民事執行法 第191条(動産の差押えに対する執行異議)
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動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。
この条文の基本情報
動産の差押えに対する執行異議とは何ですか?
定義動産の差押えに対する執行異議とは、民事執行法第191条に定められた規定で、「動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由と…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第191条(動産の差押えに対する執行異議)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第191条の条文原文は「動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由と…」で始まります。
- 民事執行法第191条は第三章に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第191条の前の条は民事執行法第190条です。
- 民事執行法第191条の次の条は民事執行法第192条です。
- 民事執行法第191条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第191条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第191条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/191
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法191条は、動産競売に係る差押えに対する執行異議で、債務者又は動産の所有者が担保権の不存在・消滅又は被担保債権の一部消滅を理由にできると定める。ただし異議だけでは執行は止まらない。
Q · 動産競売の差押えに、判決なしで反論する方法はある?
担保権の不存在・消滅を実体異議で争えます
民事執行法191条により、動産競売の差押えに対する執行異議では、債務者又は動産の所有者が、担保権の不存在・消滅、又は被担保債権の一部の消滅という実体上の理由を主張できます。通常の執行異議(民執11条)は手続の違法しか争えませんが、動産競売に限りこの実体異議が認められます。ただし異議それ自体に執行を止める効力はなく、別に執行停止の裁判を取らなければ、争っている間に目的物が売却され、買受人の即時取得(民法192条)で取戻しが事実上不可能になります。速度が全てを決めます。
解説
取引先があなたの店の厨房設備に差押えの札を貼っていった。裁判で負けた覚えはない。それもそのはず、担保権の実行としての動産競売は、判決も債務名義もいらないからだ。売買代金を担保する先取特権を持つ仕入先や、質権を持つ債権者は、いきなり執行官を動かせる。ここで多くの人は諦める。だが191条はあなたに反撃の窓口を開けている。通常の執行異議(11条、役所ならぬ裁判所の執行手続に対する不服申立て)は手続の違法しか争えない。ところが動産競売に限っては、債務者も、その動産の所有者も、「担保権はそもそも存在しない」「もう消滅した」「担保される債権の一部はすでに弁済した」という実体上の理由を、その執行異議の中で直接ぶつけられる。判決を経ていない分、実体を争う最後の一枚が、ここに用意されている。
法的な位置づけ
民事執行法191条は、動産競売に係る差押えに対する執行異議の特則を定める規定である。債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在・消滅、又は被担保債権の一部の消滅を執行異議の理由とすることができる。手続の違法しか争えない一般の執行異議に対し、実体上の事由の主張を例外的に許す点に特色がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書で担保権と債権額を確認 差押調書で、どの担保権(質権か動産売買の先取特権か)を根拠に、いくらの被担保債権額を前提に差し押さえたかを確認する。差押えの土台となる数字を最初に押さえる
- 2.担保権の不存在・消滅・一部弁済の証拠を集める 担保権が成立していない資料、担保権が消滅したことを示す資料、又は被担保債権の一部弁済を示す領収書・振込明細を収集する。どの債務に充当された弁済かを客観的に示せる証拠が有力な一撃になる
- 3.執行裁判所に執行異議を申し立てる 執行裁判所に執行異議(民事執行法11条)を申し立て、191条の実体上の理由(担保権の不存在・消滅・被担保債権の一部消滅)を正面から主張する。手続の違法探しではなく担保権の根を狙う
- 4.同時に執行停止の裁判を申し立てる 異議だけでは競売は止まらないため、執行停止の裁判を同時に申し立てる。競売期日前にこれを得られるかが分水嶺で、売却されれば買受人の即時取得(民法192条)で物は戻らない
よくある質問 AI による整理
Q1動産競売とは何ですか?
質権や先取特権などの担保権を実行し、対象の動産を換価して債権を回収する手続です。判決や債務名義を要しない点が強制執行と異なります。
Q2担保権の実行に判決は必要ですか?
不要です。質権・動産売買の先取特権などの担保権は、債務名義(判決等)なしに執行官を動かして動産競売を申し立てられます。だからこそ191条の実体異議が防御の要になります。
Q3執行異議と執行抗告の違いは何ですか?
