意匠法 第77条
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証拠調べ又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、十万円以下の過料に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第77条は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第77条の条文原文は「証拠調べ又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつて…」で始まります。
- 意匠法第77条は第八章に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第77条の前の条は意匠法第76条です。
- 意匠法第77条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第77条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第77条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/77
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法77条は、特許庁またはその嘱託を受けた裁判所からの書類・電磁的記録の提出命令に正当な理由なく従わなかった者を、十万円以下の過料に処すると定める秩序罰規定である。
Q · 特許庁から書類の提出命令が来たのに出さなかったら、どうなりますか?
正当な理由がなければ十万円以下の過料に処されます
意匠法77条により、証拠調べ又は証拠保全に関して特許庁またはその嘱託を受けた裁判所から書類・物件・電磁的記録の提出または提示を命じられた者が、正当な理由なく従わなかった場合、十万円以下の過料に処されます。過料は刑罰ではない秩序罰で前科は付きませんが、命令に従わなかった事実は審判記録に残り、審判官の事実認定に影響します。対象には CAD データやサーバー上のログなど電磁的記録も含まれ、名宛人は当事者に限られず第三者にも及びます。
解説
特許庁の審判で、相手方から「あの開発ログを出せ」と命じられた。無視した。そのときあなたが失うのは、書類だけではない。意匠法77条は、特許庁またはその嘱託を受けた裁判所が証拠調べ・証拠保全のために書類や電磁的記録の提出を命じたとき、正当な理由なく従わなかった者に十万円以下の過料を科すと定める。ここで押さえるべき点は三つある。第一に、対象は紙の書類だけではなく電磁的記録、つまりサーバー上の設計データ、CAD ファイル、社内チャットのログまで含む。第二に、名宛人は当事者に限られない。第三者、たとえば取引先の金型メーカーや外注デザイナーも命令の対象になりうる。第三に、これは刑罰ではなく過料、つまり秩序罰であって前科は付かない。だが十万円で済むと安心するのは早い。命令を無視した事実そのものが、審判官の心証を決定的に傾ける。金額の軽さと、審決への影響の重さは、まったく別の話である。
法的な位置づけ
意匠法77条は、証拠調べ又は証拠保全に関し、特許庁又はその嘱託を受けた裁判所からの書類・物件・電磁的記録の提出又は提示命令に、正当な理由なく従わなかった者に対する秩序罰を定める規定である。制裁は十万円以下の過料であり、刑罰ではなく非訟事件手続により科される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令書の名宛人・対象物件・期限を確定する 特許庁からの提出命令書を受領したら、まず名宛人が法人か個人か、対象物件の範囲、履行期限を確定する。対象範囲が不明確なら期限前に釈明を求める
- 2.社内探索を実施し、探索の過程を文書化する いつ・誰が・どのサーバーや保管庫を・どの検索条件で探し・何が出たかを日付入りで記録する。この記録が「正当な理由」の疎明資料の中身になる。結果の有無にかかわらず作成する
- 3.営業秘密が含まれる場合は期限前に手続的に争う 対象物件に設計ノウハウや取引情報が含まれる場合、期限を過ぎてから拒む理由を述べるのではなく、期限前に秘密保持や提示範囲の限定を求める申立てを行う(意匠法41条が準用する特許法105条以下)
- 4.存在しない・廃棄済みの場合は疎明資料を添えて回答する 「ありません」の一言では正当な理由と認められにくい。文書管理規程、廃棄記録、退職者のアカウント失効記録、復元業者への見積依頼書などを添えて、探索を尽くした事実を示す
- 5.期限内に提出または不服・事情を述べる 履行期限を過ぎた時点で違反状態が成立する。全部提出できないとしても、期限内に部分提出+残部についての事情説明を行うことで、正当な理由の評価が大きく変わる
よくある質問 AI による整理
Q1意匠法77条の過料とは何ですか?
証拠調べに関する特許庁の提出命令に正当な理由なく従わなかった者に科される十万円以下の秩序罰です。刑罰ではなく前科は付きません。
Q2過料と罰金の違いは何ですか?
罰金は刑罰で前科が付きますが、過料は秩序罰で前科は付きません。過料は非訟事件手続法に基づき裁判所が決定で科します。
Q3電磁的記録の提出命令の対象は何ですか?
