意匠法 第34条(通常実施権の移転等)
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- 通常実施権は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
- 2.通常実施権者は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。
- 3.前条第三項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権又は実用新案権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その意匠権、特許権又は実用新案権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。
- 4.前条第四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権又は実用新案権に従つて移転し、その意匠権、特許権又は実用新案権が消滅したときは消滅する。
この条文の基本情報
通常実施権の移転等とは何ですか?
定義通常実施権の移転等とは、意匠法第34条に定められた規定で、「通常実施権は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第34条(通常実施権の移転等)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第34条の条文原文は「通常実施権は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(…」で始まります。
- 意匠法第34条は第一節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第34条の前の条は意匠法第33条です。
- 意匠法第34条の次の条は意匠法第35条です。
- 意匠法第34条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第34条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第34条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/34
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法34条は、通常実施権を実施の事業とともにする場合、意匠権者の承諾を得た場合、または一般承継の場合に限り移転できると定める。質権設定にも承諾を要する。
Q · 持っているライセンス(通常実施権)だけを、他の会社に売ることはできますか?
原則、実施の事業と一緒でなければ移転できません
意匠法34条1項により、通常実施権は原則として単独で移転できません。移転できるのは、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権では専用実施権者も)の承諾を得た場合、相続・合併などの一般承継の場合に限られます。同条2項により質権の設定にも承諾が必要です。さらに3項・4項の裁定による通常実施権は本体の意匠権・特許権・実用新案権に従属し、本体が事業と分離して移転したり消滅したりすると一緒に消滅します。
解説
あなたの会社が他社の意匠(登録されたプロダクトデザインの権利)について「使ってよい」という通常実施権を持っているとする。事業が傾いたとき、その実施権だけを別会社に高く売り払えば資金になる、と考えるかもしれない。だがこの条文がそれを止める。通常実施権は、原則として実施の事業と一緒でなければ移転できない。事業を切り離して権利だけを売るには、意匠権者の承諾を得るか、相続・合併などの一般承継でない限り不可能だ。質権を設定して資金調達に使う場合も、意匠権者の承諾が要る。例外は裁定による通常実施権で、これは元になる意匠権・特許権・実用新案権に運命を縛られ、その本体が消えれば一緒に消える。つまりライセンスは、あなたが貸借対照表で思い描くほど自由に動かせる資産ではない。足に紐がついている。
法的な位置づけ
意匠法34条は通常実施権の移転および質権設定の制限を定める規定である。通常実施権は、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権では意匠権者および専用実施権者)の承諾を得た場合、または相続その他の一般承継の場合に限り移転でき、質権設定にも同様の承諾を要する。裁定による通常実施権は本体の意匠権・特許権・実用新案権に従属する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約書で移転の可否と承諾の要否を確認 手持ちの通常実施権について、契約書上「実施の事業とともに移転するのか、権利だけを移転するのか」を確認する。事業と一体でない移転や質権設定なら意匠権者の承諾が必要になる
- 2.意匠権者(必要なら専用実施権者)の承諾書を書面で取得 権利だけの移転または質権設定を行うなら、意匠権者の承諾を書面で取り付ける。専用実施権についての通常実施権の場合は、意匠権者と専用実施権者の双方の承諾が必要
- 3.M&A では承継スキームを先に設計 相手のライセンスを引き継ぎたいなら、株式譲渡・合併などの一般承継なら承諾不要、事業の一部だけを切り出す事業譲渡(特定承継)なら承諾が必要。税務メリットだけでスキームを決めず、知財承継の可否を織り込む
- 4.裁定通常実施権の従属性を計画に反映 対象に裁定による通常実施権が含まれる場合、本体の意匠権・特許権・実用新案権の存否と消滅リスクを確認する。単独移転を前提とした事業計画は立てない
よくある質問 AI による整理
Q1通常実施権とは何ですか?
他人の登録意匠を、契約に基づき業として実施できる非独占的なライセンスです。意匠法33条で発生し、同じ意匠に複数人が並存して持つことができます。
Q2専用実施権と通常実施権はどう違いますか?
