受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年9月5日読了 8 分8 分8 分

保険業法 第89条(基金の償却等)

クイックジャンプ
  1. 組織変更をする相互会社は、償却を終わっていない基金があるときは、効力発生日までに、組織変更計画の定めるところに従い、基金の全額を償却しなければならない。ただし、第九十二条の規定による株式の発行に際して、基金に係る債権が現物出資の目的として給付された場合におけるその給付された額については、この限りでない。
  2. 2.第五十五条第二項及び第五十六条の規定は、相互会社から株式会社への組織変更をする場合には、適用しない。

この条文の基本情報

基金の償却等とは何ですか?

定義基金の償却等とは、保険業法第89条に定められた規定で、「組織変更をする相互会社は、償却を終わっていない基金があるときは、効力発生日までに、組織変更計画の定めるところに従い、基金の全額を償却しなければならない。ただし、…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 保険業法第89条(基金の償却等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
  2. 保険業法第89条の条文原文は「組織変更をする相互会社は、償却を終わっていない基金があるときは、効力発生日までに、組織変更計画の定めるところに従い、基金の全額を償却しなければならない。ただし、…」で始まります。
  3. 保険業法第89条は第二款 相互会社から株式会社への組織変更に置かれています。
  4. 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
  5. 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
  6. 保険業法第89条の前の条は保険業法第88条です。
  7. 保険業法第89条の次の条は保険業法第90条です。
  8. 保険業法第89条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式保険業法(平成七年法律第百五号)第89条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105
  • 本サイト収録保険業法(平成七年法律第百五号)第89条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/89

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点保険業法89条は、組織変更をする相互会社に効力発生日までの基金全額の償却を義務づける。ただし92条の株式発行で基金債権が現物出資として給付された額は除かれる。

Q · 生命保険の相互会社が株式会社になるとき、基金はどうなるの?

効力発生日までに全額償却。現物出資なら現金不要

保険業法89条1項により、組織変更をする相互会社は、効力発生日までに基金の全額を償却しなければなりません。基金は資本金と違い返済義務のある拠出だからです。ただし但書により、第92条の株式発行に際して基金に係る債権が現物出資として給付された場合、その給付された額は現金での償却が不要になります。債権が株式に振り替わる形です。第2項は、基金償却積立金の積立義務(56条)と償却の制限(55条2項)を、株式会社への組織変更の場面では適用しないと定めています。

解説

相互会社には資本金がない。その代わりに置かれているのが基金で、名前は柔らかいが実質は返済義務のある拠出、つまり借入れに近い。生命保険会社が株式会社へ姿を変えるとき、この基金をどう始末するかを決めているのが本条である。原則は一つ、効力発生日までに全額を償却すること。半端に残したまま株式会社になることは許されない。ただし但書に一本だけ抜け道がある。第92条による株式発行の場面で、基金拠出者が「返せ」という債権そのものを現物出資として差し出せば、その部分は現金で返さなくてよい。債権が株式に化けるわけだ。あなたがその会社の契約者なら、これは会社の土台から基金という仮設の層が消え、資本金と剰余金だけの構造に組み替わることを意味する。第2項はその後始末で、相互会社時代の縛りである基金償却積立金の積立て(56条)と、償却に付された制限(55条2項)を、この場面に限って外している。

法的な位置づけ

保険業法89条は、相互会社から株式会社への組織変更における基金の処理を定める規定である。第1項は効力発生日までの基金全額の償却を義務づけ、但書で第92条の株式発行に際し基金に係る債権が現物出資として給付された額を除外する。第2項は第55条第2項および第56条の適用を除外する。

よくある質問 AI による整理

Q1相互会社の基金とは何ですか?

相互会社には資本金がなく、その代わりに外部から拠出を受ける資金が基金です。返済義務を負う点で資本金と異なり、償却されて消えることが予定されています。保険業法89条は株式会社化までの全額償却を求めます。

Q2基金の償却はいつまでにやるの?

保険業法89条1項は「効力発生日までに」と定めます。起算点ではなく終期なので、実務は組織変更計画で定めた効力発生日から逆算して日程を組みます。

Q3基金を現物出資にするとはどういう意味ですか?

基金拠出者が持つ「返してもらう権利」(基金に係る債権)そのものを、92条の株式発行の払込みに充てることです。現金が社外に出ず、債権が株式に振り替わります。89条1項但書が根拠です。

Q4基金償却積立金は株式会社化でどうなりますか?

保険業法89条2項により、56条の積立義務は株式会社への組織変更の場面では適用されません。55条2項の償却制限も同様に外れます。

Q5基金の償却が間に合わないとどうなる?

89条1項は全額償却を義務づけているため、未了のまま効力を発生させれば手続に瑕疵が残ります。実務では効力発生日を後ろ倒しするか、但書の現物出資へ組み替えるかの二択になります。

Q6契約者は基金の償却で何か受け取れますか?

受け取れません。89条が扱うのは基金拠出者への清算であり、社員(契約者)への株式または金銭の割当とは別の軌道です。割当条件は組織変更計画で定まります。

Q7基金と資本金の違いは何ですか?

資本金は返さない元手、基金は返済義務のある拠出です。この性質の差があるため、株式会社化の際に基金だけが清算を要求されます(89条1項)。

Q8現物出資の価額は誰がチェックするの?

会社法207条の検査役調査の枠組みが参照されます。価額の相当性を裏づける資料を事前に固めるのが実務の定石です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1相互会社の基金って、結局は資本金みたいなものですよね?

