建物の区分所有等に関する法律 第76条(敷地売却決議)
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- 専有部分のある建物が滅失した場合において、当該専有部分のある建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であつたときは、敷地共有者等集会において、敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下この条及び次条第一項において「敷地売却決議」という。)をすることができる。
- 2.敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。
- 一売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
- 二売却による代金の見込額
- 3.第六十三条(第五項後段及び第六項を除く。)、第六十四条及び前条第四項から第八項までの規定は、敷地売却決議について準用する。この場合において、第六十三条第一項中「集会」とあるのは「敷地共有者等集会(第七十四条第一項に規定する敷地共有者等集会をいう。次項において同じ。)」と、「区分所有者」とあるのは「敷地共有者等(第七十二条に規定する敷地共有者等をいう。以下この条及び次条において同じ。)」と、同項、同条第二項、第四項及び第五項前段並びに第六十四条中「建替えに」とあるのは「売却に」と、第六十三条第二項中「集会」とあるのは「敷地共有者等集会」と、同項から同条第四項まで、同条第五項前段及び第六十四条中「区分所有者」とあるのは「敷地共有者等」と、同項前段中「区分所有権及び敷地利用権を買い受ける」とあるのは「敷地共有持分等(第七十二条に規定する敷地共有持分等をいう。以下この条及び次条において同じ。)を買い受ける」と、「区分所有権及び敷地利用権を時価」とあるのは「敷地共有持分等を時価」と、第六十三条第七項中「建物の取壊しの工事に着手しない」とあるのは「売買契約による敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)についての権利の移転(以下この項及び次項において「土地等の権利の移転」という。)がない」と、同項及び第六十四条中「区分所有権又は敷地利用権」とあるのは「敷地共有持分等」と、同項ただし書中「建物の取壊しの工事に着手しなかつた」とあるのは「土地等の権利の移転がなかつた」と、第六十三条第八項中「建物の取壊しの工事の着手」とあるのは「土地等の権利の移転」と、「その着手をしない」とあるのは「土地等の権利の移転がない」と、第六十四条中「建替えを」とあるのは「売却を」と、前条第五項中「再建」とあるのは「売却」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
敷地売却決議とは何ですか?
定義敷地売却決議とは、建物の区分所有等に関する法律第76条に定められた規定で、「専有部分のある建物が滅失した場合において、当該専有部分のある建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であつたときは、敷地共有者等集会において、敷地共…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建物の区分所有等に関する法律第76条(敷地売却決議)は、日本の建物の区分所有等に関する法律に含まれる条文です。
- 建物の区分所有等に関する法律第76条の条文原文は「専有部分のある建物が滅失した場合において、当該専有部分のある建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であつたときは、敷地共有者等集会において、敷地共…」で始まります。
- 建物の区分所有等に関する法律第76条は第一節に置かれています。
- 建物の区分所有等に関する法律の公布日は昭和37年4月4日です。
- 建物の区分所有等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建物の区分所有等に関する法律第76条の前の条は建物の区分所有等に関する法律第75条です。
- 建物の区分所有等に関する法律第76条の次の条は建物の区分所有等に関する法律第77条です。
- 建物の区分所有等に関する法律第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第76条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069 - 本サイト収録
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000069/76
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点区分所有法76条は、建物が滅失した場合に敷地共有者等集会の議決権五分の四以上の多数で土地を売却できると定める。決議では売却の相手方と代金の見込額を定めなければならない。
Q · マンションが全壊して建物がなくなったら、土地は全員一致でないと売れないの?
違います。議決権の五分の四以上の多数決で土地を売却できます
区分所有法76条1項により、専有部分のある建物が滅失し敷地利用権が数人の共有であったときは、敷地共有者等集会において議決権の五分の四以上の多数で土地の売却を決議できます。民法251条の共有物変更の全員同意原則が修正される点が最大の特徴です。決議では売却の相手方と代金の見込額を定めなければならず(同条2項)、決議に賛成しなかった者には63条の準用により時価での売渡請求が及びます。
解説
マンションが地震や火災で全部なくなった。建物は消えたが、その下の土地はあなたたち区分所有者の共有物として残っている。ここで多くの人が誤解する。「建物がないなら区分所有法の出番はない、あとは民法の共有物分割で全員一致だろう」と。違う。本条があなたに与えるのは、五分の四の多数決で土地を丸ごと売却する権限だ。反対者一人が首を縦に振らなくても、土地全体を第三者に売れる。逆に言えば、あなたが反対側に回っても、五分の四が固まれば持分を時価で買い取られて退場させられる。しかも決議で定めるのは二つだけ、売却の相手方と代金の見込額。この二行が、あなたが受け取る金額の上限を事実上決めてしまう。集会の議案を初めて見た日が、交渉できる最後の日である。
法的な位置づけ
区分所有法76条は敷地売却決議を定める規定であり、専有部分のある建物が滅失した場合において敷地利用権が数人の共有であったときに、敷地共有者等集会で議決権の五分の四以上の多数により敷地共有持分等に係る土地を売却できる旨を規定する。民法251条の共有物変更に関する全員同意原則に対する特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の議決権割合を確定する 登記事項証明書と管理規約から敷地共有持分の割合を確認する。頭数ではなく議決権割合が五分の四判定の単位であるため、まず分母と自分の分子を数字で把握する
- 2.集会の招集通知と議案要領を精読する 74条の敷地共有者等集会の招集手続、および準用される62条4項以下の通知要件が満たされているかを確認する。同時に議案の「売却の相手方」「代金の見込額」の二点を特定する
- 3.代金の見込額を近隣更地事例と照合する 議案の見込額を、近隣の更地取引事例・路線価・公示地価と突き合わせる。乖離が大きければ決議前に不動産鑑定士へ簡易評価を依頼し、集会で数字を示して対抗する
- 4.賛成か五分の一超の確保かを決める 反対の意思が固いなら、他の反対者と連絡を取り議決権ベースで五分の一超を確保できるか計算する。五分の一を一票でも超えれば決議は不成立となり、条件の再提示を迫れる
- 5.決議成立後の売渡請求に備える 決議が成立した場合、63条準用の催告・回答期間を確認し、期限内に回答する。売渡請求を受けたら時価の算定基準時を確認し、不服なら価格を争う準備に入る
よくある質問 AI による整理
Q1敷地売却決議とは何ですか?