専用実施権は登録により独占的に実施できる強い権利で、意匠権者すら実施できなくなります。通常実施権は非独占で、複数人が並存でき、移転制限も34条で定められています。
Q3裁定による通常実施権とは何ですか?
不実施や利用関係などの一定事由で特許庁長官等の裁定により強制的に認められる実施権です。意匠法33条3項・4項、特許法92条3項等が根拠で、本体権利に従属します。
Q4通常実施権に質権を設定できますか?
意匠法34条2項により、意匠権者(専用実施権についての通常実施権では専用実施権者も)の承諾を得た場合に限り設定できます。承諾なしの質権設定は効力を生じません。
Q5一般承継なら承諾なしで通常実施権は移転しますか?
はい。相続・合併・会社分割(包括承継)などの一般承継では、意匠権者の承諾なしに通常実施権も承継されます(意匠法34条1項)。
Q6無断で移転された通常実施権は有効ですか?
承諾を欠く移転(一般承継・事業と一体の場合を除く)は効力を生じず、譲受人は実施権を取得できません。代金を払っても使う権利は手に入らない結果になり得ます。
Q7意匠法34条と特許法94条は同じ内容ですか?
趣旨と骨格はほぼ同じで、通常実施権の移転・質権設定を承諾・一般承継・事業一体に限定します。意匠法36条で特許法の関連規定を準用する構造になっています。
Q8裁定通常実施権は本体が消えるとどうなりますか?
本体の意匠権・特許権・実用新案権が事業と分離して移転したとき、または消滅したときは、裁定通常実施権も一緒に消滅します(意匠法34条3項・4項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ライセンスを持ってるんですが、これって他の会社に売れないんですか?
原則として、その実施権だけを単独で売ることはできません。意匠法34条1項により、通常実施権は実施の事業と一緒に移転する場合、意匠権者の承諾を得た場合、または相続・合併などの一般承継の場合に限られます。実務のポイント:実務では契約段階で『移転自由』の特約を入れておくのが定石です。後から承諾を求めると意匠権者に足元を見られて対価を要求されることが多い。最初の契約書の一文が、将来の換金性を決める
Q2会社を丸ごと買えば、相手が持ってるライセンスもついてきますか?
株式譲渡で会社ごと取得する場合や合併の場合は『一般承継』にあたり、意匠権者の承諾なしに通常実施権も承継されます(意匠法34条1項)。ただし事業の一部だけを買う事業譲渡では承諾が必要です。実務のポイント:買収スキームを株式譲渡にするか事業譲渡にするかで、ライセンスがついてくるかが変わります。M&A の現場では、欲しいライセンスを確実に引き継ぐためにあえて株式譲渡を選ぶことがある。税務メリットだけでスキームを決めると、知財で足をすくわれる
Q3裁定でもらった実施権は強い権利だと聞きましたが、自由に使えますか?
裁定による通常実施権(意匠法33条3項・4項、特許法92条3項等)は、元になる意匠権・特許権・実用新案権に従属します。本体の権利が事業とともに移転すればついていき、本体が消滅すればこの実施権も消えます(意匠法34条3項・4項)。実務のポイント:裁定実施権は『国が強制的に認めた』分、本体の権利と運命共同体です。本体の権利者が権利を放棄・消滅させると、裁定でもらったはずの実施権も道連れになる。本体の動向を常に監視する必要がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「ライセンスは自分の財産だから自由に転売できる」という前提そのものが誤っている。通常実施権は実施の事業と一体でなければ移転できず、権利だけを切り出して売るという問いの立て方が、出発点から法的に成り立っていない
- 通常実施権が承諾なしに移転できないことは知っていても、その「承諾なき移転」が効力を生じず、譲受人は何の権利も得られないという深刻さを見落としている。代金を払っても、肝心の使う権利は手に入らないままになりうる
- あなたから見れば「裁定でもらった実施権は国が強制的に認めた強い権利」だが、法律から見れば、それは元の意匠権・特許権・実用新案権に従属する影のような存在で、本体が事業ごと動けばついていき、本体が消えればあなたの権利も道連れに消える。この落差を知らないと事業計画ごと崩れる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 34条:通常実施権(非独占、複数並存可) | 27条:専用実施権(登録による独占) 35条:質権(通常実施権を担保化) |
