要点特許法 126 条は、特許権者が特許請求の範囲の減縮や誤記の訂正を目的に訂正審判を請求できると定める。ただし訂正は当初開示の範囲内に限られ、権利範囲の拡張・変更はできない。
Q · 特許に無効審判をかけられたら、もう権利は守れないの?
訂正審判で権利範囲を狭めれば、コアの発明だけ生き残せます。
特許法 126 条により、特許権者は訂正審判を請求して、特許請求の範囲の減縮、誤記・誤訳の訂正、不明瞭記載の釈明などができます。攻撃された広い範囲を自分から切り捨て、コア発明だけを残すのが基本戦略です。ただし訂正は当初開示の範囲内に限られ、権利範囲を広げたり別物に変えたりはできません(5 項・6 項)。減縮後の請求項は独立して特許を受けられる水準でなければ認められません(7 項)。さらに無効審判が係属している間は訂正審判を請求できず(2 項)、その局面では無効審判内の訂正の請求(134 条の 2)を使います。
あなたの会社が十年かけて育てた特許に、ある日「特許無効審判」が申し立てられる。競合が古い技術文献を掘り起こし、あなたの特許は最初から無効だったと主張してくる。多くの経営者はここで青ざめるが、経験を積んだ弁理士は慌てない。手元に126条という切り札があるからだ。特許請求の範囲(claims、特許で独占できる発明の範囲を文章で線引きしたもの)を後から自分で削り、攻撃された範囲を切り捨てて、コアの発明だけを生き残らせる。これが訂正審判だ。ただし削れるのは「狭める」方向だけで、権利範囲を広げたり別物に書き換えたりはできない(126条6項)。しかも狭めた claim はそれ単独で特許に値するレベルでなければ認められない(126条7項、独立特許要件)。守りの一手に見えて、踏むべき条件は驚くほど多い。
特許法 126 条にいう訂正審判とは、特許権者が特許付与後に、明細書・特許請求の範囲・図面を、請求の範囲の減縮、誤記・誤訳の訂正、不明瞭記載の釈明等を目的として訂正するために特許庁へ請求する審判手続をいう。訂正は当初開示の範囲内に限られ、実質的な権利範囲の拡張・変更は許されない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許付与後に、明細書や特許請求の範囲を、請求の範囲の減縮・誤記誤訳の訂正・不明瞭記載の釈明などのために特許庁へ請求して直す審判手続です(特許法 126 条)。
特許庁への審判請求手数料が必要で、請求項の数に応じて加算されます。具体的な金額は特許庁の料金表で確認でき、代理を弁理士に依頼すればその費用も別途かかります。
事案の複雑さや請求項数、審理の状況によって変わります。無効審判と並行する局面では戦略のタイミングが重要になるため、早めに弁理士へ相談するのが実務的です。
訂正審判(126 条)は独立した審判ですが、無効審判や異議申立てが係属している間は請求できず、その場合は手続内の訂正の請求(134 条の 2 等)を使います。使う武器が局面で変わります。
減縮した後の請求項が、単独でも特許を受けられる水準、つまり進歩性まで備えていることを求める要件です(126 条 7 項)。狭めただけで進歩性を欠けば訂正は認められません。
直せます(126 条 1 項 2 号)。ただし外国語書面出願では、最初に添付した外国語書面に記載した範囲内でのみ訂正でき、原文にない内容は救えません。
できます(126 条 8 項本文)。存続期間満了後でも、過去の侵害に対する損害賠償のために請求可能です。ただし取消決定や無効が確定した後は請求できません(同項ただし書)。
特許異議申立てまたは特許無効審判が特許庁に係属してからその確定までは請求できません(126 条 2 項)。また取消・無効が確定した後も請求できません(8 項ただし書)。
確実ではない。減縮して先行技術を避けても、訂正後の claim が「単独で特許を受けられる」水準、つまり進歩性まで備えていなければ訂正自体が認められない(126条7項、独立特許要件)。狭めただけで安心はできない。業界裏話ヒント:実務では「どこまで削れば独立特許要件を満たすか」のシミュレーションを、無効審判が来る前に予備的にやっておくのが定石。攻撃を受けてから慌てて削ると、削りすぎて事業価値のない権利だけが残る、という最悪の着地になりやすい
生じる。訂正を認める審決が確定すると、出願時にさかのぼって訂正後の内容で特許されていたものとみなされる(特許法128条、訂正の遡及効)。つまり訂正前の広い claims を前提に動いていた相手の行為評価まで塗り替わる。業界裏話ヒント:この遡及効があるからこそ、侵害訴訟の途中で相手が訂正してくると、それまでの侵害論の前提が崩れることがある。被告側は相手の訂正の動きを常に監視し、訂正されたら即座に非抵触の再構成に切り替える準備をしておく
使えない。無効審判が特許庁に係属した時からその審決確定までは、訂正審判を請求できない(126条2項)。その局面で claims を直したいなら、無効審判の手続の中で「訂正の請求」(特許法134条の2)を使う。両者は別物だ。業界裏話ヒント:この区別を取り違えて訂正審判を請求しても却下されるだけで時間を失う。無効審判が来た瞬間に「もう訂正審判は使えない、訂正請求に切り替える」と頭を切り替えられるかどうかが、初動対応の質を分ける
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 使う場面 | 訂正審判(126 条):無効審判・異議が係属していない平時の訂正 | — |
| 手続の性質 | 独立した審判請求 | — |
| タイミング制限 | 無効審判・異議の係属中は請求不可(2 項)、消滅後も可(8 項) | — |
| 共通の縛り | 当初開示の範囲内・拡張変更禁止・独立特許要件(5〜7 項) | — |
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