特許法 第134条の2(特許無効審判における訂正の請求)
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- 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
- 一特許請求の範囲の減縮
- 二誤記又は誤訳の訂正
- 三明瞭でない記載の釈明
- 四他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
- 2.二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。
- 3.前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。
- 4.審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。
- 5.審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
- 6.第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。
- 7.第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。
- 8.第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。
- 9.第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
特許無効審判における訂正の請求とは何ですか?
定義特許無効審判における訂正の請求とは、特許法第134条の2に定められた規定で、「特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第134条の2(特許無効審判における訂正の請求)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第134条の2の条文原文は「特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、…」で始まります。
- 特許法第134条の2は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第134条の2の前の条は特許法第134条です。
- 特許法第134条の2の次の条は特許法第134条の3です。
- 特許法第134条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第134条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第134条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/134_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法134条の2は、特許無効審判の被請求人が指定期間内に限り特許請求の範囲等を訂正請求できると定める。目的は請求項の減縮など四つに限られ、新規事項の追加は禁止される。
Q · 特許を無効審判で攻められたら、もう権利は守れないの?
訂正の請求で請求項を減縮すれば生き延びられる
特許法134条の2により、特許無効審判の被請求人は指定された期間内に限り、特許請求の範囲等の訂正を請求できます。最もよく使われるのは請求項の減縮で、相手が挙げた先行技術の射程から一歩内側に権利範囲を引き込めば、無効理由が当たらなくなります。ただし訂正の目的は減縮・誤記訂正・釈明・引用関係解消の四つに限られ、新規事項の追加や実質的な権利範囲の拡張は禁止されます(126条準用)。攻められた請求項だけを狙って減縮し、強い請求項は温存する設計が実務の要です。
解説
競合他社が、あなたの会社のコア特許に対して『この発明は出願前から公知だった』と無効審判を突きつけてきた。何年もの研究開発と数百万円の出願費用が、ゼロになるかもしれない。多くの経営者はここで頭を抱える。だが特許法134条の2は、攻められた特許権者に反撃の手を残している。無効審判の被請求人は、指定された期間内に限り、特許請求の範囲、つまり権利の範囲そのものを書き換える『訂正の請求』ができる。狙いは主に四つ、請求項の減縮(権利範囲を狭める)、誤記誤訳の訂正、不明瞭な記載の釈明、引用関係の解消だ。最も使われるのは減縮。相手が突きつけてきた先行技術文献の射程から、自分の請求項を一歩内側に引き込めば、無効理由が当たらなくなる。しかも請求項が複数あれば、攻められた請求項だけを狭め、強い請求項は広いまま残せる。つまりこれは、城を攻められたときに城壁を引き直して守りを固める、特許権者だけに認められた最後の防衛線である。
法的な位置づけ
特許法134条の2は、特許無効審判における訂正の請求を定める規定である。被請求人は指定された期間内に限り、明細書・特許請求の範囲・図面について、請求項の減縮、誤記誤訳の訂正、不明瞭記載の釈明、引用関係の解消を目的とする訂正を請求できる。新規事項の追加および実質的な権利範囲の拡張・変更は禁止される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.答弁書提出期間を真っ先に確認 審判請求書を受け取ったら、まず答弁書の提出期間(134条1項・2項の指定期間)を確認する。ここが訂正の請求の入口であり、この指定期間を逃すと原則として訂正請求ができなくなる
- 2.相手の先行技術と無効理由を弁理士と精査 相手が挙げた先行技術文献・無効理由を弁理士と精査し、どの請求項が、どの文献で攻められているかを特定する。攻撃の射程を正確に把握しないと減縮の方向を誤る
- 3.先行技術を外れ自社製品はカバーする減縮案を作成 先行技術の射程から外れ、かつ自社製品はカバーし続ける線を探って減縮案を作る。減縮しすぎると無効は回避できても自社製品が権利範囲から外れ、特許が実質無意味になる
- 4.新規事項追加・実質拡張の有無をチェックして請求 訂正が新規事項の追加や実質的な権利範囲の拡張・変更(126条準用)に当たらないかを必ず確認し、指定期間内に訂正の請求を行う。審決の予告(164条の2)まで待って弱点に合わせ精密訂正する選択肢も検討する
よくある質問 AI による整理
Q1訂正の請求とは何ですか?
特許無効審判の被請求人が、指定された期間内に限り、特許請求の範囲や明細書・図面を訂正できる手続です。請求項の減縮などにより無効理由をかわし、権利を維持することを狙います。
Q2訂正の請求はいつまでにできますか?
