要点意匠法 33 条は、登録意匠が他人の先願特許等を利用・抵触するとき、許諾協議が不成立なら特許庁長官の裁定で通常実施権を設定できると定める規定である。
Q · 意匠登録を取ったのに、他社の特許があって製品を作れないとき、どうすればいい?
協議が決裂すれば特許庁長官の裁定で通常実施権を得られます
意匠法 33 条により、まず先願権利を持つ相手方に通常実施権の許諾協議を申し入れます。協議が成立しない、または協議自体ができないときは、特許庁長官に裁定を請求できます(3 項)。相手方も、あなたの意匠の範囲内で逆にライセンスを求めるクロス裁定を、答弁書提出期間内に限り請求できます(4 項)。ただし、通常実施権の設定が当事者の利益を不当に害する場合、特許庁長官は裁定をすることができません(5 項・6 項)。得られるのは通常実施権であって専用実施権ではない点に注意が必要です。
あなたが新型家電のフォルムで意匠登録を取った。ところが、その製品を量産するには他社が先に押さえた特許の機構を使わざるを得ないと判明する。この瞬間、あなたは自分の意匠権を持ちながら、製品を一台も売れない立場に立たされる。意匠法26条が「他人の先願の特許・実用新案・意匠・商標を利用したり抵触したりする意匠は実施できない」と定めているからだ。33条は、この行き止まりを合法的に開ける唯一の扉である。まず相手にライセンス(通常実施権、相手の独占を崩さず使わせてもらう権利)の協議を申し入れ、相手が応じない、あるいは話がまとまらないときは、特許庁長官に裁定(国が当事者の合意なしに強制的にライセンスを設定する判断)を請求できる。さらに相手側も、あなたの意匠の範囲内で逆にライセンスを求める「クロス裁定」を仕掛けられる。デザインの権利を握っただけでは市場に出られない、その現実を突破する仕組みがここにある。
意匠法 33 条は、登録意匠が他人の先願権利を利用・抵触する場合における通常実施権設定の裁定を定める規定である。意匠権者・専用実施権者はまず相手方に許諾協議を求め、協議が成立しないまたはできないときは特許庁長官に裁定を請求できる。相手方も一定範囲でクロス裁定を請求でき、利益を不当に害する場合は裁定が制限される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
登録意匠が他人の先願権利を利用・抵触する場合に、許諾協議と、協議不成立時の特許庁長官による通常実施権設定の裁定を定めた規定です。
自分の登録意匠を実施すると、他人の先願の特許・実用新案・意匠・商標を必然的に使ってしまう関係です。意匠法 26 条により、この場合は自分の意匠権があっても実施できません。
相手方への許諾協議が成立しない、または協議自体ができないときに、特許庁長官へ請求できます(33 条 3 項)。協議を経ずにいきなり裁定請求はできません。
作れないわけではありません。相手にライセンス協議を申し入れ、決裂すれば特許庁長官の裁定で通常実施権を設定できる道が 33 条にあります。
後発意匠権者が裁定請求すると、先願権利者も答弁書提出期間内に限り、その意匠の範囲でライセンスを求める逆の裁定を請求できます(33 条 4 項)。
特許法 84 条以下(裁定の手続・対価等)が準用されます(33 条 7 項)。答弁書提出、対価の決定などが特許の裁定と同じ枠組みで進みます。
26 条は利用・抵触する意匠の実施を禁じる「壁」を定め、33 条はその壁を協議と裁定で越える「非常口」を定めます。26 条が禁止、33 条が救済の関係です。
いいえ、設定されるのは通常実施権にすぎません。相手は他社にも同じライセンスを出せるため、市場を独占したい戦略には向きません。
意匠権は「他人が同じ・似たデザインを使うのを止める権利」であって、あなた自身が作れる保証ではないからです。製品の構造が他社の先願特許を使っていれば、意匠法26条の利用関係に当たり、あなたの意匠権があっても実施が止まります。業界裏話ヒント:知財実務では意匠出願の前に実施可能性調査(FTO調査)をかけ、先行特許とぶつからないか確認するのが鉄則。これを省くと、登録は取れても売れない飾りの権利になる
無料ではありません。裁定で通常実施権が設定される場合でも、特許庁長官が相当な対価(ロイヤリティ)を定め、あなたはそれを相手に支払います(33条7項で準用する特許法86条以下)。業界裏話ヒント:実は意匠の利用関係で裁定が実際に下りた例はほとんどなく、大半は裁定請求をちらつかせて任意のライセンス交渉に持ち込む段階で決着する。裁定は抜かずに効かせる刀として使うカードです
本人請求も可能ですが、裁定手続は特許法84条以下を準用する専門的な書面審理で、対価の相当性や利益衡量の主張が勝敗を分けます。業界裏話ヒント:この種の案件は件数が極端に少なく、経験のある実務家も限られる。一般的な出願代理しかやらない事務所では対応が難しく、意匠だけでなく特許の利用関係に強い弁理士・弁護士を選ぶことが要点になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 33 条:利用・抵触の壁を協議と裁定で越える救済(非常口) | — |
| 発動の前提 | 26 条の利用関係 + 許諾協議が不成立・不能であること | — |
| 得られる権利 | 通常実施権(非独占、相手は他社にも許諾可能) | — |
| 国家の関与 | 協議決裂時に特許庁長官が裁定で強制設定(5 項・6 項で制限) | — |
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