意匠法 第74条(両罰規定)
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- 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
- 一第六十九条、第六十九条の二又は前条第一項三億円以下の罰金刑
- 二第七十条又は第七十一条三千万円以下の罰金刑
- 2.前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
- 3.第一項の規定により第六十九条、第六十九条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、意匠法第74条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第74条(両罰規定)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第74条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その…」で始まります。
- 意匠法第74条は第八章に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第74条の前の条は意匠法第73条の2です。
- 意匠法第74条の次の条は意匠法第75条です。
- 意匠法第74条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第74条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第74条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/74
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法74条は両罰規定で、従業者が業務に関し意匠権を侵害すると、行為者だけでなく法人にも罰金を科す。侵害罪では法人に最高3億円、個人の1000万円とは別枠で科される。
Q · 社員が他社の意匠権を侵害したら、会社も罰金を取られるの?
社員だけでなく会社にも別枠で罰金が科されます
意匠法74条の両罰規定により、法人の従業者が業務に関して意匠権侵害罪等を犯すと、行為者本人が処罰されるほか、法人にも罰金刑が科されます。侵害罪(69条等)では法人に最高3億円、詐欺・虚偽表示(70・71条)では最高3千万円で、いずれも個人の罰金とは別枠です。さらに74条3項により、法人への罰金の時効は罰金刑の短い時効ではなく各違反罪本来の時効によります。会社は『社員が勝手にやった』では免責されず、選任・監督上の相当の注意を尽くしたことを自ら立証する必要があります。
解説
他社の登録デザインをそっくりコピーした製品を売った。手を下したのは現場の社員一人。だが意匠法74条は、その社員だけでなく会社本体にも罰金を科す。しかも桁が違う。社員個人が69条の侵害罪で問われる罰金は最高1000万円、ところが会社には最高3億円。同じ一件で30倍だ。なぜ会社の方が重いのか。利益を手にするのは組織だからだ。社員一人を罰しても、儲けた会社を放置すれば抑止にならない。この両罰規定が本当に怖いのは、会社が「社員が勝手にやった」では逃げられない点にある。判例は、会社側に従業員の選任・監督上の過失があったと推定する。無罪を勝ち取りたければ、会社が自ら相当の注意を尽くしていたことを立証しなければならない。攻める側にとっても、これは強力な梃子になる。資力の乏しい個人ではなく、資金力のある会社本体を刑事告訴の射程に収められるからだ。
法的な位置づけ
意匠法74条は両罰規定を定める規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して同法所定の違反行為をした場合に、行為者を処罰するほか、法人に対しても各号所定の罰金刑を科す旨を規定する。行為者個人の罰金刑とは別個・独立に法人の刑事責任を基礎づけるものである。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
行為者本人を罰するだけでなく、その者が属する法人や事業主にも罰金刑を科す仕組みです。意匠法74条が代表例で、業務に関する従業者の違反について会社自身の刑事責任を基礎づけます。
Q2意匠法の罰則はいくらまでですか?
侵害罪(69条等)は個人が最高1000万円、法人は74条で最高3億円。詐欺・虚偽表示(70・71条)は法人に最高3千万円です。個人と法人の罰金は別枠で科されます。
Q3法人重課とは何ですか?
法人に対する罰金額を個人より大幅に重くする政策です。意匠法74条では法人に最高3億円と定め、知財侵害を組織のビジネス計算として割に合わなくする抑止目的があります。
Q4会社が意匠権を侵害したらどうなりますか?
行為者の刑事責任に加え、両罰規定により会社にも罰金刑が科されます。民事の差止・損害賠償(意匠法37条・39条)も並行し、刑事の圧力が民事和解を加速させることがあります。
Q5両罰規定で会社が免責されるには?
判例は会社の過失を推定するため、会社は『社員が勝手にやった』ではなく、従業者の選任・監督に相当の注意を尽くしていた事実を自ら立証する必要があります。平時の証跡が決め手です。
Q6意匠権侵害で会社を刑事告訴できますか?
