特許法 第20条(手続の効力の承継)
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特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。
この条文の基本情報
手続の効力の承継とは何ですか?
定義手続の効力の承継とは、特許法第20条に定められた規定で、「特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第20条(手続の効力の承継)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第20条の条文原文は「特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。」で始まります。
- 特許法第20条は第一章 総則に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第20条の前の条は特許法第19条です。
- 特許法第20条の次の条は特許法第21条です。
- 特許法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法20条は、特許に関する権利についてした手続の効力が承継人にも及ぶと定める。譲受人は前権利者の補正や応答期限をそのまま引き継ぎ、手続をやり直すことはできない。
Q · 特許や出願中の権利を譲り受けたら、特許庁での手続は最初からやり直せるの?
やり直せません。前任者の手続がそのまま及びます
特許法20条により、特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は承継人にも及びます。前権利者が受けた拒絶理由通知への応答期限は譲受日からリセットされず、前権利者が行った補正の効果も承継人を拘束します。有利な効果だけを選んで引き継ぐことはできません。出願中の権利を譲り受けた場合は、特許法34条4項の承継届を直ちに提出し、以後の通知が自分に届く状態を作る必要があります。
解説
スタートアップが大手に特許を売却する、研究者が独立して在職中の出願を引き継ぐ、倒産した会社の特許ポートフォリオを買い取る。こうした場面で見落とされがちなのが、特許法20条だ。「特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その承継人にも及ぶ」。つまり、あなたが特許や出願中の権利を譲り受けたとき、前の権利者が特許庁との間で進めてきた手続、出されていた拒絶理由通知、迫っていた応答期限、提出済みの補正、これら全部があなたに引き継がれる。あなたは白紙からやり直せない。前任者が期限を一日過ぎていれば、その不利益もあなたが背負う。逆に前任者が出していた意見書や補正の効果も、あなたのものになる。特許を買うことは、その手続の歴史ごと買うことなのだ。
法的な位置づけ
特許法20条は手続効力の承継を定める規定であり、特許権その他特許に関する権利について特許庁に対してした手続の効力が、当該権利の承継人にも及ぶ旨を規定する。承継人は前権利者の手続上の地位を包括的に引き継ぎ、有利な効果と不利益とが一体として移転する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約締結前に特許庁の包袋を取り寄せる 譲受契約にサインする前に、対象の特許・出願について経過情報と包袋(出願・審査の全履歴)を取得し、係属中の手続、未応答の通知、進行中の期限、過去の補正履歴を洗い出す。20条ですべて承継されるため、ここが唯一の防衛線になる
- 2.発見した手続上のリスクを契約条件に落とす 期限切れ間近の案件や不利な補正が見つかったら、価格交渉のカードにする。譲渡契約の表明保証条項に「係属中の手続・期限・審判の現況」を明記し、隠蔽があれば損害賠償を請求できる建て付けにしておく
- 3.譲受後ただちに承継の届出を提出する 出願中の権利を譲り受けたら、特許法34条4項の承継届を直ちに特許庁へ提出する。これを怠ると特許庁からの通知が前任者に届き続け、承継人は期限を知らないまま徒過する。特許権であれば移転登録(特許法98条)も同時に進める
- 4.承継した期限をカレンダー管理に移す 包袋で洗い出した応答期限・分割出願期限・審判の答弁期限を、自社の期限管理システムに即座に登録する。前任者の起算日が生きているため、最初の1週間で処理しないと間に合わない案件がある
よくある質問 AI による整理
Q1特許法20条とは何ですか?
特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力が、その承継人にも及ぶことを定めた規定です。譲受人は前権利者の手続上の地位を包括的に引き継ぎます。
Q2特許を譲り受けたら応答期限はリセットされる?
リセットされません。拒絶理由通知への応答期限は前権利者が受け取った時点から進行しており、譲受日から数え直すことはできません。
Q3特許の承継届はいつまでに出す?
特許法20条自体に期限はありませんが、出願中の権利は特許法34条4項の届出をしないと通知が前任者に届き続けます。譲受後ただちに提出してください。
Q4前の出願人の補正は取り消せる?
原則できません。20条により補正の効力は承継人に及びます。狭められた請求項を広げる補正は特許法17条の2で厳しく制限されます。
Q5特許の包袋(ファイル履歴)はどう確認する?
特許庁に対する書類閲覧請求や J-PlatPat の経過情報で、係属中の手続・通知・応答期限・補正履歴を確認できます。譲受契約の締結前が鉄則です。
Q6特許を買うときのデューデリで見落としやすい点は?
権利の有効性ばかり見て、特許庁に係属中の手続状態を見落とす点です。20条で手続の瑕疵も承継されるため、期限徒過寸前の案件は買った瞬間に消滅しかねません。
Q7相続で特許を承継した場合も20条は適用される?
適用されます。20条の「承継人」は譲渡による特定承継も相続等の一般承継も含み、被相続人が行った手続の効力は相続人にそのまま及びます。
Q8特許権の移転登録と手続の承継は違う?
違います。移転登録(特許法98条)は権利移転の効力発生要件、20条は特許庁での手続効力の帰属の問題です。登録済みでも係属中の審判はそのまま及びます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1出願中の特許を買ったのに、前の人宛てに特許庁から手紙が来ました。無視していいですか?
絶対に無視してはいけません。特許法20条により、その通知への対応義務はあなたに承継されています。前任者宛てでも応答期限はあなたを縛ります。早急に特許法34条4項の承継届を出し、以後の通知が自分に届くようにしてください。実務のポイント:実務では譲渡日と承継届の提出日にタイムラグが生じ、その間の特許庁通知が前任者に滞留して期限を徒過する事故が起きます。譲渡契約の段階で「通知転送の協力義務」を一条入れておくと、この穴を塞げる
Q2前の持ち主が出願の途中で権利範囲を狭める補正をしていました。買った後で元に戻せますか?
