特許法 第111条(既納の特許料の返還)
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- 既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
- 一過誤納の特許料
- 二第百十四条第二項の取消決定又は特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料
- 三特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料(当該延長登録がないとした場合における存続期間の満了の日の属する年の翌年以後のものに限る。)
- 2.前項の規定による特許料の返還は、同項第一号の特許料については納付した日から一年、同項第二号及び第三号の特許料については第百十四条第二項の取消決定又は審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。
- 3.第一項の規定による特許料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
この条文の基本情報
既納の特許料の返還とは何ですか?
定義既納の特許料の返還とは、特許法第111条に定められた規定で、「既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第111条(既納の特許料の返還)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第111条の条文原文は「既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。」で始まります。
- 特許法第111条は第三節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第111条の前の条は特許法第110条です。
- 特許法第111条の次の条は特許法第112条です。
- 特許法第111条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第111条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第111条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/111
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法111条は、既納の特許料のうち過誤納など三類型に限り、納付者の請求により返還すると定める。請求期限は過誤納で1年、取消・無効系で6か月である。
Q · 払い過ぎた特許料や、無効になった特許の前納分は返してもらえますか?
過誤納など三類型に限り、期限内に自分で請求すれば返還されます
特許法111条により、既納の特許料は「過誤納」「取消決定・無効審決が確定した年の翌年以後の各年分」「延長登録無効審決が確定した年の翌年以後の各年分」の三類型に限り、納付した者の請求により返還されます。返還は自動ではなく請求が必要で、期限は過誤納が納付日から1年、取消・無効系が確定日から6か月です。この期間を過ぎれば、明白な払い過ぎでも請求権は消滅します。自己の責めによらず期限を逃した場合は3項の救済があります。
解説
特許料を二重に振り込んだ、計算を間違えて多く納めた、あるいは何年も先の年分まで前納したのに途中で特許が無効になった。これらの払い過ぎた金は、放っておいても特許庁から戻ってこない。特許法111条は、返還される三つの場合を限定列挙する。(1)過誤納、(2)異議申立てによる取消決定または無効審決が確定した翌年以降の年分、(3)存続期間の延長登録無効審決が確定した翌年以降の年分。ここで効いてくるのが期限だ。過誤納は納付日から1年、取消・無効系は決定確定日から6か月。この期間を1日でも過ぎれば、たとえ明白な払い過ぎでも請求権は消える。さらに見落としやすいのは、特許が無効になった瞬間ではなく、確定した翌年以降の分しか戻らないという点。確定した年の分はもう戻らない。あなたが知っておくべきは、この返還は自動ではなく、納付した者の請求があって初めて動くという一点だ。
法的な位置づけ
特許法111条は特許料の返還を定める規定であり、既納の特許料を原則として国庫に確定させつつ、過誤納、取消決定・無効審決の確定、延長登録無効審決の確定という三類型に限り、納付者の請求に基づく返還を認める。一般の不当利得返還(民法703条)に対する特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.返還事由の類型を特定する 自社のケースが過誤納なのか、取消決定・無効審決の確定なのか、延長登録無効の確定なのかを特定する。類型により起算点と期限が異なるため、まずここを間違えない
- 2.起算点と期限を確定してカレンダー化 過誤納は納付日、取消・無効系は確定日を起算点とする。確定日は審決公報や決定書で特定し、過誤納は1年後、取消・無効系は6か月後の期限日を即リマインダーに登録する
- 3.返還額の範囲を確認する 無効・取消系は確定した年の翌年以後の各年分のみが対象。確定年やそれ以前の分は含まれない。延長登録無効は本来の満了日の翌年以後に限られるため、範囲を広く誤請求しない
- 4.納付者名義で返還請求書を提出 特許料を納付した者の名義で、期限内に特許庁へ返還請求書を提出する。稟議の完了を待つと1年・6か月の窓が狭まるため、証憑が揃う前でも先に請求して期間進行を止める
- 5.期限を逃した場合は救済規定を検討 自己の責めに帰することができない理由で期限内に請求できなかった場合、理由がなくなった日から14日(在外者は2か月)以内かつ期間経過後6か月以内という3項の救済を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1特許料の返還とは何ですか?
既納の特許料が納付者の請求により戻る制度です。特許法111条が過誤納、取消・無効審決の確定、延長登録無効の確定の三類型に限定列挙しています。
Q2過誤納の特許料はいつまでに請求できますか?
納付した日から1年以内です(特許法111条2項)。1日でも過ぎると請求権が消滅するため、二重納付や過大納付に気づいたら即座に手続きします。
Q3無効審決が確定したら特許料は返ってきますか?
確定した年の翌年以後の各年分に限り返還されます。確定年やそれ以前の分は返還対象外で、請求期限は確定日から6か月です。
Q4特許料を二重に振り込んだらどうすればいいですか?
納付日から1年以内に、納付した者名義で特許庁へ返還請求書を提出します。社内稟議の完了を待たず先に請求し期間進行を止めるのが安全です。
Q5特許料返還請求の期限を過ぎたらどうなりますか?
請求権は消滅し、明白な過誤納でも返還されません。ただし自己の責めに帰さない理由で逃した場合は3項の救済(理由消滅から14日等)があります。
Q6延長登録が無効になったとき特許料はどこまで返りますか?
延長登録がないとした場合の存続期間満了日の翌年以後の分に限られます。範囲を広く誤解して過大に請求しないよう注意が必要です。
Q7特許料の返還請求は誰ができますか?
