要点国税通則法117条は、日本に住所・居所を失う納税者に納税管理人の選任を義務づける。届出を怠ると、税務署長等が国内便宜者を特定納税管理人として指定できる(令和4年1月施行)。
Q · 海外に引っ越すと、日本の税金の手続きは誰がやってくれるの?
原則、納税管理人を届け出る義務あり。怠ると税務署が第三者を指定
国税通則法117条により、日本に住所・居所を失い、なお国税手続(家賃収入や株譲渡の申告、還付金の受取など)が必要な場合、納税管理人を定めなければなりません。届出先は納税地を所轄する税務署長(保税地域からの引取りに係る消費税等は税関長)です。令和4年1月からは、届出を怠ると税務署長等が60日以内の期限を切って督促し、それでも応じなければ国内便宜者を特定納税管理人として指定できます。誰を選ぶかの主導権は、出国前に自分で届け出た者だけが握れます。
海外赴任の辞令、あるいは念願の海外移住。日本に住所も居所もなくなるあなたには、多くの人が見落とす宿題が残る。日本に残したマンションの家賃収入、売却した株の申告、還付金の受取。これら国税に関する手続を、日本にいないあなたに代わって処理する人を立てる義務が生じる。それが納税管理人だ(国税通則法117条1項)。単なる推奨ではなく「定めなければならない」という義務規定である。そして令和4年1月からは牙が生えた。あなたが届出をせず放置すると、税務署はまず60日以内の期限を切って届出を督促し、それでも動かなければ、あなたと関わりのある国内の人物(国内便宜者)を、あなたの承諾を待たずに「特定納税管理人」として指定できる。逃げ得を許さない仕組みだ。誰を選ぶかを自分で決めるか、税務署に決められるか。その分かれ目は、出国前のあなたの一手にある。
納税管理人とは、日本に住所・居所を有しない個人、または国内に事務所・事業所を有しない法人が、国税に関する事項を処理させるために国内から選任する者をいう。国税通則法117条を根拠とし、申告書の提出・書類の受領・還付金の受領などの手続を代行する。届出を怠った場合、税務署長等は国内便宜者を特定納税管理人として指定できる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
納税地を所轄する税務署長に提出します。ただし保税地域からの引取りに係る消費税等のみを処理させる場合は、税関長が届出先になります(117条2項)。
届出自体に一律の法定期限はありませんが、実務上は出国の時までが分水嶺です。出国後の確定申告期限や国外転出時課税の納税猶予の条件と連動するためです。
有価証券等が1億円以上ある人が海外移住する際、まだ売っていない含み益に所得税を課す制度です。納税管理人の届出をすると納税猶予を受けられます。
日本に事業所を持たず日本で消費税の申告義務を負う法人は必要です。保税地域からの引取りに係る消費税等なら届出先は税関長になります。
特定事項を処理させる必要がなくなったとき、税務署長等は指定を解除します。解除時は本人と特定納税者に書面で通知されます(117条6項・7項)。
相続税の申告義務を負う場合、日本を離れている相続人は納税管理人を選任する必要があります。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月です。
必要です。117条2項は解任したときも税務署長(または税関長)に届け出るべきことを定めています。後任を立てるなら新たな選任届も要します。
国内に住所・居所を有し、特定事項の処理につき便宜を有する者です。財産を得た者や関係の深い者など、税務署長等が便宜を有すると判断した人が対象になります。
日本に住所・居所がなくなり、かつ日本での国税手続(家賃収入や株譲渡の申告、還付の受取など)が必要なら、117条1項で選任は義務です。手続の必要がなければ立てなくて構いません。業界裏話ヒント:出国前に『納税管理人の届出書』を出しておくと、出国後の確定申告期限が通常どおり翌年3月15日になります。届出をせず出国すると、出国の時までに確定申告を求められる場合があり(所得税法127条)、バタバタで申告漏れが起きやすい
なれます。日本に住所・居所があり、その事務処理に便宜のある人なら家族でも知人でも可能で、資格要件はありません(117条1項)。業界裏話ヒント:納税管理人は税務署からの書類の受取窓口になります。ここが放置されると、期限を過ぎた加算税や延滞税があなた本人に跳ね返る。安易に遠縁の親戚に頼んで書類を放置され、後で泣くのはあなた。連絡が確実につく相手を選ぶこと
国外転出時課税(出国税)の対象です。有価証券等が1億円以上あると、まだ売っていない含み益に所得税が課されます。ただし出国の時までに納税管理人を届け出て申告すれば、最長5年(延長で10年)の納税猶予が受けられます(所得税法137条の2、最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:この納税猶予は納税管理人の届出が事実上の必須条件。届出を忘れて出国すると猶予が受けられず、含み益への税金を出国時に一括で払う羽目になる。富裕層の海外移住で最も事故が多いのがここ
本当です。令和4年1月からの制度で、あなたが届出を怠ると、税務署は60日以内の期限を切って書面で督促し、それでも応じなければ、あなたと関わりのある国内の人物を『特定納税管理人』として指定できます(117条3項〜5項)。業界裏話ヒント:指定される『国内便宜者』は、あなたから財産を得た人や関係の深い人など、税務署が便宜を有すると判断した人。放置はあなただけでなく周囲を巻き込む。自分で選んで届け出るのが、関係者への最低限の配慮になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 117条:納税管理人の選任義務と特定納税管理人の指定 | — |
| 発動する場面 | 出国・海外移転で住所・居所(拠点)を失うとき | — |
| 本人が失敗したときの帰結 | 税務署長等が国内便宜者を特定納税管理人に指定できる | — |
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