建物の区分所有等に関する法律 第53条(区分所有者の責任)
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- 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。
- 2.管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
- 3.前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。
この条文の基本情報
区分所有者の責任とは何ですか?
定義区分所有者の責任とは、建物の区分所有等に関する法律第53条に定められた規定で、「管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建物の区分所有等に関する法律第53条(区分所有者の責任)は、日本の建物の区分所有等に関する法律に含まれる条文です。
- 建物の区分所有等に関する法律第53条の条文原文は「管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十…」で始まります。
- 建物の区分所有等に関する法律第53条は第一章 建物の区分所有に置かれています。
- 建物の区分所有等に関する法律の公布日は昭和37年4月4日です。
- 建物の区分所有等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建物の区分所有等に関する法律第53条の前の条は建物の区分所有等に関する法律第52条の2です。
- 建物の区分所有等に関する法律第53条の次の条は建物の区分所有等に関する法律第54条です。
- 建物の区分所有等に関する法律第53条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第53条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069 - 本サイト収録
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第53条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000069/53
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点区分所有法53条は、管理組合法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者が専有部分の床面積の割合で弁済の責めに任ずると定める。責任は連帯ではなく分割である。
Q · 管理組合が借りたお金を返せなくなったら、各住戸に請求が来るんですか?
来ます。床面積の割合で按分され、連帯ではなく分割責任です。
区分所有法53条1項により、管理組合法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者は14条に定める割合(専有部分の床面積の割合)と同一の割合で弁済の責めに任じます。規約に29条1項ただし書の負担割合があればその割合によります。法人財産への強制執行が効を奏しなかった場合も同様ですが(2項)、この場合は組合に資力があり執行も容易であることを証明すれば責任を免れます(3項)。責任は連帯債務ではなく分割責任であるため、他の住戸の未払分まで負担する義務はありません。
解説
マンションの大規模修繕で管理組合法人が銀行から5,000万円を借りた。積立金の見立てが外れ、口座が底をつく。ここから先が区分所有法53条の世界である。株式会社なら株主は出資した金を失うだけで終わるが、管理組合法人にその遮断壁はない。法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者は14条の割合、つまり専有部分の床面積の割合で、自分の財布からその債務を弁済する責めに任じる。規約で別の負担割合が定められていれば(29条1項ただし書)それによる。ただし、あなたの手元には札が二枚ある。一枚目、この責任は連帯ではなく分割である。隣の住戸が破産しても、その穴をあなたが埋めることはない。二枚目、法人財産への強制執行が空振りしたという理由で請求されたときは、組合に資力があり執行も容易だと証明すれば請求を跳ね返せる(3項)。この二枚を知っているかどうかで、届いた請求書への返事が変わる。
法的な位置づけ
建物の区分所有等に関する法律53条は、管理組合法人の債務についての区分所有者の補充的責任を定める規定である。法人の財産で債務を完済できないとき、または法人財産への強制執行が効を奏しなかったとき、区分所有者は14条の割合と同一の割合で弁済の責めに任ずる。規約で29条1項ただし書の負担割合が定められている場合は、その割合による。
手順
- 1.請求の根拠が1項か2項かを書面で特定させる 按分請求書が届いたら、まず「法人財産では完済できない(1項)」なのか「強制執行が効を奏しなかった(2項)」なのかを債権者に書面で明示させる。2項なら3項の反証が使えるが、1項にはその抗弁がない。ここを確認せずに支払う人が最も多い
- 2.管理組合法人の資力を証拠化する 2項による請求であれば、管理組合の全口座の残高証明、直近の決算書、修繕積立金の残高、未収管理費の一覧を集める。組合に資力があり執行も容易であることを証明できれば、3項により請求は退けられる
- 3.按分額と負担割合を検算する 自分の専有部分の床面積と全専有部分の床面積合計を登記簿で確認し、請求額が14条の割合どおりか検算する。規約に29条1項ただし書の別段の負担割合があれば、その割合が優先するため管理者に規約の開示を求める
- 4.分割責任であることを明示して回答する 請求書に「連帯して」と記載されている場合は、53条の責任が14条の割合による分割責任であり、他住戸の回収不能分を負担する義務がないことを書面で明確に否認する。回答は支払前に行う
- 5.全住戸で共同対応に切り替える 個別に支払うと組合全体の交渉力が失われ、既払分の返還は困難になる。理事会に情報を共有し、臨時総会または全区分所有者の共同代理人選任により、組合としての一括対応に持ち込む
よくある質問 AI による整理
Q1管理組合法人とは何ですか?
