特許法 第200条の3(秘密保持命令違反の罪)
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- 秘密保持命令に違反した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
- 3.第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
この条文の基本情報
秘密保持命令違反の罪とは何ですか?
定義秘密保持命令違反の罪とは、特許法第200条の3に定められた規定で、「秘密保持命令に違反した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第200条の3(秘密保持命令違反の罪)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第200条の3の条文原文は「秘密保持命令に違反した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 特許法第200条の3は第十一章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第200条の3の前の条は特許法第200条の2です。
- 特許法第200条の3の次の条は特許法第201条です。
- 特許法第200条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第200条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第200条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/200_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法200条の3は、秘密保持命令に違反した者を5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金に処すと定める。民事訴訟中の違反でありながら刑事罰で、親告罪である。
Q · 民事の特許裁判で見た秘密を漏らすと、本当に刑務所に入ることがあるの?
はい。5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金が科されます
特許法200条の3により、秘密保持命令(同法105条の4)に違反して営業秘密を漏らした者は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されます。民事訴訟の手続の中にありながら違反は刑事罰で、前科がつきます。命令の名宛人は当事者本人に限らず、代理人・補佐人・資料を扱う従業員にも及びます。ただし親告罪のため、被害者の告訴がなければ起訴できません。
解説
特許侵害で訴えた、あるいは訴えられた。その手続の中で、相手や自分の営業秘密が証拠として法廷に出てくる場面がある。裁判所はこのとき、その秘密を漏らすな、訴訟以外の目的に使うなと命じることができる。これが秘密保持命令(特許法105条の4)だ。そして、その命令に背いた者を待っているのが、この200条の3。5年以下の拘禁刑、または500万円以下の罰金、あるいは両方。ここで多くの人が見落とす一線がある。これは民事裁判の手続でありながら、違反は刑事罰だという点だ。普通、民事の約束を破っても払うのは金で済む。だがこの一線だけは、検察官が動き、前科がつく。しかも命令の名宛人は訴訟当事者本人に限らない。代理人弁護士、補佐人、そして資料を扱う従業員にまで及ぶ。あなたが技術担当として証拠を見ただけでも、名宛人になっていれば射程に入る。
法的な位置づけ
特許法200条の3は、秘密保持命令違反に対する罰則を定める規定である。裁判所が特許訴訟の当事者等に発した秘密保持命令(同法105条の4)に違反して営業秘密を漏らし、又は目的外に使用した者に対し、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金を科す。親告罪であり、国外犯にも適用される。
よくある質問 AI による整理
Q1秘密保持命令とは何ですか?
特許訴訟で営業秘密を保護するため、裁判所が当事者や関係者に対し、訴訟で知った秘密を漏らさず目的外に使わないよう命じる正式な命令です。根拠は特許法105条の4です。
Q2秘密保持命令違反の時効は何年ですか?
公訴時効は、法定刑が5年以下の拘禁刑のため5年です(刑訴250条2項)。ただし親告罪のため、犯人を知った日から6ヶ月の告訴期間が実務上は先に効きます。
Q3秘密保持命令の名宛人には誰が含まれますか?
訴訟当事者本人に限りません。代理人弁護士、補佐人、そして証拠資料を扱う従業員まで、命令を受けた者すべてが名宛人になり得ます。肩書きではなく命令書が範囲を決めます。
Q4秘密保持命令違反は親告罪ですか?告訴期間は?
はい、親告罪です(200条の3第2項)。被害者の告訴がなければ起訴できません。告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月です(刑事訴訟法235条)。
Q5秘密保持命令に違反するとどうなりますか?
5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されます。民事訴訟中の違反でありながら刑事罰で、前科がつきます。
Q6従業員が対象資料を漏らしたら会社も罰せられますか?
本条は漏らした個人を罰する故意犯です。会社は両罰規定の有無や管理責任を別途問われ得ますが、まず名宛人である従業員個人が5年以下の拘禁刑等の対象になります。
Q7秘密保持命令は訴訟が終わっても効力がありますか?
はい。訴訟終結後も、退職後も義務は消えません。命令が取り消されない限り効力は続き、後日漏らせば刑事責任を問われます。
Q8秘密保持命令違反と不正競争防止法違反はどう違いますか?
本条は裁判所の命令に背く点を罰し、不正競争防止法21条は営業秘密の不正取得・開示自体を罰します。同じ漏洩行為で両方が成立することもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1民事の裁判の話なのに、どうして刑務所に入ることがあるんですか?
秘密保持命令は裁判所が当事者や関係者に直接下す正式な命令(特許法105条の4)であり、破るのは私人間の約束違反ではなく司法命令への違反だからだ。だから200条の3は賠償ではなく拘禁刑を科す。実務のポイント:弁護士がこの命令を求めるのは相手を縛るためだけではない。自分の依頼者が安心して営業秘密を証拠に出せるようにする狙いもある。命令はあなたを縛る鎖であり、同時に相手の秘密を引き出す鍵でもある
Q2悪気なく、つい家族に話しただけでも罪になりますか?
この罪は故意犯だ。秘密保持命令の対象だと知りながら漏らした場合に成立し、命令の存在を本当に知らなければ故意を欠く。ただし『対象と思わなかった』という言い訳は、命令書を受け取っていれば通りにくい。実務のポイント:企業は命令を受けると、対象資料に触れる人全員に範囲を周知した記録を残すのが実務の定石。これは従業員を守ると同時に、万一の漏洩時に会社が管理を尽くしたと示すための布石でもある
Q3相手が告訴を取り下げてくれれば、もう罪に問われないんですか?
