要点消費税法 10 条は、課税売上高が千万円を超える被相続人の事業を承継した相続人について、相続のあった日の翌日から免税事業者の特例を適用しないと定める。翌年・翌々年は被相続人との合算額で判定される。
Q · 親の店を相続で継いだら、自分の売上がゼロでも消費税を払うことになるの?
被相続人の売上が千万円超なら相続の翌日から課税事業者です
消費税法 10 条 1 項により、その年の基準期間における課税売上高が千万円以下の相続人であっても、基準期間の課税売上高が千万円を超える被相続人の事業を承継した場合は、相続のあった日の翌日からその年 12 月 31 日までの取引について第 9 条 1 項本文の免税規定が適用されません。さらに同条 2 項により、相続の翌年・翌々年は相続人自身の課税売上高と被相続人の課税売上高の合計額が千万円を超えるかで判定されます。判定基準は相続人自身の商売の規模ではなく、承継した事業の実態です。
親が営んでいた年商三千万円のラーメン店を相続した。あなた自身は会社員で、店の売上はこれまでゼロ。だから消費税は関係ない、免税事業者だと思い込む。そこが落とし穴だ。消費税には、基準期間(二年前)の課税売上高が千万円以下なら納税義務が免除される小規模事業者の特例(第九条)がある。しかし第十条は、その安全網に相続という穴を開けている。被相続人(亡くなった方)の課税売上高が千万円を超えていた場合、その事業を承継した相続人は、たとえ自分の売上がゼロでも、相続のあった日の翌日から課税事業者になる。しかも翌年・翌々年は、あなたの売上と被相続人の売上を合算して千万円を超えるかで判定される。名義があなたに変わっても、事業の実態は引き継がれる。知らずに免税のつもりで営業を続けると、後から消費税本体に加えて加算税・延滞税がまとめて襲ってくる。
消費税法第 10 条は、相続があった場合の納税義務の免除の特例を定める規定である。基準期間における課税売上高が千万円以下の相続人であっても、課税売上高が千万円を超える被相続人の事業を承継したときは、第 9 条第 1 項本文の免税規定が適用されない。相続の翌年および翌々年については、相続人と被相続人の基準期間における課税売上高の合計額により判定される。
相続があった場合の納税義務の免除の特例です。課税売上高千万円超の被相続人の事業を承継した相続人は、自分の売上が千万円以下でも免税事業者になれず、消費税を納める義務を負います。
相続のあった日の翌日からです。相続日当日までは免税、翌日以降その年 12 月 31 日までが課税期間となります。一日の猶予もないため、同じ店の売上が相続日を境に免税分と課税分に割れます。
個人事業者の消費税確定申告期限は課税期間の翌年 3 月 31 日です。相続税の申告期限(10 か月)とは別の期限なので、相続税に気を取られて消費税を失念しないよう注意が必要です。
相続があった年の 2 年前(基準期間)の確定申告書、消費税申告書、青色申告決算書、総勘定元帳などで確認します。資料が見つからない場合は税務署で被相続人の申告状況を照会する方法もあります。
消費税法 10 条 2 項により、相続人自身の基準期間の課税売上高と被相続人の課税売上高の合計額が千万円を超える場合は課税事業者になります。最低でも 3 年分を課税前提で組み直す必要があります。
住居用の家賃は非課税ですが、店舗・事務所・駐車場の賃料は課税売上です。被相続人のその課税売上高が千万円を超えていれば、不動産を承継した相続人は相続の翌日から課税事業者になります。
消費税法 10 条 3 項により、二以上の事業場を二以上の相続人が事業場ごとに分割承継した場合の課税売上高の計算は政令(消費税法施行令 21 条)に委ねられます。誰がどの店を継ぐかで判定結果が変わります。
取引先が仕入税額控除を受けるには適格請求書が必要なため、BtoB 取引が中心なら登録が実質的に不可欠です。相続で強制的に課税事業者となった以上、登録しない選択は取引先離れのリスクを伴います。
払う側になる可能性が高い。第十条は相続人本人ではなく被相続人の基準期間課税売上高で判定し、それが千万円を超えていれば相続の翌日から課税事業者になる。業界裏話ヒント:税理士は相続の場面で真っ先にここを確認するが、相続人が自分で申告していると見落とされやすい。数年後の税務調査でまとめて指摘されると、本税に加えて無申告加算税・延滞税が重くのしかかる
本条は「事業を承継したとき」に適用されるので、承継しなければ課税事業者化は起きない。相続放棄すれば承継自体が生じない。ただし実際に店を営みながら形式だけ放棄することはできず、承継の有無は実態で判断される。業界裏話ヒント:放棄には相続開始を知った時から三か月の期限(民法九百十五条)があり、消費税の判断まで含めて動くには時間が短い。継ぐか継がないかを、税負担まで見て早く決める必要がある
それは本条とは別の話。第十条は「これから」あなたが負う納税義務を定めるもので、被相続人の未納国税は相続債務として承継される(国税通則法五条)。相続放棄や限定承認で対応する領域だ。業界裏話ヒント:この二つは混同されやすいが、過去の滞納は相続債務、将来の課税は事業承継による本条適用と、根拠も対処法も完全に別ルート。どちらの話をしているか整理しないと、対策を打つ相手を間違える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 承継の原因 | 消費税法 10 条:相続による事業の承継 | — |
| 判定に用いる売上 | 被相続人の基準期間の課税売上高(翌年以降は相続人との合計額) | — |
| 課税事業者となる起算点 | 相続のあった日の翌日からその年 12 月 31 日まで | — |
| 原則規定との関係 | 消費税法 9 条 1 項本文(免税)の適用を排除する例外 | — |
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