実用新案法 第29条の3(実用新案権者等の責任)
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- 実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。
- 2.前項の規定は、実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面についてした第十四条の二第一項又は第七項の訂正により実用新案権の設定の登録の際における実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないこととなつた考案についてその権利を行使し、又はその警告をした場合に準用する。
この条文の基本情報
実用新案権者等の責任とは何ですか?
定義実用新案権者等の責任とは、実用新案法第29条の3に定められた規定で、「実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第29条の3(実用新案権者等の責任)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第29条の3の条文原文は「実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる…」で始まります。
- 実用新案法第29条の3は第二節 権利侵害に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第29条の3の前の条は実用新案法第29条の2です。
- 実用新案法第29条の3の次の条は実用新案法第30条です。
- 実用新案法第29条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第29条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第29条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/29_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法29条の3は、権利行使後に実用新案登録が無効と確定したとき、権利者に損害賠償責任を負わせる。技術評価書に基づく行使等は免責される。
Q · 実用新案権で警告状を送ったあとに、その登録が無効になったらどうなるの?
相手に与えた損害を、あなたが賠償する側に回ります。
実用新案法29条の3により、権利行使や警告のあとに実用新案登録を無効とする審決が確定すると、その権利行使で相手に与えた損害(販売停止による逸失利益、信用毀損など)の賠償責任を負います。実用新案は無審査で登録されるため、権利自体が脆弱だからです。ただし、実用新案技術評価書の肯定的評価に基づいて行使したとき、その他相当の注意をもって行使したときは免責されます。警告前に技術評価書を取ることが最大の防御策です。
解説
特許と実用新案、名前は似ているが中身は正反対だ。特許は特許庁が新規性や進歩性まで審査して初めて成立する。だが実用新案は、書類さえ整っていれば中身を審査せずに登録される。つまりあなたが手にしている実用新案権は、本当に有効かどうか誰も保証していない「未検証の権利」だ。その危うさを背負ったまま、あなたが「うちの権利を侵害している」と相手に警告状を送り、訴訟を起こしたとする。ところが後で、その登録は無効だと審決で確定したら、立場が一気に逆転する。あなたが相手に与えた損害、営業妨害、取引停止、信用毀損、それを今度はあなたが賠償する側に回る。29条の3はそういう条文だ。逃げ道は基本的に一つ。実用新案技術評価書というお墨付きを取り、それに基づいて権利を行使していれば、責任を免れる。評価書なしに振りかざした剣は、抜いた本人の腕を斬る。
法的な位置づけ
実用新案法29条の3は、無審査で登録される実用新案権の濫用から第三者を保護するための責任規定である。権利者又は専用実施権者が権利行使又は警告をした後に登録無効の審決が確定した場合、相手方に与えた損害の賠償責任を課す。ただし技術評価書の肯定的評価に基づくか、相当の注意をもって行使したときは免責される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.権利行使の前に実用新案技術評価書を請求する 警告状を送る前に、特許庁に実用新案技術評価書を請求する(実用新案法12条)。肯定的評価が出てから動くことで、後に無効となっても免責される可能性が大きく上がる
- 2.警告時に技術評価書を提示する 相手方への警告は内容証明郵便で行い、実用新案技術評価書を提示・添付する。提示は法定義務であり(実用新案法29条の2)、提示しない警告には相手が応じる必要がない
- 3.評価書なしで動く場合は『相当の注意』の証拠を残す やむを得ず評価書なしで権利行使する場合は、弁理士の鑑定書など権利の有効性を確認した記録を残し、相当の注意を尽くした証拠を確保する
- 4.無効審判を起こされたら権利行使を冷静に再評価する 相手から実用新案登録無効審判を申し立てられたら、自分の権利の有効性を再評価し、勝ち目が薄ければ早期に権利行使を止めて賠償リスクの拡大を防ぐ
よくある質問 AI による整理
Q1実用新案の損害賠償義務とは何ですか?
実用新案権者が権利を行使・警告した後に登録が無効と確定すると、相手方に与えた損害を賠償する義務を負う制度です(実用新案法29条の3)。無審査で登録される脆弱な権利だからこその責任です。
Q2実用新案権が無効になったら過去の警告はどうなる?
無効審決が確定すると、それまでの権利行使や警告で相手に生じた逸失利益・信用毀損などの損害を、権利者が賠償しなければなりません。事実上、立場が逆転します。
Q3実用新案の警告状を送るとどんなリスクがある?
