保険業法 第88条(債権者の異議)
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- 組織変更をする相互会社の保険契約者その他の債権者は、当該相互会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
- 2.組織変更をする相互会社は、次に掲げる事項を官報及び当該相互会社の定款で定めた公告方法により公告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
- 一組織変更をする旨
- 二組織変更後株式会社の商号及び住所
- 三組織変更をする相互会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
- 四前三号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
- 3.保険契約者その他の債権者が前項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該組織変更について承認をしたものとみなす。
- 4.保険契約者その他の債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、組織変更をする相互会社は、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該組織変更をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
- 5.前項の規定は、保険契約者その他保険契約に係る権利を有する者の当該権利(保険金請求権等を除く。)については、適用しない。
- 6.第二項第三号の期間内に異議を述べた保険契約者(同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)に係る保険契約者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数が保険契約者の総数の五分の一を超え、かつ、当該異議を述べた保険契約者の保険契約に係る債権(保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が保険契約者の当該金額の総額の五分の一を超えるときは、第八十六条第一項の承認の決議は、その効力を有しない。
- 7.前各項の規定によりされた組織変更は、前項の異議を述べた保険契約者及び保険契約者に係る保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く。)を有する者についても、その効力を生ずる。
- 8.組織変更をする相互会社が、第二項の規定による公告をした日の翌日以後保険契約を締結しようとするときは、保険契約者になろうとする者に対し、組織変更の手続中である旨を通知しなければならない。
- 9.前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
この条文の基本情報
債権者の異議とは何ですか?
定義債権者の異議とは、保険業法第88条に定められた規定で、「組織変更をする相互会社の保険契約者その他の債権者は、当該相互会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第88条(債権者の異議)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第88条の条文原文は「組織変更をする相互会社の保険契約者その他の債権者は、当該相互会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。」で始まります。
- 保険業法第88条は第二款 相互会社から株式会社への組織変更に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第88条の前の条は保険業法第87条です。
- 保険業法第88条の次の条は保険業法第89条です。
- 保険業法第88条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第88条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第88条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/88
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法88条は、相互会社の組織変更に対する債権者異議手続を定める。異議申述期間は1月以上で、無異議なら承認擬制。異議者が人数・金額とも5分の1を超えると承認決議は失効する。
Q · 入っている生命保険会社が株式会社になるとき、契約者は反対できるの?
異議は述べられるが、決議を止めるには5分の1の二重要件が必要
保険業法88条により、組織変更をする相互会社の保険契約者その他の債権者は異議を述べることができます。会社は官報と定款所定の公告方法で公告し、異議申述期間は1月を下れません(2項)。期間内に異議を述べなければ承認したものとみなされます(3項)。異議を述べた保険契約者の数が総数の5分の1を超え、かつその債権額に相当する内閣府令所定の金額が総額の5分の1を超えたときに限り、86条1項の承認決議が失効します(6項)。
解説
保険会社が「相互会社」から「株式会社」へ姿を変えるとき、あなたの保険契約はどうなるのか。相互会社の契約者は、単なる顧客ではなく社員(会社の構成員)でもある。株式会社化すれば、その社員としての地位は消え、あなたは純粋な「客」になる。保険業法88条は、その転換に対してあなたが「異議あり」と言う権利を保障している。しかも威力は個人の苦情レベルではない。異議を述べた契約者の数が総数の5分の1を超え、かつその債権額も総額の5分の1を超えたとき、組織変更の決議そのものが効力を失う(6項)。数百万人の契約者を抱える生保でも、比率さえ満たせば計画は止まる。逆に言えば、公告期間(最低1か月)に黙っていれば承認したものとみなされる(3項)。官報を誰も読まないという現実が、この制度の最大の抜け穴になっている。
法的な位置づけ
保険業法88条は、組織変更をする相互会社における債権者異議手続を定める規定である。保険契約者その他の債権者に異議申述権を認め、公告と1月以上の異議申述期間、無異議の場合の承認擬制、弁済・担保提供・信託の義務とその適用除外、および人数と金額の二重5分の1要件による承認決議の失効を規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公告日と異議申述期限を確定する 官報および会社の定款所定の公告方法(電子公告・日刊新聞紙)を確認し、2項3号の異議申述期間の始期と終期をカレンダーに落とす。期間は1月を下ることができないが、実務上は下限に近いことが多い
- 2.公告の記載事項に漏れがないか点検する 2項各号(組織変更をする旨、組織変更後株式会社の商号および住所、異議を述べることができる旨)と内閣府令で定める事項の記載を照合する。記載不備は手続の瑕疵を指摘する材料になる
- 3.異議を書面で会社宛に提出し記録を残す 異議の意思を明記した書面を、期間内に到達するよう会社宛へ送付する。控えと配達記録を保存する。期間内に述べなければ3項により承認したものとみなされる
- 4.6項の二重5分の1に向けて働きかける 5項により個別の弁済は原則得られないため、狙いは6項の集団的失効に絞る。契約者団体・消費者団体への情報提供、金融庁への意見提出を並行し、賛同者の把握に努める
- 5.割当の算定根拠を確認して次の争点を準備する 組織変更が実行される場合に備え、90条以下の株式・金銭の割当基準を組織変更計画書で確認する。社員権の対価が適正かを争う足場は、この記載の保存にかかる
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法88条の異議申述期間はいつまでですか?
