特許法 第34条の5(仮通常実施権の対抗力)
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仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
この条文の基本情報
仮通常実施権の対抗力とは何ですか?
定義仮通常実施権の対抗力とは、特許法第34条の5に定められた規定で、「仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第34条の5(仮通常実施権の対抗力)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第34条の5の条文原文は「仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者…」で始まります。
- 特許法第34条の5は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第34条の5の前の条は特許法第34条の4です。
- 特許法第34条の5の次の条は特許法第35条です。
- 特許法第34条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第34条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第34条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/34_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法34条の4は、仮通常実施権が許諾後に特許を受ける権利や仮専用実施権を取得した者にも効力を有すると定める。登録がなくても後続の権利取得者に対抗できる。
Q · 出願中の特許技術を買ったら、他社が前にもらっていた使用許可も引き継いでしまうの?
はい。仮通常実施権は登録がなくても新たな権利取得者に対抗できます。
特許法34条の4により、仮通常実施権は、その許諾後に特許を受ける権利や仮専用実施権を取得した者に対しても効力を有します。登録は効力要件ではないため、出願段階で与えられた使用許可は、権利が第三者へ譲渡されても、仮専用実施権が新たに設定されても消えません。出願中の技術を買収・取得する側は、登記に現れない既存の仮通常実施権をそのまま引き継ぐことになるため、売主への開示請求と表明保証条項による自衛が実務上の要点となります。
解説
あなたの会社が、ある技術ベンチャーを買収しようとしている。狙いはそのベンチャーが出願中の特許、つまり「特許を受ける権利」だ。デューデリジェンスで権利関係を確認し、契約書にサインした。ところが買収後、見知らぬ第三者から「その出願技術、うちは前から使う許可をもらっている」と通知が来る。慌てて調べても、その許可はどこにも登録されていない。それでもあなたは、その第三者の使用を止められない。特許法34条の4が、仮通常実施権者(出願段階で使用許可を受けた者)を守るからだ。出願段階で与えられた使用許可は、その後に特許を受ける権利や仮専用実施権を取得した者、つまりあなたに対しても効力を持つ。登録という公示手段がなくても、許可は権利に貼り付いて移転先まで追いかけてくる。買ったのは権利だけではない、その権利に絡みついた他人の使用権ごと引き受けたことになる。
法的な位置づけ
特許法34条の4は仮通常実施権の対抗力を定める規定であり、仮通常実施権が、その許諾後に特許を受ける権利または仮専用実施権を取得した者に対しても効力を有する旨を規定する。登録を効力要件とせず、出願段階で許諾された実施権が後続の権利取得者を当然に拘束する仕組みを構成する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取得対象を「権利」だけでなく「権利に貼り付く実施権」まで棚卸し 出願中技術(特許を受ける権利・仮専用実施権)の取得を検討する段階で、登記・登録の確認だけで満足せず、売主に対し既存の仮通常実施権の全リストと許諾契約書の開示を要求する。仮通常実施権は登録に現れないため、開示請求でしか把握できない
- 2.表明保証(レプワラ)条項で開示外実施権を封じる 契約書に「開示リスト外の仮通常実施権は存在しない」旨を売主に表明保証させ、違反時の補償・価格調整を定める。クロージング前にこれを押さえれば、後から発覚した使用権の分を売主に負担させられる
- 3.発見された仮通常実施権を価格・独占戦略に反映 開示された仮通常実施権は登録がなくても排除できないため、その分だけ独占価値が目減りする前提で買収価格・ロイヤリティ評価を引き下げる。特に独占を狙って仮専用実施権を取得する場合は、先行する仮通常実施権に対抗できない点を織り込む
- 4.取得後に未開示の実施権が判明した場合の対応 取得後に未開示の仮通常実施権が判明しても、その実施権者本人の使用は止められない。対応は売主への契約違反責任(損害賠償・補償)の追及となる。並行して、対象出願が設定登録された後は仮通常実施権が通常実施権へ転換する点も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1仮通常実施権とは何ですか?
特許出願の段階で、出願人が第三者にその発明の実施を認める非独占的なライセンスです。特許成立後は通常実施権へ転換します(特許法34条の3・34条の4)。
Q2仮通常実施権と通常実施権の違いは?