原則として戻せません。20条により、前任者が行った補正の効力はあなたにそのまま及びます。一度限定した請求項を広げる補正は、審査の段階や時期によって厳しく制限されます(特許法17条の2)。実務のポイント:弁理士は特許を譲り受ける前に必ず「補正の履歴」を包袋で確認します。狭すぎる請求項を掴まされると、その特許で他社を止める力が落ちる。買う前のファイル履歴チェックが、買った後の数千万円の価値を左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許を譲り受けたら、手続は自分が新しく始められる」と思いがちだが、20条はその逆。前任者が進めた手続はそのままあなたに引き継がれる。拒絶理由への応答期限も前任者が受け取った時点から数えるので、取得した直後に期限切れということもありうる
- 手続が引き継がれること自体は知っていても、その「不利益まで含めて」引き継がれる深刻さを見落としている人が多い。前任者が誤って権利範囲を狭める補正をしていたら、その狭い範囲のままあなたの特許になる。後からやり直しはきかない
- 「特許権の移転登録さえ済ませれば手続は安全」という問いの立て方そのものがずれている。20条が問題にするのは登録の有無ではなく、特許庁で進行中の手続の状態。登録済みの権利でも、無効審判や訂正審判が係属中なら、その手続ごとあなたに及ぶ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 特許法20条:特許庁でした手続の効力が承継人に及ぶ | 特許法34条:特許を受ける権利の承継と届出義務 特許法98条:特許権の移転の登録(効力発生要件) |
| 適用場面 | 出願中・審判係属中を含むすべての手続段階 | 特許を受ける権利(出願前・出願中)の移転 設定登録後の特許権の移転 |
| 怠った場合の帰結 | 承継自体は自動。前任者の期限徒過・不利な補正まで引き継ぐ | 届出を怠ると特許庁からの通知が前任者に届き期限を徒過する 登録を欠くと権利移転の効力が生じない |
| 承継人の自衛手段 | 契約前の包袋確認と表明保証条項 | 譲受後ただちの承継届提出 移転登録の完了確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は専利申請権・専利権の譲渡を認め、第三者対抗には智慧財産局への登記を要する。日本20条のような手続効力の承継を独立の条文で明示する形はとっていない
韓国特許法20条は日本20条とほぼ同一の条文構造で、特許庁に対してした手続の効力が承継人に及ぶ旨を定める。日本法を経由した継受関係が最も明確な例
ドイツは特許を受ける権利および特許権の移転・承継を規定し、手続の継続性は手続法一般の原則から導かれる。日本のように独立条文で手続効力の承継を宣言する構造はとらない
米国は譲渡(assignment)を書面要件で規律し、USPTO への記録が第三者対抗要件となる。審査係属中の期限や禁反言(prosecution history estoppel)は譲受人を拘束する点で実質的に同様の帰結
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 出願中の特許を譲り受けた直後、特許庁から前の出願人宛てに拒絶理由通知が届いていたと判明したら、どうなる? 応答期限はあなたの取得日からリセットされない。前任者が受け取った日から進行している。気付いたときには、残り10日もないかもしれない
- あなたの会社が他社の特許ポートフォリオを一括買収した。デューデリで権利の有効性だけ確認して満足していたが、その中の一件は前所有者が分割出願の期限管理を怠っていた。20条により、その手続上の瑕疵もそのまま承継される。買収契約の表明保証に手続状態を入れ忘れると、損失は丸ごとあなた持ちになる
- 従業員が職務発明を会社に承継させた。会社が出願手続を引き継ぐ。従業員が以前に補正で狭めた請求項の範囲も、会社をそのまま縛る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 権利を譲り受けたら、まず特許庁で包袋(出願・審査の全履歴)を取り寄せ、係属中の手続と応答期限を洗い出す2. 出願中なら特許法34条4項の承継届を直ちに提出し、以後の通知が自分に届くようにする3. 期限切れ間近の手続があれば最優先で対応、必要なら期間の延長や手続の補正を検討4. 前任者が隠していた手続上の瑕疵が見つかったら、譲渡契約の表明保証違反として損害賠償を請求する
訴えられた側:1. 特許を譲渡する側なら、係属中の手続と期限を正直に開示する。隠すと後で表明保証違反を問われる2. 譲渡契約に手続状態の現況を明記し、引き継ぎ時点での期限・補正・係属審判をリスト化する3. 承継届の提出を譲受人と分担し、誰がいつ特許庁へ届け出るかを契約で決める4. 移転登録(特許法98条)が効力発生要件となる権利は、登録完了までは自分が手続主体である点に注意する
時効(請求できる期限):20条自体に特定の期限はない。ただし引き継がれる各手続には個別の期限がある(拒絶理由通知への応答は原則60日、在外者は3月など)。承継届の提出が遅れると通知が前任者に届き、期限を知らぬまま徒過する危険があるため、譲受後ただちに動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:20条は手続の連続性と審査経済を確保する趣旨の規定であり、承継人は前権利者の手続上の地位を包括的に承継する。有利な効果のみを選択的に承継することはできず、期限の進行や補正による限定効果も一体として引き継がれると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:特許法全部改正(昭和34年法律第121号)により現行20条として制定。特許庁における手続の効力が権利の承継人に及ぶことを明文化し、承継による手続の中断・やり直しを排除した
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