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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

意匠法 第56条

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無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた意匠登録出願について再審により意匠権の設定の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 意匠法第56条は、日本の意匠法に含まれる条文です。
  2. 意匠法第56条の条文原文は「無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた意匠登録出願について再審により意匠権の設定の登録があつたときは、当該審決…」で始まります。
  3. 意匠法第56条は第六章に置かれています。
  4. 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 意匠法第56条の前の条は意匠法第55条です。
  7. 意匠法第56条の次の条は意匠法第57条です。
  8. 意匠法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第56条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125
  • 本サイト収録意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/56

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点意匠法56条は、無効だった意匠権が再審で回復しても、審決確定後・再審請求の登録前に善意で事業をしていた者に、その範囲で通常実施権(中用権)を認める規定である。

Q · 無効だと聞いて作り始めた意匠権が、後から再審で復活したら侵害になるの?

善意で事業を始めていれば、中用権で使い続けられます

意匠法56条により、無効審決の確定後・再審請求の登録前に、善意で日本国内において当該意匠又は類似意匠の実施事業をし、又はその準備をしていた者は、その意匠及び事業の目的の範囲内で通常実施権(中用権)を有します。したがって権利が再審で復活しても、範囲内であれば侵害品にはなりません。ただし守られるのは善意かつ再審請求の登録前に始めていた範囲だけで、事業開始日の証明が成否を分けます。

解説

競合他社の意匠登録が無効審決で消えた。あなたは「これで堂々と同じデザインの製品を量産できる」と判断し、金型を作り、生産ラインを動かし、販売を始めた。ところが相手が再審を請求し、いったん消えた意匠権が復活する。普通に考えれば、あなたの製品はすべて侵害品に変わる。だが意匠法56条はそうはさせない。無効審決が確定した後、再審請求の登録前に、善意で日本国内において実施事業をしていた者、またはその準備をしていた者は、自分が実施していた意匠と事業の範囲内で「通常実施権」、つまり相手の意匠権に対して堂々と使い続けられる権利を持つ。これが「中用権」だ。無効を信じて投資した者を、後出しの復活から守る安全網である。ただし守られるのは「善意」かつ「再審請求の登録前」に始めていた範囲だけ。タイミングと事業範囲が、あなたの権利の輪郭を決める。

法的な位置づけ

意匠法56条にいう中用権とは、無効審決が確定した後、再審の請求の登録前に、善意で日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をし、又はその準備をしていた者が、再審により回復した意匠権について、実施又は準備をしていた意匠及び事業の目的の範囲内で有する通常実施権をいう。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.再審請求の登録日を意匠登録原簿で確認 意匠登録原簿を取得し、相手方が再審を請求した登録日を特定する。この日付が中用権成否の分水嶺になるため、まず基準日を固定する
  2. 2.自社の事業開始・準備の時点を証拠で固める 自社が当該意匠の実施事業を開始し、又は準備を始めた時点を、発注書・契約書・金型製作記録・生産ライン稼働記録で特定する。それが再審請求の登録前であることを日付で示せる状態にする
  3. 3.善意を裏付ける社内記録を整理 無効審決の確定を確認したうえで製品化を決裁した社内文書を揃える。「無効になったと信じて投資した」という積極的信頼を示す証拠が善意立証の核になる
  4. 4.実施していた意匠と事業の範囲を画定 現に実施し又は準備していた意匠と事業の目的の範囲を具体的に文書化する。中用権はこの範囲内に固定されるため、当初の事業実態を厚く記録するほど有利になる
  5. 5.相手の警告書に中用権を書面で主張 権利者の警告書に対し「意匠法56条の通常実施権(中用権)を有する」と書面で反論する。範囲外への拡大分は別途ライセンス交渉に持ち込む

よくある質問 AI による整理

Q1中用権とは何ですか?

無効審決の確定後、再審請求の登録前に善意で意匠を実施していた者が、再審で回復した意匠権について取得する通常実施権です(意匠法56条)。無効を信じた投資を後出しの復活から守る安全網です。

Q2中用権と先使用権の違いは何ですか?

先使用権(意匠法29条)は出願前から実施していた者を守るもの、中用権(56条)は一度無効になった権利が再審で回復した局面で善意の実施者を守るものです。守る時点と前提が異なります。

Q3意匠権が再審で復活するのはどんな場合ですか?

