意匠法 第27条(専用実施権)
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- 意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
- 2.専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
- 3.基礎意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該基礎意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、全ての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
- 4.特許法第七十七条第三項から第五項まで(移転等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。
この条文の基本情報
専用実施権とは何ですか?
定義専用実施権とは、意匠法第27条に定められた規定で、「意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権に…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第27条(専用実施権)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第27条の条文原文は「意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権に…」で始まります。
- 意匠法第27条は第一節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第27条の前の条は意匠法第26条の2です。
- 意匠法第27条の次の条は意匠法第28条です。
- 意匠法第27条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第27条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第27条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法27条は専用実施権を定める。設定登録すれば専用実施権者が独占実施し、意匠権者本人も締め出される。基礎意匠と関連意匠は全てを同一人に同時設定する場合のみ可能。
Q · 自社のデザインを他社に『独占で使わせる』契約って、通常のライセンスと何が違うの?
専用実施権は登録で自分も締め出す独占権です
意匠法27条の専用実施権は、特許庁に登録される物権的な独占権です。設定した範囲では意匠権者本人も業として実施できなくなり(2項)、専用実施権者だけが独占実施し、侵害者を自ら差止め・損害賠償請求できます。通常実施権(28条)が『使ってよい』という許可にすぎないのと決定的に違います。さらに基礎意匠と関連意匠がある場合、それら全てを同一人に同時設定する場合しか専用実施権を設定できず(27条1項ただし書き)、デザインごと・相手ごとの細切れライセンスはできません。
解説
あなたが自社製品のデザインを意匠登録し、その製造を他社に任せる。このとき結ぶ契約には二種類ある。一つは「使ってよい」と許す通常実施権、もう一つが意匠法27条の専用実施権だ。後者は決定的に違う。専用実施権を設定し特許庁に登録すると、その範囲ではあなた自身さえ製品を作れなくなる。権利を渡した相手だけが独占し、しかも侵害者を自ら裁判で訴えられる(意匠法37条)。さらに落とし穴がある。あなたが本体デザイン(基礎意匠)とその派生バリエーション(関連意匠)を複数登録していた場合、専用実施権はそれら全部を同一の相手に同時に渡すときしか設定できない。一部だけA社、残りをB社という分割は法律が禁じる。契約書に署名する前に、自分が渡そうとしているのが「許可」なのか「独占の明け渡し」なのかを知らないと、自社の手足を縛ることになる。
法的な位置づけ
意匠法27条の専用実施権とは、意匠権者が設定行為で定めた範囲内において、専用実施権者が業として登録意匠およびこれに類似する意匠の実施を独占する権利をいう。特許庁への設定登録により効力を生じ、その範囲では意匠権者自身の実施も排除される。基礎意匠と関連意匠については、全てを同一の者へ同時に設定する場合に限り設定が認められる。
手順
- 1.渡す権利が『許可』か『独占の明け渡し』かを見極める 契約書の実施権条項を確認し、専用実施権(意匠法27条)か通常実施権(28条)か独占的通常実施権かを特定する。専用実施権なら意匠権者本人も実施できなくなる範囲を把握する
- 2.自社事業に必要な範囲を除外して設定範囲を設計する 地域・期間・実施態様で範囲を区切り、コア事業に必要な部分を専用実施権の範囲から外す。全範囲で設定すると自社の新ラインが自分の意匠に抵触する事故を防げる
- 3.関連意匠の同時設定要件を点検する 基礎意匠と関連意匠がある場合、全てを同一人に同時設定する構成になっているか確認する(意匠法27条1項ただし書き)。分割ライセンスが必要なら独占的通常実施権への切替えを検討する
- 4.特許庁へ専用実施権の設定登録を完了する 契約締結後、意匠権者と専用実施権者で特許庁に設定登録を申請する。登録して初めて効力が生じ第三者対抗力を得るため、未登録のまま放置しない(特許法98条準用)
よくある質問 AI による整理
Q1意匠の専用実施権とは何ですか?
意匠権者が設定した範囲で、専用実施権者だけが登録意匠とその類似意匠を業として独占実施できる物権的な権利です。特許庁への設定登録により効力が生じます(意匠法27条)。
Q2専用実施権は登録しないと無効ですか?
設定行為自体は当事者間で成立しますが、特許庁への設定登録をしなければ効力を生じません(特許法98条準用)。登録がなければ第三者に対抗できず、二重設定のリスクが残ります。
Q3専用実施権と通常実施権の違いは何ですか?
専用実施権は登録される物権的な独占権で権利者本人も締め出されます。通常実施権(意匠法28条)は『実施してよい』という許諾にすぎず、独占性も本人排除効もありません。
Q4専用実施権の設定登録にはいくらかかりますか?