| 移転・処分の要件 | 事業と一体・意匠権者の承諾・一般承継に限る | 事業と一体・意匠権者の承諾・一般承継に限る(特許法準用) 設定に意匠権者(+専用実施権者)の承諾が必要 |
| 承諾なしで動く場合 | 相続・合併等の一般承継、実施の事業とともにする移転 | 相続・合併等の一般承継、実施の事業とともにする移転 承諾なしでは設定自体が不可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は設計専利も専利法で規律し、実施権の移転・再授権・質権設定は登録対抗要件と権利者同意を要する点で日本と共通の発想を持つ
韓国はデザイン保護法で通常実施権の移転を規律し、事業一体・権利者承諾・一般承継に限る構造が日本法と類似する
ドイツは意匠権のライセンスを DesignG § 31で認め、権利移転は § 30が規律。日本のような『事業一体』要件は明文化されておらず、契約自由の色彩が強い
米国はデザイン特許も特許法で扱い、譲渡・ライセンスは書面によるものとされる。日本のような法定の移転制限は薄く、契約条項で処理する実務が中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が大手メーカーのデザインを使う通常実施権を持っていて、別事業を売却する話が出た。その実施権だけを買い手に引き継がせようとしたが、意匠権者の承諾が取れず、買い手は「では価格を下げてくれ」と言い出す。事業と一体でない移転は承諾が壁になる
- もし、あなたが資金繰りに窮して保有する実施権を担保に融資を受けようとしたら、どうなるか。銀行は質権設定を求めるが、意匠権者の承諾書がなければ質権は設定できない。第三者である意匠権者の一存に、あなたの資金調達が握られている
- 競合他社を買収する案件で、対象会社が他社デザインの通常実施権を保有していた。株式譲渡で会社ごと取得すれば一般承継として承諾なしについてくるが、事業の一部だけを切り出す事業譲渡だと意匠権者の承諾が要る。スキーム選択を誤ると、欲しかったライセンスが手元に来ない
- 裁定でもらった実施権を「国が認めた強い権利」と信じて事業計画の柱に据えた。ところが本体の意匠権者が権利を放棄して権利が消滅、あなたの裁定実施権も道連れで消えた。本体に従属する影のような権利だと知らなかった
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手持ちの通常実施権を移転したいなら、まず契約書で「実施の事業とともに移転するのか、権利だけか」を確認2. 権利だけの移転や質権設定なら、意匠権者(専用実施権についての通常実施権なら専用実施権者も)の承諾書を書面で取得3. 合併・会社分割・相続なら一般承継として承諾不要だが、対抗要件の整理は別途必要4. 裁定による実施権は本体の権利と切り離せないため、単独移転を前提とした計画を立てない
訴えられた側:1. あなたが意匠権者なら、承諾を求められた時点は条件を見直す好機、対価や利用範囲を再交渉できる2. 買収側なら、対象会社の実施権が承諾なしに無効な移転をされていないかをデューデリで精査3. 質権が設定されていれば自分の承諾が取られていたか確認、無断設定は効力を争える4. 裁定実施権が紛れていれば、本体権利の存否と消滅リスクを必ず確認
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。ただし移転や質権設定の効力を第三者に主張するには対抗要件の具備が前提となり、承諾を欠く移転の無効を争う場合は一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)が問題となりうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の承諾要件の趣旨は、意匠権者が信頼して許諾した相手とは別の第三者に、自社デザインの使用権を無制限に握られることを防ぐ点にある。誰に実施を許すかは重大な経営判断であり、実施の事業とともにする移転と一般承継のみを承諾なしで認めることで、実施権者の換金の自由と意匠権者の許諾相手選択の利益の均衡を図ると理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行意匠法の全部改正により制定。通常実施権の移転・質権設定を承諾・一般承継・事業一体に限定し、裁定通常実施権の本体権利への従属性を明文化した。
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