執行異議は執行裁判所や執行官の処分への簡易な不服申立て、執行抗告は法律で特に定めた場合の上級審への抗告です。動産競売の実体異議は執行異議で行います(民執11条・191条)。
Q4先取特権による差押えを止める方法はありますか?
191条の執行異議で担保権の不存在・消滅・一部弁済を主張し、同時に執行停止の裁判を申し立てます。異議だけでは競売は止まりません。
Q5執行停止の裁判とは何ですか?
係争中の執行手続を一時停止させる裁判上の処分です。191条の異議と別に取得しなければ、審理中でも競売が進み目的物が売却されてしまいます。
Q6動産売買の先取特権とは何ですか?
売った動産の代金を担保するため、その動産の上に法律上当然に生じる担保物権です(民法321条)。買主が代金未払いのまま所持する在庫が対象になります。
Q7競売で動産を買った人から取り戻せますか?
原則できません。買受人は民法192条の即時取得で確定的に所有権を得るため、担保権が無効でも物は戻らず、争いは金銭賠償へ格下げされます。
Q8執行異議の申立てに期限はありますか?
民執11条の執行異議に法定の申立期間はありません。ただし動産競売は進行が速く、売却されると取戻しが困難になるため、差押えを知った時点で直ちに動く必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分は一円も借りてないのに、うちの倉庫の在庫が差し押さえられました。おかしくないですか?
おかしくありません。動産売買の先取特権(民法321条)などは、あなたが債務者でなくても、目的物であるあなたの在庫に及びます。ただし191条は「動産の所有者」にも実体を争う権利を与えているので、あなたは当事者として異議を出せます。実務のポイント:所有者と債務者が別人のケースでは、担保権者が目的物の帰属を詰めきれていないことがある。誰の物かを最初に突けば、それだけで差押えの前提が崩れることがある
Q2異議さえ出せば、競売は止まってくれるんですよね?
止まりません。191条の異議を申し立てても、それ自体に執行を止める効力はなく、別に執行停止の裁判(民事執行法11条関連)を取る必要があります。実務のポイント:異議を出して安心し、執行停止を申し立てないまま競売期日を迎えて物を失う人は珍しくない。異議と執行停止は必ずセットで、しかも期日前に動く。売れてしまえば買受人の即時取得で終わる
Q3もう半分は返したのに、全額分の担保だと言って差し押さえられました。何かできますか?
できます。191条は「担保権によって担保される債権の一部の消滅」を明文で異議の理由に挙げています。一部弁済を証拠で示せば、差押えの前提とされた債権額を争えます。実務のポイント:相手は弁済をわざと後順位の債権に充当したと主張してくることがある。どの債務に充てる弁済だったかを、振込時のメモや領収書の記載で押さえておくと、充当をめぐる争いで一気に有利に立てる
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行異議なんて、どうせ手続のクレームしか言えない」と思い込んでいる人が多い。だが動産競売では例外的に、担保権が存在するのか、消滅していないか、被担保債権が一部消えていないか、という実体そのものを異議の場で争える。この一点を知る者と知らない者で、戦える範囲がまるで違う
- 「異議さえ出せば競売は止まる」と考えている人は、事の深刻さを見誤っている。191条の異議を申し立てても、それだけでは執行は止まらない。別に執行停止の裁判を取らなければ、争っている間に目的物は売却され、買受人の手に渡ってしまう
- 「自分は借金をしていないのだから関係ない」という前提そのものが誤っている。質物や先取特権の目的物の所有者は、借主である債務者と別人でも当事者になる。あなたが一円も借りていなくても、あなたの物が担保に取られていれば、あなたはこの条文の主役だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 争える範囲 | 民執191条:担保権の不存在・消滅・被担保債権の一部消滅という実体を争える | 民執11条:原則、執行手続の違法(手続上の瑕疵)のみ 民執182条:担保不動産競売でも同様に実体を争える |
| 対象手続 | 動産競売(担保権実行としての動産の換価) | 執行手続一般に対する不服申立ての受け皿 担保不動産競売(不動産の担保権実行) |
| 申立権者 | 債務者又は動産の所有者(両者が別人でも所有者は当事者) | 執行処分により不利益を受ける当事者・利害関係人 債務者又は不動産の所有者 |