できます。両罰規定により行為者個人だけでなく法人を被告に据えられます。組織的・反復的な侵害を示す資料を初動で揃えると、3億円規模の罰金が現実味を帯びます。
Q7秘密保持命令違反の罰則はどうなりますか?
73条1項の秘密保持命令違反も74条1項1号の対象で、法人に最高3億円が科されます。親告罪であり、74条2項により行為者への告訴は法人にも効力が及びます。
Q8意匠の虚偽表示をすると罰金はいくらですか?
虚偽表示(71条)は詐欺の行為(70条)とともに74条1項2号の区分に入り、法人に最高3千万円の罰金刑が科されます。現場の判断一つで会社に3千万円が飛びます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社員が勝手にやったことなのに、なぜ会社まで罰金を払うんですか?
両罰規定(74条)が、会社の業務として行われた従業者の違反について、会社自身の選任・監督上の過失を問うからです。判例は会社の過失を推定し、会社が「相当の注意を尽くした」と立証しない限り免責されません。実務のポイント:この過失推定を覆せた企業はごく少数。日頃から知財研修やクリアランス調査の証跡を残している会社だけが、無過失立証の土俵に立てる。事件が起きてから書類を作っても手遅れになる
Q2会社の罰金3億円って、社員個人の1000万円と別に取られるんですか?
別枠です。行為者個人には各本条の罰金(69条なら最高1000万円)、会社にはそれとは独立に最高3億円(74条1項1号)が科されます。社員が払えば会社は免除、ではありません。実務のポイント:この法人重課は、知財侵害が組織のビジネス判断として割に合わないようにする政策。罰金額を見込み利益より十分高く設定し、「バレても罰金を払えば儲かる」という計算を成り立たなくしている(最新の改正状況をご確認ください)
Q3罰金刑だから時効はすぐ来ますよね?早く逃げ切れますか?
逃げ切れません。74条3項は、会社への罰金の時効を、罰金刑の時効ではなく違反罪本来の時効によると定めます。69条の侵害罪は懲役刑を含むため、公訴時効は罰金単独より長い(刑事訴訟法250条)。実務のポイント:立法者はまさにこの「罰金だから時効が短い」という抜け道を塞ぐためにこの項を置いた。会社だけ短期で時効消滅させ、個人に責任を押し付ける戦略は使えない
間違えやすい点 AI による整理
- 「罰を受けるのは実際にやった社員だけ」と思われているが、74条は会社にも別個に罰金を科す。しかも個人の罰金とは別枠で、会社は最高3億円。社員が1000万円を払ったから会社は免責、という話ではない
- 両罰規定の存在は知っていても、その罰金額の異常な重さを知る人は少ない。個人の侵害罪は最高1000万円だが、会社は3億円。同じ条文違反で30倍。この格差は「法人重課」という政策判断の産物で、知財侵害を組織ぐるみのビジネス計算として割に合わなくする狙いがある
- 「社員が勝手にやったと立証すれば会社は無罪」と考えるのは、問いの立て方が逆さまになっている。判例上、会社の過失は推定される。会社がすべきは「社員の暴走」の立証ではなく、「自社が従業員の選任・監督に相当の注意を尽くしていた」ことの積極的立証。守りの立証責任は最初から会社側にのしかかっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる違反 | 74条:業務に関する従業者の違反全般(両罰の入口) | 69条:意匠権・専用実施権の侵害罪 70・71条:詐欺の行為/虚偽表示の罪 |
| 法人への罰金上限 | 各号により3億円または3千万円 | 69条経由で法人に最高3億円 70・71条経由で法人に最高3千万円 |
| 行為者個人の罰金 | 各本条の罰金刑(法人とは別枠) | 69条:個人は最高1000万円 70・71条:各本条所定の罰金 |
| 告訴・時効の特則 | 2項で告訴効力連動、3項で違反罪本来の時効 | 69条は非親告罪、時効は74条3項で本来の期間 73条は親告罪、74条2項で告訴効力が法人に及ぶ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は設計専利の侵害を非刑罰化しているため、構造的に最も近い両罰の例は著作権法101条。法人の代表者・従業者の違反について行為者と法人の双方に罰金を科す。
