要点意匠法 37 条は、意匠権者に侵害の停止・予防を求める差止請求権を認める。侵害品の廃棄や製造設備の除却も請求でき、相手の故意・過失は不要。秘密意匠は証明書提示後でなければ請求できない。
Q · 模倣品を作られたとき、意匠権で「売るのを止めろ」と言えるの?
言えます。相手の故意・過失がなくても販売を止められます
意匠法 37 条 1 項により、意匠権者・専用実施権者は侵害の停止または予防を請求できます。さらに 2 項で侵害品の廃棄、侵害に供した金型・製造設備の除却まで請求できます。損害賠償(39 条)と違い、相手の故意・過失は要件ではないため、相手が「他人の登録意匠と知らなかった」と言っても差止は認められます。ただし秘密意匠(14 条)の場合は、特許庁長官の証明書を提示して警告した後でなければ請求できません(3 項)。
苦労して生み出した製品のデザインが、ある日そっくりそのまま安売りされているのを通販サイトで見つける。怒りと無力感で画面を閉じる前に、意匠法37条を知っておくべきだ。この条文は、登録した意匠の権利者に「相手の販売を今すぐ止めろ」と命じる力を与える。しかも止めるだけではない。相手の手元にある模倣品の在庫、それを刷り出す金型や製造設備そのものの廃棄・除却まで請求できる(2項)。損害賠償が「過去の損」を金で清算する後ろ向きの武器なら、差止請求は「相手の未来の売上」を凍結する前向きの武器だ。重要なのは、差止には相手の故意や過失が要らない点。相手が「他人の登録意匠だと知らなかった」と言っても、止められる。ただし一つだけ落とし穴がある。登録時に意匠を秘密にしておくよう請求していた場合(秘密意匠、14条)、特許庁長官の証明書を見せて警告した後でなければ、差止の一歩も踏み出せない(3項)。あなたの権利の強さは、この手順を踏めるかどうかで決まる。
意匠法 37 条は差止請求権を定める規定であり、意匠権者または専用実施権者が、自己の意匠権・専用実施権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止または予防、侵害品の廃棄、侵害に供した設備の除却その他侵害予防に必要な行為を請求できる旨を規定する。損害賠償と異なり相手の故意・過失を要件とせず、物権的請求権に類似する性質を持つ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
意匠権者が侵害者に販売の停止・予防を求める権利です(意匠法 37 条 1 項)。侵害品の廃棄や金型・設備の除却も請求でき、相手の故意・過失は不要です。
本訴は判決まで 1 年以上かかりますが、差止仮処分なら数週間から数か月で販売を止められます。発売直後の繁忙期に打つと交渉の主導権を握れます。
できます。意匠法 37 条 2 項は侵害品の廃棄に加え、侵害の行為に供した設備(金型・製造ライン等)の除却まで請求できると定めます。模倣の源泉を断てます。
意匠登録出願前から自社で実施していた等の要件を満たせば、意匠法 29 条の先使用権により差止を免れる可能性があります。実施の事実の立証が鍵です。
新規性や創作非容易性を欠く場合、意匠登録無効審判(意匠法 48 条)で権利を潰せる余地があります。侵害訴訟内でも無効の抗弁を主張できます。
できます。意匠法 38 条が侵害とみなす行為(専用部品の製造販売等)を定め、37 条の差止対象に含まれます。直接の製造者以外も止められます。
令和元年改正後の登録意匠は出願日から 25 年が存続期間で、その間は差止請求権を行使できます。差止請求権自体に特別の時効はありません。
できます。意匠法 37 条は意匠権者と並んで専用実施権者にも差止請求権を認めています。ライセンスを受けた側も独自に侵害者を止められます。
やめるとは限りません。賠償(意匠法39条)と差止(37条)は別の請求で、賠償だけ求めても相手は判決確定まで合法的に売り続けられます。販売を止めるには37条1項の差止を明示的に請求する必要があります。業界裏話ヒント:実務では差止「仮処分」を先に打つのが定石。本訴の判決を待つと1年以上かかり、その間に模倣品が売り切れて市場を荒らされる。仮処分なら数週間から数か月で販売を止められ、これが交渉の主導権を握る決め手になる
止められます。37条の差止は相手の故意・過失を要件としません。相手が善意でも、客観的に侵害していれば販売停止も在庫廃棄も請求できます。過失が問題になるのは損害賠償(39条、41条準用の過失推定)の場面だけです。業界裏話ヒント:だからこそ侵害対応はまず差止から入るのが速い。賠償で相手の過失を立証する手間をかけず、先に流通を止めて損害の拡大を断ち、賠償交渉はその後で腰を据えてやる、という順序が実務の鉄則
そのままでは差止できません。37条3項により、特許庁長官の証明を受けた書面(20条3項の記載事項)を提示して警告した後でなければ、差止請求ができないのです。秘密にした以上、第三者は意匠の内容を知り得ないため、警告という予告手順が課されます。業界裏話ヒント:秘密意匠は発売前のデザイン流出を防ぐ反面、侵害時の機動力が落ちる諸刃の剣。発売と同時に模倣されやすい人気製品ほど、秘密期間の設定と証明書取得の段取りを事前に準備しておかないと、初動が一拍遅れて被害が広がる
必ずしもそうではありません。意匠法37条は登録意匠の権利者のための武器ですが、未登録でも発売から3年以内なら不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣)でデッドコピーを差し止められる場合があります。業界裏話ヒント:不競法ルートは登録不要で使える反面、保護は3年限定でデッドコピーに近いものに限られる。長く独占したいデザインは意匠登録、発売を急ぐ短命商品は不競法、と使い分けるのが知財に強い企業の発想。両にらみで備えると守りが厚くなる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 請求の性質 | 37 条:差止請求(販売停止・予防・廃棄・設備除却) | — |
| 故意・過失の要否 | 不要(相手が善意でも差止可) | — |
| 主な効果 | 相手の未来の販売・製造を凍結 | — |
| 時効・期間 | 意匠権存続中(出願日から 25 年)は行使可、特別の時効なし | — |
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