区分所有者の団体が集会の決議と登記により法人格を取得したものです(区分所有法47条)。組合名義で財産を持ち銀行取引もできますが、53条により社員である区分所有者の責任は遮断されません。
Q2区分所有法14条の割合とは何ですか?
共用部分の持分割合で、原則として各区分所有者の専有部分の床面積の割合によります。53条の責任額はこの割合でそのまま按分されるため、床面積が広い住戸ほど負担額が大きくなります。
Q3規約で負担割合を変えられますか?
変えられます。29条1項ただし書に基づき規約で別段の負担割合を定めれば、53条1項ただし書によりその割合が優先します。紛争が起きる前の規約改正が唯一の設計余地です。
Q4強制執行が効を奏しなかったとはどういう意味ですか?
債権者が管理組合法人の財産に強制執行を試みたが、差押えの対象がない、あるいは配当を受けられなかった状態を指します。この2項ルートに対してのみ3項の反証が使えます。
Q5賃借人も53条の責任を負いますか?
負いません。53条の責任主体は区分所有者であり、専有部分を借りて住んでいるだけの賃借人は対象外です。責任は所有者に帰属し、賃貸借契約で転嫁することもできません。
Q6理事や管理者は個人で責任を負いますか?
53条は区分所有者としての責任を定めるもので、理事という地位そのものから生じる責任ではありません。ただし理事の任務懈怠による損害賠償責任は別の法律構成で問われる余地があります。
Q7法人化していない管理組合ではどうなりますか?
29条が同旨の責任を定めており、区分所有者は14条の割合で管理者の行為に基づく債務を負担します。法人化の有無で住民の最終負担が変わるわけではありません。
Q8この責任に時効はありますか?
53条固有の期間制限はなく、管理組合法人の原債務の消滅時効に従います。民法166条により権利行使を知った時から5年、または行使できる時から10年が基準です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管理組合が工事代金を払えなくなったら、本当にうちの家にまで請求が来るんですか?
来る。53条1項は、法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者が14条の割合、つまり専有部分の床面積の割合で弁済の責めに任じると定めている。管理費の滞納とは方向が逆で、組合が債務者、あなたが最終的な負担者になる構図である。実務のポイント:請求書が来たら、まず1項の請求か2項の請求かを確認する。2項なら3項の反証が使えるが、1項にはその抗弁がない。ここを見分けずに支払う人が非常に多い
Q2総会でその借入に反対したんですけど、それでも払わないといけないんですか?
払う義務は変わらない。53条は決議への賛否を要件にしておらず、区分所有者であることだけを責任の根拠にしている。反対票は理事会への牽制にはなるが、免責の札にはならない。実務のポイント:本当に効くのは決議前の段階で、29条1項ただし書に基づく負担割合を規約で定めておくことである。床面積割合以外の割合を規約に書いておけば、53条1項ただし書によりその割合が優先する。決議当日に反対するより、規約改正の議案を先に出す方が実利がある
Q3他の部屋の人が破産したら、その分もうちがかぶるんですか?