人の知覚では認識できない方式で作られ、電子計算機による情報処理に供される記録です。CAD データ、3D モデル、サーバーログ、社内チャット履歴が該当します。
Q4提出命令に従わないとどうなりますか?
十万円以下の過料に加え、提出しなかった事実が審判記録に残り、審判官の事実認定で不利に働きます。金額より心証への影響が実質的に重大です。
Q5当事者でなくても提出命令の名宛人になりますか?
なります。証拠調べに必要な物件を保有する第三者も対象です。外注デザイナーや金型メーカーが命じられる例があります。
Q6正当な理由とは何が認められますか?
対象物が真に存在しない、合理的探索を尽くしても発見できない、保管期間経過で廃棄済みなどです。探索記録や廃棄規程での疎明が必要です。
Q7営業秘密が含まれる書類でも出さないといけませんか?
全面拒否ではなく、意匠法41条が準用する特許法の秘密保持命令やインカメラ手続で、提示範囲を限定する申立てを検討します。
Q8過料は会社と担当者のどちらが払いますか?
命令の名宛人が負担します。法人が名宛人なら法人、個人が名宛人なら個人です。刑罰ではないため前科は付きません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1本当にデータが見つからないんですが、それでも過料になりますか?
「正当な理由がないのに」従わなかった場合が要件なので、真に存在しない、または合理的な探索を尽くしても発見できないなら過料の対象にはなりにくい。問題は、それをどう示すかです。実務のポイント:弁理士や代理人は、命令が届いた時点で社内探索の手順書と結果報告書を作らせます。後から「探しました」と言っても信用されないが、日付入りの探索記録があれば、正当な理由の疎明資料として機能する。記録を作る発想があるかどうかが分かれ目
Q2当事者じゃないのに、なぜうちが出さないといけないんですか?
証拠調べにおける文書提出の枠組みは第三者にも及びます。意匠法41条が特許法の書類提出命令規定を準用しており、必要な証拠を持つ者に協力が求められる構造です。実務のポイント:第三者の立場なら、全面拒否ではなく「提出範囲の限定」を求める方が通りやすい。営業秘密部分をマスキングした形での提出や、インカメラ手続での裁判所限りの提示を提案すると、実務上受け入れられることが多い
Q3過料十万円って、会社と担当者のどちらが払うんですか?
過料は命令に従わなかった者、つまり命令の名宛人に科されます。法人が名宛人なら法人、個人が名宛人なら個人です。刑罰ではないので前科は付きません。実務のポイント:金額の小ささから軽視されがちだが、審判記録に「提出命令に従わなかった」と残る影響の方が実質的に大きい。同じ相手と別件で争うとき、その記録は必ず持ち出される
間違えやすい点 AI による整理
- 「過料十万円なら払った方が安い」という計算をする人がいる。この計算式そのものが誤っている。問われているのは金額の比較ではなく、提出しないという態度が審判の事実認定にどう跳ね返るかだ。過料は制裁の全部ではなく、目に見える一部でしかない
- 過料は刑罰だと思われているが、違う。秩序罰であって前科は付かず、非訟事件手続法による裁判所の過料決定で科される。ただし「前科が付かない=軽い」ではない。会社としては、命令違反の事実が審判記録に残り、同じ相手との別件紛争でも引用されうる
- 「電磁的記録の提出命令なんて、紙の時代の条文でしょ」と読み飛ばす人が多いが、条文はわざわざ電磁的記録の定義を括弧で書き込んでいる。人の知覚では認識できない方式で作られ、コンピュータ処理に供される記録、つまり CAD データ、3D モデル、クラウド上の版管理履歴。意匠紛争でいま最も決定的な証拠は、まさにここにある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の性質 | 意匠法77条:過料(秩序罰、前科なし) | 意匠法76条:宣誓した証人等の虚偽陳述に対する制裁 意匠法75条:虚偽表示等に関する規定 |
| 対象となる行為 | 証拠調べ・証拠保全に関する提出・提示命令の不履行 | 宣誓のうえでの虚偽の陳述 登録意匠でないものへの意匠登録表示等 |
| 名宛人 | 命令を受けた者(当事者・第三者を問わない) | 証人・鑑定人・当事者本人など陳述者 表示行為をした者 |