2項3号の公告で定められた期間内です。同項但書により1月を下ることができません。起算は公告の日からで、期間内に述べなければ3項で承認したものとみなされます。
Q2相互会社の組織変更とは何ですか?
相互会社が株式会社へ組織形態を変える手続です。契約者が持つ社員としての地位は消滅し、90条以下の株式または金銭の割当で対価が処理されます。
Q3異議を述べたら保険金を先に払ってもらえますか?
原則できません。4項の弁済・担保・信託は、5項により保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く)には適用されないため、通常の契約者は現金化を請求できません。
Q45分の1の要件はどう数えますか?
人数と金額の二重要件です。異議を述べた契約者数が総数の5分の1超、かつその債権額に相当する内閣府令所定の金額が総額の5分の1超で、両方満たす必要があります。
Q5組織変更の公告はどこに載りますか?
官報および当該相互会社の定款で定めた公告方法の両方です(2項)。電子公告や日刊新聞紙を定款で定めている会社は、そちらも確認が必要です。
Q6異議を述べても組織変更は自分に効力が及びますか?
及びます。7項は、異議を述べた保険契約者および保険契約上の権利者についても組織変更の効力が生ずると定めています。個別の離脱はできません。
Q7組織変更手続中に保険へ加入するとどうなりますか?
8項により、会社は公告日の翌日以後に契約を締結しようとするとき、加入希望者へ組織変更の手続中である旨を通知しなければなりません。
Q8保険会社の組織変更は違法なのですか?
違法ではありません。86条の社員総会決議と88条の債権者異議手続を履践すれば適法です。88条は反対する契約者に集団的な歯止めを与える仕組みです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相互会社が株式会社になると、私の保険契約の中身は変わるんですか?
契約内容そのものは組織変更で当然には変わらない。変わるのは、あなたが持っていた「社員」としての地位で、これは88条7項により異議を述べた契約者にも効力が及ぶ。社員権の対価は90条以下の株式または金銭の割当で処理される。実務のポイント:争点は契約内容ではなく割当の算定根拠にある。組織変更計画書の割当基準の部分こそ、専門家が真っ先に読む箇所である
Q2異議を出したら、うちの保険だけ先に清算してもらえますか?
原則としてできない。4項は弁済・相当の担保・信託を義務づけるが、5項が保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く)を適用除外としているため、通常の契約者は現金化を請求できない。実務のポイント:適用されるのは保険契約以外の一般債権者(社債権者、取引先など)が中心である。だからこそ契約者の実効的な武器は6項の集団否決に一本化される
Q35分の1なんて集まるわけないですよね?