技術評価書なしに警告すると、後で登録が無効になった場合に逆に損害賠償請求の的になります。営業妨害や取引停止の損害を背負う側に回るリスクがあります。
Q4実用新案登録無効審判はどう申し立てる?
特許庁に実用新案登録無効審判(実用新案法37条)を請求します。新規性・進歩性の欠如などの無効理由を主張し、無効が確定すれば相手の権利は遡って消滅します。
Q5実用新案権の損害賠償請求に時効はある?
本条の責任は不法行為に基づくため、損害および加害者を知った時から3年、行為時から20年で時効です(民法724条)。無効審決の確定が起算点の目安です。
Q6専用実施権者も29条の3の責任を負いますか?
負います。本条は実用新案権者『又は専用実施権者』を名宛人とし、ライセンスを受けて権利行使した側も無効確定時に賠償責任を負います。
Q7実用新案の権利行使で『相当の注意』とは?
権利の有効性を慎重に確認する注意義務を指します。技術評価書の取得や弁理士の鑑定など、確認を尽くした証拠があれば免責されやすくなります。
Q8実用新案を訂正したら過去の権利行使の責任はどうなる?
訂正により当初の請求の範囲に含まれなくなった考案について権利行使していた場合、本条2項が準用され、同様に賠償責任を負う可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1実用新案って特許とどう違うんですか?取れば同じように守られるんでしょ?
大違いです。特許は特許庁が新規性・進歩性まで審査して認める権利、実用新案は基礎的要件だけ見て中身は無審査で登録されます(実用新案法14条2項)。だから「登録=有効」ではありません。実務のポイント:弁理士の間では「実用新案は権利行使しにくい権利」が常識です。29条の3の逆賠償リスクがあるため、評価書なしの警告は事実上やらない。取得は安いが振るうのは怖い、それが実用新案の正体です
Q2技術評価書って取らなきゃダメなんですか?お金かかりますよね?
権利を行使する前に評価書を「提示」する義務があります(実用新案法29条の2)。提示せず警告しても相手は応じなくてよく、さらに評価書なしで強行して登録が無効になれば、本条で賠償です。実務のポイント:評価書の請求手数料は数万円程度。これをケチって警告を強行し、後で数百万円の賠償を負う例があります。評価書は訴訟前の「保険料」だと考えるべきです
Q3相手が実用新案を盾に販売停止しろと言ってきました。従うしかない?
いいえ。まず相手が技術評価書を示しているか確認してください。示していない、または否定的評価なら、その権利は脆弱です。あなたが無効審判(実用新案法37条)で潰せる余地があります。実務のポイント:評価書を添付せず威圧だけしてくる警告は、相手も自信がない証拠。逆に「評価書を見せてください」と返すと、相手が引っ込むことが多い。沈黙と一問が最大の武器です
Q4評価書で肯定的評価をもらえば、絶対に賠償しなくていいんですか?
「絶対」ではありませんが、肯定的評価に基づいて権利行使していれば、本条但書の免責が働き、後に無効になっても原則として賠償を免れます。ただし評価書の対象外の無効理由には注意が必要です。実務のポイント:実用新案技術評価は6段階で示され、最高評価でも無効リスクはゼロではない。だが評価書に依拠した事実そのものが「相当の注意」の証明になる。だから評価書は結論より『取った事実』に意味があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「権利を登録したのだから、侵害者を訴えるのは当然の正義だ」と思いがちだが、実用新案では逆に、軽率に訴えた側が賠償責任を負う。登録は「訴える資格」ではなく「慎重に扱うべき爆弾」だ
- 「実用新案も特許と同じく国が認めた権利だ」とは知っていても、その『国が認めた』が中身ゼロ審査だという深刻さを知らない。無審査ということは、明日にでも無効になりうるということだ。その脆さの上に訴訟戦略を組めば、土台ごと崩れる
- 「どうやって相手を訴えるか」を考えている時点で、問いの立て方が間違っている。先に問うべきは「自分の実用新案は技術評価書で何点の評価が出るか」。その確認を飛ばした権利行使は、地盤のない場所に建てる家だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 29条の3:無効確定時の権利者の損害賠償責任(事後の結果責任) | 29条の2:権利行使前の技術評価書の提示義務(事前の手続義務) 37条:実用新案登録無効審判(権利そのものを無効化する手続) |
| 誰のための規定か | 警告を受けた相手方(被害者)を救済 | 警告を受けた相手方に判断材料を保障 脆弱な権利を争う側(被疑侵害者)が利用 |
| 免責・防御の鍵 | 技術評価書の肯定的評価/相当の注意 | 評価書を提示すれば義務を履行 新規性・進歩性欠如等の無効理由の立証 |
他国ではどう定めているか 3 か国
