要点特許法 35 条は、従業者の職務発明について会社に通常実施権を認めつつ、権利を会社に渡した従業者に『相当の利益』請求権を保障する。決め方が不合理なら裁判所が対価を算定し直す。
Q · 会社で発明した特許は誰のもの?報奨金しかもらえないの?
会社のものになるが、相当の利益を請求できる
特許法 35 条により、職務発明について契約・勤務規則で特許を受ける権利を会社に取得させた従業者等は、『相当の利益』を受ける権利を有します(4 項)。規程の対価が低くても、その決め方(協議・開示・意見聴取の状況)が 5 項で不合理と認められれば規程は効力を失い、裁判所が会社の得る利益額等を考慮して算定し直します(7 項)。書かれた額は上限ではなく、あくまで一つの提案にすぎません。
青色 LED を発明した技術者が、勤務先に対し発明の対価として 200 億円の支払いを命じられる判決を勝ち取った。2004 年の東京地裁判決だ(控訴審で約 8 億 4 千万円の和解に落ち着いた)。会社員として何かを発明したとき、その特許は誰のものか。多くの人は「会社のものに決まっている」と思い込んでいる。特許法 35 条の構造はそれほど単純ではない。あなたの発明が職務発明なら、会社は自動で通常実施権(無償で自社が使える権利)を得る。だが特許を受ける権利まで会社に渡す場合、あなたには『相当の利益』を受け取る権利が法律で保証される。2015 年改正で、この利益は金銭だけでなく昇進、ストックオプション、留学機会といった経済上の利益も含むよう広がった。さらに決定的なのは、会社の規程が一方的に低い対価を押し付けても、その決め方が『不合理』と認められれば、規程は効力を失い、裁判所が改めて相当額を算定するという点だ。あなたが署名した職務発明規程は、絶対のルールではない。
特許法 35 条は職務発明制度を定める規定であり、従業者等の職務発明について使用者等に通常実施権を認めつつ、契約・勤務規則等で特許を受ける権利を使用者等に取得させた場合に従業者等へ相当の利益請求権を保障する。相当の利益の決定は、その内容自体ではなく協議・開示・意見聴取という手続の合理性によって統制される点に特徴がある。
従業者の発明のうち、性質上会社の業務範囲に属し、かつ発明に至る行為が現在または過去の職務に属するものです(特許法 35 条 1 項)。勤務時間外や自宅での発明でも該当し得ます。
職務発明の権利を会社に渡した従業者が受け取れる金銭その他の経済上の利益です(35 条 4 項)。2015 年改正で昇進・ストックオプション・留学機会など金銭以外も含むと明確化されました。
一律の相場はありません。規程額があってもその決め方が不合理なら、35 条 7 項で会社が受けるべき利益額・負担・貢献等を考慮し裁判所が個別算定します。数万円から数億円まで事案により大きく異なります。
争えます。サインの有無ではなく、対価基準の策定時に協議・開示・意見聴取の手続があったか(35 条 5 項)が争点です。手続記録が無ければ不合理と認定され裁判所算定に道が開きます。
あります。相当の利益請求権は債権として消滅時効にかかります(民法 166 条、原則 5 年または 10 年)。起算点は規程上の支払時期とされます(最判平成 15.4.22 オリンパス事件)。
本業の業務範囲に属し職務に関連すれば職務発明になり得ます。逆に職務と無関係な自由発明を会社に予約させる規程条項は 35 条 2 項で無効です。
該当します。35 条 1 項の『従業者等』には国家公務員・地方公務員・法人の役員も含まれます。国立大学教員の研究成果も職務発明となり得ます。
相当の利益の定めが無い場合、35 条 7 項により裁判所が会社の得る利益額等を考慮して相当の利益を算定します。企業にとっては偶発債務となり資金調達時のリスク要因になります。
いいえ。特許法 35 条 4 項であなたに『相当の利益』を受ける権利が保証されています。規程の額が低くても、その決め方(協議・開示・意見聴取)が 35 条 5 項で不合理と認められれば規程は効力を失い、裁判所が会社の得た利益額をもとに算定し直します(7 項)。業界裏話ヒント:会社は「規程どおり払った」と言いますが、本当の争点は金額ではなく決め方の手続です。協議の議事録や意見聴取の記録が無い会社は、実は対価額をいくら払っていても非常に脆い
「職務に属する発明」かどうかで決まります(35 条 1 項)。勤務時間外でも自宅でも、その発明が会社の業務範囲に属し、あなたの現在または過去の職務に関連していれば職務発明です。逆に職務と無関係な自由発明を会社に予約させる規程条項は無効です(2 項)。業界裏話ヒント:多くの規程は「在職中の発明はすべて会社に帰属」と広く書きますが、職務と無関係な発明まで縛る条項は 2 項で無効になりうる。あなたの自由発明まで取られる義務はない
退職後でも請求できます。相当の利益請求権は債権で、消滅時効(民法 166 条、原則 5 年または 10 年)が完成するまで生きています。起算点は規程上の支払時期です(最判平成 15.4.22 オリンパス事件)。業界裏話ヒント:退職者は「もう関係ない」と諦めがちですが、会社がその特許で稼ぎ続けているなら、未払いの相当利益が数百万から数億になることもある。まず時効の起算点を弁護士と確認するのが先決
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律対象 | 35 条:職務発明の権利帰属と相当の利益 | — |
| 従業者の対価請求 | 相当の利益請求権あり(4 項)、不合理なら裁判所算定(7 項) | — |
| 権利帰属の仕組み | 規程等で特許を受ける権利を使用者に原始帰属可(3 項) | — |
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