答弁書提出期間(134条)、訂正拒絶理由通知への意見書提出期間(153条2項)、審決の予告後の指定期間(164条の2)など、法が指定した期間内に限られます。逃すと原則できません。
Q3訂正の請求書の副本送達とは何ですか?
審判長が訂正請求書とその添付書類を受理すると、その副本を無効審判の請求人へ送達します(4項)。請求人はこれを見て訂正の当否を争うことができます。
Q4一群の請求項とは何ですか?
他の請求項を引用するなどして技術的にひとまとまりとなる請求項の集合です。訂正はこの一群ごとに行う必要があり(3項)、バラバラには訂正できません。
Q5審決の予告の後でも訂正の請求はできますか?
できます。審判官が無効になりそうだと心証を示す審決の予告(164条の2)を受けた後の指定期間内にも訂正請求が可能で、弱点に合わせた精密な減縮ができます。
Q6訂正の請求は取り下げできますか?
補正ができる期間内に限り取り下げられます(7項)。ただし請求項ごと・一群の請求項ごとに訂正した場合は、その全部を取り下げなければなりません。
Q7訂正の効果はいつから生じますか?
訂正が認められると、その効果は出願時に遡って生じます(128条準用)。訂正前の広い請求項を信頼していた第三者との関係が問題になることがあります。
Q8請求項ごとに無効審判を請求されたらどう訂正しますか?
その場合は請求項ごとに訂正の請求をしなければなりません(2項ただし書)。攻められた請求項だけを狙って訂正し、他の請求項は温存する設計が可能です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訂正審判っていうのもありますよね。無効審判の中の訂正の請求と、何が違うんですか?
訂正審判(特許法126条)は無効審判とは別に独立して権利範囲を訂正する手続で、いつでも請求できるのが原則です。一方、本条の訂正の請求は無効審判が係属している中で、指定された期間内だけ使えるものです。実務のポイント:無効審判が係属している間は独立の訂正審判は原則として使えず、訂正は無効審判の中の訂正請求で行うのが実務の鉄則。ここを取り違えると訂正の機会そのものを逃します
Q2請求項を狭めれば無効を逃げられるって、いくらでも狭められるんですか?
無制限ではありません。126条5項以下が準用され、願書に最初からない新規事項の追加や、実質的な権利範囲の拡張・変更は禁止されます。実務のポイント:減縮は『先行技術はかわすが、自社製品はカバーし続ける』という針の穴を通す作業です。逃げることだけ考えて狭めすぎると、無効は回避できても自社製品すら権利範囲から外れ、特許が実質無意味になる。攻守の両方を同時に睨んで線を引けるかが勝負
Q3請求項ごとに訂正できると、何が得なんですか?
攻められた請求項だけを減縮し、攻撃されていない強い請求項は広いまま温存できます(2項)。ただし引用関係でつながった一群の請求項は束で訂正する必要があり(3項)、請求項ごとに無効審判が請求された場合は請求項ごとに訂正しなければなりません。実務のポイント:一律に全請求項を縮めて、本来守れた広い権利まで自ら手放すのは素人がやりがちなミス。どの請求項を切り、どれを残すかの設計次第で、訂正後に手元へ残る特許の価値が大きく変わります
間違えやすい点 AI による整理
- 『無効審判を仕掛けられたら、その特許はもう終わり』と多くの経営者が思っている。実際には被請求人には訂正請求という反撃手段があり、請求項を減縮して無効理由をかわせば、特許は範囲を狭めつつ生き延びる。攻められた=即死、ではない
- 訂正で請求項を書き換えられること自体は知っていても、その不自由さの深刻度を見落としがちだ。訂正は減縮・誤記訂正・釈明・引用関係解消の四目的に限られ、しかも願書に最初から書いていない新規事項の追加や、実質的な権利範囲の拡張・変更は禁止される(126条準用)。後から思いついた良いアイデアを足すことはできない
- 『訂正さえ通れば過去も丸ごと安泰』と問いを立てる人がいるが、その問いの立て方が落とし穴だ。訂正の効果は出願時に遡るため、訂正前の広い請求項を信じて行動していた第三者との関係が新たな火種になる。あなたから見れば権利を守った訂正が、相手から見れば後出しの範囲変更に映る、この落差が次の紛争を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の位置づけ | 134条の2:無効審判の中で行う訂正の請求 | 126条:無効審判とは別の独立した訂正審判 123条:訂正が行われる母体である特許無効審判 |
| 使える時期 | 答弁書提出期間・訂正拒絶理由通知後・審決の予告後など指定期間内のみ | 原則としていつでも請求可(無効審判係属中は原則使えない) 利害関係人等が特許登録後に随時請求 |
| 目的の制限 | 減縮・誤記訂正・釈明・引用関係解消の四つに限定 | 同じ四目的(126条1項ただし書、134条の2が準用) 特許を無効にする理由の主張(訂正の制限ではない) |
