要点法人税法64条の6は、通算親法人との支配関係が5年に満たず加入後の共同事業性もない通算法人について、加入前からの特定資産の含み損を損益通算の対象から除外する規定である。
Q · グループ通算に加入した会社の含み損は、いつでも他社の黒字と相殺できますか?
できません。支配関係5年か共同事業性が必要です。
法人税法64条の6により、時価評価対象法人のうち、通算承認の効力発生日まで5年(設立の日が後ならその日から)継続して通算親法人との支配関係がなく、かつ加入後に他の通算法人と共同で事業を行わない通算法人は、適用期間内に生ずる特定資産譲渡等損失額に達するまでの通算前欠損金額が、損益通算(64条の5)の適用上ないものとされます。適用期間は、承認の効力発生日から3年を経過する日と、支配関係発生日以後5年を経過する日のいずれか早い日までです。
含み損を抱えた会社を買収し、グループ通算制度に取り込めば、その含み損で他社の黒字を相殺できる。多くの経営者やその参謀はそう考える。ところが法人税法64条の6は、その入口に見えない検問所を置いている。グループ承認の効力発生日から遡って5年前の日(または設立の日)まで、親会社との支配関係が継続していなかった会社。しかも加入後にグループ他社と共同で事業を行っていない会社。この二つに当てはまると、加入前から抱えていた特定資産の含み損(譲渡、評価換え、貸倒れ、除却などで実現した損)は、適用期間内に限って「なかったこと」にされる。つまりグループの黒字とは相殺できない。狙いは明快で、赤字会社を買ってきて節税の道具にする「欠損金の付け替え」を封じることだ。あなたが再編を設計する側なら、5年の支配関係と加入後の共同事業性、この二本の逃げ道のどちらを通すかを、スキームを固める前に決めなければならない。
法人税法64条の6は、グループ通算制度における損益通算の特例を定める規定である。時価評価対象法人のうち、通算承認の効力発生日まで5年以上の支配関係継続がなく、加入後に他の通算法人と共同で事業を行わないものについて、適用期間内に生ずる特定資産譲渡等損失額に相当する通算前欠損金額を損益通算の対象外とする。
企業グループ内の各法人が個別に申告しつつ、所得と欠損を通算できる制度です。令和2年度改正で連結納税制度から移行し、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。
支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から保有していた資産の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却などによる損失額から、同じ資産の利益額を控除した金額です。棚卸資産や帳簿価額が少額のものは除かれます。
グループ通算制度への移行に伴い、令和4年(2022年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。それ以前の連結納税制度下では別の欠損金制限規定が置かれていました。
通算法人が通算親法人との間に最後に支配関係を有することとなった日です。自身が通算親法人の場合は、他の通算法人のうち最後に支配関係を有することとなった日が最も早いものとの日を指します。
通算承認の効力が生じた日から3年を経過する日と、支配関係発生日以後5年を経過する日の、いずれか早い日までです。承認から最長でも3年で終了する設計になっています。
第1項は64条の11第1項各号または64条の12第1項各号に掲げる法人に限って適用されます。これらの時価評価対象法人に該当しなければ、第1項の制限は及びません。
第3項により、制限の範囲が特定資産譲渡等損失額に限られず、その事業年度に生ずる通算前欠損金額そのものに及びます。対象となる事業年度は政令で定められます。
第4項により、64条の8で損金算入される金額のうち、他の内国法人に本条を適用したならばないものとされる金額(制限対象額)に達するまでの通算前欠損金額が、損益通算の対象外となります。
グループ通算制度では原則、黒字会社と赤字会社の損益を通算できます(64条の5)。ただし64条の6が例外を置き、親会社との支配関係が5年に満たず加入後に共同事業も行わない会社が、加入前から抱えていた特定資産の含み損は損益通算の対象から外されます。業界裏話ヒント:狙い撃ちされるのは加入後・適用期間内に実現する含み損。加入前に処理すれば64条の6の対象外ですが、今度は繰越欠損金の通算制限(64条の7)が待つ。どの網にかけるかを税理士は逆算して組む
5年の継続支配関係を満たさない場合でも、もう一つの逃げ道があります。加入後にグループ他社と共同で事業を行う要件(政令で定める、64条の6第1項)を満たせば、制限は外れます。業界裏話ヒント:この共同事業性は、事業の関連性・規模・経営への参画など複数の要素を政令が細かく定めている。5年に届かない再編でも、加入後の事業計画を共同事業要件に合わせて設計すれば含み損を救える。年数だけ見て諦めるのは早い(最新の政令要件をご確認ください)
それだけではありません。64条の6第2項は特定資産の『譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失』をすべて対象にしています。売却損だけでなく、評価損、回収不能になった債権の貸倒損、資産の除却損まで含まれます。業界裏話ヒント:対象資産からは棚卸資産や帳簿価額が少額のものが政令で除かれる。つまり『何が特定資産に当たるか』の線引き自体が争点になりやすく、税務調査ではまずこの資産の範囲から突かれる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 64条の6:加入前の含み損を損益通算から除外する特例 | — |
| 適用対象法人 | 64条の11・64条の12に掲げる時価評価対象法人である通算法人 | — |
| 解除の道筋 | 支配関係5年継続、または加入後の共同事業性(政令) | — |
| 効果の期間 | 承認効力発生日から3年、または支配関係発生日から5年の早い方まで | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。