特許法 第32条(特許を受けることができない発明)
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公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
この条文の基本情報
特許を受けることができない発明とは何ですか?
定義特許を受けることができない発明とは、特許法第32条に定められた規定で、「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第32条(特許を受けることができない発明)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第32条の条文原文は「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。」で始まります。
- 特許法第32条は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第32条の前の条は特許法第31条です。
- 特許法第32条の次の条は特許法第33条です。
- 特許法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第32条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/32
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法32条は、公序良俗又は公衆衛生を害するおそれがある発明を不特許とする規定。ただし実際に排除されるのは、偽造専用機のように本来の目的が反社会的な発明にほぼ限られる。
Q · ちょっときわどい発明を思いついたけど、特許法32条の「公序良俗違反」で門前払いされませんか?
きわどくても正当な用途があれば原則取れる
特許法32条は、公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがある発明を不特許としますが、審査基準上その射程は極めて狭く、発明の本来の目的そのものが反社会的な場合(偽造専用機など)にほぼ限られます。アダルト製品やパチンコ・パチスロの機構は多数が登録済みで、正当な用途が併存する道具(セキュリティ診断ツール等)も原則として対象外です。本当に立ちはだかるのは32条ではなく、第29条の新規性・進歩性の壁のほうです。
解説
あなたが少しきわどい商品を発明したとする。大人向けのグッズ、ギャンブル機の新しい機構、鍵開けの練習器具。「こんなもの、特許庁に出したら公序良俗違反で門前払いだろう」と、出願する前に諦める人は多い。だが特許法32条が本当に蹴る範囲は、そこではない。条文は「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明」は特許を受けられないと定める。一見、網は広い。しかし特許庁の審査基準では、この門が閉じるのは「発明の本来の目的そのものが反社会的な場合」にほぼ限られる。偽札を作るためだけの機械、人を殺すためだけの道具。それ以外、つまり使い方次第で正当にも使える発明は、ほとんど通る。あなたが想像しているより、この関所はずっと狭い。恐れる相手を間違えると、価値ある発明を自分の手で捨てることになる。
法的な位置づけ
特許法32条は不特許事由を定める規定であり、公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第29条の特許要件を充足していても特許を受けられない旨を規定する。新規性・進歩性を定める積極的要件(29条)に対する消極的要件として機能し、審査基準上その適用範囲は発明の本来の目的が反社会的な場合に限定される。
よくある質問 AI による整理
Q1特許法32条とは何ですか?
公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがある発明は、第29条の要件を満たしても特許を受けられないと定める不特許事由の規定です。
Q2公序良俗違反の発明とは具体的にどんなもの?
偽造紙幣の印刷機や殺傷専用の装置など、発明の本来の目的そのものが反社会的なものです。正当な用途が併存する発明はほぼ含まれません。
Q3特許が拒絶される主な理由は何ですか?
実務上は新規性・進歩性(29条)や記載要件の不備が大半です。32条の公序良俗を理由とする拒絶は全体のごく一部にすぎません。
Q4大麻由来の医薬品は特許を取れますか?
発明として特許は取り得ますが、製造・販売には大麻取締法や薬機法の許認可が別途必要です。特許は実施を保証しません。
Q5特許法32条を理由に特許が無効になることはありますか?
理論上は無効審判(123条)の対象ですが、32条を理由とする無効認容例はほぼ皆無です。無効を狙うなら29条で攻めるのが定石です。
Q6実用新案や意匠にも公序良俗の制限はありますか?
あります。実用新案法4条、意匠法5条に平行する不登録事由が置かれ、公序良俗違反の考案・意匠は登録を受けられません。
Q7発明が公序良俗違反かどうかは誰が判断しますか?
出願段階では特許庁の審査官が審査基準に沿って判断します。争いがあれば審判、最終的には裁判所(知財高裁・最高裁)で判断されます。
Q832条で拒絶理由通知が来たらどうすればいいですか?
指定期間内に意見書・補正書を提出し、クレームの用途を正当な方向に限定します。犯罪専用品ではないと明細書で論証すれば覆せることが多いです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1アダルトグッズって、そもそも特許取れるんですか?
取れます。アダルト関連製品は実際に多数が特許・実用新案として登録されています。32条が「善良の風俗を害する」として排除するのは、発明の本来の目的そのものが反社会的な場合に限られ、性的な製品というだけでは該当しません。実務のポイント:審査の現場で32条が実際に発動するのは年間でごくわずか。発明者が自主規制で出願を諦めているケースのほうが圧倒的に多く、その多くは出していれば通っていた
Q2悪用すれば犯罪に使えそうな道具でも、特許は取れますか?
正当な用途が併存するなら、原則として取れます。32条が排除するのは「その用途以外に使い道がない」発明、たとえば偽造専用機のような類型だけです。セキュリティ診断ツールや解錠技術は、正当な使い道がある限り対象外。実務のポイント:審査基準は『発明の本来の目的』で判断するので、クレームと明細書で用途を正当に方向づけるかどうかが分水嶺になる。同じ技術でも書き方一つで結論が変わる
Q332条をクリアして特許が取れたら、その商品を売っていいということですよね?
