無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた意匠登録出願について再審により意匠権の設定の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。
要点意匠法 56 条は、無効だった意匠権が再審で回復しても、審決確定後・再審請求の登録前に善意で事業をしていた者に、その範囲で通常実施権(中用権)を認める規定である。
Q · 無効だと聞いて作り始めた意匠権が、後から再審で復活したら侵害になるの?
善意で事業を始めていれば、中用権で使い続けられます
意匠法 56 条により、無効審決の確定後・再審請求の登録前に、善意で日本国内において当該意匠又は類似意匠の実施事業をし、又はその準備をしていた者は、その意匠及び事業の目的の範囲内で通常実施権(中用権)を有します。したがって権利が再審で復活しても、範囲内であれば侵害品にはなりません。ただし守られるのは善意かつ再審請求の登録前に始めていた範囲だけで、事業開始日の証明が成否を分けます。
競合他社の意匠登録が無効審決で消えた。あなたは「これで堂々と同じデザインの製品を量産できる」と判断し、金型を作り、生産ラインを動かし、販売を始めた。ところが相手が再審を請求し、いったん消えた意匠権が復活する。普通に考えれば、あなたの製品はすべて侵害品に変わる。だが意匠法 56 条はそうはさせない。無効審決が確定した後、再審請求の登録前に、善意で日本国内において実施事業をしていた者、またはその準備をしていた者は、自分が実施していた意匠と事業の範囲内で「通常実施権」、つまり相手の意匠権に対して堂々と使い続けられる権利を持つ。これが「中用権」だ。無効を信じて投資した者を、後出しの復活から守る安全網である。ただし守られるのは「善意」かつ「再審請求の登録前」に始めていた範囲だけ。タイミングと事業範囲が、あなたの権利の輪郭を決める。
意匠法 56 条にいう中用権とは、無効審決が確定した後、再審の請求の登録前に、善意で日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をし、又はその準備をしていた者が、再審により回復した意匠権について、実施又は準備をしていた意匠及び事業の目的の範囲内で有する通常実施権をいう。
AI 輔助整理,以條文原文為準
無効審決の確定後、再審請求の登録前に善意で意匠を実施していた者が、再審で回復した意匠権について取得する通常実施権です(意匠法 56 条)。無効を信じた投資を後出しの復活から守る安全網です。
先使用権(意匠法 29 条)は出願前から実施していた者を守るもの、中用権(56 条)は一度無効になった権利が再審で回復した局面で善意の実施者を守るものです。守る時点と前提が異なります。
無効審決や拒絶審決が確定した後、その審判に重大な瑕疵があるなどの再審事由があれば、再審により意匠権が回復し、又は設定登録されることがあります(意匠法 53 条以下)。
「再審の請求の登録前」までに善意で事業を開始し、又は事業の準備を始めている必要があります。登録後に始めた事業には中用権は及びません。
現に実施し、又は準備をしていた意匠及び事業の目的の範囲内に限られます。復活後に新たに広げた生産量や派生デザインには及びません。
あります。特許法 176 条が再審により回復した特許権に対する通常実施権を、同じ構造で定めています。意匠・特許・商標に横断的な制度です。
再審請求の登録前から善意で事業をしていた事実と日付を示す発注書・契約書・金型製作記録・社内決裁文書などが決め手になります。日付を示せる資料が鍵です。
意匠登録原簿で確認できます。この登録日と自社の事業開始日を突き合わせることが、中用権の成否を判断する最初の一手になります。
全部アウトにはなりません。無効審決が確定した後、再審請求の登録前に善意で事業を始めていれば、意匠法 56 条の中用権(通常実施権)で使い続けられます。ただし守られるのは現に実施していた意匠と事業の範囲内だけです。業界裏話ヒント:弁理士は中用権の成否をまず「開始日」で見ます。無効審決の確定から再審請求の登録までの空白期間に始めた記録があるかが全て。日付を示せる発注書や金型製作記録を残しているかで、結論が真逆になります
原則として中用権は無償で、ライセンス料を払う義務はありません。ただし範囲は「あなたが現に実施していた意匠と事業の目的の範囲内」に固定され、復活後に新たに広げた分には及びません(意匠法 56 条)。業界裏話ヒント:中用権が成立する事案ほど、争点は「有る無し」から「範囲」へ移ります。拡大した生産量や派生デザインが範囲内かで揉めるので、当初の事業実態を示す資料を厚く残しているほど有利になります
ここでの善意は、無効審決が再審で覆される可能性を知らずに事業を始めた、という意味です。単に意匠権の存在を知らなかったではなく、無効になったと信じて動いたという積極的な信頼を指します(意匠法 56 条)。業界裏話ヒント:相手側は「あなたは再審で復活すると予見できたはず」と悪意を主張して中用権を潰しにきます。だからこそ、無効審決の確定を確認したうえで投資判断した社内決裁文書などが、善意の何よりの証拠になります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保護の前提 | 意匠法 56 条(中用権):無効審決確定後・再審請求登録前に善意で実施 | — |
| 権利発生の性質 | 法定・無償が原則 | — |
| 権利の範囲 | 実施・準備していた意匠及び事業の目的の範囲内 | — |
| 決め手となる時点 | 再審の請求の登録前かどうか | — |
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