問われない可能性が高い。これは親告罪(200条の3第2項)で、告訴がなければ起訴できず、告訴は第一審判決の前なら取り消せる(刑事訴訟法237条)。だから告訴を取り下げる約束は強力な交渉材料になる。実務のポイント:漏らされた側にとって刑事告訴は、相手を刑務所に送るためより、有利な和解を引き出すために使われることが多い。取下げと引き換えに賠償の上乗せや謝罪、競業避止を取り付ける。引き金を握るのは秘密の持ち主の側だ
間違えやすい点 AI による整理
- 民事裁判の中の違反だから、せいぜい賠償金で片がつくと思い込んでいる。実際は刑事罰で、5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、しかも前科がつく。民事の手続に紛れ込んだ、数少ない刑務所直結の地雷だ
- 『自分は当事者本人ではない、ただの技術担当だから関係ない』と問いを立てがちだが、その問い自体がずれている。命令の名宛人は当事者だけでなく、代理人・補佐人・資料を扱う従業員にも及ぶ。あなたが射程内かは、肩書きではなく命令書が決める
- 秘密保持命令の存在は知っていても、その効力が訴訟終結後も、退職後も、さらに国外(第3項)まで追ってくる深刻さを知らない人が多い。手続が終われば義務も消えるという感覚は、この命令には通用しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 性質 | 特許法200条の3:秘密保持命令違反への刑事罰(拘禁刑・罰金) | 特許法105条の4:秘密保持命令そのもの(民事の裁判所命令) 不正競争防止法21条:営業秘密侵害罪(漏洩行為自体への刑事罰) |
| 発動場面 | 命令の名宛人が秘密を漏らし又は目的外使用したとき | 特許訴訟で営業秘密を証拠として保護する必要があるとき 不正な手段で営業秘密を取得・使用・開示したとき |
| 訴追要件 | 親告罪(被害者の告訴が必要) | 命令は当事者の申立て・裁判所の判断による(刑事訴追ではない) 類型により親告罪・非親告罪が分かれる |
| 国外犯 | 適用あり(第3項) | —(民事命令) 一定の類型で国外犯処罰規定あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日本法を参照して秘密保持命令制度を導入し、違反に刑事罰を科す。運用は日本と類似する
韓国も日本を範として特許法に秘密保持命令を導入し、その違反を刑事罰の対象とする
ドイツはEU営業秘密指令(2016/943)を国内法化。裁判所が訴訟での営業秘密開示を制限でき、違反には過料等の制裁が及ぶ
米国は裁判所の保護命令違反を法廷侮辱(contempt of court)として制裁。専用の刑事条文ではなく侮辱法理で対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは被告メーカーの開発担当として、相手方の営業秘密を含む証拠資料の検討チームに入った。帰宅後、同僚に『相手のあの数値、うちより低かったぞ』とLINEした。その一言が200条の3の構成要件を満たしうる。命令の名宛人に従業員が含まれていれば、軽い気持ちかどうかは関係ない
- 訴訟資料を自宅でも見たくて、秘密保持命令の対象ファイルを個人のクラウドに同期した。社外に流れていなくても、命令が禁じた『訴訟追行以外の目的での使用』に触れうる。便利さのための一手が、刑事事件の入口になる
- もし、訴訟が和解で終わった後に、相手から『あの秘密を漏らしたな』と告訴をちらつかされたら? 親告罪の告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月。相手はその時計を見ながら、あなたに不利な和解条件を飲ませようとしてくる。残された時間は、思うより短い
- 技術鑑定人として資料を見た。守秘の念書は書いていない。だが命令の名宛人なら、念書の有無は無関係。漏らせば罪に問われる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏洩の事実と経路を証拠化:誰がいつ何を、どこに出したかをメール・ログ・証言で固める2. 親告罪のため、犯人を知った日から6ヶ月以内に刑事告訴の要否を判断(刑事訴訟法235条)、期間を逃さない3. 並行して民事の損害賠償、不正競争防止法上の差止・賠償も検討4. 告訴を和解カードに使うか厳正処罰を求めるか、知財に強い弁護士と方針を決める
訴えられた側:1. まず自分が命令の名宛人か、漏らしたとされる情報が本当に対象範囲かを命令書で確認2. 故意犯なので、対象と知らなかった事情があれば記録・主張を準備3. 親告罪である点を踏まえ、相手方との示談で告訴の回避・取下げを目指す、第一審判決前なら取下げ可能(刑事訴訟法237条) 4. 刑事と知財の両方が分かる弁護士に早期相談、社内調査の記録化も並行
時効(請求できる期限):親告罪のため、告訴は犯人を知った日から6ヶ月以内(刑事訴訟法235条)。この期間を過ぎると起訴できない。公訴時効は、法定刑が5年以下の拘禁刑のため5年(刑事訴訟法250条2項)。実務上は6ヶ月の告訴期間が先に効く
学説
通説:本罪は故意犯であり、秘密保持命令の対象であることを認識しながら漏洩・目的外使用した場合に成立する。命令の名宛人は訴訟当事者に限らず、代理人・補佐人・資料を扱う従業員等、命令を受けた者に及ぶと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役・禁錮を拘禁刑へ統合する刑法改正に伴い、法定刑の『懲役』表記が『拘禁刑』へ変更された。秘密保持命令制度の導入時期・親告罪化・国外犯処罰(第3項)追加の各改正年は要人的検証
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:特許法改正により秘密保持命令制度(105条の4)を導入し、その違反に対する罰則として200条の3を新設。営業秘密を安心して証拠提出できる環境を整えた
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役・禁錮を拘禁刑に統合する刑法改正に伴い、法定刑の表記が『5年以下の懲役』から『5年以下の拘禁刑』へ変更された
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