特許法 第160条
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- 拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
- 2.前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
- 3.第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第160条は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第160条の条文原文は「拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。」で始まります。
- 特許法第160条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第160条の前の条は特許法第159条です。
- 特許法第160条の次の条は特許法第161条です。
- 特許法第160条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第160条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第160条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/160
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法160条は、拒絶査定不服審判で査定を取り消すとき、審判官がさらに審査に付す差戻審決をでき、その判断が審査官を拘束すると定める規定である。
Q · 拒絶査定不服審判で勝てば、もう特許は確定するの?
審判で取り消されても特許は確定せず、審査に差し戻されます
特許法160条1項により、拒絶査定不服審判で査定を取り消すとき、審判官は自ら特許査定をする代わりに、さらに審査に付すべき旨の審決(差戻審決)をすることができます。そのため審判で勝っても特許はすぐには確定しません。ただし同条2項で、差戻審決中の判断はその事件について審査官を拘束するため、審査官は審判で否定された理由を蒸し返して再び拒絶することはできません。もっとも拘束力が及ぶのは実際に判断された理由に限られ、別の引用文献や記載要件(特許法36条)など新たな理由での拒絶は可能です。
解説
特許出願が拒絶査定を受け、あなたは拒絶査定不服審判を請求した。審判官があなたの言い分を認め、審査官の拒絶査定を取り消す。普通ならここで「特許査定」かと期待するだろう。だが特許法160条は第三の道を用意している。審判官は自ら特許を認める代わりに、もう一度審査をやり直せと事件を審査官に差し戻すことができる(1項)。ここで多くの人が見落とすのが2項だ。差戻審決の中で示された審判官の判断は、その事件について審査官を拘束する。つまり審査官は、審判で否定された理由をもう一度持ち出して拒絶することができない。あなたが審判で勝ち取った判断は、差し戻された審査の場でも生き続ける盾になる。差戻しは振り出しに戻ることではない。あなたに有利な判断という地図を握ったまま、もう一度ゲーム盤に立つことだ。
法的な位置づけ
特許法160条は差戻審決を定める規定であり、拒絶査定不服審判において査定を取り消す際、審判官が自ら特許査定をせず、さらに審査に付すべき旨の審決をなしうる旨を規定する。同条2項は、その審決中の判断が当該事件について審査官を拘束すると定め、審判で否定された理由による審査の蒸し返しを防ぐ機能を有する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差戻審決の理由から拘束力の及ぶ範囲を特定する 差戻審決が届いたら審決理由を精読し、審査官を拘束する判断(どの拒絶理由が否定されたか)を線で囲んで特定する。拘束力が及ぶのは実際に判断された理由に限られる
- 2.差戻し後の拒絶理由通知を前審決と照合する 差戻し後の審査で拒絶理由通知が来たら、それが前審決で否定された理由と実質同一でないかを引用文献・条文単位で照合する。同一なら拘束力違反の疑いがある
- 3.意見書で拘束力(160条2項)違反を明示的に主張する 実質同一の理由であれば、意見書に「前審決で否定された理由であり特許法160条2項の拘束力に反する」と明記して書面に残す。これが後の争いの決定的証拠になる
- 4.再度の拒絶査定なら審判・審決取消訴訟で争う それでも拒絶査定が出たら、再度の拒絶査定不服審判(121条)、さらに審決取消訴訟(178条)を検討する。前審決の拘束力が最大の武器になるため、期間内に請求する
よくある質問 AI による整理
Q1差戻審決とは何ですか?
拒絶査定不服審判で査定を取り消すとき、審判官が自ら特許査定をせず、さらに審査に付すべき旨を命じる審決です(特許法160条1項)。事件は審査官に戻されます。
Q2拒絶査定不服審判で取り消されたら特許は確定しますか?
確定しません。160条1項で事件が審査に差し戻され、審査官が新たな先行技術や別の拒絶理由を見つければ再び拒絶できます。取消し=特許確定ではありません。
Q3特許法160条2項の拘束力はどこまで及びますか?
