保険業法 第165条の17(債権者の異議)
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- 消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、消滅相互会社に対し、合併について異議を述べることができる。
- 2.消滅相互会社は、次に掲げる事項を官報及び当該消滅相互会社の定款で定めた公告方法により公告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
- 一合併をする旨
- 二吸収合併存続会社(吸収合併存続相互会社及び吸収合併存続株式会社をいう。以下この節において同じ。)又は他の新設合併消滅会社及び新設合併設立会社の商号又は名称及び住所
- 三消滅相互会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
- 四前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
- 3.保険契約者その他の債権者が前項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
- 4.第八十八条第四項から第七項まで及び第九項の規定は、第一項の規定による債権者の異議について準用する。この場合において、同条第四項及び第六項中「第二項第三号」とあるのは「第百六十五条の十七第二項第三号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
債権者の異議とは何ですか?
定義債権者の異議とは、保険業法第165条の17に定められた規定で、「消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、消滅相互会社に対し、合併について異議を述べることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第165条の17(債権者の異議)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第165条の17の条文原文は「消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、消滅相互会社に対し、合併について異議を述べることができる。」で始まります。
- 保険業法第165条の17は第四目 消滅相互会社の手続に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第165条の17の前の条は保険業法第165条の16の2です。
- 保険業法第165条の17の次の条は保険業法第165条の18です。
- 保険業法第165条の17には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第165条の17 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第165条の17(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/165_17
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法165条の20は、相互会社の合併に対し保険契約者その他の債権者が異議を述べられると定める。公告された1か月以上の期間内に異議を述べないと、合併を承認したものとみなされる。
Q · 契約している生命保険会社が合併するとき、契約者は何もしなくていいの?
何もしなければ承認とみなされる。異議は期間内に出す必要がある
保険業法165条の20第1項により、消滅相互会社の保険契約者その他の債権者は、合併について異議を述べることができます。会社は官報および定款所定の公告方法で、1か月を下らない異議申述期間を公告します(2項)。この期間内に異議を述べなかった場合、3項により合併を承認したものとみなされます。期間内に異議を述べれば、4項が準用する同法88条4項以下により、弁済・相当の担保の提供・信託会社等への財産の信託のいずれかが問題となります。ただし合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、会社はこれらの措置を要しません。
解説
官報を毎日読む人はまずいない。だが日本生命や明治安田生命のような相互会社が合併するとき、保険契約者であるあなたに向けられる法的な知らせは、原則として官報公告と定款で定めた公告方法による公告だけである。本条1項は、消滅する相互会社の保険契約者とその他の債権者に「異議を述べる権利」を与える。ここまでは保護規定に見える。問題は3項だ。公告に定められた期間、2項ただし書により最低でも1か月内に異議を述べなければ、あなたはその合併を承認したものとみなされる。沈黙が同意に変換される。逆に期間内に異議を述べれば、4項が準用する88条4項以下により、会社は弁済するか、相当の担保を提供するか、信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし合併をしてもその債権者を害するおそれがないときはこの限りではない。動いた債権者だけが保全を手にし、黙っていた債権者は何も持たないまま新しい会社へ引き渡される。
法的な位置づけ
保険業法165条の20は、相互会社の合併における債権者異議手続を定める規定である。消滅相互会社の保険契約者その他の債権者に異議申述権を認め、会社に対して官報および定款所定の公告方法による公告と、1か月を下らない異議申述期間の設定を義務付ける。期間内に異議がなければ承認の擬制が働き、異議があれば同法88条4項以下の準用により、弁済・相当の担保の提供・信託の要否が判断される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公告を特定し、異議申述期間の満了日を確定する インターネット版官報と、当該相互会社の定款で定めた公告方法(自社サイトの電子公告、日刊新聞紙など)の双方を確認し、公告日と2項3号の期間の満了日を特定する。期間は1か月を下ることができないため、公告日から起算して最短の満了日を押さえる
- 2.自分の債権を具体化して証拠を揃える 保険契約者なら保険証券番号・契約日・保障内容・解約返戻金の水準、取引債権者なら契約書・発注書・請求書・残高明細を揃え、債権の発生原因と金額を特定できる状態にする。債権が特定できないと、会社側の保全措置の検討が進まない
- 3.期間内に書面で異議を述べ、到達を証明できる形で送る 公告に示された宛先へ、期間内に異議を述べる書面を送付する。合併に異議がある旨、債権の特定、求める措置(弁済・相当の担保の提供・信託のいずれか)を明記する。到達日を争われないよう、配達証明付き内容証明郵便を用いる
- 4.会社の回答を受けて保全措置を具体的に交渉する 会社が「害するおそれがない」と回答した場合は、存続会社の財務内容・ソルベンシー関連の説明を求める。保全措置を受けられる場合は、弁済・相当の担保の提供・信託会社等への信託のどれを選ぶかを、債権の性質と回収時期に照らして指定する
よくある質問 AI による整理
Q1債権者異議手続とは何ですか?
