特許法 第181条(審決又は決定の取消し)
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- 裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。
- 2.審判官は、前項の規定による審決又は決定の取消しの判決が確定したときは、更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない。この場合において、審決又は決定の取消しの判決が、第百二十条の五第二項又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた一群の請求項のうち一部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決又は決定を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
審決又は決定の取消しとは何ですか?
定義審決又は決定の取消しとは、特許法第181条に定められた規定で、「裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第181条(審決又は決定の取消し)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第181条の条文原文は「裁判所は、第百七十八条第一項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。」で始まります。
- 特許法第181条は第八章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第181条の前の条は特許法第180条の2です。
- 特許法第181条の次の条は特許法第182条です。
- 特許法第181条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第181条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第181条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/181
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法181条は、裁判所が審決取消訴訟で請求を理由ありと認めれば審決を取り消すと定める。裁判所は特許の成否までは判断せず、事件は特許庁に差し戻され、審判官が拘束力の下で更に審理する。
Q · 特許の審決取消訴訟で勝ったら、その場で特許が取れる/相手の特許が消えるの?
いいえ。裁判所は審決を取り消すだけで、事件は特許庁に差し戻されます。
特許法181条1項により、裁判所が請求を理由ありと認めても、できるのは審決又は決定の「取消し」だけです。特許を付与したり相手の特許を無効確定させたりはしません。取消判決が確定すると、事件は特許庁に戻り、審判官が更に審理して新たな審決をします(2項)。このとき審判官は裁判所の判断に拘束されますが、その射程は判決理由中で否定された判断に限られ、相手が新たな無効理由を出せば二回戦になります。
解説
特許の無効審判で負けた、あるいは出願を拒絶され不服審判でも覆らなかった。最後の望みとして知的財産高等裁判所に訴える。そしてあなたは勝った。ところが、その瞬間に特許が認められる、あるいは相手の特許が消える、とは限らない。特許法181条1項で裁判所ができるのは「審決の取消し」だけ。つまり審決を白紙に戻すところまでで、特許を与えるか奪うかは決めない。2項を読むと理由が分かる。取消判決が確定すると、ボールは再び特許庁に戻り、審判官が「更に審理を行い」もう一度審決を出す。しかもこのとき審判官は裁判所の判断に拘束され、裁判所がダメだと言った論点を蒸し返すことは許されない。あなたが本当に手にしたのは「特許」ではなく「もう一度、有利な土俵で審理を受ける権利」だ。この二段階構造を知らずに「勝訴イコール決着」と思い込むと、差戻し後の審理で足をすくわれる。
法的な位置づけ
特許法181条は、審決取消訴訟における裁判所の権限と、取消判決確定後の手続を定める規定である。1項は、裁判所が請求を理由ありと認めるとき審決又は決定を取り消すべきことを定め、2項は、取消判決確定後に審判官が更に審理して新たな審決をすべきことを規律する。裁判所は審決の取消しに留まり、特許の成否そのものは判断しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.審決謄本が届いたら出訴期間を最優先で確認 審決又は決定の謄本を受け取ったら、まず送達日から30日の出訴期間(特許法178条3項)をカレンダーに記入する。目次や本文より先に期限を押さえる。1日でも過ぎれば審決が確定し181条の取消しを求める扉が閉じる
- 2.知的財産高等裁判所へ訴えを提起し被告を確定 知的財産高等裁判所(専属管轄・特許法178条1項)に審決取消訴訟を提起する。無効審判など当事者系なら相手方、拒絶査定不服審判など査定系なら特許庁長官を被告とする(179条)
- 3.取消事由を審決の判断の誤りに絞って主張 主張は「審決の結論を導いた特定の判断の当否」に集中させる。特許性を一から審理し直す場ではないため、審決が判断していない論点をむやみに広げず、審理範囲の枠内で攻める
- 4.勝訴を見据え拘束力の射程を先取りで特定 勝訴後は事件が特許庁に差し戻される。取消判決の理由を精読し、拘束力が及ぶ論点(同じ結論を繰り返せない範囲)と、相手が差戻し審理で新たに持ち出せる論点の境界線を先に押さえて二回戦に備える
よくある質問 AI による整理
Q1審決取消訴訟とは何ですか?
