要点特許法123条は、登録特許に8つの無効理由のいずれかがあるとき、利害関係人が特許庁に特許無効審判を請求できると定める。無効審決が確定すると特許は出願時に遡って消滅する。
Q · 特許庁に登録された特許でも、後から無効にできるの?
できます。利害関係人なら特許無効審判で覆せます
特許法123条により、登録後の特許でも、新規性・進歩性の欠如(29条)、記載不備(36条)、冒認出願(123条1項6号)など8つの無効理由のいずれか一つでもあれば、利害関係人が特許庁に特許無効審判を請求できます。特許庁の審判官3名(または5名)の合議体が無効と判断すれば、その特許は出願時に遡って初めから存在しなかったものとされます(125条)。特許権が消滅した後でも請求でき、過去の損害賠償請求の根拠ごと消せる場合があります。
競合他社から「うちの特許を侵害している、製造を止めろ」という警告書が届いた。多くの中小企業は、相手の顧問弁理士の名前を見ただけでこの一通で開発を諦める。だが、特許庁が登録を認めた特許も絶対ではない。特許法123条は、登録後の特許を消し去る「特許無効審判」を用意している。先行技術があって新規性・進歩性がない、明細書の記載が不十分、そもそも出願人に発明者としての権利がなかった(冒認)、こうした8つの無効理由のどれか一つでも突けば、特許庁の審判官3名(または5名)の合議体が、その特許を最初から存在しなかったことにできる。しかも特許権が消滅した後でさえ請求できる。なぜそんな必要があるのか。過去の侵害で損害賠償を請求されている場合、特許を遡って無効にすれば、その請求の根拠ごと消せるからだ。請求できるのは利害関係人に限られるが、あなたが市場で競合しているなら、まず間違いなくこれに当たる。
特許無効審判とは、登録された特許について法定の無効理由が存在することを理由に、利害関係人が特許庁に対しその特許を無効とするよう求める手続をいう。特許法123条が8つの無効理由を限定列挙し、無効審決が確定すると特許権は出願時に遡及して消滅する。特許権の消滅後でも請求できる点に特徴がある。
AI 輔助整理,以條文原文為準
登録された特許を、無効理由を理由に特許庁へ請求して無効にする手続です(特許法123条)。審判官の合議体が審理し、無効審決が確定すると特許は出願時に遡って消滅します。
原則として利害関係人に限られます(123条2項)。市場で競合している、侵害の警告を受けたなどの事情があれば該当します。冒認・共同出願違反の場合は特許を受ける権利を有する者に限定されます。
新規性・進歩性の欠如(29条)、記載要件違反(36条)、冒認出願(123条1項6号)、補正要件違反、条約違反など、123条1項1号〜8号に限定列挙された8類型です。
同一当事者が同一の事実・同一の証拠に基づき再び無効審判を請求することを禁じる原則です(167条)。一度確定審決が出ると、同じ攻め方は二度とできません。
できます(123条1項6号)。2011年改正後は、無効にする代わりに特許権そのものを自分名義へ移転請求する道(74条)も選べます。
特定の請求期限はなく、特許権の消滅後でも請求できます(123条3項)。期限が6か月以内に限られるのは別制度の特許異議の申立て(113条)です。
公報発行から6か月以内なら、安価で匿名性も保ちやすい異議申立てで様子を見て、ダメなら無効審判という二段構えが定石です。期間を逃すと異議の道は閉じます。
審決謄本の送達後、所定期間内に知的財産高等裁判所へ審決取消訴訟を提起します(178条)。入口は裁判所ではなく特許庁である点に注意が必要です。
制度上は本人でも請求できます。ただ無効審判は先行技術の調査・特定、進歩性の主張構成(29条2項)など高度に専門的で、相手も弁理士・弁護士を立ててきます。業界裏話ヒント:費用を抑えたいなら、まず特許侵害で訴えられた侵害訴訟の中で無効の抗弁(104条の3)を出す手があります。別途審判を起こすより、一つの訴訟で同時に争える分、コストも時間も圧縮できる。どちらが得かは案件次第で、弁理士はこの使い分けを当然のように考えている
異議申立て(113条)は誰でも、特許掲載公報の発行から6か月以内に、特許庁に再考を促す制度です。無効審判(123条)は利害関係人に限られますが、期間制限なく、当事者同士が対立構造で争います。業界裏話ヒント:6か月以内なら、まず安価で匿名性も保ちやすい異議申立てで様子を見て、ダメなら無効審判という二段構えが定石です。期間を逃すと異議の道は閉じるので、競合の特許登録は公報をウォッチして6か月の窓を意識する人が勝つ
審査官は限られた時間と検索範囲で審査するため、特に論文・カタログ・外国文献・実際に売られていた製品などの非特許文献の先行技術は見落とされがちです。だからこそ123条の無効審判が用意されています。業界裏話ヒント:審査で見つからなかった先行技術こそ最強の無効資料です。社内の古いカタログ、展示会の記録、業界誌、海外製品の取説まで掘る。審査官が見られなかった資料を出せるかどうかが、無効審判の勝敗を分ける
あります。過去の侵害について損害賠償を請求されている場合、特許を遡って無効にすれば(無効審決の効力は出願時に遡及、125条)、その賠償請求の根拠そのものが消えます。123条3項が消滅後の請求を認めているのはこのためです。業界裏話ヒント:「もう切れた特許だから関係ない」と油断していると、満了後に過去数年分の賠償をまとめて請求されることがある。係争があるなら、特許が切れても無効審判の手を緩めない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 請求できる人 | 利害関係人に限る(123条2項) | — |
| 期間制限 | なし。特許権の消滅後でも請求可(123条3項) | — |
| 手続の場・構造 | 特許庁、当事者対立構造の審判 | — |
| 効果 | 無効審決確定で特許権が出願時に遡及消滅(125条) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。