特許法 第127条
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特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第127条は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第127条の条文原文は「特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。」で始まります。
- 特許法第127条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第127条の前の条は特許法第126条です。
- 特許法第127条の次の条は特許法第128条です。
- 特許法第127条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第127条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第127条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/127
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法127条は、特許権者が専用実施権者または質権者を有する場合、これらの者の承諾を得たときに限り訂正審判を請求できると定める。承諾がなければ請求は不適法となる。
Q · 特許は自分のものなのに、訂正するのに他人の承諾が必要なの?
専用実施権者と質権者がいれば、その承諾が必要です
特許法127条により、特許権者は専用実施権者または質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り訂正審判を請求できます。訂正は特許請求の範囲を変動させ、独占ライセンスの事業前提や担保価値を直接左右するためです。承諾なしに請求した訂正審判は不適法として却下されるリスクがあります。実務では、専用実施権や質権の設定契約に訂正への事前承諾条項を入れておくのが定石です。
解説
自分の特許なのだから、書き方を直すのも自由だ。そう思っていると足をすくわれる。特許法127条は、専用実施権者(その特許を独占的に使う契約を結んだ相手)または質権者(その特許を担保に取った債権者)がいる場合、これらの者の承諾を得たときに限り訂正審判(特許請求の範囲や明細書の記載を後から訂正する手続)を請求できると定める。なぜか。訂正は特許の権利範囲を動かす。範囲が狭まれば、独占ライセンスを受けた相手の事業前提が崩れ、担保価値も目減りする。つまりあなたが「誤記を直すだけ」と思っている一手が、相手の経営計画や融資の担保を直撃する。だから法律は、あなた一人の判断では動かせないようロックをかけた。特許を担保に金を借りた瞬間、あなたは自分の特許の文言を自由に書き換える権利を、静かに手放している。
法的な位置づけ
特許法127条は訂正審判の請求要件を定める規定であり、特許権者が専用実施権者または質権者を有する場合、これらの者の承諾を得たときに限り訂正審判を請求できる旨を規定する。訂正による権利範囲の変動が独占的利用権および担保価値に及ぼす影響を調整する趣旨に基づく。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登録原簿で専用実施権者・質権者の有無を確認 訂正審判を請求する前に、特許登録原簿を確認し、専用実施権や質権が設定されていないかを調べる。承諾権者がいるのに承諾を得ずに請求すると、不適法として却下されるリスクがある
- 2.承諾交渉を早期に開始する 無効審判の答弁書期限直前に承諾交渉を始めると間に合わない。期限から逆算し、特許が無効化されれば共倒れになる点を示して、専用実施権者・質権者の双方の利益を強調しながら交渉する
- 3.承諾は書面で範囲を限定して取得 承諾書は「この訂正案に限る」と範囲を明示し、将来の別の訂正まで包括同意にしない。軽微な誤記訂正まで毎回承諾を取り直す手間を避けるため、設定契約段階で事前承諾条項を入れておくのが定石
- 4.承諾書を添えて訂正審判を請求(無効審判係属中は訂正請求) 取得した承諾書を添付して訂正審判を請求する。ただし無効審判が特許庁に係属している場合は、訂正審判ではなく無効審判内の訂正請求(特許法134条の2)による
よくある質問 AI による整理
Q1訂正審判とは何ですか?
特許登録後に、特許請求の範囲や明細書の記載を訂正するための審判手続です(特許法126条)。無効理由を解消したり誤記を直したりする目的で使われ、権利範囲の縮小はできても拡張はできません。
Q2訂正審判はいつ請求できますか?
原則いつでも請求できますが、無効審判が特許庁に係属している間は訂正審判を請求できず、無効審判内の訂正請求(特許法134条の2)によります。特許権消滅後も一定の場合に限り請求できます(特許法126条8項)。
Q3承諾なしで訂正審判を請求したらどうなりますか?
専用実施権者・質権者の承諾を欠く訂正審判の請求は、要件を満たさず不適法として却下されるリスクがあります。防御手段として使うはずの訂正が、承諾漏れで空振りに終わります。
Q4訂正審判と訂正請求の違いは何ですか?
