意匠法 第37条(差止請求権)
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- 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 2.意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物品、建築物若しくは画像(その画像を表示する機能を有するプログラム等を含む。第六十四条及び第六十五条第一号を除き、以下同じ。)若しくは画像を記録した記録媒体若しくは内蔵する機器(以下「一般画像記録媒体等」という。)又はプログラム等(画像を表示する機能を有するプログラム等を除く。以下同じ。)若しくはプログラム等を記録した記録媒体若しくは記憶した機器(以下「プログラム等記録媒体等」という。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
- 3.第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。
この条文の基本情報
差止請求権とは何ですか?
定義差止請求権とは、意匠法第37条に定められた規定で、「意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第37条(差止請求権)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第37条の条文原文は「意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」で始まります。
- 意匠法第37条は第二節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第37条の前の条は意匠法第36条です。
- 意匠法第37条の次の条は意匠法第38条です。
- 意匠法第37条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第37条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第37条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/37
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法37条は、意匠権者に侵害の停止・予防を求める差止請求権を認める。侵害品の廃棄や製造設備の除却も請求でき、相手の故意・過失は不要。秘密意匠は証明書提示後でなければ請求できない。
Q · 模倣品を作られたとき、意匠権で「売るのを止めろ」と言えるの?
言えます。相手の故意・過失がなくても販売を止められます
意匠法37条1項により、意匠権者・専用実施権者は侵害の停止または予防を請求できます。さらに2項で侵害品の廃棄、侵害に供した金型・製造設備の除却まで請求できます。損害賠償(39条)と違い、相手の故意・過失は要件ではないため、相手が「他人の登録意匠と知らなかった」と言っても差止は認められます。ただし秘密意匠(14条)の場合は、特許庁長官の証明書を提示して警告した後でなければ請求できません(3項)。
解説
苦労して生み出した製品のデザインが、ある日そっくりそのまま安売りされているのを通販サイトで見つける。怒りと無力感で画面を閉じる前に、意匠法37条を知っておくべきだ。この条文は、登録した意匠の権利者に「相手の販売を今すぐ止めろ」と命じる力を与える。しかも止めるだけではない。相手の手元にある模倣品の在庫、それを刷り出す金型や製造設備そのものの廃棄・除却まで請求できる(2項)。損害賠償が「過去の損」を金で清算する後ろ向きの武器なら、差止請求は「相手の未来の売上」を凍結する前向きの武器だ。重要なのは、差止には相手の故意や過失が要らない点。相手が「他人の登録意匠だと知らなかった」と言っても、止められる。ただし一つだけ落とし穴がある。登録時に意匠を秘密にしておくよう請求していた場合(秘密意匠、14条)、特許庁長官の証明書を見せて警告した後でなければ、差止の一歩も踏み出せない(3項)。あなたの権利の強さは、この手順を踏めるかどうかで決まる。
法的な位置づけ
意匠法37条は差止請求権を定める規定であり、意匠権者または専用実施権者が、自己の意匠権・専用実施権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止または予防、侵害品の廃棄、侵害に供した設備の除却その他侵害予防に必要な行為を請求できる旨を規定する。損害賠償と異なり相手の故意・過失を要件とせず、物権的請求権に類似する性質を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.模倣品と流通の事実を証拠保全 模倣品の現物・販売ページ・販売者情報をスクリーンショット、購入記録、URL で確保する。流通している事実が差止の前提になるため、購入による現物入手まで行うのが望ましい
- 2.自社の意匠登録と類否を弁理士と確認 自社の意匠登録番号と登録意匠の図面を確認し、相手品との類否を弁理士と検討する。秘密意匠(14条)の場合は、特許庁長官の証明を受けた書面(20条3項記載事項)を先に取得する
- 3.内容証明で差止と廃棄・設備除却を請求 内容証明郵便で37条1項の侵害停止に加え、2項の在庫廃棄と金型・設備の除却を明示的に請求する。金型廃棄まで視野に入れると相手の徹底抗戦を抑止しやすい
- 4.応じなければ差止仮処分を申立て 相手が応じない場合、差止仮処分を申し立てる。差止は故意・過失が不要なため賠償より立証が速い。本訴(差止+損害賠償39条)と並行して進め、流通の拡大を断つ
よくある質問 AI による整理
Q1意匠権の差止請求権とは何ですか?
意匠権者が侵害者に販売の停止・予防を求める権利です(意匠法37条1項)。侵害品の廃棄や金型・設備の除却も請求でき、相手の故意・過失は不要です。
Q2意匠権侵害で差止仮処分はどのくらいで効きますか?
本訴は判決まで1年以上かかりますが、差止仮処分なら数週間から数か月で販売を止められます。発売直後の繁忙期に打つと交渉の主導権を握れます。
Q3模倣品の金型まで廃棄させられますか?
できます。意匠法37条2項は侵害品の廃棄に加え、侵害の行為に供した設備(金型・製造ライン等)の除却まで請求できると定めます。模倣の源泉を断てます。
Q4先使用権があると差止を免れますか?
