特許法 第164条の2(特許無効審判における特則)
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- 審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。
- 2.審判長は、前項の審決の予告をするときは、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。
- 3.第百五十七条第二項の規定は、第一項の審決の予告に準用する。
この条文の基本情報
特許無効審判における特則とは何ですか?
定義特許無効審判における特則とは、特許法第164条の2に定められた規定で、「審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第164条の2(特許無効審判における特則)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第164条の2の条文原文は「審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加…」で始まります。
- 特許法第164条の2は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第164条の2の前の条は特許法第164条です。
- 特許法第164条の2の次の条は特許法第165条です。
- 特許法第164条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第164条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第164条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/164_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法164条の2は、特許無効審判で無効の心証が固まったとき、審決をする前に「審決の予告」を通知し、特許権者に訂正請求のための相当の期間を与える制度を定める。
Q · 特許無効審判で「審決の予告」が届いたら、特許権者は何ができるの?
審決前に予告され、訂正請求の相当の期間が与えられます
特許法164条の2により、審判長は特許無効審判で「請求に理由がある(無効にすべき)」と認めたとき等に、最終的な審決をする前に「審決の予告」を当事者・参加人に通知しなければなりません(1項)。そして予告と同時に、被請求人(特許権者)へ明細書・特許請求の範囲・図面を訂正するための相当の期間が指定されます(2項)。これにより特許権者はクレームを狭めて無効理由を回避する最後のチャンスを得ます。予告は実質的に一度きりで、この期間を逃すと本審決が出て訂正の機会は失われます。
解説
あなたの会社が長年かけて取得した特許に、ある日ライバル企業から「無効審判」を起こされた。特許庁の審判で「この特許は無効」と結論が出れば、その権利は最初から無かったことになる。だが特許法164条の2は、その崖っぷちで一度だけ救いの手を差し伸べる。審判長は、特許を無効にする方向で結論が固まったとき、いきなり審決を出すのではなく、まず「審決の予告」を当事者と参加人に通知しなければならない。そして予告と同時に、特許権者には特許請求の範囲などを「訂正」するための相当の期間が与えられる。つまり、クレームを狭めて無効理由を回避する最後のチャンスが、本物の審決が出る前に一度だけ開く。この一手を知っているかどうかで、潰れるはずの特許が生き残ることがある。
法的な位置づけ
審決の予告とは、特許無効審判において審判長が請求に理由があると認めたとき等に、最終的な審決をする前に当事者および参加人へその旨を通知する制度をいう。特許法164条の2に基づき、予告と同時に被請求人へ明細書・特許請求の範囲・図面の訂正を請求するための相当の期間が指定される。無効審決後の訂正審判の繰り返しによる手続の往復(キャッチボール現象)を防ぐために平成23年改正で導入された手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.無効審判の通知時点で最悪シナリオを想定し訂正案を準備(特許権者) 無効審判を起こされた時点で、無効方向の結論を想定し、主張されている全ての無効理由を回避しつつ自社製品をカバーし続ける訂正案を弁理士と先に設計しておく
- 2.審決の予告の到達を確認する 審判長が請求に理由があると認めたとき等に審決の予告が当事者・参加人へ通知される(164条の2第1項)。予告の到達は無効の心証が固まった合図であり、ここから相当の期間が起算される
- 3.指定された相当の期間内に訂正請求を行う(特許権者) 予告と同時に指定される相当の期間内に、明細書・特許請求の範囲・図面の訂正を請求する(164条の2第2項、134条の2)。これが事実上一度きりの防御カードであり、期間を過ぎると本審決が出て訂正の機会を失う
- 4.訂正後のクレームを再検討し意見を出す(請求人) 被請求人の訂正請求が出たら、訂正後のクレームでもなお無効か、新たな無効理由がないかを直ちに検討し意見書を提出する。訂正で権利範囲が狭まれば自社製品が非抵触になる可能性も製品設計と突き合わせる
- 5.本審決を受領し、不服なら知財高裁へ出訴 訂正を踏まえた審理続行の後に本当の審決が出る(157条等)。審決に不服があれば、審決謄本送達日から所定期間内に知的財産高等裁判所へ審決取消訴訟を提起する(178条)
よくある質問 AI による整理
Q1審決の予告とは何ですか?
