要点実用新案法 29 条は、実用新案権侵害の損害賠償額を、譲渡数量に基づく逸失利益・侵害者の利益額の推定・実施料相当額の三方式で算定でき、権利者の立証負担を軽減すると定める規定である。
Q · 実用新案権をパクられたとき、いくら損害賠償を請求できるの?
三方式で算定でき、立証が苦手でも請求できます
実用新案法 29 条により、損害賠償額を三つの方式で算定できます。第一に侵害品の譲渡数量に自社製品 1 個あたりの利益を乗じた額(1 項)。第二に侵害者が侵害で得た利益額を自分の損害と推定する方式(2 項)。第三に最低でも実施料相当額(3 項)。相手の売上や利益が外部から掴めなくても、2 項で立証責任が相手側に移り、3 項なら証拠が薄くても請求の足場になります。ただし 1 項には自社の実施能力を超える分を差し引く上限があり、2 項の推定も反証で覆る点に注意が必要です。
発明より手軽に取れる権利として実用新案権を取得した。ところが他社にそっくりな製品を量産され、安値で市場に流された。さて、いくら請求できるのか。ここで多くの権利者がつまずく。民法 709 条の原則どおりなら、あなたは「相手の行為で自分がいくら損したか」を自力で立証しなければならない。だが侵害品が何個売れたか、その利益がいくらか、社外のあなたに分かるはずがない。29 条はこの立証の壁を三段構えで崩す。第一に、相手の販売数量にあなたの製品 1 個あたりの利益を掛けた額を損害とみなす(1 項)。第二に、相手が侵害で得た利益額を、そのままあなたの損害と推定する(2 項)。第三に、最低でも実施料相当額(正規にライセンスしたら取れたであろうライセンス料の相場)は必ず請求できる(3 項)。立証できない空白を法律が肩代わりする、それがこの条文の正体だ。
実用新案法 29 条は、実用新案権または専用実施権の侵害に対する損害賠償額の算定特則である。民法 709 条の一般原則では権利者が実損を立証する必要があるところ、本条は侵害品の譲渡数量に基づく逸失利益(1 項)、侵害者の利益額の推定(2 項)、実施料相当額(3 項)という三段階の算定方式を定め、損害額の立証負担を軽減する機能を有する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
実用新案法 29 条で三方式があります。譲渡数量×単位利益(1 項)、侵害者の利益額の推定(2 項)、実施料相当額(3 項)を比較し、最も高い軸を主軸に据えるのが実務の定石です。
実用新案は無審査登録のため、登録の有効性を特許庁が評価した書面が技術評価書です。29 条の 2 により、これを提示しての警告が権利行使の事実上の前提となります。
まず相手が実用新案技術評価書を提示しているか確認します。なければ権利行使の前提が欠けます。次に権利の有効性を疑い、先行技術調査で反撃の余地を探ります。
正規にライセンスしていれば得られたであろうライセンス料の相場です。29 条 3 項で最低保証的に請求でき、令和元年改正後は侵害前提の増額も考慮されます。
損害および加害者を知った時から 3 年、不法行為時から 20 年で消滅時効です(民法 724 条)。証拠が薄くても 3 項でまず時効を止める順番が重要です。
勝てば算定構造はほぼ同じです。違いは入口で、実用新案は無審査のため技術評価書の提示が前提となり、無効時には警告者が逆に賠償責任を負います(29 条の 3)。
事案ごとに大きく異なります。侵害品の販売規模・自社の単位利益・実施料率で変動し、決まった相場はありません。三方式を試算して比較するのが基本です。
あります。無審査登録なので権利が無効と判断される余地があり、評価書なしの警告で相手に損害を与えると、自分が賠償責任を負うリスクがあります(29 条の 3)。
できます。それこそが 29 条の存在意義です。2 項は相手が侵害で得た利益額をそのままあなたの損害と推定し、立証責任を相手側に移します。さらに数量や利益が掴めなくても、3 項の実施料相当額なら確実に請求の足場になります。業界裏話ヒント:訴訟では文書提出命令や計算鑑定で相手の販売帳簿を引き出せます。実務では「まず 2 項で相手に数字を出させ、足りなければ 3 項で底上げする」という二段構えが定石。最初から低い実施料だけで諦める必要はない
弱いのは事実ですが、勝てば 29 条の損害賠償は特許とほぼ同じ構造で使えます。問題は入口です。実用新案は無審査登録なので、権利行使には実用新案技術評価書(29 条の 2)の提示が前提で、評価が低い権利で警告して相手に損害を与えると、逆にあなたが賠償責任を負います(29 条の 3)。業界裏話ヒント:弁理士は評価書の評価ランクを見て勝負するかを判断します。評価書で進歩性が肯定された権利は強い武器、否定された権利は抜かない方が安全。この一枚の評価書を取らずに警告状を出すのが、素人が最も踏みやすい地雷
むしろ逆になりうるのが令和元年改正後の重要点です。4 項により、裁判所は侵害があったことを前提に当事者が交渉したと仮定した対価を考慮できます。正規ライセンスは事前の善意の交渉ですが、侵害後の算定では侵害ペナルティ込みの増額が認められる余地があります。業界裏話ヒント:かつては実施料相当額が事実上の上限みたいに低く抑えられ「侵害し得」と批判されました。改正はそれを是正する趣旨。だから 3 項を主張するときは『侵害がなければ強気の料率で交渉できたはずだ』という主張を意識的に組み込む
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 算定の根拠 | 実用新案法 29 条:三方式(数量計算・利益推定・実施料相当額) | — |
| 立証負担 | 推定規定で侵害者側に負担を移す | — |
| 権利者のリスク | 1 項は実施能力超過分を控除、2 項は反証で減額 | — |
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