| 執行停止効 | 異議自体に停止効なし。別に執行停止の裁判が必要 | 異議自体に停止効なし。別に執行停止の裁判が必要 異議自体に停止効なし。別に執行停止の裁判が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は執行手続への聲明異議(12条)と債務人異議之訴(14条)を分ける。実体を争うのは異議之訴に近く、日本の191条が執行異議の中で実体を許す構造とはやや異なる
韓国も집행이의の制度を持つ。担保権実行に対する実体的防御の考え方は日本と類似するが、条文構造は独自
ドイツは実体を争う救済を執行異議の訴え(Vollstreckungsgegenklage)として訴訟の形式で行う。日本の191条は簡易な執行異議の枠内で実体を許す点で簡便
米国の担保取引は UCC 第9編が規律し、債務者は担保権者の違反に対し損害賠償等の救済を持つ。判決前の一方的な執行に対する構造は日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 掛けで仕入れた食材や機器の代金がまだ払いきれていないうちに、仕入先が動産売買の先取特権を実行し、あなたの厨房設備に差押えの札を貼った。判決も通知もない。だが191条があれば、あなたはその場の異議で「その担保、もう消えている」と実体から殴り返せる
- もし競売期日まであと三日というタイミングで、差し押さえられた機械の担保権がとっくに消滅していると気付いたら? 異議と執行停止の裁判を同時に打たなければ、三日後には設備は第三者の手に渡り、争いは金の話に格下げされる
- あなたが売掛金を回収するため、売った商品に動産売買の先取特権を実行して差し押さえた側だとする。相手が「代金はもう半分払った」と実体で異議を出してきた。差押えの前提にした債権額が崩れれば、競売自体が揺らぐ
- 質屋に時計を預けて金を借りた。返済が滞り、質流れではなく競売の話になった。だがその質権設定そのものに無効事由があるなら、所有者として実体を争える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書で、どの担保権(質権か先取特権か)を根拠に、いくらの債権額で差し押さえたかを確認する2. 担保権の不存在・消滅、または一部弁済を示す証拠(領収書、振込明細、担保契約が成立していないことを示す資料)を集める3. 執行裁判所に執行異議(民事執行法11条)を申し立て、191条の実体上の理由を正面から主張する4. 同時に執行停止の裁判を申し立てる。異議だけでは競売は止まらず、売却されれば買受人の即時取得で物は戻らない。速度が全てを決める
訴えられた側:1. 担保権の不存在・消滅・一部弁済を主張されたら、担保権の成立と現存を示す資料(質権設定契約、動産売買の事実と代金未払いの内訳、債権額の計算根拠)を固める2. 一部弁済の主張には、弁済がどの債権に充当されたかという充当関係で反論する3. 相手が執行停止の裁判を得る前に手続を進められるかが分水嶺、無用な遅延を避ける4. 目的物の所有者と債務者が別人の場合、物の帰属関係を早期に確認する
時効(請求できる期限):執行異議(民事執行法11条)に法定の申立期間はない。だが動産競売は手続の進行が速く、目的物が売却されると買受人の即時取得(民法192条)により取戻しが事実上不可能になる。実質的な期限は「競売期日までに執行停止の裁判を得られるか」であり、差押えを知った時点から直ちに動く必要がある。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:191条は動産競売の特則として、通常の執行異議(11条)では争えない実体事由——担保権の不存在・消滅、被担保債権の一部消滅——を執行異議の中で主張することを許す趣旨と解される。債務名義を経ない担保権実行に対し、実体的防御の機会を確保する規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧競売法・旧民事訴訟法に分散していた強制執行・担保権実行の規定を統合。動産競売に対する執行異議で実体上の理由を主張できることを明文化した。
- 民事執行法 第11条執行異議の一般規定、本条の手続的受け皿
- 民事執行法 第182条担保不動産競売における実体異議の並行規定
- 民事執行法 第190条動産競売の開始要件、本条の前提手続
- 民事執行法 第192条動産執行に関する規定の準用
- 民法 第342条動産質権、競売で実行される担保権の実体的根拠
- 民法 第303条先取特権、無過失で実行され得る法定担保物権
- 民法 第192条即時取得、競売買受人による確定的な権利取得
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