民事執行法 第15条の2(期日の呼出しの特例)
クイックジャンプ
- 民事執行の手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によつてする。
- 2.呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。
この条文の基本情報
期日の呼出しの特例とは何ですか?
定義期日の呼出しの特例とは、民事執行法第15条の2に定められた規定で、「民事執行の手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によつてする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第15条の2(期日の呼出しの特例)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第15条の2の条文原文は「民事執行の手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によつてする。」で始まります。
- 民事執行法第15条の2は第一章 総則に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第15条の2の前の条は民事執行法第15条です。
- 民事執行法第15条の2の次の条は民事執行法第16条です。
- 民事執行法第15条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第15条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第15条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/15_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法15条の2は、執行手続の期日呼出しを電話等の相当な方法でも行えると定める一方、送達や出頭者への告知以外の方法で呼ばれた者には、欠席を理由とする不利益を課せないとする。
Q · 競売の期日を裁判所から電話で言われただけなんですが、行かなかったら不利になりますか?
原則として不利益は課されません。ただし書面を出すと別です
民事執行法15条の2第2項本文により、呼出状の送達でも出頭中の期日告知でもない方法(電話・普通郵便など)で呼び出された者は、期日に出頭しなくても法律上の制裁その他の不利益を負いません。ただし同項ただし書により、本人が「期日の呼出しを受けた」旨を記載した書面を裁判所に提出すると、この保護は外れます。なお、不利益が課されないことと手続が止まることは別で、売却も配当も予定どおり進行します。
解説
差押えの手続で裁判所書記官から電話がかかってきて「来週の月曜日に売却基準価額を決める期日があります」と言われた。あなたは仕事の都合がつかず出席しなかった。さて、あなたは何か不利益を受けるだろうか。民事執行法15条の2の答えは「原則として受けない」である。この条文は二段構えになっている。前段は、執行手続の期日呼出しは呼出状の送達だけでなく、電話・口頭・その他相当と認める方法でもよいと定めて、裁判所の手続を軽く速く回せるようにした。だが後段が重要だ。呼出状の送達でも、法廷に出頭した人へのその場での告知でもない方法、つまり電話やハガキで呼び出された者が期日に出頭しなくても、法律上の制裁や不利益を負わせてはならないと定めている。ただし例外が一つある。あなたが「呼出しを受けました」と書いた書面を裁判所に出してしまうと、その瞬間に不利益を負う立場に切り替わる。つまり、あなたの署名した一枚の紙が、あなたの防御ラインを自分から消す
法的な位置づけ
民事執行法15条の2は、執行手続における期日の呼出方法とその効果を定める規定である。第1項は呼出状の送達、出頭者への期日告知のほか、相当と認める方法による呼出しを許容する。第2項は、送達および出頭者への告知以外の方法で呼び出された者について、期日の不遵守を理由とする法律上の制裁その他の不利益の賦課を禁じ、本人が呼出しを受けた旨の書面を提出した場合を例外とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出しの方法をその場で記録する 裁判所から期日の連絡を受けたら、呼出状の郵便か、電話か、窓口での口頭かを判別し、日時・担当書記官名・連絡手段をメモに残す。呼出状であれば特別送達の封筒自体を保管する
- 2.電話であれば送達かどうかを確認する 電話を受けたその場で「これは呼出状の送達ではないという理解でよいですか」と確認する。送達でないと確認できれば、欠席が制裁対象にならない範囲を把握できる
- 3.確認書面を出すかどうかを判断する 「期日の呼出しを受けた」旨を記載した書面の提出は、2項ただし書により不利益の遮断を自ら外す効果を持つ。欠席の可能性があるなら、事務手続の確認と考えて安易に押印・返送しない
- 4.権利行使が必要な期日は方法を問わず出頭する 配当期日における配当異議の申出(民事執行法89条)など、出頭しなければ行使できない権利がある期日は、呼出方法にかかわらず出席を優先する。制裁がないことと損をしないことは別である
- 5.債権者側は事前に送達を求めておく 相手方の欠席に手続上の意味を持たせたい場合は、期日指定の段階で書記官に呼出状の送達を明示的に求める。期日後に気付いても、その期日は戻らない
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法15条の2とは何ですか?
執行手続の期日呼出方法を定める規定です。呼出状の送達・出頭者への告知のほか相当と認める方法を認め、送達等以外の方法で呼ばれた者には欠席を理由とする不利益を課せないとしています。
Q2競売の期日に欠席したらどうなりますか?