人数と金額の両方で5分の1超という二重要件のため、確かに極めて高い壁である。ただし6項は既に保険金請求権等が生じている契約の契約者を分母から除く設計になっており、母数は単純な総契約者数ではない。実務のポイント:会社側はこの分母の確定作業を早期に始めている。閾値が近いと判断した時点で、公告前に計画自体を修正するのが実務の動き方である
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議を述べれば自分の保険は守られる」と考えるのは、問いの立て方が誤っている。4項の弁済・担保・信託は5項によって保険契約上の権利(保険金請求権等を除く)には適用されない。異議の実質的な効果は個別救済ではなく、7項が示すとおり、異議を述べても組織変更の効力は自分にも及ぶ。狙うべきは6項の集団的な否決という一点だけである
- 「1人の異議など無意味」と諦める人が多いが、無意味さの中身を取り違えている。無意味なのは個別救済であって、頭数としての価値ではない。6項は人数比5分の1という要件を課しており、1人は分子の1である。しかも金額要件と両方必要なため、高額契約者の1人は数百人分の重みを持つ
- 契約者から見れば「保険を続けるかどうかの話」だが、法律から見れば「会社の構成員としての地位を失うかどうかの話」である。相互会社の契約者は社員であり、株式会社化で社員権は消え、代わりに90条以下の株式割当を受ける。この落差を理解しないまま公告を見過ごすと、社員権の対価が適正だったかを争う足場ごと失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 88条:債権者・保険契約者の異議手続と決議失効 | 86条:組織変更の社員総会決議(88条6項が失効させる対象) 90条:組織変更後の株式または金銭の割当 |
| 契約者が関与する場面 | 公告後の異議申述期間(1月以上) | 社員総会における議決権行使 効力発生後の割当の受領と算定根拠の検証 |
| 効果 | 二重5分の1超で承認決議が失効 | 決議が成立すれば組織変更手続が進行 社員権の対価として株式等を取得 |
| 個別救済の可否 | 4項の弁済等は5項で保険契約上の権利に不適用 | 決議取消・無効の訴えは会社法の準用による 割当の算定根拠を争う余地 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では相互保険組織の規律は保険法に置かれ、組織変更・減資に伴う債権者異議手続は公司法の一般規定による。日本のような人数・金額の二重5分の1で決議が失効する構成はとられていない
韓国保険業法も相互会社の株式会社への組織変更を定め、債権者保護手続を置く。日本法の構成に近いが、失効要件の具体的な数値要件は別途確認を要する
相互保険会社(VVaG)の組織変更は VAG と組織再編法(UmwG)が規律し、監督官庁 BaFin の認可が中心的な統制手段となる。債権者による集団的拒否権という構成ではない
米国では州保険監督官(Insurance Commissioner)の認可と契約者投票が中心で、契約者の多数決による承認手続をとる州が多い。日本の「異議者が5分の1を超えると失効」という否決型とは構造が逆である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入している生命保険会社が株式会社化を発表した。ニュースでは「経営基盤の強化」としか報じられない。だが官報には異議申述の公告が出ており、期限は最低1か月。その1か月を逃せば、あなたは自動的に「賛成した契約者」として記録される
- 組織変更を進める側に立ったとき、この条文は最大の地雷になる。5分の1という二重の閾値(人数と金額の両方)を超えられた瞬間、86条の社員総会決議は無効。数年かけた上場計画が、公告から1か月で白紙に戻る
- 異議を述べたら保険金を先に払ってもらえるのか。4項は弁済・担保提供・信託を義務づけるが、5項が保険契約上の権利(保険金請求権等を除く)を適用除外にしている。つまり通常の契約者は現金を受け取れない。ここを誤解している人は非常に多い
- あと3週間で公告期間が終わる。契約者団体を組織して5分の1を集めようとしても、契約者名簿は開示されず、誰が同じ会社の契約者かも分からない。時間と情報の非対称が、この権利を紙の上のものにしている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 公告日と異議申述期限(最低1か月)を確定し、カレンダーに落とす2. 官報と会社の定款所定の公告方法(電子公告・日刊新聞)の両方を確認、内閣府令で定める事項の記載漏れがないか点検3. 異議は書面で会社宛に出し、控えと送付記録を残す。期間内に述べなければ3項で承認とみなされる4. 個別の弁済は5項で原則得られないため、狙いは6項の二重5分の1。契約者団体・消費者団体・金融庁への情報提供を並行する
訴えられた側:1. 公告の記載事項(2項各号と内閣府令事項)を漏れなく整備、期間は1か月以上を確保2. 異議者が出た場合、5項の適用除外範囲を精査し、弁済・担保・信託が必要な債権を切り分ける3. 6項の人数比・金額比を継続集計し、閾値接近時は説明会等で計画の再設計を検討4. 公告翌日以後の新規募集には8項の通知を徹底、募集資料に手続中である旨を明記して記録を残す
時効(請求できる期限):異議申述期間は2項3号の公告で定められ、1月を下ることができない(88条2項但書)。起算は公告の日から。期間内に異議を述べなければ承認したものとみなされる(3項)。組織変更無効の訴えは、会社法の組織変更無効の訴えの準用により効力発生日から6か月以内(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:88条は会社法449条型の債権者異議手続を基礎としつつ、保険契約者が同時に社員であるという相互会社の特質に対応した特則と解される。個別の弁済請求権を5項で制限する代わりに、6項の集団的拒否権に実効性を集約した二段階の均衡設計である
実務上の理解:5項により保険契約に係る権利が4項の適用除外とされる結果、弁済・担保・信託の対象は主として社債権者や取引先等の一般債権者となり、保険契約者の実効的な手段は6項の要件充足に限られると整理されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)に伴い、相互会社の株式会社への組織変更制度が整備され、その債権者異議手続として本条が置かれた
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