韓国のデザイン保護法にも양벌규정があり、法人に罰金を科す一方で相当の注意・監督を怠らなかった場合の免責規定を置く点が日本の過失推定構成と類似する。
ドイツは真の法人刑事責任を持たず、秩序違反法(OWiG)により法人に過料(Geldbuße)を科し、監督義務違反(§130)を通じて事業主責任を基礎づける。制裁は刑罰でなく過料である点が異なる。
米国は判例法上、従業員が職務範囲内で会社の利益のために犯した行為について会社に刑事責任を認める(respondeat superior)。意匠特許自体に刑事罰はないが、企業への転嫁責任の発想は共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社の開発部門が、競合の登録意匠にそっくりな筐体デザインで新製品を出した。担当者は「参考にしただけ」のつもり。だが意匠権者が刑事告訴に動けば、担当者個人だけでなく会社に最大3億円の罰金が来る。「一社員の暴走」という言い訳は、74条の前では通用しない
- もし、社員が在宅で勝手に他社デザインを流用していたら、会社は無関係でいられるか。答えはノーに近い。74条は会社側の選任・監督過失を推定する。会社が責任を免れるには、日頃から知財コンプラ研修や設計クリアランス体制を敷いていた事実を、自ら証明しなければならない
- 営業担当が、虚偽の意匠登録表示(71条)を付けた製品を拡販した。会社の売上を伸ばすための行為。会社にも最大3千万円。現場の判断一つで、三千万円が飛ぶ。
- 秘密保持命令(73条)違反で行為者が告訴された。あなたに残された時間は短い。74条2項により、行為者への告訴は会社にも自動的に効力が及ぶ。社員だけ守れば済む話ではなくなる。今すぐ会社としての弁護方針を固めねばならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 侵害の証拠(製品実物、カタログ、販売記録)を確保し、相手が個人事業か法人かを特定2. 法人なら、行為者個人だけでなく会社を被告とする刑事告訴を視野に入れ、組織的・継続的侵害を示す資料を揃える3. 刑事告訴(69条等)と並行して民事の差止・損害賠償(意匠法37条、39条)を組み立てる、刑事の圧力が民事和解を加速させる4. 知財に強い弁護士・弁理士と連携し、捜査機関に出す告訴状の精度を上げる
訴えられた側:1. 社内調査で「誰が・いつ・どの登録意匠を・業務として」侵害したかを正確に把握2. 会社の防御は「社員の暴走」ではなく「自社が選任・監督に相当の注意を尽くした」立証。研修記録、クリアランス調査の証跡、設計レビュー体制を整理3. 親告罪(73条)案件では74条2項により告訴が会社にも及ぶため、個人と会社の弁護方針を分けて検討4. 早期の被害者との示談・ライセンス交渉で告訴の取下げ・不起訴を狙う
時効(請求できる期限):両罰規定で会社に罰金を科す場合の時効は、軽い罰金刑の時効ではなく、各違反罪本来の時効による(74条3項)。69条等の侵害罪は法定刑に懲役を含むため、公訴時効は罰金単独の場合より長くなる(刑事訴訟法250条)。「罰金だから時効はすぐ来る」という油断は通用しない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定による法人処罰は純粋な無過失責任ではなく、従業者の選任・監督についての法人の過失を推定する構成と解する。法人が相当の注意を尽くした無過失を立証すれば免責され、責任主義との調和が図られる。
改正沿革 AI による整理
- 法人重課の導入と引き上げ(要検証) 知財侵害罪について法人に対する罰金額を個人より大幅に重くする法人重課が導入され、後に3億円へ引き上げられたと解されるが、改正年と各段階の金額は人的検証が必要
- 秘密保持命令制度との連動(要検証) 訴訟手続上の秘密保持命令違反の罪(73条)の新設に伴い、両罰規定の対象および告訴効力(2項)が整備されたと解されるが、改正年は人的検証が必要
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