登録免許税と手続費用がかかります。金額は改定されるため最新額は特許庁の公式情報で確認してください。弁理士に依頼する場合は別途報酬が発生します。
Q5専用実施権者は侵害者を自分で訴えられますか?
できます。専用実施権者は自己の名で差止請求や損害賠償請求が可能です(意匠法37条、特許法100条準用)。通常実施権者は原則としてこれを単独では行使できません。
Q6関連意匠を持っている場合、専用実施権はどう設定しますか?
基礎意匠と全ての関連意匠を、同一の者に対して同時に設定する場合に限り認められます(意匠法27条1項ただし書き)。一部だけを別の相手に設定することはできません。
Q7専用実施権は他人に移転できますか?
意匠権者の承諾を得た場合や相続その他の一般承継の場合などに移転でき、移転には登録が効力要件となります(特許法77条・98条準用)。契約に手続条項を明記すべきです。
Q8基礎意匠の意匠権が消滅すると関連意匠の専用実施権はどうなりますか?
基礎意匠が登録料未納・無効審決確定・放棄で消滅すると、関連意匠の専用実施権は全ての関連意匠を同一人に同時設定する場合に限り設定できるという特則に切り替わります(意匠法27条3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「専用実施権」と「独占的通常実施権」って何が違うんですか?
専用実施権(意匠法27条)は特許庁に登録される物権的な独占権で、権利者本人も実施できなくなり、侵害者を自ら訴えられます。独占的通常実施権は当事者間の契約上の独占にすぎず、登録されず第三者対抗力もありません。実務のポイント:実務では登録の手間を嫌って独占的通常実施権で済ませる契約が非常に多い。だが相手が約束を破って他社にも使わせたとき、登録のない独占は差止めがまず通らない。本気の独占なら登録まで詰めること
Q2関連意匠だけ別々の会社にライセンスしたいんですが、できますか?
専用実施権では不可能です。意匠法27条1項ただし書きにより、基礎意匠と全ての関連意匠は同一の者に同時に設定する場合に限られ、デザインごと、相手ごとの細切れは認められません。実務のポイント:関連意匠をまとめて登録するのは保護を厚くする反面、ライセンス戦略の自由度を犠牲にする。複数社に分けて使わせたい設計なら、最初から関連意匠で束ねず独占的通常実施権で組む方が柔軟。出願戦略の段階で出口を考えておく
Q3専用実施権を設定したら、自分の会社でもう製品を作れないんですか?
その範囲では作れません。意匠法27条2項により、専用実施権者がその登録意匠と類似意匠の実施を専有し、設定した範囲では意匠権者本人も業として実施できなくなります。実務のポイント:これを知らずに全範囲で専用実施権を設定し、後で自社の新ラインが自分の意匠に引っかかる事故が起きる。地域、期間、用途で範囲を切って設定すれば自社事業に必要な部分を残せる。設定行為の範囲設計が勝負どころ
間違えやすい点 AI による整理
- 「独占ライセンス契約を結んだから自分は守られている」と考える人が多い。だがその問いの立て方が誤っている。契約書に「独占」と書いても、特許庁に専用実施権として登録しなければ第三者に対抗できず、相手が二重ライセンスを出しても止められない(意匠法27条4項による特許法98条準用)。問うべきは「契約したか」ではなく「登録したか」だ
- 「専用実施権を渡しても、自分の意匠だから自分も使える」と思いがちだが逆。専用実施権を設定した範囲では、意匠権者本人ですら業として実施できなくなる(意匠法27条2項)。独占とは、相手だけでなく自分も締め出す力だ
- 関連意匠をまとめて登録する利点は知っていても、それが専用実施権の自由度をどれだけ縛るかを知らない人は多い。基礎意匠と全関連意匠を同一人に同時設定する場合しかライセンスできず、相手ごと、デザインごとの細切れライセンス戦略は最初から封じられている(意匠法27条1項ただし書き)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 法的性質 | 専用実施権(27条):登録される物権的独占権 | 通常実施権(28条):非独占の債権的許諾 独占的通常実施権:契約上の独占(債権的) |
| 設定登録 | 効力要件(特許法98条準用) | 登録は第三者対抗要件(任意) 登録できない |
| 意匠権者本人の実施 | 設定範囲では実施不可(27条2項) | 本人も実施可 本人も実施可(契約で制限可) |
| 侵害者への差止め | 専用実施権者が自ら請求可(37条) | 原則不可 原則不可(契約構成による) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾ではデザインは設計専利として特許法で保護され、専属被授権人は登録により第三者対抗力を得る。専属授権の範囲では特許権者本人も実施が制限される点で日本の専用実施権に近い。
