要点法人税法 64 条の 5 は、グループ通算制度の損益通算を定める規定。通算グループ内の黒字法人と赤字法人の損益を所得比で按分配分し、第 5 項の当初申告額固定で 1 社の誤りは他社に波及しない。
Q · グループ通算で 1 社の申告に誤りが見つかったら、グループ全社の税額を計算し直すことになるの?
原則 1 社で完結する。第 5 項の遮断措置が全社波及を止める
法人税法 64 条の 5 第 5 項は、通算事業年度の通算前所得金額・通算前欠損金額を確定申告書に記載された当初申告額とみなすと定めます。したがって 1 社の計算誤りが判明しても、他社の申告額は当初のまま固定され、グループ全社の再計算は原則不要です。ただし全社がゼロ・欠損申告で通算前所得の過少記載がある場合(第 6 項)や、税務署長が法人税の負担を不当に減少させると認める場合(第 8 項)には、この遮断が外れます。
同じ資本グループに黒字の A 社と赤字の B 社があるとする。A 社の利益 1 億円、B 社の損失 6,000 万円。別々に申告すれば A 社は 1 億円分の法人税を払うだけだ。だがグループ通算制度を選ぶと、64 条の 5 が B 社の損失を A 社の利益に配分し、A 社の課税所得を圧縮する。これが損益通算の心臓部だ。あなたが本当に知っておくべき価値は第 5 項にある。旧連結納税制度では、1 社の所得計算が後から誤りと判明すると、グループ全社の税額を計算し直す必要があった。実務の悪夢だ。通算制度はこれを断ち切った。各社の申告額は当初申告のまま固定され、1 社の誤りは他社に波及しない。この遮断こそ、制度が連結から通算へ生まれ変わった最大の理由だ。ただし第 6 項から第 8 項に、遮断が外れる例外が仕込まれている。
法人税法 64 条の 5 は、グループ通算制度における損益通算を定める規定である。通算完全支配関係にある他の通算法人に通算前欠損金額が生じた場合、その合計額を各社の通算前所得金額の比で按分した通算対象欠損金額を損金の額に算入し、逆の場合には通算対象所得金額を益金の額に算入する。第 5 項以下は当初申告額の固定とその解除要件を規律する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
完全支配関係にある企業グループが各社で申告しつつ、損益を通算して法人税を計算する制度です。損益通算の中核が法人税法 64 条の 5 で、旧連結納税制度に代わり令和 4 年 4 月 1 日以後開始事業年度から適用されています。
他の通算法人の通算前欠損金額の合計(グループ全体の通算前所得合計が上限)に、自社の通算前所得金額がグループ全社の通算前所得合計に占める割合を乗じて計算します(64 条の 5 第 2 項)。
令和 2 年度税制改正で連結納税制度に代えて創設され、令和 4 年(2022 年)4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用されています。それ以前の連結納税とは計算構造も申告主体も異なります。
通算親法人と通算子法人の間、および通算子法人相互の間の完全支配関係をいいます。原則として発行済株式の全部を直接または間接に保有する 100% 支配が前提で、支配が崩れれば通算グループから離脱します。
第 6 項の 3 要件(通算事業年度の全てがゼロまたは欠損申告、いずれかで通算前所得の過少記載または通算前欠損の過大記載、規定を適用しない場合の所得がゼロ超)に全て該当する場合、または第 8 項で税務署長が不当減少と認める場合です。
欠損金の繰越控除(57 条 1 項)、債務免除等の欠損金損金算入(59 条 3 項・4 項)、現物分配(62 条の 5 第 5 項)、本条および 64 条の 7 第 6 項を適用しないものとして計算した所得金額です。通算前の素の所得が按分の分母分子になります。
原則としてやめられません。やむを得ない事情があるときに国税庁長官の承認を受けた場合に限り取りやめが認められます(64 条の 10)。選択は 10 年単位の税負担を左右する経営判断です。
資本金の額にかかわらず選択できます。ただし通算グループ内に大法人が含まれる場合、軽減税率や交際費の定額控除など中小企業向け特例の適用が制限されるため、通算による節税額と特例喪失額を比較する必要があります。
そうはいきません。損益通算できるのは原則として通算グループ内で生じた損益で、買収前から赤字会社が抱えていた繰越欠損金は使えず、開始・加入時には資産の時価評価(法人税法 64 条の 11・12)で含み損益も清算されます。業界裏話ヒント:赤字会社を買って損失だけ拝借するスキームは、この時価評価と欠損金の切り捨てで大半が封じられています。「使える損失」は基本、グループに入ってから生じたものだけ、と割り切って設計するのが実務の前提です
原則として不要です。第 5 項の遮断措置で、各社の申告額は当初申告のまま固定され、1 社の誤りは他社に波及しません。ただし第 6 項(全社がゼロ・欠損申告 + 通算前所得の過少記載)や第 8 項(不当減少)に該当すると遮断が外れます。業界裏話ヒント:全社がゼロや欠損で申告していると遮断が効かない設計になっています。わざと全社ゼロ申告にして後から調整する租税回避を封じる趣旨で、赤字ばかりのグループほど遮断は当てにできません
第 5 項で当初申告額が固定されるため、自社に有利な方向への事後修正は原則として通りません。明白な誤りは修正申告・更正で扱いますが、第 7 項で数字がみなし置換されます。業界裏話ヒント:通算制度は当初申告の数字がその後を強く縛る「当初申告要件」の世界です。修正で取り返せる前提で確定申告を雑に出すと、その 1 枚が後で身動きを奪う。申告書を出す瞬間の精度が、実は税務調査より重い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 64 条の 5:当期に生じた通算前所得と通算前欠損の相互配分(損益通算) | — |
| 適用のタイミング | 通算グループに属する各事業年度で毎期 | — |
| 節税効果への影響 | 当期の黒字を当期の赤字で直接圧縮できる | — |
| 誤りの波及 | 第 5 項の当初申告額固定で原則 1 社に閉じ込める | — |
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