電話や普通郵便での呼出しなら、欠席自体を理由とする法律上の制裁はありません。ただし手続は進行し、配当異議など出頭しなければ行使できない権利は失われます。
Q3呼出状の送達と電話の呼出しは何が違いますか?
呼出状の送達と出頭者への期日告知は不利益を伴う呼出しです。電話・普通郵便などは15条の2第2項本文により、欠席を理由とする不利益から遮断されます。
Q4「呼出しを受けた」と書いた書面は出していいですか?
提出すると2項ただし書が働き、送達を受けたのと同様に欠席の不利益を負う立場になります。出席予定なら実害はありませんが、欠席の可能性があるなら意味を理解して判断してください。
Q5期日呼出しは口頭でも有効ですか?
有効です。1項の「その他相当と認める方法」に電話や口頭の連絡も含まれます。呼出し自体は有効で、違いは欠席に不利益を課せるかどうかにあります。
Q6配当期日に行かないと配当異議は言えませんか?
言えません。配当異議の申出は配当期日に出頭して行う必要があります(民事執行法89条)。制裁がないことと権利行使の機会が残ることは別問題です。
Q7債務者が期日に来なかったら不利に扱ってもらえますか?
呼出しが電話や普通郵便だった場合、2項本文により欠席を理由とする不利益主張は通りません。実効性を持たせたいなら、事前に書記官へ呼出状の送達を求めてください。
Q8呼出方法に問題があるとき何を申し立てられますか?
執行裁判所の手続の違法は、執行異議の申立て(民事執行法11条)で争うのが基本です。呼出方法の記録を残しておくことが前提になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判所から電話で期日を言われただけなんですが、これって正式な呼出しなんですか?
正式な呼出しです。15条の2第1項は「その他相当と認める方法」を認めており、電話も含まれます。ただし2項本文により、送達でも出頭中の告知でもない方法で呼ばれた場合、欠席を理由に制裁や不利益を課すことはできません。実務のポイント:この違いは書記官から自発的に説明されることはほぼありません。電話を受けたその場で「これは呼出状の送達ではないという理解でよいですか」と一言確認すれば、以後の判断材料が手に入る
Q2「呼出しを受けました」って書類にサインして送り返すよう言われたんですが、出していいですか?
出すかどうかで法的立場が変わります。2項ただし書により、その書面を提出した時点で、送達を受けたのと同様に欠席の不利益を負う立場になります。出席するつもりなら実害はありませんが、欠席の可能性があるなら意味を理解した上で判断すべきです。実務のポイント:この書面は「事務手続の確認」という体裁で送られてくることが多く、法的効果の説明が添えられていることは稀。裁判所は嘘をついているわけではなく、条文に書いてあることは説明義務の外だからだ
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判所から期日の連絡が来たら必ず行かなければ大変なことになる」と思われがちだが、呼出しの方法によって法的な重みが違う。呼出状の送達と、法廷でその場で告げられた期日告知、この二つだけが不利益を伴う呼出しであり、電話や普通郵便による連絡は2項本文で不利益から遮断されている。呼出しの形式を確認するという発想を、多くの人は持っていない
- この条文を「欠席しても大丈夫という安心規定」と読むのは、深刻さの読み違えである。2項が禁じているのは期日の不遵守を理由とする制裁・不利益であって、手続の進行そのものは止まらない。売却は実施され、配当表は作成され、あなたが出席しなければ言えたはずの意見は記録に残らない。制裁を受けないことと、事実上の損失を免れることは、まったく別の話だ
- 「呼出しを受けた旨を記載した書面」を出すかどうかは、事務的な確認作業だと考えている人が多い。しかし法律から見れば、それは自分に対する不利益賦課を自ら許諾する意思表示に近い効果を持つ。あなたから見れば形式的な返送、法律から見れば防御ラインの自主的撤去。この落差が、後で「なぜ自分だけ不利に扱われるのか」という事態を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 民事執行法15条の2:執行手続の期日呼出方法と欠席の効果 | 民事執行法16条:執行手続における送達の特例(就業場所不明時等) 民事執行法20条:民事訴訟法の準用(一般原則) |
| 緩和の方向 | 呼出方法を緩め、代わりに不利益を遮断する | 送達自体の実施方法を柔軟化する 特別の定めがない限り訴訟法の原則に戻す |
| 当事者に生じる効果 | 送達等以外の呼出しなら欠席の制裁なし。書面提出で解除 | 送達が完了すれば通常の効果が生じる 民訴94条・98条の原則がそのまま働く |