韓国デザイン保護法の専用実施権も設定登録を要し、権利者本人の実施を排除する物権的独占権として構成される。日本法とほぼ同一の枠組み。
ドイツ意匠法(登録意匠)は排他的ライセンスを認めるが、登録は日本ほど厳格な効力要件とはされず、ライセンス契約の効力が中心となる。
米国のデザイン特許は特許法で保護され、独占的ライセンシーは記録により保護されるが、専用実施権のように権利者本人を当然に排除する物権的構成は取らない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もしあなたが下請けメーカーに「うちのデザインを独占で作っていい」と口約束しただけだったら、それは法的にどう扱われる? 登録していなければ専用実施権は発生せず、相手は侵害者を訴える資格も持たない。口約束と登録の差が、いざ模倣品が出たときの戦力差になる
- あなたが一つの椅子のデザインと、その色違い、脚の形違いを関連意匠として5件登録した。海外メーカーから「基本形だけ独占ライセンスしたい」と打診。だが意匠法27条1項ただし書きにより、基礎意匠だけの専用実施権設定は不可。全関連意匠をまとめて同一相手に渡すしかない
- あなたがライセンスを受ける側で、相手の意匠を独占的に使える契約を結んだ。だが登録は相手任せで放置していた。後で相手が別会社にも同じ意匠を使わせていたと発覚。専用実施権が未登録なら、あなたの「独占」は法的に空証文だった
- 基礎意匠の意匠権が登録料未納で消滅しそうだ。あと数週間。基礎意匠が消えると、関連意匠の専用実施権設定ルールが27条3項の特則に切り替わる。今のうちに権利関係を整理しないと、ライセンス構造そのものが組み直しになる
- 新製品の発表前夜。共同開発先が「独占的に製造したい」と要求してくる。専用実施権か通常実施権か、その一語で力関係が決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 結んだ契約が専用実施権か独占的通常実施権か通常実施権か、契約書の文言と特許庁の登録原簿で確認2. 専用実施権なら設定登録(意匠法27条4項による特許法98条準用)を必ず完了、未登録なら第三者に対抗できない3. 模倣品が出たら、専用実施権者は自ら差止請求、損害賠償が可能(意匠法37条、特許法100条準用) 4. 関連意匠を含むなら、基礎意匠と全関連意匠が同一人に同時設定されているか整合性を点検
訴えられた側:1. 専用実施権を設定すると自社さえ実施不能になる範囲を地図化し、コア事業に必要な範囲は除外して設定2. 関連意匠群を複数の相手に分けて活用したいなら専用実施権は不可、独占的通常実施権での代替を検討3. 基礎意匠の維持(登録料納付)を怠ると27条3項の特則に切り替わるため年金管理を徹底4. 移転、放棄には意匠権者の承諾や登録が要る場合がある(特許法77条3項以下準用)、契約に手続条項を明記
時効(請求できる期限):専用実施権の設定、移転(相続等を除く)、変更、消滅、処分の制限は、登録しなければ効力を生じない(意匠法27条4項による特許法98条1項2号、2項の準用)。設定行為自体に法定の期限はないが、登録を怠る間は第三者対抗力がなく、二重設定のリスクが続く。基礎意匠の意匠権の存続期間(現行は出願から25年)の満了や消滅で関連意匠の扱いが変わる点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:専用実施権は特許庁への設定登録により効力を生じる物権的な独占権であり、設定範囲では意匠権者本人の実施も排除される。債権的な独占的通常実施権とは異なり、専用実施権者は自ら差止請求権を行使できる点に本質的な差異があると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成10年(1998年)改正 類似意匠登録制度を廃止して関連意匠制度を導入。専用実施権と関連意匠の関係を規律する基礎が置かれた
- 令和元年(2019年)改正、令和2年(2020年)4月1日施行 関連意匠制度を大幅に拡充(関連意匠にのみ類似する関連意匠の登録を許容、出願可能期間を最長10年に延長)。これに伴い、基礎意匠と全関連意匠を同一人に同時設定する場合に限り専用実施権を設定できるとする本条1項ただし書き、3項が整備された
改正の年表
- 1.平成10年(1998年) 改正:類似意匠登録制度を廃止して関連意匠制度を導入。専用実施権と関連意匠の関係を規律する基礎が置かれた。
- 2.令和元年(2019年、令和2年4月1日施行) 改正:関連意匠制度を大幅に拡充。これに伴い、基礎意匠と全関連意匠を同一人に同時設定する場合に限り専用実施権を設定できるとする本条1項ただし書き・3項が整備された。
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