かぶらない。53条の責任は14条の割合による分割責任であって、連帯債務ではない。あなたの負担は自分の床面積割合の分だけで、回収不能分が他の住戸に転嫁されることはない。実務のポイント:この条文のモデルである会社法580条の無限責任社員は連帯責任だが、区分所有者は分割にとどめられている。債権者側の代理人が「連帯して」と書いた請求書を送ってくることが実際にあり、そこを指摘できるかどうかで支払額が変わる
Q4この借金がある部屋を売ったら、責任から抜けられますか?
買主は抜けられない。54条が、53条による責任を特定承継人にも負わせているため、購入した人がそのまま引き継ぐ。売主が完全に免れるかについては実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:買主側の立場なら、重要事項説明で借入残高と係争の有無を確認し、価格に反映させるか、売主負担の特約を契約書に入れる。売主側なら、この潜在債務を告げずに売ると、後で契約不適合や説明義務違反を持ち出される火種になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「法人化したのだから住民個人は責任を負わない」というのが最も多い誤解である。管理組合の法人化は、登記名義を組合名で持てる、銀行口座や借入の手続がしやすくなるという事務上の便宜のためであり、株式会社の株主有限責任のような責任遮断機能は53条によって最初から否定されている。法人格があることと、社員が守られることは別の話である
- 管理費や修繕積立金を払う義務があることは誰でも知っている。知られていないのは、53条の責任には金額の上限がないという点だ。床面積割合は「按分の比率」であって「支払上限」ではない。組合が1億円の損害賠償を負えば、1.4パーセントの住戸でも140万円が算定される。毎月の管理費の延長線上にある話ではない
- 「売って逃げられますか」という問いの立て方自体がずれている。54条は、53条による責任を特定承継人、つまり買主にも負わせる。買主が逃げられない以上、この潜在債務は物件の価格に跳ね返る。実務上、前区分所有者が完全に免責されるかは解釈が分かれており、争う余地がある。問うべきは逃げ方ではなく、売買代金と特約にこの債務をどう織り込むかである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任の発生要件 | 53条:法人財産で完済不能(1項)または強制執行の不奏功(2項) | 29条:法人化していない管理組合で管理者の行為により生じた債務 54条:53条・29条の責任を特定承継人が承継 |
| 責任の性質 | 14条の割合による分割責任(連帯ではない) | 同じく14条の割合による分割責任 承継人が前主と同一内容の責任を負う |
| 免れる手段 | 2項ルートに限り、資力と執行の容易性の証明で免責(3項) | 規約による別段の負担割合の定め(29条1項ただし書) 売買契約における特約・価格調整(対売主の内部関係のみ) |
| 実務上の急所 | 請求が1項か2項かの見極めが支払額を左右する | 法人化していなくても住民の最終負担は変わらない 重要事項説明の借入残高欄を押印前に確認できるか |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾の管理委員會は法人ではなく当事者能力を認められた団体にとどまる。共用部分の費用は區分所有權人が應有部分比例で分担し、按分の考え方は日本の14条割合と同型である
管理団の財産で債務を完済できない場合に区分所有者が持分割合で弁済責任を負う構造で、日本53条をほぼそのまま継受している
業主委員会に法人格がなく、日本の管理組合法人に直接対応する制度はない。費用分担を専有部分面積の割合によるとする点のみが対応する
2020年の WEMoG により、区分所有者は債権者に対し持分割合に応じて責任を負うことが明文化された。分割責任である点で日本53条と同じ設計を採る
区分所有者団体は法人格を有し、区分所有者は持分割合により分担金を負担する。債権者に対する直接責任の構成は日本とやや異なる
組合に対する判決債務は各ユニットの共益費負担割合に応じて按分され、ユニットごとにリーエンが成立する。採用の有無は州により異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 管理組合法人が発注した外壁工事の代金3,000万円が未払いのまま、積立金の口座が空になったとしたら? 施工業者の代理人弁護士から、各戸あてに床面積割合で按分した請求書が届く。総床面積5,000平米のうち70平米の住戸なら1.4パーセント、42万円。書面には「到達から2週間以内にお支払いください」と印字されている