意匠登録出願前から自社で実施していた等の要件を満たせば、意匠法29条の先使用権により差止を免れる可能性があります。実施の事実の立証が鍵です。
Q5相手の意匠権が無効なら差止は止められますか?
新規性や創作非容易性を欠く場合、意匠登録無効審判(意匠法48条)で権利を潰せる余地があります。侵害訴訟内でも無効の抗弁を主張できます。
Q6意匠権の間接侵害でも差止できますか?
できます。意匠法38条が侵害とみなす行為(専用部品の製造販売等)を定め、37条の差止対象に含まれます。直接の製造者以外も止められます。
Q7意匠権の存続期間はいつまで差止できますか?
令和元年改正後の登録意匠は出願日から25年が存続期間で、その間は差止請求権を行使できます。差止請求権自体に特別の時効はありません。
Q8専用実施権者も自分で差止できますか?
できます。意匠法37条は意匠権者と並んで専用実施権者にも差止請求権を認めています。ライセンスを受けた側も独自に侵害者を止められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1とりあえず損害賠償を請求すれば、相手は売るのをやめますよね?
やめるとは限りません。賠償(意匠法39条)と差止(37条)は別の請求で、賠償だけ求めても相手は判決確定まで合法的に売り続けられます。販売を止めるには37条1項の差止を明示的に請求する必要があります。実務のポイント:実務では差止「仮処分」を先に打つのが定石。本訴の判決を待つと1年以上かかり、その間に模倣品が売り切れて市場を荒らされる。仮処分なら数週間から数か月で販売を止められ、これが交渉の主導権を握る決め手になる
Q2相手が「他人の登録意匠だなんて知らずに作った」と言ったら、止められないんですか?
止められます。37条の差止は相手の故意・過失を要件としません。相手が善意でも、客観的に侵害していれば販売停止も在庫廃棄も請求できます。過失が問題になるのは損害賠償(39条、41条準用の過失推定)の場面だけです。実務のポイント:だからこそ侵害対応はまず差止から入るのが速い。賠償で相手の過失を立証する手間をかけず、先に流通を止めて損害の拡大を断ち、賠償交渉はその後で腰を据えてやる、という順序が実務の鉄則
Q3秘密意匠にしておいたら、いざ模倣されたときどうなりますか?
そのままでは差止できません。37条3項により、特許庁長官の証明を受けた書面(20条3項の記載事項)を提示して警告した後でなければ、差止請求ができないのです。秘密にした以上、第三者は意匠の内容を知り得ないため、警告という予告手順が課されます。実務のポイント:秘密意匠は発売前のデザイン流出を防ぐ反面、侵害時の機動力が落ちる諸刃の剣。発売と同時に模倣されやすい人気製品ほど、秘密期間の設定と証明書取得の段取りを事前に準備しておかないと、初動が一拍遅れて被害が広がる
Q4意匠登録していない自社デザインは、コピーされても泣き寝入りですか?
必ずしもそうではありません。意匠法37条は登録意匠の権利者のための武器ですが、未登録でも発売から3年以内なら不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣)でデッドコピーを差し止められる場合があります。実務のポイント:不競法ルートは登録不要で使える反面、保護は3年限定でデッドコピーに近いものに限られる。長く独占したいデザインは意匠登録、発売を急ぐ短命商品は不競法、と使い分けるのが知財に強い企業の発想。両にらみで備えると守りが厚くなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「損害賠償を請求すれば、相手は売るのをやめるだろう」と考えがちだが、賠償と差止は全く別の請求だ。賠償だけ求めても相手は判決確定まで売り続けられる。販売を止めたいなら37条の差止を明示的に請求しなければならない。多くの権利者がこの二本立てを知らず、賠償だけ求めて模倣品の流通を放置してしまう
- 差止には相手の故意や過失が必要だと誤解されている。実は不要だ。賠償(民法709条、意匠法39条)は相手の過失を要するが、37条の差止は相手が「他人の登録意匠と知らずに作った」場合でも認められる。物権的な妨害排除と同じ性質だからだ。この違いを知る者は、過失立証に手間取らず、まず差止で時間を稼ぐ
- 「秘密意匠にしておけば守りが厚くなる」と思い込んでいる人が多いが、深刻なのは逆の側面だ。秘密にした意匠は、3項により特許庁長官の証明書を提示して警告しなければ差止すらできない。秘密性と引き換えに、いざ侵害された時の機動力が一段落ちる。発売直後の最も模倣されやすい時期に、行動が一拍遅れる構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求の性質 | 37条:差止請求(販売停止・予防・廃棄・設備除却) | 39条:損害賠償請求(金銭による事後清算) 38条:みなし侵害(間接侵害)に基づく請求 |
| 故意・過失の要否 | 不要(相手が善意でも差止可) | 必要(41条準用の特許法103条で過失推定) 37条と同じく差止は故意・過失不要 |
| 主な効果 | 相手の未来の販売・製造を凍結 | 過去の損害を金銭で填補 専用部品の製造販売等を侵害とみなし差止対象に拡張 |