無効審決や拒絶審決が確定した後、その審判に重大な瑕疵があるなどの再審事由があれば、再審により意匠権が回復し、又は設定登録されることがあります(意匠法53条以下)。

Q4中用権はいつまでに準備すればいいですか?

「再審の請求の登録前」までに善意で事業を開始し、又は事業の準備を始めている必要があります。登録後に始めた事業には中用権は及びません。

Q5中用権の範囲はどこまで及びますか?

現に実施し、又は準備をしていた意匠及び事業の目的の範囲内に限られます。復活後に新たに広げた生産量や派生デザインには及びません。

Q6特許にも中用権はありますか?

あります。特許法176条が再審により回復した特許権に対する通常実施権を、同じ構造で定めています。意匠・特許・商標に横断的な制度です。

Q7中用権を主張するにはどんな証拠が必要ですか?

再審請求の登録前から善意で事業をしていた事実と日付を示す発注書・契約書・金型製作記録・社内決裁文書などが決め手になります。日付を示せる資料が鍵です。

Q8再審請求の登録日はどうやって調べますか?

意匠登録原簿で確認できます。この登録日と自社の事業開始日を突き合わせることが、中用権の成否を判断する最初の一手になります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1意匠権が無効になったって聞いたので製品を作り始めたんですが、後で復活したら全部アウトですか?

全部アウトにはなりません。無効審決が確定した後、再審請求の登録前に善意で事業を始めていれば、意匠法56条の中用権(通常実施権)で使い続けられます。ただし守られるのは現に実施していた意匠と事業の範囲内だけです。実務のポイント:弁理士は中用権の成否をまず「開始日」で見ます。無効審決の確定から再審請求の登録までの空白期間に始めた記録があるかが全て。日付を示せる発注書や金型製作記録を残しているかで、結論が真逆になります

Q2中用権があれば、相手にお金を払わずにずっと作り続けられるんですか?

原則として中用権は無償で、ライセンス料を払う義務はありません。ただし範囲は「あなたが現に実施していた意匠と事業の目的の範囲内」に固定され、復活後に新たに広げた分には及びません(意匠法56条)。実務のポイント:中用権が成立する事案ほど、争点は「有る無し」から「範囲」へ移ります。拡大した生産量や派生デザインが範囲内かで揉めるので、当初の事業実態を示す資料を厚く残しているほど有利になります

Q3『善意』ってどういう意味ですか?知らなかったってこと?

ここでの善意は、無効審決が再審で覆される可能性を知らずに事業を始めた、という意味です。単に意匠権の存在を知らなかったではなく、無効になったと信じて動いたという積極的な信頼を指します(意匠法56条)。実務のポイント:相手側は「あなたは再審で復活すると予見できたはず」と悪意を主張して中用権を潰しにきます。だからこそ、無効審決の確定を確認したうえで投資判断した社内決裁文書などが、善意の何よりの証拠になります

間違えやすい点 AI による整理

  • 意匠権が無効になったら、もう誰でも自由に使えると思い込みやすいが、再審で復活する余地がある限り、無効審決の確定だけでは安全圏ではない。56条の保護を受けるには、自分の側で「善意」と「再審請求登録前の事業開始」という条件を満たしておく必要がある。安心は自動的には来ない
  • 中用権という言葉は知っていても、その範囲が「あなたが現に実施していた意匠と事業の目的の範囲内」に固定されることは見落とされやすい。復活後に生産を広げた分、別の派生デザインに展開した分には及ばない。権利はあるが、その輪郭は思っているより狭い
  • 「復活した権利者と争えば勝てるか」と問う人が多いが、問いの立て方そのものがずれている。56条は争って勝つための条文ではなく、争わずに使い続ける地位を確認する条文だ。あなたが立証すべきは「相手が悪い」ことではなく「自分が善意で、いつから事業をしていたか」である
比較の観点この条文ほかの条文
保護の前提意匠法56条(中用権):無効審決確定後・再審請求登録前に善意で実施意匠法29条(先使用権):出願の際、現に実施又は準備
意匠法28条(通常実施権):意匠権者との設定契約
権利発生の性質法定・無償が原則法定・無償が原則
契約により発生、対価は合意による
権利の範囲実施・準備していた意匠及び事業の目的の範囲内実施・準備していた意匠及び事業の目的の範囲内
契約で定めた範囲
決め手となる時点再審の請求の登録前かどうか意匠登録出願の際かどうか
契約締結の有無