特許庁の審判で出た審決(無効審判・拒絶査定不服審判など)に不服がある当事者が、知的財産高等裁判所に取消しを求める訴訟です。根拠は特許法178条・181条です。
Q2審決取消訴訟の出訴期間はいつまでですか?
審決謄本の送達日から30日の不変期間です(特許法178条3項)。1日でも過ぎると審決が確定し、二度と争えなくなります。
Q3審決取消訴訟の被告は誰になりますか?
無効審判など当事者系は相手方当事者、拒絶査定不服審判など査定系は特許庁長官が被告となります(特許法179条)。事件類型で被告が変わります。
Q4審決取消訴訟はどこの裁判所に訴えますか?
知的財産高等裁判所の専属管轄です(特許法178条1項)。第一審からいきなり高裁レベルで審理される特殊な構造になっています。
Q5取消判決の拘束力はどこまで及びますか?
判決理由中で否定された判断に及びます(行政事件訴訟法33条)。差戻し後に相手が新たな無効理由を出せば、それは拘束力の外で別途審理されます。
Q6差戻し後の審理に期間制限はありますか?
明文の期間はありません。取消判決が確定すると審判官が更に審理し(181条2項)、新たな審決が出れば再び30日の出訴期間が起算されます。
Q7一群の請求項の一部取消しとは何ですか?
訂正請求がされた一群の請求項の一部だけ取消判決が確定すると、審判官は同じ一群の他の請求項の審決も取り消して審理し直します(181条2項後段)。
Q8審決取消訴訟で勝ったら特許庁は必ず結論を変えますか?
同じ論点は拘束力で繰り返せませんが、別の無効理由・新証拠が持ち込まれれば結論が変わらない場合もあります。勝訴は決着でなく再審理の権利です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴訟で勝ったら、その場で特許が認められるんじゃないんですか?
認められません。特許法181条1項で裁判所ができるのは審決の「取消し」だけで、特許を付与する権限はありません。取消判決が確定すると事件は特許庁に戻り、審判官が更に審理して新たな審決を出します(181条2項)。実務のポイント:実務では「勝訴イコール審決取消し」であって「勝訴イコール特許取得」ではないと最初に依頼者へ説明する代理人ほど信頼できる。ここを曖昧にしたまま勝訴報告だけする代理人は、差戻し後のリスクを伝えていない
Q2差戻しになったら、特許庁は裁判所の言うとおりに判断してくれますか?
原則そうですが、範囲に限界があります。取消判決の拘束力(行政事件訴訟法33条)は、判決理由中で否定された判断に及びます。しかし差戻し後の審理で相手が新たな無効理由や証拠を提出すれば、それは拘束力の外で別途審理されます(特許法181条2項)。実務のポイント:勝訴後に油断した側が二回戦で逆転されるのが典型パターン。差戻し審理は「勝った論点」ではなく「相手が次に何を持ち出すか」で決まると考えて備えるのが実務の鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴訟で勝てば特許がもらえる、または相手の特許が消える」と思いがちだが、181条1項で裁判所ができるのは審決の取消しだけ。特許の付与も無効確定も裁判所はしない。事件は特許庁に差し戻され、もう一度審判官が判断する
- 「差戻しになっても、裁判所が勝たせてくれたんだから特許庁はそれに従うだけ」と軽く考える人がいる。確かに拘束力(行政事件訴訟法33条)は働くが、その射程は判決理由中で否定された判断に限られる。差戻し後に相手が別の無効理由を持ち出せば、それは拘束力の外。勝訴の重みを過大評価すると、二回戦で足元を見られる
- 「審決取消訴訟は、特許庁の判断が正しかったかを裁判所に審査してもらう手続だ」と問いを立てる人が多い。だがこの問いは半分間違っている。裁判所が審理するのは審決の結論を導いた特定の判断の当否であって、特許性そのものを一から審理し直す場ではない。土俵を取り違えると、主張すべき論点を外す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 181条:判決の効力(取消しと差戻し後の再審理) | 178条:訴えの提起・出訴期間・専属管轄 179条:被告適格(当事者系/査定系の区別) |
| 何を決めるか | 裁判所は審決を取り消すだけ、特許の成否は決めない | 誰がいつどこに訴えられるかを決める入口規定 誰を相手に訴えるかを決める規定 |