審判で実際に判断された理由についてのみ審査官を拘束します。審判で触れられなかった別の引用文献や記載要件(36条)での拒絶までは封じられません。
Q4差戻審決と審判官の自判(特許査定)は何が違いますか?
自判は審判官自身が特許査定して早期に権利化しますが、差戻しは審査官に審査をやり直させます。補正の有無や争点の性質でどちらになるかが変わります。
Q5意匠や商標の審判でも差戻審決はありますか?
あります。特許法160条は意匠法52条・商標法56条で準用され、意匠・商標の拒絶査定不服審判でも同じ差戻しと拘束力の仕組みが働きます。
Q6差戻し後にまた同じ理由で拒絶されたらどうすればいいですか?
160条2項の拘束力違反です。意見書で拘束力違反を明示し、それでも拒絶査定が出れば再度の審判や審決取消訴訟(178条)で争えます。
Q7拒絶査定不服審判はいつまでに請求しますか?
原則として拒絶査定謄本の送達日から3か月以内です(特許法121条)。差戻し後の再度の拒絶査定にも同じ期間が起算されます。
Q8審決取消訴訟の拘束力(181条)と160条2項は何が違いますか?
160条2項は審判官の審決が審査官を縛る庁内の拘束力、181条は知財高裁の取消判決が特許庁を縛る司法の拘束力です。上位機関の判断が下位機関を縛る発想は共通です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審判で拒絶が取り消されたのに、なんで審査にまた戻されるんですか。二度手間じゃないですか。
審判官は法律問題の判断は得意でも、新たな先行技術調査などの審査実務は審査官の領分です。だから取消しの判断だけ示して、具体的な審査は審査官に差し戻す(特許法160条1項)。ただし2項で審判官の判断が審査官を拘束するので、振り出しに戻るわけではありません。実務のポイント:実務では、審判官が自ら特許査定する自判と差戻しのどちらになるかは、補正の有無や争点の性質で変わる。出願人が早期権利化を望むなら、審判段階で拒絶理由を完全に潰し、自判を引き出す書面戦略を取るのが定石です
Q2差し戻された審査官が、審判で否定されたのと同じ理由でまた拒絶してきたら、どうなりますか。
それは特許法160条2項の拘束力に反する違法な処分です。意見書で拘束力違反を指摘し、それでも拒絶査定が出れば再度の審判や審決取消訴訟で取り消せる可能性が高い。実務のポイント:ただし拘束力が及ぶのは審判で実際に判断された理由に限られる。審査官が審判で触れられなかった別の引用文献や別の拒絶理由(例:記載要件の36条)を持ち出すのは拘束力違反になりません。同じ条文でも理由の実質が違えば許される、この線引きが争いの最前線です
間違えやすい点 AI による整理
- 「審判で拒絶査定が取り消されれば、もう特許は確定」と思い込んでいる人が多い。だが160条1項では事件が審査に差し戻され、審査官が新たな拒絶理由を見つければ再び拒絶できる。取消し=特許確定ではない
- 拘束力(2項)の存在は知っていても、その射程の狭さを知らない人は痛い目を見る。拘束されるのは審判で実際に判断された理由についてだけ。審査官は審判で触れられなかった別の条文、別の引用文献で改めて拒絶できる。拘束力は思っているほど万能の盾ではない
- 「差し戻されたら審査が一からやり直しで不利だ」という問いの立て方そのものがずれている。あなたから見れば後退でも、法律から見れば、あなたに有利な判断が刻まれた状態での再スタートだ。この落差を理解せず焦って手続を急ぐと、せっかくの拘束力を活かせない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 特許法160条:差戻審決と審査官への拘束力 | 特許法121条:差戻しの前提となる審判の請求 特許法181条:審決取消訴訟の取消判決の拘束力 |
| 誰の判断が誰を縛るか | 審判官の審決 → 審査官を拘束(庁内) | 拘束力の規定ではなく、審判請求の要件・期間を定める 知財高裁の判決 → 特許庁を拘束(司法) |
| 差戻し後の帰結 | 審査官は51条で特許査定するか、新理由で再拒絶(49条) | 審判が係属し、審理の結果160条1項の差戻しへ 特許庁が判決に従い改めて審決をやり直す |
