理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
要点区分所有法 49 条の 2 は、管理組合法人の理事の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できないと定める。規約に違反した契約でも、相手方が制限を知らなければ法人は無効を主張できない。
Q · 管理規約に反して理事長が勝手に発注した工事、管理組合は支払を拒めますか?
規約違反でも、知らなかった業者には無効を主張できない
区分所有法 49 条の 2 により、理事の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できません。規約や集会決議で「一定額を超える契約は決議を要する」と定めても、その制限を知らずに契約した業者との関係では契約は有効に成立し、管理組合法人が支払義務を負います。管理組合が争えるのは相手方が制限を知っていた(悪意の)場合に限られ、その立証責任は無効を主張する法人側にあります。残る手段は理事の解任と、理事個人に対する損害賠償請求です。
マンションの管理規約には、たいてい「一定額を超える契約は集会の決議を経る」という一文が入っている。管理組合法人の理事はその一文で縛られている、区分所有者の誰もがそう信じている。ところが本条は、その縛りは建物の外の世界には効かないと言い切る。理事が規約を破って独断で工事業者と契約しても、業者がその制限を知らなかったのなら、管理組合法人は契約に縛られる。代金を払うのはあなたたち区分所有者だ。規約は内部では有効で、理事の解任や損害賠償の根拠にはなる。だが外に向けては無力で、契約を無効にする盾にはならない。この違いを知っているかどうかで、請求書が届いた翌日にあなたが誰へ何を請求するかが変わる。
建物の区分所有等に関する法律 49 条の 2 は、管理組合法人の理事の代理権に加えられた制限の対外的効力を定める規定である。規約または集会の決議による権限の制限は法人内部において効力を有するにとどまり、その制限について善意の第三者に対しては対抗することができない。制限に違反した行為であっても、契約の効果は管理組合法人に帰属する。
管理組合法人の理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できないと定める規定です。規約や集会決議による権限の上限は法人内部にとどまり、事情を知らない取引相手には主張できません。
区分所有法 49 条により理事は法人の事務に関して法人を代表します。規約や集会決議で範囲を絞ることはできますが、その制限を知らない相手方との関係では 49 条の 2 により効力が及びません。
相手方が善意なら契約は有効で、管理組合法人が支払義務を負います。法人財産で足りない場合は区分所有法 53 条により各区分所有者が持分割合で責任を負い、最終的に理事への損害賠償で回収します。
無効を主張する管理組合法人の側が立証責任を負います。規約の交付記録、議事録を共有したメール、担当者とのやり取りなど、相手方が制限を知りえた事実を示す客観的証拠が必要です。
組合等登記令に基づき登記されるのは代表権を有する者などの事項であり、規約による権限の内部制限は登記事項ではありません。登記による公示で対抗する仕組みは用意されていません。
集会の決議により解任できます。ただし解任しても既に成立した契約の効力は失われません。解任は再発防止の手段であり、支払済みの損害は別途損害賠償で回収する必要があります。
管理組合法人の財産でその債務を完済できないとき、各区分所有者が持分割合に応じて弁済の責任を負う規定です。理事の独断契約による債務が、最終的に個々の区分所有者へ及ぶ経路になります。
区分所有法 49 条により理事が数人あるときは各自が法人を代表するのが原則で、規約または集会の決議で代表理事を定めることができます。この定めも権限の制限として 49 条の 2 の問題になります。
本条は登記して法人となった管理組合法人の理事についての規定なので、法人化していない管理組合には直接は適用されない。ただし区分所有法 26 条が管理者(多くは理事長)について同じ趣旨を定めており、結論はほぼ変わらない。業界裏話ヒント:法人か非法人かで変わるのは、契約の相手方が誰を訴えるかである。法人なら管理組合法人、非法人なら区分所有者全員が名宛人になりうる。訴状に自分の名前が並ぶかどうかが分かれる
条文が要求するのは善意だけだが、実務では重大な過失がある相手まで保護すべきかで解釈が分かれており、無過失まで要するかも争いがある。少なくとも制限を知りうる立場にあった相手は苦しい。業界裏話ヒント:管理会社は規約の原本を保管している。その管理会社が紹介した業者や、管理会社の関連会社が受注した案件では、規約の内容を知りうる立場が事実上推認され、善意の主張が通りにくい。発注ルートを洗うことが第一手になる
規約や集会決議で加えた制限に反した場合は、まさに本条により無効を主張できない。他方、区分所有法 52 条が集会の決議によるべきとする事務を欠いたまま行われた対外行為の効力については、実務上、解釈が分かれている。業界裏話ヒント:訴訟で管理組合側の代理人は、制限違反そのものより相手方の悪意や重過失を主軸に立てる。前者だけを主張すれば本条で自動的に負けると分かっているからだ
管理組合法人と理事の利益が相反する事項については、区分所有法 51 条により監事が法人を代表する。理事にそもそも代表権がない場面なので、本条の保護は及ばない。業界裏話ヒント:利益相反が疑われる契約書に監事の署名がないことは、管理組合が争える数少ない突破口である。ただし相手方に代表権があると信じる正当な理由があれば、民法 110 条の表見代理が類推される余地は残る
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用される主体 | 区分所有法 49 条の 2:法人化した管理組合法人の理事 | — |
| 制限違反の対外的効力 | 善意の第三者に対抗できず、契約は法人に帰属する | — |
| 紛争時の名宛人 | 管理組合法人(不足時は 53 条で各区分所有者) | — |
| 管理組合側の対抗手段 | 相手方の悪意の立証、理事の解任と損害賠償 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。