要点特許法 33 条は、特許を受ける権利を移転可能な財産権と定めるが、質権の目的にはできず、共有の場合の持分譲渡や仮実施権の設定には他の共有者全員の同意が必要となる。
Q · 特許になる前の発明も売れるって本当?共同研究だと何が変わるの?
売れるが、共有なら他の共有者全員の同意が要る
特許法 33 条 1 項により、特許を受ける権利は出願前でも譲渡できる財産権です。ただし同条 2 項でこの権利は質権の目的にできず、3 項では共有の場合に各共有者が他の共有者全員の同意なしに持分を譲渡できないと定めます。さらに 4 項により、共有の権利に基づく仮専用実施権の設定や仮通常実施権の許諾にも全員の同意が必要です。共同研究で権利が共有になった瞬間、一人の反対で譲渡も許諾も止まる点に注意が必要です。
特許になる前の発明にも、すでに値段がつく。特許法33条が認める「特許を受ける権利」は、出願前でも出願中でも他人に売り渡せる財産だ。スタートアップが投資家にこの権利ごと譲渡して資金を得る、というのは日常的に行われている。だが同じ条文が二つの落とし穴を仕掛けている。第一に、この権利は質権の目的にできない(2項)。つまり銀行から融資を受けるとき、まだ特許になっていない発明を担保に差し入れることはできない。第二に、大学や他社と共同研究して権利が共有になった瞬間、あなたは自分の持分すら他の共有者の同意なしには売れなくなる(3項)。さらに第三者へ実施を許諾する仮の権利の設定も、共有者全員の同意が要る(4項)。一人が首を縦に振らなければ、事業化そのものが凍りつく。共同研究の契約書にサインする前に、この一文の重みを知っているかどうかで、数年後のあなたの選択肢が決まる。
特許法 33 条は特許を受ける権利の性質と処分を定める規定であり、出願の前後を問わず移転可能な財産権としつつ、これを質権の目的とすることを禁じ、共有に係る場合の持分譲渡および仮専用実施権・仮通常実施権の設定・許諾には他の共有者全員の同意を要求する。
発明の完成により発生し、その発明について特許出願をして特許権の付与を受けられる法律上の地位です。特許法 33 条 1 項で移転可能な財産権とされ、出願前でも譲渡できます。
原則は発明した従業者に発生しますが、勤務規則等であらかじめ定めれば発生時から会社に帰属させることができます(特許法 35 条)。会社は相当の利益を支払う義務を負います。
出願前の承継は、先に特許出願をした者が第三者に優先します(特許法 34 条 1 項)。契約が先でも出願が遅れれば負けるため、譲り受けたら即出願が鉄則です。
出願後に権利を承継した場合、特許庁長官への名義変更の届出をしなければ第三者に対抗できません(特許法 34 条 4 項)。届出が権利移転を主張する条件になります。
仮専用実施権は出願段階で独占的に実施できる権利、仮通常実施権は非独占的に実施できる権利です。いずれも特許登録後に専用・通常実施権へ移行します(34 条の 2・34 条の 3)。
各共有者が自ら実施すること自体は原則自由です。制限されるのは持分の譲渡(3 項)や第三者への仮実施権の設定・許諾(4 項)であり、これらは全員の同意が必要です。
できます。特許を受ける権利は質権不可(33 条 2 項)ですが、特許権として登録されれば特許法 95 条により特許権に質権を設定できます。担保化は登録後が起点です。
原則として新規性を失い、特許を受けられなくなるため権利の価値が失われます。公開から一定期間内の新規性喪失の例外救済(30 条)はありますが限定的です。
できます。特許法33条1項の「特許を受ける権利」は、出願前でも譲渡可能な財産権です。出願前の譲渡は当事者間の合意で効力が生じますが、第三者に対抗するには出願後の名義変更の届出(34条関連)が必要です。業界裏話ヒント:出願前の二重譲渡では、先に出願した側が勝ちます(34条1項)。だから権利を買ったらすぐ自分名義で出願する、これが鉄則。契約書だけ握って出願を後回しにすると、売り主が別の相手にも売って先に出願した瞬間、あなたの権利は消えます
売れません。33条3項により、共有持分の譲渡には他の共有者全員の同意が必要です。これは特許が誰と組むかによって価値も実施能力も変わるため、見知らぬ第三者を勝手に共有関係へ引き込ませない趣旨です。業界裏話ヒント:この同意 veto は契約で事前に外せます。共同研究契約に「各当事者は持分の譲渡・第三者への実施許諾について包括的に同意する」と入れておけば3項4項の縛りを緩められる。逆にこの条項がない契約書にサインすると、関係が壊れた瞬間にデッドロックになります
特許を受ける権利そのものには質権を設定できません(33条2項)。出願中の段階では担保化の道は限られます。ただし特許権として登録された後は、特許権に質権を設定できます(特許法95条)。業界裏話ヒント:出願段階で資金を作るなら、質権ではなく仮専用実施権の設定(34条の2)が使えます。これは登録すれば独占的な実施権を投資家やパートナーに与えられ、事実上の担保的機能を果たします。融資を断られたからと諦める前に、この仮実施権スキームを金融機関や投資家に提案する価値があります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる段階 | 33 条:特許を受ける権利(出願前〜特許登録前) | — |
| 質権の可否 | 質権の目的にできない(33 条 2 項) | — |
| 共有持分の譲渡 | 他の共有者全員の同意が必要(33 条 3 項) | — |
| 第三者への実施許諾 | 仮専用・仮通常実施権の設定・許諾に全員同意(4 項) | — |
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