専有部分のある建物が滅失した後、敷地共有者等集会で議決権の五分の四以上の多数により敷地共有持分等に係る土地を売却する決議です。区分所有法76条1項が根拠となります。
Q2敷地売却決議の要件は何割ですか?
敷地共有者等の議決権の五分の四以上です。頭数ではなく議決権が基準で、原則として敷地共有持分の割合により票の重さが決まります。
Q3敷地売却決議で必ず定めることは?
同条2項により、売却の相手方となるべき者の氏名または名称と、売却による代金の見込額の二つを定めなければなりません。
Q4敷地売却決議に反対したらどうなる?
63条の準用により、賛成者や買受指定者から敷地共有持分等を時価で売り渡すよう請求されます。土地を持ち続ける選択肢は残りません。
Q5敷地共有者等とはだれのことですか?
区分所有法72条に定義され、建物滅失後に敷地利用権であった権利を共有する者を指します。区分所有者という身分から切り替わった立場です。
Q6建物が滅失したら区分所有法は適用されない?
適用されます。76条は建物滅失を明示的な前提としており、滅失後の敷地共有関係にも本法の多数決ルールが及び続けます。
Q7敷地売却決議と建替え決議の違いは?
建替え決議(62条)は建物が存在する状態で行うもの、敷地売却決議は建物滅失後に土地を手放すものです。76条は62条4項以下の手続を準用します。
Q8代金の見込額と実際の売却額がずれても有効?
見込額であり契約額との一致義務まではありませんが、大きく乖離すると決議の同一性を欠くとして効力を争われる余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1建物が完全になくなったのに、まだマンションの法律が関係あるんですか?
関係する。本条1項は「専有部分のある建物が滅失した場合」を明示的に前提としており、敷地利用権が数人の共有であったときは、敷地共有者等集会で五分の四以上の議決権により土地を売却できると定める。建物が消えても土地の共有関係にこの法律の多数決が及び続ける。実務のポイント:ここで民法の共有物分割(民法256条)を持ち出して全員一致を求めても、実務上は本法の多数決ルールが優先的に働く場面が多い。前提を間違えたまま交渉を始めると、相手の弁護士は黙って見ている
Q2反対したら、私の土地の持分はどうなるんですか?
決議が成立すると、準用される63条の枠組みで、賛成者や買受指定者からあなたの敷地共有持分等を時価で売り渡すよう請求される。拒否し続ければ最終的に裁判で価格が決まる。居座って土地を持ち続ける選択肢は残らない。実務のポイント:この「時価」は決議時点の評価ではなく売渡請求時点の評価が基準になるのが原則で、地価が動く局面ではその差が実額で効いてくる。請求書を受け取った日付を必ず記録しておくこと
Q3決議書に書く「代金の見込額」って、あとで変わってもいいんですか?