会社の合併など組織再編の際に、債権者へ公告して異議を述べる機会を与え、異議があれば弁済や担保提供などの保全措置を検討させる手続です。保険業法165条の20は相互会社の合併について、これを定めています。
Q2保険業法165条の20の異議申述期間はいつまでですか?
公告に定められた期間内です。2項ただし書により、この期間は1か月を下ることができません。起算点は官報および定款所定の公告方法による公告の日で、満了日は公告文から逆算して確認します。
Q3合併の公告には何が書かれますか?
2項が定める事項です。合併をする旨、吸収合併存続会社または他の新設合併消滅会社および新設合併設立会社の商号・名称と住所、一定期間内に異議を述べられる旨、そのほか内閣府令で定める事項が記載されます。
Q4異議はどうやって出せばいいですか?
公告に示された宛先へ、期間内に書面で異議を述べます。条文は書式を限定していませんが、到達日と内容を証明できる配達証明付き内容証明郵便が実務上は確実です。債権の内容を特定できる資料も添えます。
Q5「害するおそれがないとき」とはどんな場合ですか?
準用される88条4項ただし書の要件で、合併しても当該債権の回収可能性が実質的に低下しないと判断される場合です。この場合、会社は弁済・担保提供・信託のいずれの措置も要しないとされています。
Q6みなし承認になったらもう争えませんか?
3項で承認したものとみなされると、異議に基づく保全措置は求められません。残るのは合併の効力そのものを争う道で、会社法828条の合併無効の訴え(効力発生日から6か月以内)が中心になります。
Q7株式会社の保険会社が合併する場合も同じ手続ですか?
株式会社の合併は会社法789条・810条の債権者異議手続によります。保険業法165条の20は相互会社の合併に固有の規定で、公告方法や準用関係が異なるため、条文を取り違えないことが重要です。
Q8合併公告に不備があった場合はどうなりますか?
官報と定款所定の公告方法の一方を欠く、期間が1か月未満、2項各号の記載を欠くといった瑕疵は手続違反として残り、合併無効の訴えにおける無効事由の主張材料となり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1官報なんて見たこともないんですけど、それでも知らなかったでは済まないんですか?
済みません。2項が会社に求めているのは官報と定款で定めた公告方法による公告であり、条文上、個別の催告までは求められていません。公告が適法に行われれば、3項により期間内に異議を述べなかった人は承認したものとみなされます。実務のポイント:インターネット版官報は無料で公開され、直近分は誰でも検索できる。契約中の保険会社名で定期的に検索をかけるだけで、この1か月の窓を落とさずに済む
Q2異議を出したら合併そのものを止められるんですか?
止まりません。本条の異議は合併の阻止ではなく、4項が準用する88条4項以下により、あなた個人への弁済、相当の担保の提供、または信託会社等への相当の財産の信託を求めるための制度です。合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、会社は応じなくてよいとされています。実務のポイント:異議を述べた事実は記録に残る。存続会社が後に苦しくなったとき、担保を確保した債権者と、みなし承認で何も持たない債権者では、回収の現実が変わる
Q3保険料を払っているだけの契約者でも、債権者に入るんですか?
入ります。1項は「消滅相互会社の保険契約者その他の債権者」と明記しており、保険契約者は債権者の一類型として扱われます。将来の保険金や解約返戻金を請求できる地位が債権だからです。したがって2項3号の期間内に異議を述べる権利があり、述べなければ3項でみなし承認になります。実務のポイント:相互会社の契約者は社員の地位も併せ持つ。総代会での議決権行使と債権者としての異議は別ルートで、片方を使えばもう片方が不要になるわけではない
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議を出しても合併は止まらない」ことは、ある程度知られている。だが深刻なのはその先だ。本条の異議の狙いはそもそも合併の阻止ではなく、準用される88条4項以下によって、あなた個人に対する弁済・相当の担保の提供・信託という個別の保全措置を引き出すことにある。止まらないから無駄だと判断して出さなかった人だけが、何の保全も付かないまま存続会社の債権者になる
- 「通知はいつ自宅に届くのか」という問いの立て方自体がずれている。2項が会社に義務付けているのは官報および定款で定めた公告方法による公告であって、条文上、あなた宛ての個別催告ではない。届くのを待つ姿勢のままでは、期間は静かに満了する
- 保険契約者は相互会社の社員だから総代会で守られている、と考えられがちだが、本条はその同じ人を「債権者」の列に並べる。社員としての議決権と、債権者としての異議権は別ルートで、後者を使わなければ弁済も担保も引き出せない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 保険業法165条の20:相互会社の合併(消滅相互会社側) | 保険業法88条:債権者異議手続の本体規定(本条4項が準用) 会社法789条:株式会社の吸収合併消滅会社の債権者異議 |