| 手続の根拠 | 非訟事件手続法による裁判所の過料決定 | 同じく秩序罰としての過料手続 刑事手続(刑罰規定) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では文書提出命令違反に対し、過料ではなく、当該文書に関する相手方の主張を真実と認めうるという事実認定上の効果を中心に構成する。金銭制裁より訴訟上の不利益で担保する点が日本と異なる
韓国デザイン保護法も、特許庁の証拠調べに関する命令違反等に対して過怠料(과태료)を定める。秩序罰として構成する点で日本と同型
ドイツでは特許庁・特許裁判所の手続において民事訴訟法の証拠法規定が準用され、命令不履行には Ordnungsgeld(秩序金)が科されうる。額は日本より高額に設定されることが多い
米国は discovery 制度の下で、命令違反に対し証拠排除・不利益推認・敗訴判決まで含む幅広い sanction を認める。金銭制裁は選択肢の一つにすぎず、制裁の射程は日本の過料よりはるかに広い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 意匠登録無効審判で、相手方が「その意匠は出願前に貴社の展示会で公開されていた」と主張。特許庁があなたの会社に当時の展示ブースの写真データと社内メールの提出を命じた。社内では「見つかりませんでした」で通そうとする空気がある。だが探索の記録すら残していなければ、正当な理由の説明が成り立たない
- あなたは紛争当事者ではない。外注先のデザイン事務所として、五年前にクライアントへ納品した図案の原本データを提出せよと命じられた。自社の営業秘密が混じっているから出したくない。この場合、拒否ではなく、営業秘密部分の秘密保持を求める申立て(意匠法41条が準用する特許法105条の4以下のインカメラ手続等)を検討する道がある
- もし提出命令が届いたのが、退職した担当者しかパスワードを知らないサーバー内のファイルだったら? 「アクセスできない」は正当な理由になるか。復元業者への見積依頼、社内調査報告書、これらを残しているかどうかで結論が割れる
- 審判の口頭審理まであと10日。提出命令の期限は5日後。社内法務は「間に合わないから遅れて出す」と言っている。だが提出しないまま期限を過ぎた瞬間、相手方は「文書の記載に関する主張を真実と認めるべき」という方向で攻めてくる。過料十万円より、その一撃の方が重い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方が命令に従わない場合、口頭審理または上申書でその事実を明確に記録に残す2. 提出されないことによって、あなたが立証しようとした事実について審判官の心証がどう動くかを、代理人と具体的に詰める3. 過料の裁判は特許庁からの通知を受けた裁判所が非訟事件手続で行う。当事者が直接科すものではないので、期待値は心証面に置く4. 並行して、提出命令に頼らない代替証拠(第三者の公開資料、展示会カタログ、ウェブアーカイブ)の収集を進める
訴えられた側:1. 命令書の名宛人・対象物件・期限を確定させる。対象範囲が不明確なら釈明を求める2. 社内で探索を実施し、いつ誰がどこを探して何が出たかを文書化する。この記録が正当な理由の中身になる3. 営業秘密が含まれる場合は、期限前に秘密保持の申立てや提示範囲の限定を求める4. 物理的に存在しない、または保管期間経過で廃棄済みの場合は、廃棄規程と廃棄記録を添えて疎明する。「ありません」の一言だけでは正当な理由と認められにくい
時効(請求できる期限):本条自体に固有の時効規定はない。過料は非訟事件手続法に基づき裁判所が決定する。実務上決定的なのは提出命令に付された履行期限であり、その日を過ぎた時点で違反状態が成立する。期限内に不服や事情を述べることが最大の防御である
学説
通説:本条の過料は刑罰ではない秩序罰であり、非訟事件手続法に基づき裁判所が決定で科す。金銭制裁の額は抑制的である一方、提出命令の不履行が審判における事実認定に及ぼす影響こそが実質的な制裁機能を担うと理解されている
実務的理解:「正当な理由」は弾力的な要件であり、対象物件の不存在、合理的探索を尽くしたことの疎明、営業秘密保護の必要性などが考慮される。ただし期限経過後の事後的な弁明より、期限前の手続的な申立てが高く評価されるとされる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行意匠法(昭和34年法律第125号)の制定に伴い、雑則・罰則章における秩序罰規定として設けられた
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