| 出頭が必須になる場面 | 本条は出頭義務を課さない | 送達により期日の重みが増す 民事執行法89条の配当異議は出頭が必須 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は強制執行法で民事訴訟法を準用する構造をとり、期日通知の方法緩和と欠席不利益の遮断を一体で定める日本型の規定は置かれていない
韓国も執行法が民事訴訟法を準用する構造。期日通知の簡易化は運用で対応し、日本15条の2のような明文の不利益遮断規定は独立していない
ドイツは執行手続を執行官中心に構成し、期日呼出しは訴訟一般の Terminsladung 規定によるほか、執行段階では通知義務の個別規定が置かれる
米国は執行手続を州法に委ねる構造で、notice の要件は due process 判断(Mullane 基準)を通じて統制される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自宅マンションが競売にかけられ、裁判所書記官から携帯に電話。「現況調査の立会期日は15日です」と言われたが、あなたは出張で行けなかった。この電話呼出しは呼出状の送達ではないので、欠席したこと自体を理由に不利益を課すことはできない。ただし手続そのものは進むので、欠席が安全という意味ではない
- もし、裁判所から届いた書類の中に「期日呼出しを受けたことに相違ありません」という一行の確認欄があって、深く考えずに押印して返送してしまったら? その瞬間、2項ただし書が発動し、あなたは呼出状の送達を受けたのと同じ立場になる。以後の欠席には不利益が及ぶ
- あなたが債権者側の立場で、債務者が期日に来ない。「無断欠席なんだから不利に扱ってくれ」と主張したくなる。だが呼出しが電話や普通郵便だった場合、その主張は2項本文で封じられる。債権者として本気で相手の欠席に意味を持たせたいなら、書記官に呼出状の送達を求めておく必要がある
- 配当期日の通知が普通郵便で届いたが、あなたは引っ越し直後で受け取れなかった。あと3日で期日。この場合、送達ではない方法での呼出しなので、欠席による法律上の制裁は科されない。だが配当異議の申出は期日に出頭してしなければならず(民事執行法89条)、権利行使の機会そのものは戻ってこない。制裁がないことと損をしないことは別だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 期日連絡を受けたら、その方法を記録する。呼出状の郵便か、電話か、窓口での口頭か、日時と担当書記官名まで控える2. 呼出状であれば特別送達の封筒が届くので、封筒自体を保管する3. 送達以外の方法だった場合、「呼出しを受けた」旨の確認書面を安易に提出しない。提出は2項ただし書により不利益の遮断を外す効果を持つ4. ただし制裁がないことと手続が止まることは別なので、配当異議など期日に出頭しないと行使できない権利がある場合は、方法にかかわらず出席を優先する
訴えられた側:1. 債権者・申立人の立場で相手方の欠席に手続上の意味を持たせたい場合は、期日指定の段階で書記官に呼出状の送達を求める2. 電話や普通郵便での連絡にとどめた期日について、相手の欠席を理由とする不利益主張は2項本文で通らないと想定しておく3. 相手方から「呼出しを受けた」旨の書面が提出されている場合は、その写しを記録上確認しておく。ただし書の適用可否がそこで決まる4. 期日の実効性を高めたい重要局面(配当期日、売却決定期日)では、呼出しの形式を最初から固める
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。ただし個別の期日(配当期日における配当異議の申出、売却決定期日における執行異議など)にはそれぞれの期限があり、期日を過ぎれば主張できなくなる。呼出方法にかかわらず、期日そのものの期限は動かない
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定に伴い、旧競売法・旧民事訴訟法下に分散していた執行手続を統合する過程で、期日呼出しの簡易化と欠席不利益の遮断を組み合わせた規定として整備された
- 民事執行法 第20条民事訴訟法の準用、本条はその特例
- 民事執行法 第16条執行手続における送達の特例規定
- 民事執行法 第89条配当期日における配当異議の申出、出頭を要する場面
- 民事執行法 第11条執行異議の申立て、手続違背を争う手段
- 民事訴訟法 第94条期日の呼出方法の一般規定、本条が特例を置く対象
- 民事訴訟法 第98条送達の職権実施原則、緩和の前提となる原則規定
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める