| 訂正の単位 | 請求項ごと・一群の請求項ごとに訂正(2項・3項) | 請求項ごとの訂正審判が可能 請求項ごとに無効審判を請求可(155条3項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も舉発(無効審判)手続のなかで請求項の更正(訂正)を認め、範囲の減縮等に目的が限定される点で日本と類似する
韓国も特許無効審判のなかで被請求人が請求項を訂正できる制度を持ち、日本の134条の2と構造が近い
ドイツでは無効訴訟(Nichtigkeitsverfahren)で特許権者が請求項を限定して防御する自己限定(beschränkte Verteidigung)が認められ、機能的に日本の減縮訂正に対応する
米国では当事者系レビュー(IPR)において特許権者が請求項訂正の申立て(motion to amend)を行える。減縮方向に限られ、新規事項の追加は不可とされる点で日本と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合が『あなたの特許は出願前に学会発表されていた』と先行技術を挙げて無効審判を請求してきた。だがその発表は発明の一部しかカバーしていない。あなたは請求項を、発表に含まれない構成要件まで限定して減縮する。先行技術の射程から一歩外に出た瞬間、無効理由は崩れる
- もしあなたが他社特許を無効審判で潰しにかかったのに、相手が土俵際で請求項を減縮してきたら? あなたの挙げた先行技術はもう当たらない。ここで審判を取り下げるか、訂正後の狭い請求項に対しても無効理由が残るか、攻め直しの判断を迫られる
- 答弁書の提出期間はあと数日。訂正請求はこの指定期間を逃すと原則打てない。先行技術の分析と減縮案の作成を、今夜から弁理士と並走させなければ間に合わない
- 審判官から審決の予告が届いた。『現状では無効』という心証だ。だがこれはあなたへの最後の警告であり、最後のチャンスでもある。予告で示された弱点に合わせて請求項を精密に訂正すれば、無効審決をひっくり返せる余地が残る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 審判請求書を受け取ったら、まず答弁書の提出期間(134条1項・2項の指定期間)を確認、ここが訂正請求の入口だ2. 相手が挙げた先行技術・無効理由を弁理士と精査し、どの請求項が、どの文献で攻められているかを特定3. 減縮案を作成、先行技術の射程から外れ、かつ自社製品はカバーし続ける線を探る4. 新規事項追加・実質拡張変更にならないか(126条準用)を必ずチェック5. 早撃ちせず、審決の予告(164条の2)まで待って弱点に合わせ精密訂正する選択肢も検討
訴えられた側:1. 被請求人が訂正請求してきたら、副本送達を受けた段階で訂正の中身を分析2. 訂正が四目的(減縮・誤記訂正・釈明・引用関係解消)の枠を外れていないか、新規事項追加・実質拡張変更がないかを争点化3. 訂正後の狭まった請求項に対しても、なお無効理由が残るかを再構成、残らなければ攻め筋を変えるか取下げを検討4. 訂正で相手が自社製品を権利範囲から外したなら、並行する侵害訴訟への波及を確認
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はないが、訂正請求は指定された期間内に限り可能。答弁書提出期間(134条1項・2項)、訂正拒絶理由通知への意見書提出期間(153条2項)、審決の予告後の指定期間(164条の2第2項)が主な機会。この指定期間を逃すと原則として訂正請求はできない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:134条の2の訂正の請求は、四目的(減縮・誤記訂正・釈明・引用関係解消)に該当し、新規事項の追加や実質的な権利範囲の拡張・変更に当たらない場合に限り認められる(126条準用)。減縮は先行技術を回避しつつ自社実施品はカバーするという二律を同時に満たす作業と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正(要検証) 特許無効審判における訂正の請求について、請求項ごとの訂正請求、一群の請求項という単位、及び審決の予告(164条の2)に連動した訂正機会の整理が導入されたとされる。条文の沿革と改正回数の正確な確定には人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 改正:特許異議・無効審判制度の整備のなかで、無効審判係属中に権利者が明細書等を訂正する『訂正の請求』の枠組みが整えられたとされる(沿革の正確な確定には人的検証が必要)
- 2.平成23年(2011年) 改正:請求項ごとの訂正請求・一群の請求項という単位、及び審決の予告(164条の2)に連動した訂正機会の付与が整理されたとされる。条文の沿革と改正回数の正確な確定には人的検証が必要
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