特許法 第11条(代理権の不消滅)
クイックジャンプ
手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。
この条文の基本情報
代理権の不消滅とは何ですか?
定義代理権の不消滅とは、特許法第11条に定められた規定で、「手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくは…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第11条(代理権の不消滅)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第11条の条文原文は「手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくは…」で始まります。
- 特許法第11条は第一章 総則に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第11条の前の条は特許法第10条です。
- 特許法第11条の次の条は特許法第12条です。
- 特許法第11条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第11条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第11条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法11条は、委任による代理人の代理権が本人の死亡や法人の合併消滅などによっても消滅しないと定め、期限が連続する特許手続の中断を防ぐ特則である。
Q · 特許の出願中に本人が亡くなったら、弁理士に頼んでいた手続は止まってしまうの?
止まりません。特許法11条で代理権は消滅しません。
特許法11条により、委任による代理人(弁理士)の代理権は、本人の死亡、本人である法人の合併消滅、受託者の信託任務の終了、法定代理人の変更などによっても消滅しません。民法111条では本人の死亡で代理権が消えるのが原則ですが、特許手続では拒絶理由通知への応答期限が連続するため、本人の事情で中断すると出願が失効しかねません。そこで代理権を存続させ、相続人や承継会社が落ち着いて出願人名義変更届を出せるようにしています。
解説
民法の世界では、本人が死ねば代理人の権限も消える(民法111条)。これが大原則だ。ところが特許の手続では話が逆になる。あなたが弁理士に出願を頼んでいる最中に亡くなっても、その代理権は消えない。法人なら合併で消滅しても、信託の受託者の任務が終わっても、未成年の発明者の法定代理人が代わっても、いったん特許庁に向けて動き出した代理権は止まらない。なぜこんな特別ルールがあるのか。特許の審査には拒絶理由通知への応答期限がびっしり並んでいて、本人の事情で手続が中断すると、せっかくの出願が期限切れで死ぬからだ。あなたの相続人や承継会社が事情を飲み込む前に、弁理士が手続を継続できる。出願人を守るための安全装置である。
法的な位置づけ
特許法11条は、委任による代理人の代理権の不消滅を定める規定であり、本人の死亡、本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託任務の終了、法定代理人の死亡・変更・消滅といった事由が生じても、特許手続上の代理権は消滅しない旨を規定する。民法111条・653条の一般原則に対する特許手続上の特則である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.本人の死亡・消滅でも慌てず代理権の存続を確認 出願中の本人(被相続人や前身会社)が死亡・合併消滅しても、特許法11条で弁理士の代理権は消滅せず手続は止まっていない。まず取下げなどの早まった判断をしない
- 2.代理人の弁理士へ連絡し応答期限を確認 直近の拒絶理由通知や補正指令など、応答期限の有無と残日数を弁理士に確認する。本人の死亡後も期限は走り続けるため、期限管理を最優先にする
- 3.出願人名義変更届を提出して権利者を承継 代理権の存続と名義承継は別手続なので、相続人または存続会社へ出願人名義を移すため出願人名義変更届を特許庁へ提出する。放置すると登録段階で権利者が宙に浮く
- 4.相続人が複数なら承継者を確定し共同出願人を整理 相続人が複数いる場合は、誰が特許を受ける権利を承継するかを遺産分割で確定させ、共同出願人として持分を整理する。確定しないと後の権利行使で揉める
よくある質問 AI による整理
Q1特許法11条とは何ですか?
委任による代理人の代理権が、本人の死亡・法人合併・信託任務終了・法定代理人の変更でも消滅しないと定める規定です。特許手続を止めないための特則です。
Q2弁理士の代理権はいつ消滅しますか?
本人(委任者)による解任、委任事務の終了、弁理士側の辞任などで消滅します。特許法11条により本人の死亡や法人合併では消滅しません。
Q3出願人が死亡したら名義変更は必要ですか?
必要です。代理権は存続しますが、権利者を確定させるため出願人名義変更届を提出して相続人へ名義を移す必要があります。代理権存続と名義承継は別手続です。
Q4特許出願中に法定代理人が変わったらどうなりますか?
未成年の発明者の親権者交代などで法定代理人が変わっても、すでに選任された弁理士の代理権は消滅せず、手続はそのまま継続します。
Q5信託の受託者が交代したら特許手続は止まりますか?
止まりません。受託者の信託に関する任務が終了しても、特許法11条により委任した弁理士の代理権は消滅せず、引き継ぎの空白期間でも手続が続きます。
Q6民法111条と特許法11条の違いは何ですか?
民法111条は本人の死亡で代理権が消滅するとしますが、特許法11条はその原則を排除し、特許手続では代理権が消滅しないと定めます。特許法が優先します。
Q7拒絶理由通知の応答期限は本人が死亡すると延びますか?
延びません。代理権が存続するため手続は継続し、指定期間(在外者は3か月)を逃すと出願はみなし取下げ・却下になります。期限管理は弁理士に確認しましょう。
Q8特許出願の代理人を後から解任できますか?
できます。代理権が本人の死亡で消えないとしても、相続人や承継会社は弁理士を解任・改任できます(特許法13条)。本人意思の尊重はこの解任自由で担保されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1出願人が亡くなったら、特許の出願はいったん取り下げて、相続人が出し直すんですか?
