公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
要点特許法 32 条は、公序良俗又は公衆衛生を害するおそれがある発明を不特許とする規定。ただし実際に排除されるのは、偽造専用機のように本来の目的が反社会的な発明にほぼ限られる。
Q · ちょっときわどい発明を思いついたけど、特許法 32 条の「公序良俗違反」で門前払いされませんか?
きわどくても正当な用途があれば原則取れる
特許法 32 条は、公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがある発明を不特許としますが、審査基準上その射程は極めて狭く、発明の本来の目的そのものが反社会的な場合(偽造専用機など)にほぼ限られます。アダルト製品やパチンコ・パチスロの機構は多数が登録済みで、正当な用途が併存する道具(セキュリティ診断ツール等)も原則として対象外です。本当に立ちはだかるのは 32 条ではなく、第 29 条の新規性・進歩性の壁のほうです。
あなたが少しきわどい商品を発明したとする。大人向けのグッズ、ギャンブル機の新しい機構、鍵開けの練習器具。「こんなもの、特許庁に出したら公序良俗違反で門前払いだろう」と、出願する前に諦める人は多い。だが特許法32条が本当に蹴る範囲は、そこではない。条文は「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明」は特許を受けられないと定める。一見、網は広い。しかし特許庁の審査基準では、この門が閉じるのは「発明の本来の目的そのものが反社会的な場合」にほぼ限られる。偽札を作るためだけの機械、人を殺すためだけの道具。それ以外、つまり使い方次第で正当にも使える発明は、ほとんど通る。あなたが想像しているより、この関所はずっと狭い。恐れる相手を間違えると、価値ある発明を自分の手で捨てることになる。
特許法 32 条は不特許事由を定める規定であり、公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第 29 条の特許要件を充足していても特許を受けられない旨を規定する。新規性・進歩性を定める積極的要件(29 条)に対する消極的要件として機能し、審査基準上その適用範囲は発明の本来の目的が反社会的な場合に限定される。
公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがある発明は、第 29 条の要件を満たしても特許を受けられないと定める不特許事由の規定です。
偽造紙幣の印刷機や殺傷専用の装置など、発明の本来の目的そのものが反社会的なものです。正当な用途が併存する発明はほぼ含まれません。
実務上は新規性・進歩性(29 条)や記載要件の不備が大半です。32 条の公序良俗を理由とする拒絶は全体のごく一部にすぎません。
発明として特許は取り得ますが、製造・販売には大麻取締法や薬機法の許認可が別途必要です。特許は実施を保証しません。
理論上は無効審判(123 条)の対象ですが、32 条を理由とする無効認容例はほぼ皆無です。無効を狙うなら 29 条で攻めるのが定石です。
あります。実用新案法 4 条、意匠法 5 条に平行する不登録事由が置かれ、公序良俗違反の考案・意匠は登録を受けられません。
出願段階では特許庁の審査官が審査基準に沿って判断します。争いがあれば審判、最終的には裁判所(知財高裁・最高裁)で判断されます。
指定期間内に意見書・補正書を提出し、クレームの用途を正当な方向に限定します。犯罪専用品ではないと明細書で論証すれば覆せることが多いです。
取れます。アダルト関連製品は実際に多数が特許・実用新案として登録されています。32条が「善良の風俗を害する」として排除するのは、発明の本来の目的そのものが反社会的な場合に限られ、性的な製品というだけでは該当しません。業界裏話ヒント:審査の現場で32条が実際に発動するのは年間でごくわずか。発明者が自主規制で出願を諦めているケースのほうが圧倒的に多く、その多くは出していれば通っていた
正当な用途が併存するなら、原則として取れます。32条が排除するのは「その用途以外に使い道がない」発明、たとえば偽造専用機のような類型だけです。セキュリティ診断ツールや解錠技術は、正当な使い道がある限り対象外。業界裏話ヒント:審査基準は『発明の本来の目的』で判断するので、クレームと明細書で用途を正当に方向づけるかどうかが分水嶺になる。同じ技術でも書き方一つで結論が変わる
違います。特許権は他人の実施を排除する権利であって、自分が実施してよいという許可ではありません。大麻由来成分なら大麻取締法、医薬品なら薬機法の承認が別途必要で、特許があっても無許可では売れません。業界裏話ヒント:先端分野のスタートアップが見落とすのがここ。特許を取った安心感で事業化に走り、実施を規制する専門法の壁に後からぶつかる。出願と並行して実施可能性を別法で確認するのが鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 要件の性質 | 特許法 32 条:消極的要件(不特許事由) | — |
| 判断の対象 | 発明の本来の目的・用途が反社会的か | — |
| 実務での発動頻度 | 極めて低い(年間ごくわずか) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。