新型専利技術報告に基づかない権利行使で専利が撤銷された場合の損害賠償責任を定め、日本29条の3とほぼ同型。新型専利技術報告が技術評価書に対応する。
実用新型・意匠の侵害訴訟で専利権評価報告の提出を求める制度。免責構造は日本ほど明文化されていないが、評価報告の機能が技術評価書に対応する。
ドイツは実用新案(Gebrauchsmuster)発祥国で無審査登録を採るが、行使後無効時の責任は一般不法行為や仮処分執行の責任(ZPO §945)で処理され、日本のような専用の賠償規定は置かれていない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 町工場で考案した便利グッズを実用新案登録した。模倣品をアマゾンで見つけ、頭に血が上って販売停止の警告状を送った。だが技術評価書は取っていない。相手が無効審判を申し立て、登録は新規性なしで無効に。相手が売り逃した利益を、今度はあなたが払う番になる
- もし、見知らぬ会社から「貴社製品は当社の実用新案権を侵害している、ただちに販売を中止せよ」という警告状が届いたら、あなたはどう動く? 慌てて在庫を引き上げる前に確認すべきは一点。相手は実用新案技術評価書を添付しているか。なければ、その警告自体が後で賠償請求の的になりうる
- クラウドファンディングで売れ始めた商品に、競合が実用新案を盾に警告。あなたは怯えて出品を取り下げた。だがその実用新案、評価書もない。引け腰になる前に、評価書の有無を聞け
- 無効審判の審決が確定するまで残り数週間というタイミングで、あなたが警告と権利行使を続けていたとする。確定した瞬間、それ以降の行使は丸ごと賠償リスクに変わる。止めるなら今しかない
- 友人が「実用新案を取ったから模倣業者を片っ端から訴える」と意気込んでいる。あなたが教えてあげられる一言が、彼を破滅から救う。「評価書は取った?」
取るべき行動
被害を受けた側:1. 警告状を送る前に、必ず実用新案技術評価書を特許庁に請求する(実用新案法12条)、肯定的評価が出てから動く2. 評価書なしで動かざるを得ないなら、弁理士の鑑定書など「相当の注意」を尽くした証拠を残す3. 警告は内容証明で、技術評価書を添付して送る(提示は法定義務、実用新案法29条の2) 4. 無効審判を起こされたら自分の権利の有効性を冷静に再評価、勝ち目が薄ければ早期に権利行使を止め、賠償リスクの拡大を止める
訴えられた側:1. 警告状を受けても即座に販売停止しない、まず相手が技術評価書を添付しているか確認する2. 評価書がない、または否定的評価なら相手の権利は脆弱、安易に屈しない3. 自ら実用新案登録無効審判(実用新案法37条)を申し立て、登録を潰しにいく4. 無効が確定すれば、警告で被った損害(販売停止による逸失利益等)を本条で逆に請求できる、警告状・取引停止の記録を保全する
時効(請求できる期限):本条の賠償請求権は不法行為に基づくため、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年で時効(民法724条)。起算点は通常、無効審決の確定により賠償請求が可能だと知った時。無効審判の請求自体に期間の制限はない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:無審査で登録される実用新案権は脆弱であるため、29条の3は権利取得の容易さと引き換えに権利行使へ重い自己責任を課す安全弁であると解されている。技術評価書に基づく行使等を免責する但書が、無審査登録制度を社会的に許容可能にする均衡装置として機能する。
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年)改正、平成6年(1994年)施行 実用新案の無審査登録制度の導入に伴い新設。審査を経ない脆弱な権利を行使した後に登録が無効となった場合の、権利者・専用実施権者の損害賠償責任を定めた。技術評価書に基づく行使等を免責する但書も同時に設けられた
- 平成16年(2004年)改正 実用新案制度の見直し(存続期間の伸長、特許出願への変更制度の導入等)に伴い、技術評価および関連手続が整理され、但書の引用条文・評価基準が調整された
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 新設:実用新案の無審査登録制度の導入に伴い新設。審査を経ない脆弱な権利を行使した後に登録が無効となった場合の、権利者・専用実施権者の損害賠償責任を定め、技術評価書に基づく行使等を免責する但書も同時に設けた。
- 2.平成16年(2004年) 改正:実用新案制度の見直し(存続期間の伸長、特許出願への変更制度の導入等)に伴い、技術評価および関連手続が整理され、但書の引用条文・評価基準が調整された。
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