違います。特許権は他人の実施を排除する権利であって、自分が実施してよいという許可ではありません。大麻由来成分なら大麻取締法、医薬品なら薬機法の承認が別途必要で、特許があっても無許可では売れません。実務のポイント:先端分野のスタートアップが見落とすのがここ。特許を取った安心感で事業化に走り、実施を規制する専門法の壁に後からぶつかる。出願と並行して実施可能性を別法で確認するのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「エロ系・ギャンブル系の発明は特許が取れない」と思い込まれているが、実際には大量に登録されている。アダルト製品もパチンコ・パチスロの機構も、新規性と進歩性さえあれば特許になる。32条が現実に発動する場面は、発明全体のごくわずかだ
- 32条の存在は知っていても、その射程がどれほど狭いかを知らない人が多い。審査基準では、排除されるのは「発明の本来の用途が反社会的なもの」に絞られる。偽造紙幣の印刷機、人を殺傷する目的だけの装置、その水準。少しでも正当な使い道があれば、この網はかからない
- 「公序良俗に反するか」は発明の中身で判断されると思われがちだが、見られているのは『発明の本来の目的・用途』のほうだ。だから同じ技術でも、クレームで用途を正当な方向に書けば通り、犯罪用途を明示すれば蹴られる。問いの立て方そのものがずれていると、対策を間違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 要件の性質 | 特許法32条:消極的要件(不特許事由) | 特許法29条:積極的要件(新規性・進歩性) 特許法49条:拒絶査定の事由(手続的根拠) |
| 判断の対象 | 発明の本来の目的・用途が反社会的か | 発明が新しく容易に想到できないか 32条・29条等の実体要件違反があるか |
| 実務での発動頻度 | 極めて低い(年間ごくわずか) | 拒絶理由の大半を占める 実体要件違反の受け皿として頻出 |
他国ではどう定めているか 4 か国
妨害公共秩序又は善良風俗の発明を不予発明専利とする。日本32条と同じく消極的要件として機能する
公序良俗・公衆衛生を害するおそれがある発明を不特許とする。条番号まで日本と一致し、継受関係を強く示す
商業的利用が公序良俗に反する発明を不特許とする。EU バイオテック指令98/44/EC を国内法化した詳細な除外類型を伴う
明文の公序良俗除外はなく、かつての moral utility 原則も判例上ほぼ廃止。特許適格性は実用性・自然法則等の枠組みで判断される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- アダルトグッズの新しい機構を思いついた。出願したら審査官に「善良の風俗を害する」と蹴られるのでは、と二の足を踏んでいる。実際にはアダルト関連製品は数多く特許登録されている。怖いのは32条ではなく、その機構が本当に新規か(29条)のほうだ
- もし、あなたの発明が「悪用すれば犯罪に使える」道具だったら、特許は取れるのか。たとえばセキュリティ診断ツール、解錠技術、ドローンの新制御方式。答えは、正当な用途が併存するなら原則として取れる。32条が排除するのは「犯罪にしか使えない」発明だけだ
- あなたが競合他社の特許を潰したい。無効審判で「あの発明は公序良俗違反だ」と主張しようと考えている。やめたほうがいい。32条を理由にした無効はほぼ通らない。29条の新規性・進歩性で攻めるのが筋だ
- 大麻由来の医薬成分でスタートアップを立ち上げ、製法を特許化したい。あと数週間で出願期限。ここで知るべきは、特許が取れることと、その製品を日本で製造・販売できることは別問題だという点。特許は実施を保証しない
- 友人が「人クローンの作製方法を思いついた、特許で大儲けだ」と相談してきた。あなたはこう答えられる。それは32条以前に、クローン技術規制法という別の法律で実施自体が禁じられている、と
取るべき行動
被害を受けた側:1. 32条を理由とする拒絶理由通知が届いたら、まず審査官が「発明のどの用途」を反社会的と見たかを特定する2. 指定期間(原則60日、在外者は3か月)内に、クレームの用途・目的を正当な方向に限定する補正書と、審査基準の狭い運用を根拠にした意見書を提出する3. 多目的に使える発明であることを明細書で具体的に示し、犯罪専用品ではないと論証する4. それでも維持されたら拒絶査定不服審判(特許法121条)へ進む選択肢を弁理士と検討する
訴えられた側:1. あなたの特許に第三者が32条を理由に無効審判(特許法123条)を仕掛けてきた場合、まず審査基準の極めて限定的な運用を盾にする2. 当該発明に正当な用途が一つでも存在することを、明細書と実施例で立証する3. 32条による無効認容例がほぼ皆無である実務の実情を、答弁書で具体的に指摘する4. 相手の真の狙いが29条など別事由にある場合も多いので、無効理由の全体を弁理士と精査し、本丸を見誤らない
時効(請求できる期限):拒絶理由通知への応答は指定期間内(原則60日、在外者は3か月)に意見書・補正書を提出。これを徒過すると拒絶査定となる。特許無効審判(特許法123条)には請求期間の制限はなく、特許権の消滅後でも請求できる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(審査基準準拠説):特許法32条の公序良俗違反は、発明の本来の目的・用途が反社会的な場合に限って認められ、単に悪用の可能性があるだけでは該当しないと解する。これにより技術振興という法目的への萎縮効果を最小化し、倫理的歯止めを維持する二段構えの均衡を図る。
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