特許法111条は「納付した者」と定めます。実際に特許料を納付した名義人が請求権者であり、第三者が勝手に請求することはできません。
Q8自分の責めによらず期限を逃した場合の救済はありますか?
あります。特許法111条3項により、理由がなくなった日から14日(在外者は2か月)以内かつ期間経過後6か月以内なら請求できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許を途中で手放したら、残りの年分の特許料は返してもらえますか?
原則として返ってきません。111条1項は返還事由を過誤納、取消決定・無効審決の確定、延長登録無効の確定の三つに限定列挙しており、特許権の放棄や存続期間満了で「もう要らなくなった分」は対象外です。実務のポイント:だからこそ特許料は無理に何年も前納せず、年単位で都度納付する実務が合理的。前納は事務手間を減らすが、途中で権利を手放す可能性がある特許では、戻らないリスクを抱え込むことになる
Q2無効審決が確定したのに、確定した年の特許料が戻らないのは納得いきません。なぜですか?
111条1項2号が「確定した年の翌年以後の各年分」と明記しているからです。確定した年までは特許権が有効に存在し、その対価として特許料を払っていたという建前です。実務のポイント:実務では『確定日』がいつかで返還範囲が一年分ずれる。審決確定の時期が年末か年始かで戻る金額が変わるため、係争中の特許料の納付タイミングは戦略的に管理する価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 特許庁が払い過ぎを把握しているなら向こうから返してくれるはずだと思いがちだが、111条は「納付した者の請求により返還する」と書く。請求がなければ、明白な過誤納でも特許庁は動かない
- 「特許が無効になったのだから払った特許料は全部戻る」という問いの立て方そのものが誤っている。戻るのは無効が確定した翌年以降の年分だけ。確定した年やそれ以前に効力があった期間の分は、無効でも返還対象外だ
- 返還請求に期限があることは知っていても、その期限の短さを正しく恐れている人は少ない。取消・無効系はわずか6か月。社内決裁を回している間に溶けて消える長さだという感覚が、現場には足りない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 特許法111条:既納特許料の返還(三類型限定) | 特許法107条:特許料の額(返還額の算定基準) 特許法108条:特許料の納付期限(過誤納の前提) |
| 起算点 | 過誤納は納付日、取消・無効系は確定日 | 各年区分に応じた法定額 設定登録日・応当日を基準とする納付期限 |
| 期限・効果 | 過誤納1年、取消・無効系6か月で請求権消滅 | 額の誤りが過誤納返還の根拠になり得る 期限徒過は追納(112条)の対象で失効リスク |
| 対概念 | 払い過ぎの回収(out) | 支払うべき金額の確定 不足・遅延の追納(112条)(in) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も特許年金・規費の返還を規費法制で規律し、過誤納等の返還を認める点で同種。返還範囲と期限は行政手続的に定められる
韓国特許法も手数料等の返還を明文で定め、過誤納の返還を認める。返還範囲を法定する構造は日本と類似
ドイツは特許費用を PatKostG で一括規律し、過大・過誤納付の返還を定める。費用法制を独立法で扱う点が日本と異なる
米国は誤って納付した手数料や過大納付分の返還を長官の権限として定める。返還可否の判断に一定の裁量が働く点が特徴
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が特許無効審判で負け、無効審決が確定した。前納してあった向こう数年分の特許料、返ってくるのか? 確定日から6か月が勝負どころ。経理が気づかず半年を過ぎれば、数十万円から数百万円がそのまま国庫に残る
- 弁理士事務所が同じ特許料を二重に振り込んでしまった。気づいたのは10か月後、納付日から1年の壁まであと2か月。返還請求書を急いで特許庁へ提出する。1か月でも遅れていたら、事務所が依頼者に弁償する話になっていた
- 延長登録が無効になった。返還対象は確定した翌年以降の年分だけだ。確定年の分は戻らない、ここを取り違える担当者は多い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 返還事由を特定する:過誤納か、取消決定・無効審決の確定か、延長登録無効の確定か。類型で期限が変わる2. 起算点を確認:過誤納は納付日、取消・無効系は確定日。確定日は審決公報や決定書で特定する3. 期限内に「納付した者」名義で特許庁へ返還請求。過誤納1年、取消・無効系6か月4. 自分の責めによらない事由で期限を逃したら、3項の救済(理由消滅から14日、在外者は2か月、ただし期間経過後6か月以内)を検討する
訴えられた側:1. 社内で前納している特許料を棚卸しし、無効審判・異議申立て係属中の特許を洗い出す2. それらが取消・無効で確定したら、確定日から6か月の返還請求期限を即カレンダー化し、決裁ルートを短縮しておく3. 過誤納を発見したら稟議完了を待たず先に返還請求を提出し、1年の壁を確保する4. 延長登録無効は返還範囲が「本来の満了日の翌年以降」に限られる点に注意、誤って広く請求しない
時効(請求できる期限):過誤納は納付日から1年、第114条2項の取消決定または無効審決が確定した日から6か月(111条2項)。自己の責めに帰すことができない事由で逃した場合、理由がなくなった日から14日(在外者は2か月)以内かつ期間経過後6か月以内に請求可能(111条3項)。
学説
通説:特許法111条1項は返還事由を過誤納、取消決定・無効審決の確定、延長登録無効の確定の三類型に限定列挙したものであり、放棄や存続期間満了で不要となった特許料は返還対象外と解される。民法703条の一般不当利得返還を制度的安定の観点から制限した特則である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、既納特許料の返還規定として整備された。返還事由の限定列挙と請求期限による国庫の確定性確保の枠組みが採られている。
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