| 時間軸との関係 | 取消確定後、新審決に対し再び30日の出訴期間が起算 | 審決謄本送達から30日の不変期間を規律 提訴時点で被告を確定させる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は TIPO の処分に対し訴願を前置したうえで、智慧財産及商業法院で行政訴訟により取消しを求める。専門裁判所に集約する点は日本の知財高裁と共通するが、訴願前置の点が異なる
韓国は特許法院(Patent Court)が심결취소소송を専属管轄する。行政庁の審決を専門裁判所が審査する二段階構造は日本のモデルを強く継受している
ドイツは連邦特許裁判所が特許庁決定・無効事件を審理し、法律問題は連邦通常裁判所(BGH)へ。専門裁判所による審査という原型を提供した法系
米国は PTAB の審決を連邦巡回控訴裁判所(CAFC)に上訴する。行政審判+専門控訴審の構造は共通するが、拘束力ある差戻しの運用は大陸法系とやや異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合の特許を無効にしようと無効審判を申し立てたが、特許庁は「無効理由なし」と判断した。あなたに残された出訴期間はわずか30日(特許法178条3項)。この期間を1日でも過ぎれば審決は確定し、二度と争えない。181条の取消しを勝ち取る前に、まず出訴のタイムリミットがあなたの首を絞めている
- あなたの会社の特許に対し、ライバルが無効審判を起こして勝った。あなたは知財高裁に訴え、勝訴。だが安心するのは早い。事件は特許庁に差し戻され、審判官が裁判所の判断に沿って「更に審理」する。ここで相手が新たな無効理由や証拠を持ち出せば、二回戦が始まる
- 出願を拒絶された。不服審判も負けた。訴訟で勝った。それでも特許証はまだ手元に来ない
- 請求項1から5をまとめて訂正請求していたが、裁判所が請求項2についてだけ取消判決を出した。181条2項後段により、審判官は同じ一群の残り全部(1・3・4・5)の審決も取り消して審理し直す。一部だけの取消しが、ひとまとめで巻き戻る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 審決謄本が届いたら、まず出訴期間30日(特許法178条3項)を確認しカレンダーに記入。2. 知的財産高等裁判所への訴え(178条1項)を提起、被告は無効審判など当事者系なら相手方、拒絶査定不服審判など査定系なら特許庁長官(179条)。3. 取消事由を「審決の結論を導いた判断の誤り」に絞って主張。4. 勝訴後は差戻し審理を見据え、拘束力の射程を判決理由から特定しておく
訴えられた側:1. 訴えられたら、自分が勝った審決のどの判断が攻撃されているかを争点から把握。2. 差戻しを見越し、敗訴した場合に備えて別の無効理由や反論材料を温存。3. 拘束力は判決理由中で否定された判断にしか及ばない(行政事件訴訟法33条)ことを踏まえ、差戻し審理で新たな主張を組み立てる準備をする。4. 一群の請求項が絡む場合、一部取消しが全体に波及する(181条2項後段)リスクを評価する
時効(請求できる期限):審決取消訴訟の出訴期間は審決謄本の送達の日から30日(特許法178条3項、不変期間)。この期間を過ぎると審決が確定し、181条の取消しを求める道は閉ざされる。差戻し後に出された新たな審決に対しても、再び30日の出訴期間が起算される
学説
通説(審理範囲限定説):審決取消訴訟は特許性を一から審理し直す場ではなく、審決の結論を導いた特定の判断の当否を審査する手続である。メリヤス編機事件を踏まえ、審判で審理されなかった新無効理由の訴訟提出は原則許されないと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 訂正制度の見直しに伴い、2項後段の「一群の請求項」に関する規律が整備された。訂正請求がされた一群の請求項のうち一部について取消判決が確定した場合、審判官は同じ一群の他の請求項についての審決等も取り消して審理を行う旨が定められた。改正年・改正内容の最終的な確認は人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、審決取消訴訟の判決の効力と差戻し後の再審理を規律する規定として整備された
- 2.平成23年(2011年) 改正:訂正制度の見直しに伴い、2項後段の一群の請求項に関する規律が整備された。訂正請求がされた一群の請求項の一部について取消判決が確定した場合、審判官は同じ一群の他の請求項の審決も取り消して審理する旨が定められた。改正年・内容の最終的確認は人的検証を要する
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