要点意匠法74条は両罰規定で、従業者が業務に関し意匠権を侵害すると、行為者だけでなく法人にも罰金を科す。侵害罪では法人に最高3億円、個人の1000万円とは別枠で科される。
Q · 社員が他社の意匠権を侵害したら、会社も罰金を取られるの?
社員だけでなく会社にも別枠で罰金が科されます
意匠法74条の両罰規定により、法人の従業者が業務に関して意匠権侵害罪等を犯すと、行為者本人が処罰されるほか、法人にも罰金刑が科されます。侵害罪(69条等)では法人に最高3億円、詐欺・虚偽表示(70・71条)では最高3千万円で、いずれも個人の罰金とは別枠です。さらに74条3項により、法人への罰金の時効は罰金刑の短い時効ではなく各違反罪本来の時効によります。会社は『社員が勝手にやった』では免責されず、選任・監督上の相当の注意を尽くしたことを自ら立証する必要があります。
他社の登録デザインをそっくりコピーした製品を売った。手を下したのは現場の社員一人。だが意匠法74条は、その社員だけでなく会社本体にも罰金を科す。しかも桁が違う。社員個人が69条の侵害罪で問われる罰金は最高1000万円、ところが会社には最高3億円。同じ一件で30倍だ。なぜ会社の方が重いのか。利益を手にするのは組織だからだ。社員一人を罰しても、儲けた会社を放置すれば抑止にならない。この両罰規定が本当に怖いのは、会社が「社員が勝手にやった」では逃げられない点にある。判例は、会社側に従業員の選任・監督上の過失があったと推定する。無罪を勝ち取りたければ、会社が自ら相当の注意を尽くしていたことを立証しなければならない。攻める側にとっても、これは強力な梃子になる。資力の乏しい個人ではなく、資金力のある会社本体を刑事告訴の射程に収められるからだ。
意匠法74条は両罰規定を定める規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して同法所定の違反行為をした場合に、行為者を処罰するほか、法人に対しても各号所定の罰金刑を科す旨を規定する。行為者個人の罰金刑とは別個・独立に法人の刑事責任を基礎づけるものである。
行為者本人を罰するだけでなく、その者が属する法人や事業主にも罰金刑を科す仕組みです。意匠法74条が代表例で、業務に関する従業者の違反について会社自身の刑事責任を基礎づけます。
侵害罪(69条等)は個人が最高1000万円、法人は74条で最高3億円。詐欺・虚偽表示(70・71条)は法人に最高3千万円です。個人と法人の罰金は別枠で科されます。
法人に対する罰金額を個人より大幅に重くする政策です。意匠法74条では法人に最高3億円と定め、知財侵害を組織のビジネス計算として割に合わなくする抑止目的があります。
行為者の刑事責任に加え、両罰規定により会社にも罰金刑が科されます。民事の差止・損害賠償(意匠法37条・39条)も並行し、刑事の圧力が民事和解を加速させることがあります。
判例は会社の過失を推定するため、会社は『社員が勝手にやった』ではなく、従業者の選任・監督に相当の注意を尽くしていた事実を自ら立証する必要があります。平時の証跡が決め手です。
できます。両罰規定により行為者個人だけでなく法人を被告に据えられます。組織的・反復的な侵害を示す資料を初動で揃えると、3億円規模の罰金が現実味を帯びます。
73条1項の秘密保持命令違反も74条1項1号の対象で、法人に最高3億円が科されます。親告罪であり、74条2項により行為者への告訴は法人にも効力が及びます。
虚偽表示(71条)は詐欺の行為(70条)とともに74条1項2号の区分に入り、法人に最高3千万円の罰金刑が科されます。現場の判断一つで会社に3千万円が飛びます。
両罰規定(74条)が、会社の業務として行われた従業者の違反について、会社自身の選任・監督上の過失を問うからです。判例は会社の過失を推定し、会社が「相当の注意を尽くした」と立証しない限り免責されません。業界裏話ヒント:この過失推定を覆せた企業はごく少数。日頃から知財研修やクリアランス調査の証跡を残している会社だけが、無過失立証の土俵に立てる。事件が起きてから書類を作っても手遅れになる
別枠です。行為者個人には各本条の罰金(69条なら最高1000万円)、会社にはそれとは独立に最高3億円(74条1項1号)が科されます。社員が払えば会社は免除、ではありません。業界裏話ヒント:この法人重課は、知財侵害が組織のビジネス判断として割に合わないようにする政策。罰金額を見込み利益より十分高く設定し、「バレても罰金を払えば儲かる」という計算を成り立たなくしている(最新の改正状況をご確認ください)
逃げ切れません。74条3項は、会社への罰金の時効を、罰金刑の時効ではなく違反罪本来の時効によると定めます。69条の侵害罪は懲役刑を含むため、公訴時効は罰金単独より長い(刑事訴訟法250条)。業界裏話ヒント:立法者はまさにこの「罰金だから時効が短い」という抜け道を塞ぐためにこの項を置いた。会社だけ短期で時効消滅させ、個人に責任を押し付ける戦略は使えない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる違反 | 74条:業務に関する従業者の違反全般(両罰の入口) | — |
| 法人への罰金上限 | 各号により3億円または3千万円 | — |
| 行為者個人の罰金 | 各本条の罰金刑(法人とは別枠) | — |
| 告訴・時効の特則 | 2項で告訴効力連動、3項で違反罪本来の時効 | — |
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