要点法人税法64条の7は、グループ通算制度で生じた欠損金の通算方法を定める。加入前の赤字は特定欠損金として発生法人の所得からしか控除できず、他社の黒字とは相殺できない。
Q · グループの赤字は、全部まとめて黒字会社の利益と相殺できるの?
原則グループ内で相殺できるが、加入前の赤字は本人しか使えない
法人税法64条の7は、グループ通算制度で生じた欠損金を各社の所得とどう相殺するかの計算ルールを定めます。赤字は非特定欠損金(グループで配賦可能)と特定欠損金(発生法人限定)に区分され、加入前や買収由来の赤字は特定欠損金として他社の黒字には使えません。さらに4項から9項の遮断措置により、1社が後から修正申告しても当初申告額が固定され、他の9社は再計算に巻き込まれません。ただし8項に該当する場合は遮断が外れ、全社再計算に戻ります。
グループ会社が10社あって、そのうち1社が黒字、9社が赤字。この赤字を黒字会社の利益から差し引けたら、グループ全体の法人税は大きく下がる。それを可能にするのがグループ通算制度であり、その欠損金(赤字)を誰の利益とどう相殺するかの計算ルールを一手に握るのが本条だ。あなたが知っておくべき決定的な仕組みが二つある。一つは特定欠損金。グループに入る前から抱えていた赤字や、買収してきた会社の赤字は、その会社自身の利益からしか引けない。他社の黒字にばらまけない。M&A で赤字会社を買って節税、という道はこの壁でほぼ塞がれている。もう一つが遮断措置。あなたのグループの1社が後から申告を間違えて修正しても、当初申告額が固定され、他の9社の計算はやり直さなくてよい。旧連結納税では1社のミスが全社の再計算地獄を招いたが、その悪夢を消したのが本条の4項から9項だ。
法人税法64条の7は、グループ通算制度における欠損金の通算方法を定める規定である。通算グループ各社の欠損金を特定欠損金と非特定欠損金に区分し、非特定欠損金のみをグループ内で配賦する。加入前・買収由来の赤字は特定欠損金として発生法人の所得に封じ込められ、他社の黒字とは相殺できない。1社の修正・更正は他社の当初申告額に波及しない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
通算グループ加入前や買収に由来する欠損金で、発生法人自身の所得からしか控除できない赤字です(64条の7第2項)。他社の黒字には配賦できず、節税効果が限定されます。
非特定欠損金はグループ内で配賦して他社の黒字と相殺できますが、特定欠損金は発生法人の所得からしか控除できません。相殺できる赤字の総額は分類で大きく変わります。
1社が後から修正申告や更正を受けても、当初申告額が固定され他の通算法人が再計算に巻き込まれない仕組みです(64条の7第4〜9項)。旧連結納税の全社再計算を解消しました。
令和2年(2020年)税制改正で導入され、令和4年(2022年)4月1日に施行されました。従来の連結納税制度に代わる制度です。
大法人は各事業年度の所得の50%までしか繰越欠損金を控除できません。中小法人等は100%控除できます(57条1項)。64条の7の配賦はこの限度計算と連動します。
通算開始・加入時の時価評価(64条の11・12)で含み損益が洗い替えられ、繰越欠損金の一部が切り捨てられる場合があるためです。含み損の付替えによる租税回避を防ぐ趣旨です。
各事業年度開始の日前10年以内に生じた欠損金が対象です(57条1項・64条の7)。10年を過ぎると特定欠損金は使えないまま期限切れになります。
はい。損益通算の全体に影響する64条の5第6項・8項に該当する場合、遮断措置(4〜7項)が外れ、通算グループ全体の再計算に戻ります。
最大の違いは申告単位と遮断措置です。連結納税は親会社が全体を一本で申告し、1社の誤りで全社再計算でした。グループ通算は各社が個別に申告し(74条)、後から1社が修正しても当初申告額が固定され他社に波及しません(本条4〜9項)。業界裏話ヒント:この遮断があるため、税務調査で1社が狙われても被害を1社に封じ込められる。だが8項に該当すると遮断が外れて全体再計算に戻る。調査官はここを突いてくることがある
ほぼできません。買収して通算グループに加入した会社の加入前の繰越欠損金は特定欠損金となり(2項)、その会社自身の所得からしか控除できません。他社の黒字には回せない。業界裏話ヒント:さらに加入時の時価評価(64条の11・12)や64条の6の制限で、その特定欠損金すら「ないもの」にされる場合がある。買収資料の「繰越欠損金〇億円」を額面通り信じると、想定節税額が蜃気楼になる
本条の欠損金の通算は、その通算法人が適用事業年度の確定申告書を提出した場合に限り適用されます(10項)。1社が期限内申告を怠ると、その社は通算の恩恵を失うリスクを負います。業界裏話ヒント:グループ通算は全社が期限内に足並みを揃えることを前提とする制度。1社の経理体制が弱いと、グループ全体の節税設計が崩れる。買収先の経理レベルは、財務数値と同じくらい通算の成否を左右する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 64条の7:通算グループ各社の欠損金の区分・配賦(欠損金の通算) | — |
| 赤字の性質 | 特定欠損金(本人限定)と非特定欠損金(グループ配賦可)に区分 | — |
| 他社の誤りの波及 | 遮断措置(4〜9項)で当初申告額を固定、他社に波及しない | — |
| 控除限度 | 損金算入限度額の枠内で配賦(57条と連動) | — |
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