区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が前条の規定により負う責任と同一の責任を負う。
要点区分所有法 54 条は、マンションを買った特定承継人が、購入前に生じた管理組合法人の債務についても、前の所有者と同一の責任を床面積割合で負うと定める。
Q · 中古マンションを買ったら、買う前に管理組合が借りた借金まで払わされるの?
はい。組合の財産で足りなければ床面積割合で負担します
区分所有法 54 条により、専有部分を買った特定承継人は、承継前に生じた管理組合法人の債務についても、前の所有者が 53 条により負うのと同一の責任を負います。責任は連帯ではなく 14 条の割合(原則として専有部分の床面積割合)による分割責任で、まず管理組合法人の財産から弁済され、不足分についてのみ発生します。管理組合法人に資力があり執行が容易であることを証明できれば、53 条 3 項により支払いを拒めます。前所有者個人の管理費滞納(7 条・8 条)とは別勘定である点に注意が必要です。
中古マンションの引渡しから半年後、管理組合法人から一通の通知が届く。前の所有者が住んでいた時代に組合が金融機関から借りた大規模修繕工事のローン、その残債について、あなたの専有部分の床面積割合に応じた負担を求める内容だ。あなたは「自分が買う前の借金だ」と言いたくなる。だが 54 条がそれを封じる。管理組合法人の財産で債務を完済できないとき、区分所有者は 14 条の割合(原則として専有部分の床面積割合)で弁済の責任を負い(53 条)、その責任は承継前に生じた債務についても、部屋を買った特定承継人にそのままの形で乗り移る。ここで多くの人が取り違えるのが、前の所有者個人の管理費滞納(7 条・8 条)と、管理組合法人そのものが対外的に負った債務は別勘定だという点である。前者は重要事項説明書に滞納額として現れるが、後者は組合の貸借対照表を開かない限り、あなたの目には一生映らない。
建物の区分所有等に関する法律 54 条は特定承継人の責任を定める規定であり、区分所有者から専有部分を譲り受けた者が、承継前に生じた管理組合法人の債務についても、前主が 53 条により負うのと同一の責任を負う旨を規定する。責任の範囲は 14 条の共用部分の持分割合により定まる分割責任であり、管理組合法人の財産による弁済で足りない場合に補充的に生じる。
売買・贈与・競売など、個別の原因で専有部分を取得した人を指します。相続のような包括承継人は含まれません。区分所有法 54 条はこの特定承継人に組合債務の責任を及ぼします。
管理組合が法人化しており、その法人財産で債務を完済できず、承継前に生じた債務が残っている場合です。三つが揃って初めて買主に請求が届きます。
負います。競売の買受人も個別の原因で所有権を取得する特定承継人です。相場より安く落札できた理由が、価格ではなく貼り付いた組合債務にある場合があります。
適用されません。相続人は包括承継人であり、民法 896 条により債務そのものを承継します。ただし相続放棄という出口が残る点が、買主・受贈者との決定的な違いです。
53 条は現に区分所有者である人が負う責任の内容を定め、54 条はその同じ責任を、承継前の債務についてまで特定承継人に及ぼす規定です。54 条は 53 条を前提とします。
大規模修繕工事の請負代金、共用部分リフォーム融資の借入残債、施工不良や事故をめぐる損害賠償債務、管理委託料の未払などです。個人の管理費滞納とは別勘定です。
宅地建物取引業法 35 条の重要事項説明で組合の借入や係争が説明されていなかった場合、説明義務違反として責任追及の入口になります。重要事項説明書の記載を確認してください。
本条固有の時効はありません。責任の対象である管理組合法人の債務自体が民法 166 条により時効消滅すれば、区分所有者と特定承継人の責任も消滅します。
別の話である。滞納管理費は所有者個人が組合に負う債務で、8 条により特定承継人にも請求できる。54 条が扱うのは、管理組合法人自身が銀行や工事業者に対して負った債務であり、法人財産で完済できないときに 53 条の分割責任として区分所有者に降りてくる。業界裏話ヒント:重要事項説明書の書式は滞納額を書く欄はあっても、組合の借入残高や係争中の訴訟を必ず書く構造にはなっていない。管理会社に貸借対照表と直近 2 年分の総会議事録を直接請求するのが唯一の確認手段である
関係ないどころか、緩衝材がない。法人でない管理組合は独立した財産主体ではないため、対外的な債務は区分所有者全員に帰属する。54 条・53 条は法人化した組合について、まず法人財産から回収し、足りない分だけ区分所有者が 14 条の割合で負うという順序を明文化したものである。業界裏話ヒント:自分の組合が法人かどうかは、組合等登記令に基づく登記簿で確認できる。法人であれば、少なくとも組合財産という一次的な引当てが挟まる分だけ、区分所有者は守られている
できる。54 条は買主に責任を追加するだけで、前の所有者を免責する規定ではなく、前所有者の責任も存続すると解されている。ただし実務上、回収可能性は別問題である。業界裏話ヒント:売買契約書に「引渡日時点で管理組合が負担する借入金・係争債務が存在しないことを売主が表明し、判明した場合は売主が負担する」という補償条項を一行入れておく。この一行があるかないかで、後日の請求が交渉になるか泣き寝入りになるかが決まる
連帯ではない。53 条は 14 条に定める割合、原則として専有部分の床面積割合による分割責任と定めており、規約で異なる割合が定められていればその割合による。他の住戸が払わなくても、その分をあなたが肩代わりする義務はない。業界裏話ヒント:規約で責任割合や費用負担割合を床面積以外に変更している組合が実在する。請求書が届いたら条文ではなく、まず自分の組合の規約の該当条項を読む。組合側が規約の存在を失念して法定割合で請求してくる例もある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 債務の性質 | 54 条:管理組合法人が対外的に負った債務(借入・工事代金・賠償) | — |
| 特定承継人への効果 | 承継前に生じた法人債務についても前主と同一責任 | — |
| 取引段階での可視性 | 組合の貸借対照表・総会議事録を開かないと見えない | — |
| 主な防御手段 | 53 条 3 項の抗弁、割合の検算、売主への補償請求 | — |
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