要点意匠法 28 条は、意匠権者が他人に通常実施権(非独占の使用許諾)を与えられると定める。許諾は登録意匠とこれに類似する意匠に及び、3 項は特許法 99 条の当然対抗を準用する。
Q · 契約書の「専用実施権」と「通常実施権」、どちらにマルがついているかで何が変わるの?
通常実施権は非独占。独占も差止権もなく、他社にも許諾されます。
意匠法 28 条の通常実施権は非独占の使用許諾です。意匠権者は同じデザインを他社にいくつでも許諾でき、自分でも実施し続けられます。あなたが得るのは「使ってよい」という許可であって「他人を締め出す力」ではありません。2 項により許諾は登録意匠だけでなく類似意匠にも及び、3 項が準用する特許法 99 条により、2012 年 4 月以降は登録なしでも後発の意匠権取得者に当然対抗できます。独占したいなら 27 条の専用実施権が必要です。
新商品の見た目を、他社が登録した意匠を借りて作りたい。あるいは自分が登録した意匠を、提携先のメーカーに使わせて使用料を取りたい。その場面で結ばれるのが意匠法28条の通常実施権だ。契約書には「専用実施権」と「通常実施権」という二つの選択肢が並んでいるが、その差は天と地ほど開く。通常実施権は非独占。意匠権者は同じデザインを他社にも何社でも許諾でき、自分自身でも実施し続けられる。あなたが受け取るのは「使ってよい」という許可であって、「他人を締め出せる力」ではない。さらに2項は、その権利が登録意匠だけでなく「これに類似する意匠」にまで及ぶと定める。意匠法特有の類似範囲が、許諾の範囲にもそのまま入ってくる。そして3項が准用する特許法99条には、知らないと数百万円を失う仕掛けが隠れている。あなたが受け取った許諾の正体を、サインの前に確かめておく価値がある。
意匠法 28 条の通常実施権は、意匠権者が他人に付与する非独占的な実施許諾である。通常実施権者は、法律の規定または設定行為で定めた範囲内において、業として登録意匠およびこれに類似する意匠を実施する権利を有する。意匠権者が同一意匠を複数者に許諾でき自らも実施できる点で、専用実施権(27 条)と区別される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
意匠権者が他人に与える非独占の使用許諾です(意匠法 28 条)。許諾を受けた者は設定行為の範囲で登録意匠と類似意匠を業として実施できますが、独占はできません。
独占的通常実施権は「他社に許諾しない」旨を契約で加えた通常実施権です。債権的な独占にとどまり、専用実施権のような差止権や登録による物権的効力はありません。
法定の相場はなく、当事者の合意で決まります。定額のロイヤリティ、売上比例のランニングロイヤリティ、一時金など形態は自由で、独占性や許諾範囲によって水準が変わります。
意匠権者の承諾があるか、実施の事業とともに移転する場合などに限り移転できます(特許法 94 条準用)。自由に転売できるわけではありません。
意匠権が存続期間満了で消滅すると、そのデザインは公有となり誰でも自由に実施できます。前払いした使用料が無駄にならないよう残存期間の確認が重要です。
他人の意匠登録出願前から独自にその意匠を実施していた者に、契約なしで法律上認められる通常実施権です(意匠法 29 条)。28 条の許諾とは発生原因が異なります。
できません。3 項が準用する特許法 73 条 1 項により、共有者は他の共有者全員の同意がなければ第三者に通常実施権を許諾できません。
なります。2019 年改正で画像デザインや UI が意匠登録の対象になったため、その通常実施権を受けて自社サービスに組み込む取引が現実に行われています。
専用実施権(意匠法27条)はその範囲で意匠権者すら実施できなくなる独占的な権利で、設定登録が効力発生要件です。通常実施権(28条)は非独占で、意匠権者は他社にも許諾でき自分でも実施できます。業界裏話ヒント:専用実施権者は自分の名前で差止訴訟を起こせますが、通常実施権者は原則できません。「独占的に使いたい」なら通常実施権では足りず、専用実施権の設定登録まで踏み込む必要がある
2012年4月以降は誤りです。特許法99条(意匠法28条3項で准用)の当然対抗制度により、通常実施権は登録しなくても、後から意匠権を取得した第三者に当然に効力を持ちます。業界裏話ヒント:かつては登録が対抗要件で、登録を怠ったライセンシーが意匠権の譲受人に事業を止められる事故が実際にありました。今は不要ですが、許諾日が譲渡日より前だったことを示す証拠は残しておくべきです
通常実施権者には差止請求権がないため、原則として自分の名前で模倣業者を訴えることはできません。差止を求められるのは意匠権者か専用実施権者です(意匠法37条参照)。業界裏話ヒント:契約時に「意匠権者は侵害に対し差止請求権を行使する義務を負う」「損害賠償請求権を代位行使できる」と書き込んでおくと、いざという時に権利者を動かす根拠になる。後から交渉してもまず通りません
意匠法は登録した意匠そのものだけでなく、需要者の視覚を通じて似ていると評価される類似意匠まで権利範囲とします(28条2項、23条)。許諾を受ければその類似範囲まで業として実施できます。業界裏話ヒント:この類似の幅は特許のクレームより主観が入りやすく、実務上、解釈が分かれる論点です。どこまでが許諾範囲かを契約で具体的に図面付きで特定しておかないと、後で権利者と「それは類似の外だ」ともめる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 独占性 | 28 条 通常実施権:非独占。権利者は他社にも許諾でき自らも実施できる | — |
| 発生要件・効力発生 | 設定行為(契約)により発生。登録は効力要件でない | — |
| 差止請求権 | 原則なし。侵害品を自分の名前で差し止められない | — |
| 第三者対抗 | 当然対抗(特許法 99 条準用)で登録なく後発権利者に対抗 | — |
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