要点法人税法 163 条は両罰規定を定め、従業者が業務に関して脱税等をしたとき、行為者に加え法人にも罰金刑を科す。ただし選任・監督に相当の注意を尽くした反証があれば免責されうる。
Q · 社員が勝手にやった脱税でも、会社まで罰金を払わされるの?
行為者に加え会社にも罰金。ただし監督を尽くせば免責余地あり
法人税法 163 条の両罰規定により、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務に関して脱税等(159 条・160 条・162 条)の違反行為をすると、直接の行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各条の罰金刑が科されます。もっとも最高裁は、これを無過失責任ではなく従業者の選任・監督についての過失を推定した規定と解しており、会社が相当の注意を尽くしたと証明できれば免責される余地があります。人格のない社団等にも 3 項で適用されます。
経理担当者が売上を隠して法人税を脱税した。捕まるのはその担当者だけだと思っていないか。163条は違う。行為者を罰するほか、その法人又は人に対して罰金刑を科する、と定める。両罰規定と呼ばれるこの一条で、会社そのものが刑事被告人になり、確定判決には会社名が刻まれる。ここまでは多くの経営者も薄々知っている。だが本当の武器は最高裁が付け加えた解釈だ。両罰規定は会社の無過失責任ではなく、従業員の選任・監督に過失があったと推定する規定にすぎない。つまり、会社が選任と監督に相当の注意を尽くしたと証明できれば、行為者は有罪でも会社だけは無罪になりうる。この反証の余地を知る経営者と知らない経営者では、税務調査が刑事に発展したときの初動がまるで変わる。
法人税法 163 条の両罰規定とは、従業者等が業務に関して脱税等の違反行為を行った場合に、直接の行為者を処罰するほか、その事業主たる法人又は人に対しても同一の罰金刑を科す制度をいう。判例上、事業主の責任は選任・監督上の過失の推定に基づくものと解され、相当の注意を尽くした反証があれば免責の余地が残る。
従業者が業務に関して違反行為をした場合に、直接の行為者だけでなく、その事業主たる法人や人にも罰金刑を科す制度です。法人税では 163 条が定め、脱税等(159・160・162 条)が対象です。
最高裁は両罰規定を過失の推定と解しており、会社が従業者の選任・監督に相当の注意を尽くしたと証明できれば免責されえます。発覚前から経理規程やダブルチェックを文書で運用していた実績が鍵です。
罰金の一般時効 3 年ではなく、罪本体の時効によります(163 条 2 項)。長期 10 年の拘禁刑にあたる脱税罪なら公訴時効は 7 年です。3 年で逃げ切れると考えると計算が倍以上狂います。
適用されます。163 条 3 項は人格のない社団等にも規定を準用し、その代表者・管理人が訴訟行為を代表します。マンション管理組合や同窓会が収益事業を無申告にした場合も被告人になりえます。
最高裁は、両罰規定を過失推定と解することで責任主義に反しないとしています。無過失責任なら憲法 31 条違反の疑いが生じますが、免責の反証余地があるため合憲と判断されています。
159 条は脱税そのものを罰する罪の規定で、行為者本人を対象とします。163 条は両罰規定で、その違反行為を法人にも及ぼし会社に罰金を科す仕組みです。両者は対象と機能が異なります。
163 条は独自の金額を定めず、行為者に適用される各条(159・160・162 条)の罰金刑をそのまま法人に科します。法人税の脱税では高額の罰金が科される場合があります(最新の法定刑をご確認ください)。
「業務に関して」した行為かが分岐点です。私的な横領目的で会社の外形を使っただけなら業務関連性を争えます。業務遂行としての行為なら、アルバイトでも会社の罰金の根拠になりえます。
163条の両罰規定で、行為者を罰するほか、業務に関する違反なら法人にも罰金を科すからです。ただし最高裁はこれを無過失責任ではなく、選任・監督上の過失を推定した規定と解しています。業界裏話ヒント:会社の免責立証はまず通らないと言われますが、発覚前から経理規程やダブルチェックを文書で運用していた会社だけは、過失なしを主張できる余地がある。効くのは事後の弁明ではなく事前の記録だ
別物です。重加算税は国税通則法68条の行政上の制裁、163条の罰金は刑事罰で、両方が併科されます。最高裁も二重処罰の禁止に反しないとしました。業界裏話ヒント:査察(マルサ)が動く事案は、行政の重加算税と刑事の罰金・拘禁刑の二正面で来る。「税金を追加で払ったから終わり」という示談感覚でいると、刑事が別ルートで進んでいることに気づくのが遅れる
対象になりえます。163条は代表者だけでなく、代理人・使用人その他の従業者の違反行為を含むので、アルバイトでも業務に関しての行為なら会社の罰金の根拠になります。業界裏話ヒント:逆に言えば、その人物が「業務に関して」やったと言えるかが攻防点。私的な横領目的で会社の外形を使っただけなら、業務関連性を争って会社の免責を主張できる余地がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 163 条:両罰規定(法人に罰金を及ぼす) | — |
| 処罰の対象 | 行為者+法人・人 | — |
| 成立の前提 | 従業者が業務に関して 159・160・162 条の違反をしたこと | — |
| 免責・反証 | 選任・監督に相当の注意を尽くした反証で免責余地 | — |
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