- あなたが管理組合を相手に外構工事を請け負った工務店の社長だったとする。組合の口座には金がない。ここで泣き寝入りするか、53条で全住戸に按分請求をかけるかで、回収額はゼロと満額に分かれる
- 大規模修繕の借入議案に総会で反対し、議事録にも反対と記録された。それでも53条の責任は一円も減らない。社員である以上、決議に反対したことは免責事由にならない
- 中古マンションの内見を終え、価格交渉もまとまった。重要事項説明書の管理組合の欄には、住宅金融支援機構の融資残高8,000万円と、施工不良をめぐる係争中の訴訟が一件。54条により、この責任は買主であるあなたにも及ぶ。押印する前の今夜が、この情報を値引きか特約に変換できる最後の時間である
- 債権者は「組合の口座を差し押さえたが空振りだった」と主張して、あなた個人に請求してきた。だが調べると、別の金融機関に修繕積立金2,000万円が眠っていた。3項の証明が通れば、その請求は退けられる
取るべき行動
被害を受けた側:管理組合法人への債権を回収する側なら、1. まず組合の財産状況を把握し、完済不能(1項)か強制執行の不奏功(2項)かを整理する。2項ルートは3項の反証で崩されるため、1項で構成できるなら決算書と債務一覧で債務超過を立証する2. 登記事項証明書で法人の存在と代表者を確認3. 区分所有者名簿と各戸の床面積(登記簿の専有部分の面積)を取得し、按分額を計算4. 規約に29条1項ただし書の別段の負担割合がないか管理者に開示を求める。割合を誤ると請求全体が争われる
訴えられた側:按分請求を受けた区分所有者なら、1. 請求の根拠が1項(完済不能)か2項(強制執行の不奏功)かを書面で特定させる2. 2項なら3項が使える。組合の預金残高証明、決算書、未収金一覧を集め、資力があり執行も容易だと証明して請求を止める3. 責任は連帯ではなく分割である。他の住戸の未払分まで負う義務はないと明確に主張する4. 規約に別段の負担割合があれば、按分計算そのものを組み替える5. 支払う前に管理組合と情報を共有し、全住戸で共同対応にする
時効(請求できる期限):53条自体に固有の期間制限はない。区分所有者の責任は管理組合法人の債務に付従するため、原債務の消滅時効が基準となる(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)。工事代金なら支払期日の到来を知った時から5年、判決で確定した債務は確定時から10年(民法169条)。なお2項による請求を3項で争う場合、訴訟では第一審の早い段階で証拠を出さないと事実上使いにくくなる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:53条の責任は、合名会社の無限責任社員(会社法580条)に範を取りつつ、連帯責任ではなく14条の割合による分割責任にとどめたものと理解される。法人格の付与により取引の便宜を確保する一方、取引相手の信用も維持するための均衡点として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和58年(1983年)改正 管理組合法人制度の創設に伴い新設された規定であり、法人格を与える代わりに社員である区分所有者の補充的責任を明記した。その後の改正の有無および内容は人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和58年(1983年) 新設:管理組合法人制度の創設に伴い新設。法人格を与える代わりに、社員である区分所有者の補充的責任を明記した。その後の改正の有無および内容は人的検証を要する
- 建物の区分所有等に関する法律 第14条責任の按分基準となる共用部分の持分割合
- 建物の区分所有等に関する法律 第29条法人化しない管理組合における同旨の責任と規約による割合
- 建物の区分所有等に関する法律 第47条管理組合法人の成立と権利能力、本条の責任の前提
- 建物の区分所有等に関する法律 第54条本条の責任を特定承継人にも及ぼす
- 会社法 第580条無限責任社員の補充的責任の母型、連帯か分割かで相違
- 宅地建物取引業法 第35条管理組合の借入金等を購入前に説明させる仕組み
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