通常実施権は特許権成立後のライセンス、仮通常実施権は特許出願中に許諾される段階的ライセンスです。特許が登録されると仮通常実施権は通常実施権とみなされます。
Q3仮通常実施権は登録しないと効力がありませんか?
いいえ。登録は効力要件ではありません。特許法34条の4により、登録がなくても後から権利を取得した者に対抗できる「当然対抗」の仕組みです。
Q4仮通常実施権と仮専用実施権はどう違いますか?
仮専用実施権は独占的、仮通常実施権は非独占的です。ただし先に許諾された仮通常実施権は、後の仮専用実施権者に対しても対抗できます(特許法34条の4)。
Q5特許を受ける権利を譲渡すると仮通常実施権はどうなりますか?
譲受人にそのまま引き継がれます。特許法34条の4により、仮通常実施権は権利の移転後も効力を失わず、新たな権利者を拘束します。
Q6仮通常実施権はいつ消滅しますか?
対象の特許出願が放棄・取下げ・却下されると消滅します。設定登録されれば通常実施権へ転換します。当事者の合意による解約も可能です。
Q7出願中特許の買収で何を確認すべきですか?
既存の仮通常実施権の全リストと許諾契約書の開示を売主に求めます。登録に現れないため、表明保証条項で開示外の実施権が存在しないと保証させます。
Q8仮通常実施権は特許法の何条に規定されていますか?
許諾の根拠は特許法34条の3、対抗力は34条の4に規定されています。特許成立後の通常実施権への転換も34条の3、仮専用実施権は34条の2です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登録もされていない使用許可なのに、なぜ私が縛られるんですか?
特許出願段階の仮通常実施権は、登録が効力要件ではないからです。特許法34条の4は、許諾後に特許を受ける権利や仮専用実施権を取得した者にも効力が及ぶと定めており、あなたが権利を買っても先行する使用権は消えません。実務のポイント:登録済みの専用実施権ばかり調べて安心する買主は多いですが、本当に怖いのは登録に現れない仮通常実施権です。売主への開示請求と表明保証条項でしか守れない
Q2出願中の技術を独占したいんですが、仮専用実施権を取れば完全に独占できますか?
完全ではありません。あなたが仮専用実施権を取得しても、それより前に許諾された仮通常実施権には対抗できず(特許法34条の4)、その既存ライセンシーは使い続けられます。独占したいなら、先行する仮通常実施権がないことを確認するのが先決です。実務のポイント:仮専用実施権の設定登録だけを急ぐ企業がありますが、先行ライセンスの有無調査を飛ばすと、登録しても穴あきの独占しか手に入らない
Q3仮通常実施権って、特許が取れたらどうなるんですか?
対象の特許出願が設定登録され特許権が発生すると、仮通常実施権者にはその特許権について通常実施権が許諾されたものとみなされ、地位が引き継がれます。出願段階の許可が宙に浮くことはありません。実務のポイント:この転換は自動的に起こるため、ライセンサー側は「特許になったら別途契約し直せる」と思っていると当てが外れます。仮通常実施権を許諾する時点で、特許化後の通常実施権まで含めて条件を設計しておくのが実務の鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「登録されていない使用権なら無視できる」という前提でデューデリを組む買主が多い。だが仮通常実施権は登録が効力要件ではない。あなたが立てるべき問いは「登録されているか」ではなく「許諾された事実があるか」だ。問いの立て方そのものが間違っていると、調査範囲を見誤る
- 仮通常実施権の存在は知っていても、その「しつこさ」を見くびっている人が多い。単に現権利者を縛るだけでなく、権利が何回転売されても、仮専用実施権が新たに設定されても、すべての取得者に効力が及ぶ。一度貼り付いたら剥がれない
- 「独占したいなら仮専用実施権を取れば安心」と思われがちだが、先に許諾された仮通常実施権には対抗できない。後から取った独占的地位は、先行する非独占ライセンスの前では不完全なものにとどまる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 34条の4:仮通常実施権(出願段階の非独占ライセンス) | 34条の2:仮専用実施権(出願段階の独占ライセンス) 99条:通常実施権(特許権成立後の非独占ライセンス) |
| 対抗要件 | 登録不要(当然対抗)で後続の権利取得者に効力 | 設定に登録が必要、専用実施権に準じる強い効力 登録不要(当然対抗)で特許権の取得者に効力 |
| 独占性 | 非独占(複数の実施権者が並存しうる) | 独占(設定範囲では出願人も実施できない) 非独占(複数の実施権者が並存しうる) |