| 時効・期間 | 意匠権存続中(出願日から25年)は行使可、特別の時効なし | 損害・加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条) 本体の侵害に従い同様 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は設計專利として專利法で保護し、第96条の排除侵害・防止侵害請求が日本の差止に対応する
韓国はデザイン保護法113条で침해금지청구권を認め、侵害品・設備の廃棄請求も同様に整備されている
ドイツは意匠法42条で差止請求権と侵害品の廃棄請求を認め、EU 共同体意匠(GGV)でも並行的に保護される
米国は design patent の侵害に対し283条で差止、289条で侵害者の利益額の回復を認める独自構造を持つ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが開発した雑貨の独特な形状を意匠登録していたら、競合が酷似品を量販店に並べ始めた。損害賠償の計算に時間をかけるより先に、37条1項の差止で店頭からの撤去と在庫廃棄を請求する。賠償交渉が長引く間も模倣品が売れ続けるのを、差止仮処分なら数週間で止められる
- もし、あなたの会社が下請けに金型製作まで任せていて、その下請けが同じ金型で他社の似たデザインも作っていたとしたら? 37条2項は侵害品だけでなく「侵害の行為に供した設備」つまり金型そのものの除却まで請求できる。模倣の源泉を断てるかどうかが、再発防止の分かれ目
- あなたが製造業者で、ある日「貴社製品は当社の登録意匠を侵害している、製造販売を直ちに停止せよ」という内容証明が届いた。相手は本気だ。応じなければ差止仮処分、そして本訴。あと数日で回答期限。自社デザインの独自性と、相手の意匠の有効性(無効審判の余地)を今夜から弁理士と詰めないと間に合わない
- クラウドファンディングで人気が出たガジェットのデザインを、海外勢が即コピーして EC で逆輸入販売。あなたが意匠登録済みなら、輸入・販売業者に対しても37条で差止できる。製造元が海外で手が届かなくても、国内の販売チャネルを止めれば実質的に流通は死ぬ
- 秘密意匠(14条)で出願した新製品が発売前にリークされ、発売日に模倣品が並んだ。怒って差止を出そうとしても、3項の壁にぶつかる。特許庁長官の証明書を提示して警告する手順を踏まないと、裁判所は門前払いにする。秘密にした代償として、行動に一手間かかる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 模倣品の現物・販売ページ・販売者情報を証拠保全(スクショ、購入記録、URL)。流通の事実が差止の前提だ2. 自社の意匠登録番号と登録意匠の図面を確認、相手品との類否を弁理士と検討。秘密意匠なら特許庁長官の証明書(20条3項記載事項)を取得して警告する手順を先に踏む(3項) 3. 内容証明で37条1項の差止+2項の在庫廃棄・金型除却を請求4. 相手が応じなければ差止仮処分を申立て。差止は過失不要なので、賠償(39条)より立証が速い。本訴と並行して進める
訴えられた側:1. 相手の意匠権が本当に有効か確認。新規性・創作非容易性を欠けば意匠登録無効審判(48条)で潰せる余地がある2. 自社品が登録意匠に「類似」するかを争う。意匠の要部と需要者の視覚的印象が判断基準3. 自社が先に実施していたなら先使用権(29条)を主張、差止を免れる可能性4. 相手が秘密意匠なら、証明書を提示した警告を経ているか手続を精査。3項違反なら差止請求自体が不適法5. 賠償は過失推定(41条準用の特許法103条)が働くので、差止と賠償でリスクの重さが違う点を踏まえ早期和解・ライセンスも試算
時効(請求できる期限):差止請求権そのものに特定の時効はなく、意匠権の存続期間(出願日から25年、登録意匠の存続中)は行使できる。ただし過去分の損害賠償(民法709条、意匠法39条)は、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年で消滅する(民法724条)。差止は権利存続中いつでも、賠償は時効に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:意匠法37条の差止請求権は物権的請求権に類似する性質を持ち、相手の故意・過失を要しない。2項の廃棄・設備除却請求は差止の実効性を担保する付随的請求と位置づけられ、過剰な除却は比例原則で限定される。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正、令和2年(2020年)4月1日施行 意匠法の保護対象拡大に伴い、2項に「建築物」「画像」「画像を記録した記録媒体・内蔵機器(一般画像記録媒体等)」「プログラム等」「プログラム等記録媒体等」が追加された。物品に限られていた差止・廃棄請求の対象が、建築物デザインや画像デザインにまで広がった
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行意匠法(昭和34年法律第125号)の制定により、差止請求権と廃棄・設備除却請求が整備された
- 2.令和元年(2019年)改正・令和2年(2020年)4月1日施行 改正:保護対象拡大に伴い、2項に建築物・画像・一般画像記録媒体等・プログラム等・プログラム等記録媒体等が追加され、廃棄請求の対象が物品から建築物・画像デザインへ拡大した
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