本条2項は決議事項として売却の相手方と代金の見込額の二つを定めることを要求している。あくまで見込額であり最終契約額と一致する義務まではないが、見込額から大きく乖離した契約は、決議の同一性を欠くとして効力を争われる余地がある。実務のポイント:多数派が後から値下げして契約したいとき、実務では決議のやり直しを選ぶことが多い。逆に言えば、見込額が異様に低い議案は、後で上げる余地を残した保険である可能性を疑うべきだ
間違えやすい点 AI による整理
- 「建物がなくなったのだから区分所有法はもう適用されない」という前提そのものが間違っている。本条は建物滅失後の敷地共有関係を規律するために置かれた規定であり、区分所有関係が終わった後もこの法律の多数決ルールが土地に及び続ける
- 敷地売却決議は「持分の頭数の五分の四」だと思われがちだが、条文が要求するのは敷地共有者等の議決権、つまり原則として敷地共有持分の割合による五分の四である。小さな部屋を多数持つ人と大きな部屋を一つ持つ人では、票の重さが違う。人数を数えて安心していると足元をすくわれる
- 五分の四が集まれば決議は自動的に有効、と多くの人が考えている。実際には準用される63条の手続(催告、期間、回答)と62条4項以下の招集通知の要件を一つでも落とすと、決議自体が無効を争われる。多数派にとっての本当のリスクは票数ではなく手続の瑕疵だ
- 「時価で買い取ってもらえるなら損はない」と思っている人が多いが、時価の算定基準時と、そこに更地としての開発可能性がどこまで織り込まれるかで金額は大きく動く。決議書の見込額を鵜呑みにするか、独自に鑑定を取るかで、同じ持分の受取額が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 76条:建物が滅失した後、土地を売却する | 62条:建物が存在する状態で建替える 民法251条:共有物一般の変更 |
| 必要な賛成 | 敷地共有者等の議決権の五分の四以上 | 区分所有者および議決権の各五分の四以上 共有者全員の同意(原則) |
| 決議で定める事項 | 売却の相手方となるべき者、代金の見込額(2項) | 新建物の設計概要、費用、費用分担、区分所有権の帰属 法定の決議事項なし |
| 反対者の扱い | 63条準用:敷地共有持分等を時価で売渡請求 | 63条:区分所有権及び敷地利用権を時価で売渡請求 共有物分割請求(民法256条)による解消 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は建物が全部または一部滅失した場合の重建決議を公寓大廈管理條例に置き、共有土地の処分については土地法34条の1が持分過半数等による多数決処分を認める。日本のように「建物滅失後の敷地売却」を一箇条で完結させる構造ではない
韓国も集合建物法で再建決議に五分の四の要件を置くが、建物滅失後の敷地一括売却を独立の決議類型として明文化する点は日本法に特徴がある
ドイツは建物が滅失し再建義務がない場合に共同関係の解消を認める構成をとり、日本のような議決権五分の四による売却決議という定型はない
米国の統一法は80% 以上の賛成によるコミュニティの終了と資産の一括売却を認めており、五分の四という閾値の発想は日本法と近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 築40年のマンションを親から相続した直後、大地震で建物が全壊。土地の権利だけが手元に残る。復旧も建替えも資金が集まらず、管理組合は敷地売却の方向へ動き出す。あなたの持分は数百万円か数千万円か、それは決議書に書かれた「代金の見込額」一行で決まる
- もし、あなたが売却に反対だったらどうなる? 決議が成立すれば、賛成者や買受指定者から「持分を時価で売り渡せ」という請求が届く。拒否し続ければ訴訟になり、最終的には裁判所が価格を決める。反対の自由はあるが、居座る自由はない
- 投資目的で区分所有の一室を持っていた。建物滅失後、敷地共有者集会の招集通知が登記上の住所に届いたが、あなたは引っ越していて気付かなかった。議決権を行使しないまま五分の四が成立。次に届くのは売渡請求だ
- 売渡請求を受け取ってから、あなたに残された判断時間は限られている。価格に不服なら時価をめぐって争う道があるが、専門家の鑑定を用意するにも時間がいる。書面が届いた週末に動くかどうかで、手取りが二割変わることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の敷地共有持分の割合を登記事項証明書と管理規約で確認、頭数ではなく議決権割合が勝負の単位2. 議案が回ってきたら「売却の相手方」と「代金の見込額」の二点を確認し、近隣の更地取引事例と照合3. 見込額に納得できないなら、決議前に不動産鑑定士へ簡易評価を依頼し、集会で数字を出して対抗4. 反対する意思が固いなら、他の反対者と連絡を取り議決権ベースで五分の一超を確保できるか計算する
訴えられた側:1. 多数派として決議を進める側なら、票数より手続を守ることが最大の防御。準用される63条の催告と回答期間、集会の招集通知期間と議案要領の通知を一つも落とさない2. 反対者への売渡請求は準用規定に従い、期間内に確実に行使する3. 時価をめぐる争いを避けるため、決議前に鑑定評価を取得し、見込額の根拠を書面で示しておく4. 決議後に権利移転が進まない場合、買取請求を受ける側に回りうる点も想定しておく
時効(請求できる期限):本条自体には固有の時効はないが、準用される63条により、決議に賛成しなかった者への催告と回答には法定の期間制限があり、その経過後一定期間内に売渡請求を行使する必要がある。また敷地売却決議そのものが被災マンション法の枠組みの中で期間の制約を受ける場合があるため、災害発生日からの期間を最初に確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
- 建物の区分所有等に関する法律 第72条敷地共有者等および敷地共有持分等の定義
- 建物の区分所有等に関する法律 第74条敷地共有者等集会の招集手続
- 建物の区分所有等に関する法律 第63条反対者への催告と売渡請求手続の準用元
- 建物の区分所有等に関する法律 第64条決議内容の実行義務の準用元
- 建物の区分所有等に関する法律 第62条建替え決議の招集通知要件、本条が四項以下を準用
- 民法 第251条共有物の変更に全員同意を要する原則の修正対象
- 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法 第2条政令指定災害における適用の枠組み(通称 被災マンション法、現行効力を要確認)
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