| 周知方法 | 官報および定款で定めた公告方法による公告(2項) | 本条が準用する範囲で措置の内容を規律(4項・7項・9項) 官報公告に加え、原則として知れている債権者への各別の催告 |
| 期間 | 公告に定める期間、1か月を下ることができない(2項ただし書) | 本条2項3号を165条の17第2項3号と読み替えて適用 1か月を下ることができない異議申述期間 |
| 沈黙の効果と異議の効果 | 期間内に異議なし=承認とみなす(3項)。異議あり=弁済・相当の担保の提供・信託を検討(4項準用) | 弁済・相当の担保の提供・信託会社等への信託。害するおそれがなければ不要 同様に承認擬制。異議があれば弁済・担保・信託 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の公司法も合併時に債権者へ公告・通知し、異議を述べた債権者には弁済または担保提供を求める構造をとる。台湾では相互保険社の実例が乏しく、日本の相互会社に直接対応する組織再編規定は限定的
韓国も合併に際し債権者へ公告・催告し、期間内に異議を述べない債権者は合併を承認したものとみなす構造で、日本法と極めて近い。保険会社については保険業法上の認可審査が重ねて働く
ドイツは合併登記の公告後に債権者が担保提供(Sicherheitsleistung)を請求できる構造で、日本のような事前の異議申述期間+承認擬制とは時間軸の設計が異なる。相互保険社は VAG が規律
米国では債権者個々の異議申述より、州保険監督当局による合併認可審査と契約者保護基金(guaranty association)による事後的保護が中心。個別債権者の異議権という設計思想は薄い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親が長年払い続けていた相互会社の生命保険。合併の公告が出ていたと知ったのが、異議申述期間の満了4日前だとしたら? 申述の宛先も書式も分からないまま、動ける営業日は実質3日。この3日を使えるかどうかで、担保を確保した債権者になるか、みなし承認で新会社に移される契約者の一人になるかが分かれる
- あなたは消滅側の相互会社で合併実務を担当している。官報だけ出して定款所定の公告方法を落とせば、2項の公告要件は欠ける。その瑕疵は後日、合併の効力そのものを争われる火種になる
- 保険会社にシステムを納入したベンダー、本社ビルを貸しているオーナー、未払いの報酬が残っている業務委託先。全員が本条1項の「その他の債権者」に当たる。ところが多くの取引先は、自分がこの1か月の窓の中にいることに気付かないまま期間を過ごし、3項で承認したことにされる
- 相互会社の保険契約者は社員としての地位も持つ。総代会で合併が可決されたと報道で知り、そこで話は終わったと考える。だが本条は保険契約者を債権者の側に置き、総代会とは別の入口をもう一つ開けている。可決されたからこそ、この入口の期限が動き始めている
取るべき行動
被害を受けた側:1. インターネット版官報と会社の定款所定の公告方法を確認し、公告日と異議申述期間の満了日を特定する2. 自分の債権を具体化する。保険契約なら証券番号、取引債権なら契約書と請求書3. 期間内に書面で異議を述べる。到達の証拠を残すため配達証明付きの内容証明郵便が確実4. 会社から「害するおそれがない」と回答されたら、存続会社の財務内容の説明を求め、弁済・相当の担保・信託のいずれを取るか具体的に指定して交渉する
訴えられた側:1. 官報と定款所定の公告方法の両方を実施し、期間を1か月以上確保する。片方の欠落は手続の瑕疵として残る2. 2項4号の内閣府令で定める事項を含む公告文言を、認可手続と効力発生日から逆算して確定する3. 異議が出たら、弁済・相当の担保の提供・信託会社等への信託のどれを選ぶかを債権ごとに整理する4. 害するおそれがないとして処理する場合は、その判断根拠と存続会社の財務資料を必ず記録に残す
時効(請求できる期限):公告に定められた異議申述期間内。2項ただし書により、この期間は1か月を下ることができない。起算点は官報および定款で定めた公告方法による公告の日。徒過すると3項で承認したものとみなされ、以後は合併の効力を争う道が事実上、合併無効の訴え(会社法828条、効力発生日から6か月以内。相互会社への適用は準用規定によるため、最新の条文をご確認ください)に絞られる
学説
通説:保険業法165条の20第3項の承認擬制は、適法な公告と1か月以上の異議申述期間という周知の担保があってはじめて正当化されると理解されている。したがって公告方法の欠落や期間不足といった瑕疵は、手続の適法性を揺るがす事情として評価される。
通説:相互会社の保険契約者は社員としての地位と債権者としての地位を併有する。総代会における議決権行使と本条の異議申述権は別個の救済ルートであり、一方の行使が他方を代替するものではないと解されている。
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