特許無効審判で審判長が無効にすべきと認めたとき等に、最終的な審決をする前に当事者・参加人へ通知する制度です。特許法164条の2が根拠で、特許権者には訂正請求の機会が与えられます。
Q2特許無効審判で訂正請求はいつできますか?
審決の予告を受けた被請求人は、審判長が指定する相当の期間内に明細書・特許請求の範囲・図面の訂正を請求できます(164条の2第2項、134条の2)。
Q3審決の予告が届いたら何日以内に訂正すればいいですか?
法定の固定日数はなく、審判長が事件ごとに指定する「相当の期間」内です。実務上は一定の日数が指定されるため、予告到達時点が起算点になります。
Q4キャッチボール現象とは何ですか?
旧法下で無効審決後に訂正審判が繰り返され、事件が特許庁と知財高裁を何度も往復した現象です。164条の2はこれを審判段階に前倒しして解消しました。
Q5無効審判の請求人は審決の予告で意見を言えますか?
被請求人が訂正請求をした場合、その訂正を踏まえて審理が続行され、請求人は訂正後のクレームでもなお無効か等について意見を述べる機会があります。
Q6訂正請求で特許はどこまで狭められますか?
訂正は特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明等に限られます。新規事項の追加や実質的な拡張・変更はできません。
Q7審決の予告と最終的な審決はどう違いますか?
予告は無効の心証を示し訂正の機会を与える中間的通知で、それ自体に出訴できません。最終的な審決が出てはじめて知財高裁への出訴が可能になります(178条)。
Q8審決の予告は無効審判を起こした側に不利ですか?
予告後に相手がクレームを狭めて無効理由をかわせるため、攻撃は仕切り直しになり得ます。請求人は最初から複数かつ広い無効理由を主張しておくことが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審決の予告って、無効審判なら必ず出るんですか?
必ずではない。審決の予告が出るのは、審判長が「請求に理由がある」(特許を無効にすべき)と認めたとき、その他経済産業省令で定めるときに限られる(164条の2第1項)。特許が維持される方向の事件では出ない。実務のポイント:予告が届いた時点で、あなたの特許はほぼ無効の心証を持たれていると読むべきだ。猶予と楽観するのではなく、訂正で全ての無効理由を一気に消す最後の機会と捉えて動いた特許権者だけが生き残る
Q2予告のあとに訂正したのに、また無効と言われることはありますか?
ある。予告後の指定期間内に訂正請求をすると、その訂正を踏まえて審理が続行され、最終的に本当の審決が出る(134条の2、157条)。訂正で無効理由が解消されなければ、そのまま無効審決になる。実務のポイント:審決の予告は原則として一度きり。だから予告後の訂正は、一つの理由だけを潰すのではなく、主張されている全ての無効理由を同時に回避する設計でなければ、結局本審決で無効にされる。一発勝負と心得る
間違えやすい点 AI による整理
- 無効審判で勝てば特許は消える、と請求人は思い込む。だが特許庁から見れば、無効が固まった時点こそ特許権者に訂正の機会を与える瞬間だ。あなたが仕留めたと思ったその瞬間、相手にはクレームを狭めて生き延びる扉が開く。この視点の落差を知らないと、勝訴目前で梯子を外される
- 審決の予告があること自体は知っていても、予告と同時に指定される「相当の期間」が、訂正できる事実上一度きりのタイムリミットだと理解している人は少ない。この期間を逃すと次は本物の審決が出て、訂正のチャンスは実質的に失われる。予告は親切ではなく、最後通告に近い
- 「審決の予告は無効審判なら必ず出る」と思われがちだが、予告が出るのは審判長が請求に理由がある(無効にすべき)と認めたとき等に限られる(164条の2第1項)。特許が維持される方向の事件では予告は出ない。予告が来た時点で、あなたの特許は無効の崖に立っている合図だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 通知の性質 | 164条の2:審決の予告(無効の心証を示す中間通知) | 123条:特許無効審判の請求(手続の起点) 157条:審決(手続を終結させる最終判断) |
| 効果 | 被請求人に訂正請求の相当の期間が与えられる | 審判手続が開始し審理が進行する 確定すれば一事不再理、出訴の対象となる |