訂正審判(126条)は独立した審判として単独で請求します。訂正請求(134条の2)は無効審判が係属中の場合に、その手続の中で行う訂正です。無効審判中は訂正審判ではなく訂正請求によります。
Q5特許を担保に入れるデメリットは何ですか?
質権を設定すると、以後は質権者の承諾なしに訂正審判を請求できなくなります(特許法127条)。誤記訂正のような軽微な訂正でも承諾が要るため、資金調達と引き換えに知財戦略の自由度が下がります。
Q6訂正審判で特許の権利範囲はどう変わりますか?
訂正は特許請求の範囲の減縮、誤記・誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明に限られ、範囲の実質的拡張や変更はできません。訂正で範囲が狭まると、独占ライセンスの射程や担保価値も連動して縮みます。
Q7専用実施権者は訂正審判を止められますか?
事実上止められます。専用実施権者の承諾なしには訂正審判を請求できないため、承諾を出さない限り特許権者は訂正できません。専用実施権者は本条によって強力な交渉カード(事実上の拒否権)を握ります。
Q8訂正審判の承諾は口頭でもよいですか?
口頭でも承諾自体は有効になり得ますが、後日の争いを避けるため実務では書面で取得します。承諾の範囲を「この訂正案に限る」と限定し、将来の別の訂正まで包括同意しないのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許を担保に入れただけで、自分の特許の誤記すら直せなくなるんですか?
はい、質権者がいれば訂正審判には質権者の承諾が必要です(特許法127条)。誤記訂正のような軽微な訂正でも、条文上は承諾が要ります。実務のポイント:実務では質権設定契約の中に「軽微な訂正は事前に承諾したものとみなす」条項を入れておくのが定石です。これを入れ忘れると、誤記一つ直すのに毎回承諾書を取りに行く羽目になる
Q2専用実施権者がわざと承諾を出さなかったら、特許権者は永遠に訂正できないんですか?
専用実施権者の承諾が得られなければ訂正審判は請求できません(特許法127条)。承諾を一般的に強制する規定はなく、最終的には設定契約上の協力義務や信義則で争うことになります。実務のポイント:だからこそ専用実施権の設定契約に「訂正への協力義務」「不当に承諾を拒まない」条項を入れるかどうかが、後の紛争の分かれ目。契約段階で勝負は半分ついている
Q3通常実施権者、つまり普通のライセンシーの承諾も要るんですか?
現在は不要です。2011年(平成23年)改正で、通常実施権者の承諾要件は削除されました。今承諾が必要なのは専用実施権者と質権者だけです(特許法127条)。実務のポイント:古い解説書や2011年より前の判例解説には「通常実施権者の承諾が必要」と書かれたものが残っています。ネットで古い情報を拾うと誤るので、必ず改正後の条文を確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の特許だから、いつでも好きに訂正できる」と思っている。だが専用実施権者・質権者がいれば、その承諾なしに訂正審判は請求できない。所有していることと、自由に変更できることは別物だ
- 特許権者から見れば訂正は「権利を守るための防御策」だが、専用実施権者から見れば「事業の前提を崩す変更」に映る。この見え方の落差を理解しないまま承諾を求めると、相手がなぜ拒むのか分からず交渉が決裂する
- 通常実施権者(普通のライセンシー)の承諾も必要だと思っている人がいるが、それは2011年改正前の話。今は専用実施権者と質権者だけ。逆に言えば、登録された強い権利を持つ者だけが拒否権を握る、その重みを過小評価してはいけない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の位置づけ | 127条:訂正審判の請求要件(承諾要件) | 126条:訂正審判の本体(訂正できる内容の範囲) 134条の2:無効審判係属中の訂正請求 |
| 承諾権者 | 専用実施権者・質権者(現行では通常実施権者は不要) | 承諾権者の規律は127条が担う 127条が準用され同様の承諾要件が及ぶ |
| 使う場面 | 訂正審判・訂正請求の前提として承諾を要する | 誤記訂正・範囲減縮・釈明を独立審判で行う 無効審判の中で対抗的に訂正する |
| 承諾を欠いた場合 | 請求が不適法として却下されるリスク | 訂正の目的・範囲を超えると訂正不成立 無効審判内で訂正が認められない |
