要点意匠法 22 条は、基礎意匠とその関連意匠の意匠権を分離して移転できないと定める。関連意匠は束として同一人にのみ帰属し、一件だけの譲渡や担保設定はできない。
Q · 関連意匠を登録したけど、そのうち一件だけを他社に売ることはできる?
関連意匠は単独で売れず、束ごとでしか移転できません
意匠法 22 条 1 項により、基礎意匠とその関連意匠の意匠権は分離して移転することができません。関連意匠は互いに類似するデザインの束であり、別々の権利者に分散すると権利関係が錯綜するため、常に同一人のもとに置く必要があります。この制限は単純な売却だけでなく、担保設定、事業の一部譲渡、M&A のカーブアウトにも及びます。一件だけ現金化したい場合は、譲渡ではなく通常実施権(ライセンス)の設定で対応するのが実務上の代替策です。
自社のヒット商品のデザインを意匠登録し、そのバリエーションを関連意匠として複数押さえた。数年後、その中の一つだけを別会社に売りたい、あるいは事業譲渡で一部だけ切り出したい。ところが、できない。意匠法22条は、基礎意匠とその関連意匠の意匠権を「分離して移転することができない」と定める。一群の関連意匠は一つの塊として、同じ持ち主のもとでしか動けないという縛りだ。なぜか。関連意匠は互いに似ているデザインの集まりである。もしバラバラに売れてしまえば、よく似た意匠権を別々の会社が持つことになり、誰がどこまで実施できるのかが混乱する。その混乱を立法で封じたのが本条だ。あなたが知っておくべきは、この縛りが単純な売却だけでなく、担保設定、事業の一部譲渡、M&Aのカーブアウトすべてに効いてくるという点。デザイン資産を作るときの設計が、将来の出口を縛る。
意匠法 22 条は関連意匠の意匠権の移転制限を定める規定であり、基礎意匠とその関連意匠の意匠権は分離して移転できず、常に同一人に帰属する。関連意匠が互いに類似することによる権利関係の錯綜を防ぎ、第三者から見た権利の帰属を明確に保つことを目的とする。
基礎意匠に類似する自社のバリエーションデザインを、まとめて登録する制度です。似たデザインを束として保護できますが、意匠法 22 条により束ごとでしか権利を動かせません。
関連意匠の出願の基準となる中心の意匠のことです。関連意匠は基礎意匠に類似する範囲で登録され、両者は運命を共にする束として扱われます。
できません。基礎意匠と関連意匠は分離移転できないため、シリーズ全体をまとめて譲渡するか、ディール自体を束前提で組み直す必要があります。
束のうち価値の高い一件だけを譲渡担保にすることはできません。分離移転が禁じられているため、担保化するなら束ごとが前提になります。
独立意匠は単独で自由に売却・担保化できますが、関連意匠は基礎意匠と束になり分離移転できません。将来単独で動かしたい意匠は独立意匠で出願すべきです。
基礎意匠の意匠権が登録料未納で消滅したり、無効審決が確定・放棄されたときでも、関連意匠は分離移転できない状態が固定されるという場面で働きます。
意匠登録原簿を取り寄せ、対象意匠が基礎意匠か関連意匠か、束にどの意匠が含まれるかを確認します。束と分かれば部分取得は不可能と判断できます。
関連意匠の存続期間は基礎意匠の出願日を基準に連動します(意匠法 21 条)。個別に延長されるわけではなく、束として期間管理する必要があります。
できません。意匠法22条1項が、基礎意匠とその関連意匠の意匠権は分離して移転できないと明記しています。束ごと同一人に譲るしかありません。業界裏話ヒント:実務では「束を丸ごと売るのは嫌だが一部だけ現金化したい」というニーズに対し、譲渡ではなく実施権の設定で対応します。ただし専用実施権も基礎意匠と関連意匠で同時設定が必要(意匠法27条)なので、通常実施権が現実的な逃げ道になることが多い
通常実施権(ライセンス)なら、個別の関連意匠について設定できる余地があります。所有権そのものを動かす「移転」を禁じる22条とは別の話だからです。ただし専用実施権(独占的ライセンス)は基礎意匠と関連意匠で同時に同一人へ設定する必要があります(意匠法27条)。業界裏話ヒント:M&Aで「権利は渡せないがビジネスは渡したい」というとき、独占的な通常実施権という形で、実質的に専用実施権に近い効果を出す設計がよく使われる
基礎意匠の意匠権が登録料の追納期間経過で消滅すると(意匠法44条4項)、その瞬間から関連意匠の側も分離移転できない状態が固定されます(22条2項)。基礎意匠が先に消えても、関連意匠だけ自由に動かせるようにはなりません。業界裏話ヒント:登録料の納付管理を関連意匠ごとにバラバラの担当に任せていると、基礎意匠の納付漏れで束全体の出口戦略が狂う。意匠ポートフォリオは束単位で期限管理するのが鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 22 条:関連意匠の意匠権の移転(所有権の移動) | — |
| 束としての縛り | 基礎意匠と関連意匠は分離して移転できない | — |
| 一件だけの処分 | 不可。束ごとでしか動かせない | — |
| 代替手段 | 通常実施権(ライセンス)の設定で代替 | — |
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