない。つまりあなたは特許を担保に差し出しながら、その特許で製品を作り、事業を回し続けられる。担保とは「使わせない代わりに価値を凍結する」仕組みではなく、「所有と実施はあなたに残したまま、債権回収の保険として処分価値だけを押さえる」仕組みなのだ。逆に言えば、契約書に「質権者も実施できる」という一文が紛れていれば、それは極めて異例であり、あなたの事業の生命線を相手に渡す危険な条項だと気付かなければならない。
特許法 95 条は、特許権・専用実施権・通常実施権を目的とする質権における質権者の権能を制限する規定である。質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、担保に取った特許発明を自ら実施することができない。実施権能は設定者たる特許権者に留保され、質権者には換価による優先弁済権のみが帰属する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許権・専用実施権・通常実施権を担保として差し入れ、債務不履行時に換価・優先弁済を受けられるようにする担保権です。特許法 95 条・96 条・98 条が規律します。
株式を希薄化させずにデット(融資)で資金調達できます。特許法 95 条により質権者は実施できないため、担保に出しながら自社で特許を使い事業を継続できます。
担保物が生む対価やライセンス料に質権の効力が及ぶ制度です。特許法 96 条が定め、質権者はロイヤルティ等を差し押さえて優先弁済を受けられます。
できます。特許法 95 条は特許権だけでなく専用実施権(77 条)・通常実施権(78 条)も質権の対象と明記しています。ライセンスを受ける権利自体が担保になります。
契約で別段の定めをした場合のみ実施できます(95 条但書)。貸し手の雛形にこの一文が紛れていると事業の中核技術を相手に開放することになるため要注意です。
抵当権の登記は対抗要件ですが、特許の質権は特許原簿への登録が効力発生要件(98 条)です。登録前の質権者は無担保の一般債権者にすぎません。
付従性により質権も消滅します。債権は権利行使を知った時から 5 年、または権利行使できる時から 10 年で時効消滅します(民法 166 条)。
唯一の資産が特許で、量産投資やブリッジ資金が必要な場面です。エクイティに絞ると創業者持分を手放しますが、95 条により特許を使い続けながら調達できます。
始められません。特許法 95 条は、質権者(お金を貸して担保を取った側)は契約で別段の定めをしない限りその特許発明を実施できないと定めています。あなたは担保に出しながら、これまで通り製品を作り売り続けられる。業界裏話ヒント:貸し手の雛形に、ごくまれに「質権者も実施できる」条項が紛れていることがある。これは事実上あなたの事業を相手に開放する危険な一文。署名前に有無を必ず確認し、あれば削除を求める
質権者は担保権を実行し、特許権を競売にかけて換価、その代金から優先的に弁済を受けます。落札した第三者が新たな特許権者になり、あなたは特許を失います。業界裏話ヒント:実行前に弁済の猶予や任意売却での残債圧縮を交渉できる余地は大きい。特許は競売だと買い手が限られ安く叩かれがちで、貸し手にも任意売却に応じる動機がある。実行通知が来ても諦めず交渉する
必要です。特許法 98 条 1 項 3 号により、質権の設定は特許原簿への登録が効力発生要件です。契約書を交わすだけでは質権は発生せず、登録して初めて正式な担保になります。業界裏話ヒント:登録が効力発生要件である点が、不動産抵当(登記は対抗要件)と決定的に違う。登録前の質権者は無担保の一般債権者にすぎない。貸し手側は融資実行と登録を同時に押さえないと、借り手に二重設定される危険がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律内容 | 95 条:質権者は別段の定めなき限り特許発明を実施できない | — |
| 誰の権利を扱うか | 質権者の実施権能を制限(実施は特許権者に残る) | — |
| 実務での勘所 | 契約の「別段の定め」の有無が事業継続を左右 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。