| 出訴の可否 | 予告自体に出訴不可(中間的通知) | 請求段階では出訴の対象でない 審決に対し知財高裁へ出訴可(178条) |
| 訂正請求の根拠 | 164条の2第2項が訂正の期間を指定 | 134条の2:審判係属中の訂正請求の本体規定 157条第2項:審決の方式(本条に準用) |
他国ではどう定めているか 3 か国
韓国も無効審判の係属中に特許権者が訂正請求を行える制度を有し、訂正により無効理由の回避を図る運用が日本と類似する。
連邦特許裁判所(BPatG)の無効訴訟で、口頭弁論前に裁判所が争点について予備的見解(qualifizierter Hinweis)を示す制度があり、当事者に対応の機会を与える点で機能的に類似する。
米国の当事者系レビュー(IPR)では、特許権者が手続中に訂正の申立て(motion to amend)によりクレームを補正できる。無効攻撃の過程で訂正機会を与える点が共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの主力製品を支える特許に、競合から無効審判が起こされたら? 審理が進んで無効の心証が固まると、ある日「審決の予告」が届く。そこから訂正請求までの限られた期間が、その特許の生死を分ける
- あなたがライバルの特許を無効にしようと審判を起こした。手応えは十分、無効はもう確実だと思った矢先、特許庁が相手に審決の予告を送り、訂正の期間を与えた。相手はクレームを狭めて無効理由をかわしにくる。あなたの攻撃は仕切り直しになる
- 審決の予告が届いた。訂正請求の指定期間はあと数十日。クレームをどこまで狭めれば無効理由を回避でき、かつ自社製品をカバーし続けられるか。その設計に残された時間は、思っているより驚くほど短い
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが無効を求める請求人(相手の特許に事業を阻まれている側)の場合:1. 無効理由は最初から複数かつ広く構成する。予告後に相手が訂正で一つの理由をかわしても、別の理由で潰せる布陣を組む2. 審決の予告が出た = 特許庁が無効の心証を持った合図、ここで気を緩めない3. 相手の訂正請求が出たら、訂正後のクレームでもなお無効か、新たな無効理由がないかを直ちに検討し意見を出す4. 訂正で権利が狭まれば、自社製品がもう抵触しない可能性もある、その範囲を製品設計と突き合わせる
訴えられた側:あなたが被請求人(特許権者)の場合:1. 無効審判を起こされた時点で、最悪のシナリオ(無効方向)を想定し訂正案を先に準備しておく2. 審決の予告が届いたら、指定された相当の期間内に訂正請求を行う、ここが事実上の一発勝負3. 訂正は一つの無効理由だけでなく、主張されている全ての無効理由を同時に回避し、かつ自社製品をカバーし続ける範囲に設計する4. 期間内に動かなければ本審決が出て訂正の機会は失われる、弁理士と即着手
時効(請求できる期限):訂正請求のための期間は、審判長が事件ごとに指定する「相当の期間」であり、法定の固定日数はない(164条の2第2項)。実務上は一定の日数が指定されるため、予告到達時点が起算点。この期間を過ぎると訂正の機会は事実上失われる(最新の運用は審判便覧等で確認すること)
学説
通説:164条の2の審決の予告は、無効審決後に訂正審判が乱発され事件が往復する『キャッチボール現象』を解消するため、無効の心証が固まった段階で訂正の機会を審判手続内に前倒しして組み込んだ制度であると理解されている。特許権者の手続保障と紛争の一回的解決の両立を図る規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 本条を新設、平成24年(2012年)4月1日施行。無効審決後に訂正審判が繰り返され、事件が特許庁と知財高裁を往復する「キャッチボール現象」を解消するため、無効の心証が固まった段階で訂正機会を与える「審決の予告」制度を導入した
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:特許法等の一部改正により本条を新設、平成24年(2012年)4月1日施行。無効審決後に訂正審判が繰り返される手続往復(キャッチボール現象)を解消するため、無効の心証が固まった段階で訂正機会を与える『審決の予告』制度を導入した。
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