要点区分所有法 53 条は、管理組合法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者が専有部分の床面積の割合で弁済の責めに任ずると定める。責任は連帯ではなく分割である。
Q · 管理組合が借りたお金を返せなくなったら、各住戸に請求が来るんですか?
来ます。床面積の割合で按分され、連帯ではなく分割責任です。
区分所有法 53 条 1 項により、管理組合法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者は 14 条に定める割合(専有部分の床面積の割合)と同一の割合で弁済の責めに任じます。規約に 29 条 1 項ただし書の負担割合があればその割合によります。法人財産への強制執行が効を奏しなかった場合も同様ですが(2 項)、この場合は組合に資力があり執行も容易であることを証明すれば責任を免れます(3 項)。責任は連帯債務ではなく分割責任であるため、他の住戸の未払分まで負担する義務はありません。
マンションの大規模修繕で管理組合法人が銀行から 5,000 万円を借りた。積立金の見立てが外れ、口座が底をつく。ここから先が区分所有法 53 条の世界である。株式会社なら株主は出資した金を失うだけで終わるが、管理組合法人にその遮断壁はない。法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者は 14 条の割合、つまり専有部分の床面積の割合で、自分の財布からその債務を弁済する責めに任じる。規約で別の負担割合が定められていれば(29 条 1 項ただし書)それによる。ただし、あなたの手元には札が二枚ある。一枚目、この責任は連帯ではなく分割である。隣の住戸が破産しても、その穴をあなたが埋めることはない。二枚目、法人財産への強制執行が空振りしたという理由で請求されたときは、組合に資力があり執行も容易だと証明すれば請求を跳ね返せる(3 項)。この二枚を知っているかどうかで、届いた請求書への返事が変わる。
建物の区分所有等に関する法律 53 条は、管理組合法人の債務についての区分所有者の補充的責任を定める規定である。法人の財産で債務を完済できないとき、または法人財産への強制執行が効を奏しなかったとき、区分所有者は 14 条の割合と同一の割合で弁済の責めに任ずる。規約で 29 条 1 項ただし書の負担割合が定められている場合は、その割合による。
区分所有者の団体が集会の決議と登記により法人格を取得したものです(区分所有法 47 条)。組合名義で財産を持ち銀行取引もできますが、53 条により社員である区分所有者の責任は遮断されません。
共用部分の持分割合で、原則として各区分所有者の専有部分の床面積の割合によります。53 条の責任額はこの割合でそのまま按分されるため、床面積が広い住戸ほど負担額が大きくなります。
変えられます。29 条 1 項ただし書に基づき規約で別段の負担割合を定めれば、53 条 1 項ただし書によりその割合が優先します。紛争が起きる前の規約改正が唯一の設計余地です。
債権者が管理組合法人の財産に強制執行を試みたが、差押えの対象がない、あるいは配当を受けられなかった状態を指します。この 2 項ルートに対してのみ 3 項の反証が使えます。
負いません。53 条の責任主体は区分所有者であり、専有部分を借りて住んでいるだけの賃借人は対象外です。責任は所有者に帰属し、賃貸借契約で転嫁することもできません。
53 条は区分所有者としての責任を定めるもので、理事という地位そのものから生じる責任ではありません。ただし理事の任務懈怠による損害賠償責任は別の法律構成で問われる余地があります。
29 条が同旨の責任を定めており、区分所有者は 14 条の割合で管理者の行為に基づく債務を負担します。法人化の有無で住民の最終負担が変わるわけではありません。
53 条固有の期間制限はなく、管理組合法人の原債務の消滅時効に従います。民法 166 条により権利行使を知った時から 5 年、または行使できる時から 10 年が基準です。
来る。53 条 1 項は、法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者が 14 条の割合、つまり専有部分の床面積の割合で弁済の責めに任じると定めている。管理費の滞納とは方向が逆で、組合が債務者、あなたが最終的な負担者になる構図である。業界裏話ヒント:請求書が来たら、まず 1 項の請求か 2 項の請求かを確認する。2 項なら 3 項の反証が使えるが、1 項にはその抗弁がない。ここを見分けずに支払う人が非常に多い
払う義務は変わらない。53 条は決議への賛否を要件にしておらず、区分所有者であることだけを責任の根拠にしている。反対票は理事会への牽制にはなるが、免責の札にはならない。業界裏話ヒント:本当に効くのは決議前の段階で、29 条 1 項ただし書に基づく負担割合を規約で定めておくことである。床面積割合以外の割合を規約に書いておけば、53 条 1 項ただし書によりその割合が優先する。決議当日に反対するより、規約改正の議案を先に出す方が実利がある
かぶらない。53 条の責任は 14 条の割合による分割責任であって、連帯債務ではない。あなたの負担は自分の床面積割合の分だけで、回収不能分が他の住戸に転嫁されることはない。業界裏話ヒント:この条文のモデルである会社法 580 条の無限責任社員は連帯責任だが、区分所有者は分割にとどめられている。債権者側の代理人が「連帯して」と書いた請求書を送ってくることが実際にあり、そこを指摘できるかどうかで支払額が変わる
買主は抜けられない。54 条が、53 条による責任を特定承継人にも負わせているため、購入した人がそのまま引き継ぐ。売主が完全に免れるかについては実務上、解釈が分かれている。業界裏話ヒント:買主側の立場なら、重要事項説明で借入残高と係争の有無を確認し、価格に反映させるか、売主負担の特約を契約書に入れる。売主側なら、この潜在債務を告げずに売ると、後で契約不適合や説明義務違反を持ち出される火種になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 責任の発生要件 | 53 条:法人財産で完済不能(1 項)または強制執行の不奏功(2 項) | — |
| 責任の性質 | 14 条の割合による分割責任(連帯ではない) | — |
| 免れる手段 | 2 項ルートに限り、資力と執行の容易性の証明で免責(3 項) | — |
| 実務上の急所 | 請求が 1 項か 2 項かの見極めが支払額を左右する | — |
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