| 特許成立後 | 通常実施権が許諾されたものとみなされる(34条の3) | 専用実施権が設定されたものとみなされる(34条の3) そのまま通常実施権として存続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は専利申請権の譲渡・授権を認めるが、授権の第三者対抗は原則として登記を要する点で、登録不要の日本の当然対抗とは構造が異なる。
韓国も通常実施権について登録なしで当然対抗を認める方向の改正を経ており、日本の当然対抗と機能的に近い。出願段階への拡張の有無は人的検証を要する。
ドイツは権利移転や後続ライセンスの付与が、先に第三者へ付与されたライセンスに影響しないと定める承継保護を持ち、日本の当然対抗の発想的源流にあたる。
米国は譲渡の記録制度を持つが、非独占ライセンスは契約として原則譲受人を拘束すると解される。制定法上の一律ルールではなく判例法理による点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 出願中の有望技術をまるごと買い取る契約を結んだ。だが売主が過去に複数社へ仮通常実施権をばらまいていた場合、その全部があなたに引き継がれる。独占して使えると思って高値を払ったのに、ふたを開ければ競合数社が同じ技術を堂々と使っている
- もし、あなたがライセンスを受けた出願技術が、ある日まったく別の会社へ譲渡されてしまったらどうなる? 新権利者から「契約は引き継いでいない、使うな」と言われても、34条の4があなたの使用を守る。あなたは新権利者に対しても仮通常実施権を主張できる
- 仮専用実施権を新たに取得して独占を狙った。だが先行する仮通常実施権者には勝てない。あなたの独占は最初から穴あきだった
- 買収のクロージングまであと7日。売主に仮通常実施権の開示を求めたが回答が曖昧なまま。ここで確認を怠れば、登録に現れない使用権を価格に織り込めず、買った後で初めて気付くことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仮通常実施権の許諾を受けた事実を示す証拠(契約書、許諾の合意メール、稟議書)を許諾時点から保全する2. 権利が第三者に譲渡された、または仮専用実施権が新設されたと分かったら、速やかに新権利者へ自社の仮通常実施権を書面で通知し、特許法34条の4に基づく対抗力を主張3. 新権利者が使用差止を求めてきたら、許諾の事実を立証して反論。登録の有無は要件ではない4. 対象出願が設定登録されたら仮通常実施権は通常実施権へ転換するため、転換後の地位も確認する
訴えられた側:1. 出願中の権利や仮専用実施権を取得する前に、売主へ既存の仮通常実施権の全リストと契約書の開示を要求2. 開示された使用権は登録に現れなくても排除できないため、その分を買収価格・ロイヤリティ評価に反映3. 表明保証条項で「開示外の仮通常実施権は存在しない」と売主に保証させ、違反時の補償を定める4. 取得後に未開示の使用権が判明したら売主への契約違反責任(損害賠償)を検討、ただし使用権者本人は止められない
時効(請求できる期限):仮通常実施権の対抗力自体に特定の時効はない。仮通常実施権は対象となる特許出願が設定登録された時点で通常実施権へ転換するため、それまでが効力の中心。権利取得者が売主に対して負う契約違反・損害賠償の請求は、民法166条の一般消滅時効(知った時から5年、または権利行使可能時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説・立法趣旨:平成20年改正は、出願段階のライセンシーの取引安全を保護するため、仮通常実施権について登録を効力要件としない当然対抗を採用した。これにより後続の権利取得者・仮専用実施権者に対しても効力が及び、出願段階の技術流通が促進されると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成20年(2008年)特許法改正 仮通常実施権・仮専用実施権の制度を新設し、特許出願段階でのライセンスを可能にした。その一環として、登録なしで後続の権利取得者に効力が及ぶ対抗力が定められた(平成21年施行)。これ以降の改正・条文移動の有無は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成20年(2008年) 新設:特許法改正(平成20年法律第16号)により仮通常実施権・仮専用実施権の制度を新設。特許出願段階でのライセンスを可能にし、その一環として登録なしで後続の権利取得者に効力が及ぶ対抗力を規定(平成21年施行)。以降の条文移動・改正の有無は人的検証を要する。
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