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
台湾専利法(設計専利)

台湾は設計を専利法で保護するが、無効後の回復に伴う中用権に直接相当する明文は限定的で、善意実施者の保護は先使用権法理で近似される

韓国
대한민국 디자인보호법

韓国は日本の制度を継受し、再審により回復したデザイン権に対する通常実施権(中用権)を同様の構造で定める

ドイツ
PatG/DesignG の Weiterbenutzungsrecht

ドイツ法は権利回復後の継続使用権(Weiterbenutzungsrecht)で善意の実施者を保護する。中用権の思想的源流に近い

アメリカ
35 U.S.C. § 252 (intervening rights)

米国は再発行・再審査後の中間使用権(intervening rights)として、無効・変更前に投資した者を裁量的に保護する。デザイン特許にも及ぶ

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし、あなたが他社の意匠登録が無効になったのを確認してから新製品ラインを立ち上げ、半年後にその意匠権が再審で復活したらどうなる? 在庫も稼働中のラインも、56条の中用権が成立しなければ一夜で侵害品の山になる。鍵は、あなたが事業を始めた日が再審請求の登録より前かどうか、その一点だ
  • あなたはメーカーの開発責任者。無効審決の確定を社内決裁で確認し、製品化にゴーサインを出した。後で相手が権利を復活させ警告書を送ってきても、決裁文書の日付が「再審請求の登録前」を示していれば、中用権を盾に事業を続けられる。残すべきは図面ではなく、判断した日付の記録だ
  • 意匠権を復活させた側に立つこともある。あなたが権利者で、無効期間中に他社が勝手に量産を始めていた。ただしその他社が始めたのが再審請求の登録より後なら、中用権は成立せず、差止めも損害賠償も打てる。相手の開始時期を洗い出すのが最初の一手になる
  • あと数週間で再審が請求されそうだという情報が入った。今この瞬間に善意で事業の準備を進めておけば中用権の足場ができるが、再審請求が登録された後では手遅れになる。時間との勝負だ

取るべき行動

被害を受けた側:1. 自分が事業または事業の準備を始めた時点を特定し、それが「再審請求の登録前」かを確認する。登録日は意匠登録原簿で調べられる2. 開始時に相手の意匠権が無効になっていることを前提に動いた「善意」を、当時の社内決裁・発注書・金型製作記録で裏付ける3. 現に実施していた意匠と事業の範囲を具体的に画定し、その範囲内で中用権を主張する4. 相手の警告書には「意匠法56条の通常実施権を有する」と書面で反論。範囲外への拡大分は別途ライセンス交渉も視野に入れる

訴えられた側:1. 相手の事業開始時期を調べ、本当に「再審請求の登録前」かを精査する。登録後に始めた事業に中用権は及ばない2. 相手の「善意」を争う。無効審決が覆る可能性を相手が知り得た事情があれば、悪意を主張できる余地がある3. 中用権が成立しても、その範囲は相手が現に実施していた意匠と事業の目的の範囲内に限られる。拡大分には差止め・損害賠償が可能4. 中用権は無償が原則だが、範囲をめぐる交渉でライセンス料の取り決めに持ち込む選択肢もある

時効(請求できる期限):本条の中用権そのものに消滅時効はない。決定的なのは「再審の請求の登録前」に善意で実施事業または準備を始めていたかという一点で、この登録日が成否の分水嶺となる。中用権の範囲外の実施に対する相手方の差止・損害賠償請求権は、別途一般の消滅時効(民法166条、不法行為は724条)に服する

学説

通説:意匠法56条の中用権は、再審による意匠権の遡及的回復から、無効審決の公示を信頼して投資した善意の第三者を保護する法定通常実施権と解される。保護の対象は『善意』かつ『再審請求の登録前』に事業を開始・準備していた者に限られ、その効力は現に実施・準備していた意匠と事業の目的の範囲内に画定される。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:現行意匠法(昭和34年法律第125号)の制定に伴い規定。特許法176条と一対をなす再審回復後の通常実施権として整備された。

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意匠法の全文を見る所属する編章節を開く:第六章

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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