| 拒絶理由通知の扱い | 160条3項で159条3項(審判での拒絶理由通知)を適用排除 | — — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は拒絶に対し再審査を経て訴願・行政訴訟へ進む構造で、行政訴訟法260条の発回判決の拘束力が下級機関を縛る点が日本の160条2項の発想に近い。
韓国も거절결정불복심판で審決が拒絶決定を取り消す際に審査へ回付でき、その判断が審査官を拘束するとされ、日本の差戻し+拘束力と枠組みが類似する。
ドイツは連邦特許裁判所が DPMA へ事件を差し戻すことができ、取消しの基礎となった法的評価は DPMA を拘束すると明文化されており、拘束力の構造が最も明快に対応する。
米国は PTAB への審判を経て審査官へ remand でき、Board の判断が審査手続に反映される。拘束の程度は運用(MPEP)に委ねられ、日本ほど明文の拘束規定は前面化していない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 審判で拒絶査定が取り消されたのに、なぜ特許証がすぐ届かないのか。それは審判官が160条1項で事件を審査に差し戻したからだ。審査官は審判官の判断に拘束されるが、新たな先行技術文献を見つければ別の拒絶理由を出せる。喜ぶのはまだ早い
- あなたの出願は進歩性なしで拒絶された。審判で「引用文献の組合せに動機づけがない」と主張し、審判官がこれを認めて取消・差戻し。差し戻された審査官は、もう同じ進歩性欠如を理由にできない。だが明確性要件(特許法36条)という別の土俵で攻めてくる余地は残る
- 差戻審決を受けた審査官が、拘束力に反して審判で否定された理由を蒸し返してきた。あなたに残された手は、再度の拒絶査定に対してまた審判を請求すること。だが時間と費用が二重にかかる。拘束力違反を理由に争う準備を、査定が来る前から整えておく必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差戻審決が届いたら、審決理由を精読し、審査官を拘束する判断の範囲を特定2. 差戻し後の審査で拒絶理由通知が来たら、それが前審決で否定された理由と同一でないかを照合3. 同一なら意見書で拘束力(特許法160条2項)違反を明示的に主張4. それでも拒絶査定が出たら、再度の拒絶査定不服審判、さらに審決取消訴訟(特許法178条)で争う。前審決の拘束力が最大の武器になる
訴えられた側:1. 早期権利化を狙うなら、審判請求時に差戻しではなく審判官自身による特許査定(自判)を引き出せるよう争点を絞り込んで完全に潰す2. 補正で拒絶理由を確実に解消し、審判官がこれ以上審査に戻す必要なしと判断できる状態を作る3. 差戻しになると審査やり直しで数か月から年単位の遅延が生じる点を計算に入れる4. 159条3項で審判中に拒絶理由通知が出たら、その場で完全対応し差戻しの口実を与えない
時効(請求できる期限):160条自体に時効はないが、その前提となる拒絶査定不服審判は、拒絶査定の謄本送達日から3か月以内に請求しなければならない(特許法121条)。差戻後の再度の拒絶査定に対しても、同じく審判請求期間が起算される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:差戻審決の拘束力(特許法160条2項)は、審決で現実に判断された理由についてのみ審査官に及ぶと解される。審判で触れられなかった別個の拒絶理由や別の引用文献、記載要件(36条)による再拒絶は拘束力に反しないとされ、拘束力の射程を狭く画するのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:現行特許法(昭和34年法律第121号)の全部改正により整備された審判・審査の規定群に属し、差戻審決と審査官に対する拘束力の枠組みが置かれている。
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