要点意匠法26条の2は、冒認出願や共同出願違反で他人名義になった意匠権を、無効にせず自己名義へ移転請求できると定める。移転登録で初めから自分の権利とみなされる。
Q · 外注先に自分のデザインを勝手に意匠登録されたら、もう取り返せないの?
無効にするのではなく、自分名義への移転を請求できます
意匠法26条の2により、冒認出願(48条1項3号)や共同出願違反(同1項1号)で他人名義になった意匠権は、真の権利者が特許庁に自己名義への移転を請求できます。無効審判で消すと、公知になったデザインは自分も再登録できず権利が空中分解しますが、移転なら権利が生きたまま手に入ります。移転登録があれば、その意匠権は初めから自分に帰属していたとみなされ(第3項)、横取り期間中の補償金請求権も遡って自分のものになります。ただし基礎意匠・関連意匠の意匠権が消滅した後は請求できません(第2項)。
フリーランスのデザイナーとして外注先に図面を渡したら、いつの間にかその相手が自分の名義で意匠登録していた。従来、あなたにできるのは無効審判でその登録を消すことだけだった。だがそれでは権利は誰のものでもなくなり、しかもデザインはすでに世に出て公知になっているから、あなたが改めて出願し直しても新規性を失っていて登録できない。盗んだ側も盗まれた側も、焼け野原だけが残る。意匠法26条の2は、この絶望的な構図をひっくり返す。冒認出願(他人の意匠を勝手に自分の名義で登録すること)や共同出願違反があったとき、本来権利を持つあなたは、その意匠権を消すのではなく、自分名義へ丸ごと移転するよう特許庁に請求できる。さらに移転が登録されれば、その権利は最初からあなたのものだったとみなされる(第3項)。横取りされていた数年間も、遡ってあなたの権利として扱われ、その間に発生した補償金請求権まで付いてくる。消すか、奪い返すか。その選択肢の有無が、デザインで食べていく人の生死を分ける。
意匠法26条の2は意匠権の移転請求を定める規定であり、冒認出願(48条1項3号)または共同出願違反(48条1項1号)に該当する意匠登録について、意匠登録を受ける権利を有する者が意匠権者に対しその意匠権の移転を請求できる旨を規定する。移転登録により当該意匠権は初めから請求者に帰属していたものとみなされる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
意匠登録を受ける権利のない者が、他人が創作した意匠を勝手に自己名義で出願・登録することです。意匠法48条1項3号の無効理由にあたり、真の権利者は26条の2で移転を請求できます。
本条固有の時効期間は条文上ありません。ただし第2項により、基礎意匠・関連意匠の意匠権はいずれかが消滅した後は請求できなくなります。相手の権利満了前に動くことが救済の前提です。
特許庁に対し、経済産業省令が定める手続で意匠権の移転を請求します。冒認・共同出願違反の立証資料を添えて行います。無効審判とは別の救済ルートです。
権利のない者による出願として無効理由(意匠法48条1項3号)にあたり、登録は無効審判で消せるほか、真の権利者は26条の2で移転を請求できます。悪質な場合は不正競争や損害賠償の問題にもなり得ます。
共同で創作した意匠は共同で出願すべきところ(15条が準用する特許法38条)、一方が単独名義で出願・登録することです。意匠法48条1項1号の無効理由にあたり、他の権利者は自己の持分の移転を請求できます。
はい。第2項により、基礎意匠・関連意匠の意匠権はいずれかが消滅した後は移転請求ができません。ただしその消滅が無効審判で初めから無かったとみなされた場合は例外です。
在職中の職務創作なら本来は会社が権利を承継しているため、会社は登録を消すのではなく26条の2で自己名義への移転を請求できます。就業規則や職務創作規程が証拠になります。
あります。特許法74条が同趣旨の移転請求を定めており、意匠法26条の2はその原型を意匠に取り込んだ規定です。いずれも2011年(平成23年)改正で新設されました。
原則は移転請求(26条の2)です。無効審判で相手の登録を消すと、そのデザインはすでに公知なので、あなたが出し直しても新規性を失っていて登録できず、権利が誰のものでもなくなります。移転なら権利が生きたまま自分のものになります。業界裏話ヒント:冒認・共同出願違反の救済は2011年改正で移転請求が新設されるまで、無効にして終わりという片道切符しかありませんでした。だから古い解説書や経験則だけで動く人ほど、反射的に無効審判を選んで自分の首を絞める。まず移転を検討する、が現在の定石です
移転登録があれば、その意匠権は初めからあなたに帰属していたとみなされます(第3項)。今から自分のものになるのではなく、最初から自分のものだった扱いです。さらにその意匠に係る補償金請求権(60条の12第1項)についても同様に遡って帰属します。業界裏話ヒント:この遡及効があるからこそ、横取りされていた期間に相手が第三者から得ていた利益や、相手が行使していた権利を、自分のものとして整理し直せる。移転は「今後」だけでなく「過去」を取り戻す手段だという点を、相手側の代理人ほど警戒します
共同で創作した意匠を一方が単独名義で登録したなら共同出願違反(48条1項1号、準用特許法38条)にあたり、もう一方は自分の持分の移転を請求できます。移転後は初めから共有だったとみなされます。なお共有持分を移転するこの場面では、他の共有者の同意を要する規定(36条が準用する特許法73条1項)は適用されません(第4項)。業界裏話ヒント:通常、共有持分の処分には他の共有者の同意が要りますが、26条の2の移転だけはこの同意のハードルを外しています。これを知らないと「相手の同意が要るから無理」と誤って諦める。条文が例外を作っている数少ない場面です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 得られる結果 | 26条の2(移転請求):権利が生きたまま自己名義に移る | — |
| 再登録の可否 | 移転なので新規性喪失は問題にならない | — |
| 遡及効 | 初めから自分に帰属したとみなされ補償金請求権も遡及(第3項) | — |
| 時的制限 | 基礎意匠・関連意匠の消滅後は請求不可(第2項) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。