他国ではどう定めているか 4 か国
専利権者は専属被授権人または質権人の同意を得なければ、更正の申請等をできないと定める。まさに本条と同種の承諾要件で、台湾は日本法との親近性が高い。
韓国も訂正審判の請求に専用実施権者・質権者の承諾を要する構造で、日本法を継受した特許制度の特徴が現れる。
ドイツは特許の減縮手続を定める。第三者の同意という枠組みは日本と細部が異なり、直接の対応ではなく機能的な近縁として位置づく。
米国は再発行(reissue)で特許の欠陥を訂正する。ライセンシーの同意を一律要件とはせず、担保・独占権者の関与の仕組みは日本と大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 他社から特許無効審判を仕掛けられ、対抗策として請求の範囲を限定する訂正をしたい。だが3年前にこの特許を担保に銀行融資を受けていた。質権者の承諾交渉に何日かかる? 答弁書の提出期限まであと2週間、承諾が間に合わなければ訂正という防御カードそのものが切れない
- あなたが専用実施権者として、ある特許を独占的に使う前提で生産ラインに数億円を投じた。ある日、特許権者が勝手に訂正審判を出そうとしていると知る。あなたの承諾なしには動けない。127条はあなたに事実上の拒否権を与えている。この一条を知らない専用実施権者は、自分が握る強力な交渉カードに気付かないまま黙っている
- 特許ポートフォリオを担保にした融資の交渉中。借り手が「いつでも特許を訂正して強くできる」と説明する。だが質権設定後は、貸し手であるあなたの承諾なしに訂正はできない。
- あなたが特許権者で、競合が侵害品を出した。立証のため請求の範囲を訂正して読み替えを明確にしたい。ところが過去にグループ会社へ専用実施権を設定済み。承諾を取らずに請求した訂正審判は、不適法として却下されるリスクを抱える
取るべき行動
被害を受けた側:承諾を求められた専用実施権者・質権者の側に立ったとき。1. 提案された訂正が自分の事業前提・担保価値にどう影響するか精査。請求の範囲が狭まれば独占の射程も担保価値も縮む2. 承諾は無条件で出さない。承諾と引き換えにライセンス料の見直し、担保の追加、補償条項を交渉する3. 相手が訴訟・無効審判で時間に追われているなら、その緊急性こそ交渉力。期限を意識しつつ条件を詰める4. 承諾は書面で範囲を限定し、「この訂正案に限る」とする。将来の別の訂正まで包括同意しない
訴えられた側:訂正したい特許権者の側に立ったとき。1. 訂正審判の請求前に、専用実施権者・質権者の有無を登録原簿で確認。承諾なしの請求は不適法却下のリスク2. 早期に承諾交渉を開始し、特許が無効化されれば共倒れになる点を示して双方の利益を強調3. 承諾が得られない場合、無効審判内での訂正請求(特許法134条の2)など別ルートや、設定契約の事前承諾条項を確認4. 無効審判の答弁書期限直前に承諾交渉を始めると間に合わない。期限から逆算して動く
時効(請求できる期限):本条自体に固有の時効はない。ただし訂正審判は特許権の消滅後も一定の場合にのみ請求でき(特許法126条8項)、無効審判の係属中は訂正審判を請求できず訂正請求(同134条の2)によるなど、手続のタイミング制約がある。承諾取得は訂正請求・答弁書提出の期限から逆算して動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:127条の承諾要件は、訂正による特許権の対世的変動から専用実施権者・質権者の既得の利益を保護する趣旨と解される。承諾を欠く訂正審判の請求は不適法であり、承諾は訂正の内容ごとに個別に判断される。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 改正前は通常実施権者の承諾も訂正審判の要件だったが、これを削除。承諾が必要なのは専用実施権者と質権者のみとなり、特許権者の訂正の機動性が高まった。新設ではなく既存条文の改正
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 改正:改正前は通常実施権者の承諾も訂正審判の要件とされていたが、これを削除。承諾を要するのは専用実施権者と質権者のみとなり、特許権者の訂正の機動性が高まった。新設ではなく既存条文の改正。
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