要点意匠法 27 条は専用実施権を定める。設定登録すれば専用実施権者が独占実施し、意匠権者本人も締め出される。基礎意匠と関連意匠は全てを同一人に同時設定する場合のみ可能。
Q · 自社のデザインを他社に『独占で使わせる』契約って、通常のライセンスと何が違うの?
専用実施権は登録で自分も締め出す独占権です
意匠法 27 条の専用実施権は、特許庁に登録される物権的な独占権です。設定した範囲では意匠権者本人も業として実施できなくなり(2 項)、専用実施権者だけが独占実施し、侵害者を自ら差止め・損害賠償請求できます。通常実施権(28 条)が『使ってよい』という許可にすぎないのと決定的に違います。さらに基礎意匠と関連意匠がある場合、それら全てを同一人に同時設定する場合しか専用実施権を設定できず(27 条 1 項ただし書き)、デザインごと・相手ごとの細切れライセンスはできません。
あなたが自社製品のデザインを意匠登録し、その製造を他社に任せる。このとき結ぶ契約には二種類ある。一つは「使ってよい」と許す通常実施権、もう一つが意匠法27条の専用実施権だ。後者は決定的に違う。専用実施権を設定し特許庁に登録すると、その範囲ではあなた自身さえ製品を作れなくなる。権利を渡した相手だけが独占し、しかも侵害者を自ら裁判で訴えられる(意匠法37条)。さらに落とし穴がある。あなたが本体デザイン(基礎意匠)とその派生バリエーション(関連意匠)を複数登録していた場合、専用実施権はそれら全部を同一の相手に同時に渡すときしか設定できない。一部だけA社、残りをB社という分割は法律が禁じる。契約書に署名する前に、自分が渡そうとしているのが「許可」なのか「独占の明け渡し」なのかを知らないと、自社の手足を縛ることになる。
意匠法 27 条の専用実施権とは、意匠権者が設定行為で定めた範囲内において、専用実施権者が業として登録意匠およびこれに類似する意匠の実施を独占する権利をいう。特許庁への設定登録により効力を生じ、その範囲では意匠権者自身の実施も排除される。基礎意匠と関連意匠については、全てを同一の者へ同時に設定する場合に限り設定が認められる。
意匠権者が設定した範囲で、専用実施権者だけが登録意匠とその類似意匠を業として独占実施できる物権的な権利です。特許庁への設定登録により効力が生じます(意匠法 27 条)。
設定行為自体は当事者間で成立しますが、特許庁への設定登録をしなければ効力を生じません(特許法 98 条準用)。登録がなければ第三者に対抗できず、二重設定のリスクが残ります。
専用実施権は登録される物権的な独占権で権利者本人も締め出されます。通常実施権(意匠法 28 条)は『実施してよい』という許諾にすぎず、独占性も本人排除効もありません。
登録免許税と手続費用がかかります。金額は改定されるため最新額は特許庁の公式情報で確認してください。弁理士に依頼する場合は別途報酬が発生します。
できます。専用実施権者は自己の名で差止請求や損害賠償請求が可能です(意匠法 37 条、特許法 100 条準用)。通常実施権者は原則としてこれを単独では行使できません。
基礎意匠と全ての関連意匠を、同一の者に対して同時に設定する場合に限り認められます(意匠法 27 条 1 項ただし書き)。一部だけを別の相手に設定することはできません。
意匠権者の承諾を得た場合や相続その他の一般承継の場合などに移転でき、移転には登録が効力要件となります(特許法 77 条・98 条準用)。契約に手続条項を明記すべきです。
基礎意匠が登録料未納・無効審決確定・放棄で消滅すると、関連意匠の専用実施権は全ての関連意匠を同一人に同時設定する場合に限り設定できるという特則に切り替わります(意匠法 27 条 3 項)。
専用実施権(意匠法27条)は特許庁に登録される物権的な独占権で、権利者本人も実施できなくなり、侵害者を自ら訴えられます。独占的通常実施権は当事者間の契約上の独占にすぎず、登録されず第三者対抗力もありません。業界裏話ヒント:実務では登録の手間を嫌って独占的通常実施権で済ませる契約が非常に多い。だが相手が約束を破って他社にも使わせたとき、登録のない独占は差止めがまず通らない。本気の独占なら登録まで詰めること
専用実施権では不可能です。意匠法27条1項ただし書きにより、基礎意匠と全ての関連意匠は同一の者に同時に設定する場合に限られ、デザインごと、相手ごとの細切れは認められません。業界裏話ヒント:関連意匠をまとめて登録するのは保護を厚くする反面、ライセンス戦略の自由度を犠牲にする。複数社に分けて使わせたい設計なら、最初から関連意匠で束ねず独占的通常実施権で組む方が柔軟。出願戦略の段階で出口を考えておく
その範囲では作れません。意匠法27条2項により、専用実施権者がその登録意匠と類似意匠の実施を専有し、設定した範囲では意匠権者本人も業として実施できなくなります。業界裏話ヒント:これを知らずに全範囲で専用実施権を設定し、後で自社の新ラインが自分の意匠に引っかかる事故が起きる。地域、期間、用途で範囲を切って設定すれば自社事業に必要な部分を残せる。設定行為の範囲設計が勝負どころ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 法的性質 | 専用実施権(27 条):登録される物権的独占権 | — |
| 設定登録 | 効力要件(特許法 98 条準用) | — |
| 意匠権者本人の実施 | 設定範囲では実施不可(27 条 2 項) | — |
| 侵害者への差止め | 専用実施権者が自ら請求可(37 条) | — |
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