出し直す必要はない。特許法11条で弁理士の代理権は本人の死亡では消えず、手続はそのまま継続する。相続人がすべきは出願人名義変更届の提出で、出願自体は中断しない。実務のポイント:実務では本人死亡を伏せたまま手続を続けることもできてしまうが、名義変更を放置すると登録段階で権利者が宙に浮く。代理権の存続に甘えず、早めに相続関係を整理した方が後の権利行使で揉めない
Q2会社が合併で消えたら、それまでに頼んでいた弁理士との関係も切れますよね?
切れない。本人である法人が合併で消滅しても、特許法11条により代理権は存続し、存続会社のために手続が続く。実務のポイント:M&A のデューデリで見落とされがちなのが、消滅会社が出願中の特許の名義承継。代理権は自動で続くが、出願人名義変更届を出し忘れると、買収したはずの特許が前身会社名義のまま残り、後で権利の所在が曖昧になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「本人が死ねば、頼んでいた代理人の権限も自動的に消える」と多くの人が信じている。民法111条ではそのとおりだが、特許手続では特許法11条が真逆を定める。本人の死亡でも代理権は消えず、弁理士は手続を続けられる
- 代理権が消えないことは知っていても、その意味の深刻さを見落としがちだ。これは「手続が一秒も止まらない」ことを意味する。拒絶理由通知の応答期限は本人の死亡を待ってくれない。代理権が消える建付けなら、相続人が混乱している間に期限が過ぎ、出願は失われていた。消えないからこそ、出願人の財産が守られる
- 「代理権が続くなら、相続人は何もしなくていい」という前提自体が誤っている。代理権の存続と、出願人名義の承継は別の話だ。手続は止まらないが、相続人が出願人名義変更届を出さなければ、最終的に誰の権利になるかは確定しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 特許法11条:委任代理人の代理権の不消滅(本人死亡等でも存続) | 特許法9条:委任による代理人の代理権の範囲 特許法13条:代理人の改任・解任 |
| 着目する場面 | 本人の死亡・法人合併・信託任務終了・法定代理人の変更 | 特別の授権を要する手続の範囲 代理人が不適当なときの交代 |
| 誰を守るか | 手続の継続性と出願人・承継人の利益 | 本人と第三者の予測可能性 本人(および承継人)の選択の自由 |
| 民法との関係 | 民法111条・653条の消滅原則を排除する特則 | 民法99条以下の代理一般に対応 委任解除(民法651条)に対応 |
他国ではどう定めているか 3 か国
韓国は民法で代理権・委任の消滅事由(本人の死亡等)を一般規定として置く。特許手続における継続性の扱いは特許法の個別規定を要確認
ドイツは委任について、疑わしいときは本人の死亡や行為能力喪失によっても消滅しないと定め、本条の手続継続の発想と親和的
米国は本人の死亡・能力喪失により代理権が終了するのが原則。特許出願実務では別途の継続手続や承認が問題となり得る
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が発明の特許を出願中に急逝。拒絶理由通知への応答期限まであと10日。弁理士の代理権は父の死亡では消えないので、手続はそのまま走り続ける。相続人は期限の心配をせず、名義変更の準備に入ればいい
- もし出願途中で、依頼していた会社が他社に吸収合併されて消滅したら、特許出願はどうなるのか。代理権は存続し、存続会社が出願人の地位を承継して手続が続く。合併のたびに代理人を選び直す必要はない
- 信託で知財を管理していた受託者の任務が、突然終了した。新受託者への引き継ぎの空白期間でも、弁理士の代理権は消えない。手続が宙に浮くことはない
- 未成年の発明者の親権者が交代し、法定代理人が変わった。代理権の変更があっても、すでに選任されている弁理士の代理権は消滅しない。出願は変更前のペースを保つ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 出願中の本人(あなたの被相続人や前身会社)が死亡・消滅しても、まず慌てない。特許法11条で弁理士の代理権は消えず、手続は止まっていない2. すぐに代理人の弁理士へ連絡し、直近の応答期限(拒絶理由通知など)の有無を確認する3. 出願人名義変更届を提出し、相続人または承継会社へ名義を移す。代理権の存続と名義承継は別手続なので両方必要4. 相続人が複数なら、誰が権利を承継するかを遺産分割で確定させ、共同出願人として整理する
訴えられた側:1. 無効審判や情報提供で相手方を攻める側でも、相手の本人が死亡・消滅したことを理由に手続の中断や失効を狙うのは無意味。特許法11条で相手方代理人の権限は存続する2. 攻めるなら代理権の存否ではなく、出願自体の実体的瑕疵(新規性・進歩性の欠如)で勝負する3. 相手の名義承継が未了なら、当事者の地位の整理を求めて手続関係を明確化させる余地はある
時効(請求できる期限):本条の代理権存続そのものに時効はない。死亡・合併・任務終了の瞬間から代理権は当然に継続する。注意すべきは本人死亡後も走り続ける応答期限で、拒絶理由通知の指定期間(在外者は3か月)を逃すと出願はみなし取下げ・却下になる。名義変更届に法定の時効はないが、登録前までに済ませるのが実務(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:特許法11条は、応答期限が連続する特許手続の性質上、本人側の事情で手続が中断すると出願が失効しかねないため、手続の継続性と出願人・承継人の利益保護を優先し、民法111条・653条の消滅原則を排除した特則と解される。本人意思の尊重は承継人が代理人を解任・改任できる自由(特許法13条)で担保される。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める