違う。資本金は返さない元手だが、基金は返済義務のある拠出で、償却されて消える前提の資金である。保険業法56条は償却時に同額を基金償却積立金として積むよう求め、89条1項は株式会社化までに全額の償却を要求する。実務のポイント:貸借対照表で基金と基金償却積立金の残高を見比べると、その会社が過去に何度基金を積んで返してきたかが読める。返済実績の厚い会社ほど、株式会社化の現金負担は軽い

Q2基金を全部返したら、会社の体力が落ちて契約者が損しませんか?

現金で返せば確かに体力は落ちる。だからこそ89条1項但書が、92条の株式発行に際して基金債権を現物出資として給付する道を用意した。債権が株式へ振り替わるだけなので、保険金支払の原資は社外に出ない。実務のポイント:この但書を使えるかどうかで、組織変更に必要な手元資金は桁違いに変わる。実務家が基金拠出者の顔ぶれを最初に確認するのは、そこが日程と資金計画を決めるからだ

Q3うちの生命保険会社が株式会社になったら、私は株主になれるんですか?

89条が扱うのは基金拠出者であって契約者ではない。契約者(社員)が株式を受け取るか金銭を受け取るかは組織変更計画の定めによる。過去の大手生保の株式会社化でも、割当の基準に届かない契約者には金銭が交付された例がある。実務のポイント:通知が届いたら、まず自分が割当対象かどうかの基準日と保有条件を確認する。受取手続の期限を過ぎて塩漬けになる例が毎回出る

Q4効力発生日までに基金を償却しきれなかったら、組織変更は無効になるんですか?

89条1項は効力発生日までの全額償却を義務づけているため、未了のまま効力を発生させれば手続に瑕疵が残り、組織変更の無効を争う訴えの枠組み(会社法828条の系統)で問題化しうる。実務では償却の目処が立つまで効力発生日を確定させない。実務のポイント:効力発生日は変更できる設計にしておくのが定石。基金拠出者との交渉が一社でも決裂すると、全体日程がそこから動く

間違えやすい点 AI による整理

  • 基金は資本金のようなもの、という理解は広く共有されている。だがその理解のままでは本条が読めない。資本金は返さない元手であるのに対し、基金は返済義務のある拠出であり、償却されて消えることが最初から予定されている。株式会社化で基金だけが清算を要求されるのは、この性質の違いによる
  • 「基金を償却すると会社の純資産が減るのではないか」という前提で議論が始まることがあるが、相互会社では償却額と同額を基金償却積立金として積む(56条)ため、純資産の総額は減らない。だから問うべきは「純資産が減るか」ではなく「株式会社へ移行する場面でその積立てをなお要求する意味があるか」であり、89条2項はそれを不要と裁断している
  • 契約者から見れば「会社のお金が誰かに返される」出来事に見える。だが法律から見れば、基金拠出者は社員ではなく債権に近い地位に立つ者であり、その清算は契約者への分配とは別の軌道にある。この落差を知らないまま通知を読むと、自分が受け取れるはずの株式や金銭の話と、基金の話を混同する
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象89条:組織変更時の基金の全額償却56条:基金償却時の基金償却積立金の積立義務
92条:組織変更に際しての株式の発行
適用場面相互会社から株式会社への組織変更相互会社が平時に基金を償却する場面
組織変更に際して株式を発行する場面
本条との関係本体規定89条2項で適用除外
89条1項但書の現物出資の受け皿
現金流出の有無原則は現金流出、但書なら流出なし純資産は減らないが現金は流出
債権の現物出資なら流出なし

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
保險法第136條以下

台湾は相互保険組織の規律自体が薄く、日本のような基金の全額償却を明文で求める組織変更規定は確認できない

韓国
보험업법 제20조 이하

韓国保険業法も相互会社の基金制度を持ち、基金の償却に関する規律を置く。日本法の影響が指摘される領域だが、条文単位の対応関係は要検証

ドイツ
VAG §§ 171 ff.

ドイツの相互保険会社(VVaG)には Gründungsstock(設立基金)の制度があり、償却に関する規律を持つ。日本の基金制度の参照元とされる

アメリカ
各州の demutualization 関連法

米国は州ごとの相互保険会社の株式会社化(demutualization)法制で処理され、連邦統一法はない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 組織変更の効力発生日まであと45日。基金のうち一部について、拠出者が現金での償却か株式への転換かで態度を保留している。現金なら手元資金がそのまま飛び、現物出資なら発行株式数と契約者への割当設計まで動く。経営企画にいるあなたは、今週中にどちらかへ倒さないと日程全体が崩れる
  • もし基金の償却原資が足りないまま効力発生日を迎えたらどうなる? 89条1項は「全額」と書き、例外は但書の現物出資だけ。残された道は、効力発生日を後ろへずらすか、但書へ組み替えるかの二択になる
  • 加入中の生命保険会社が株式会社になるという通知が届く。あなたの社員としての地位は、株式か金銭に置き換わる。その裏側では、基金という層がすでに消されている。
  • あなたが機関投資家として基金を拠出している側だとする。株式会社化の打診が来た。現金で返してもらえば確実に回収できるが、株式へ転換すれば上場後の値上がりを取りに行ける。但書の現物出資は拠出者の同意なしには成立しないので、この選択権は実務上あなたの手にある
  • 相互会社との提携や買収を検討する側で資料を読む立場。貸借対照表の基金と基金償却積立金の残高は、株式会社化に必要な現金と時間をそのまま示す指標になる。ここを読み落とすと、スケジュールの前提から崩れる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 組織変更計画の開示書類で、基金の残高と償却方法(現金か現物出資か)を確認する2. 拠出者なら、現金償却と株式転換の経済価値を並べて評価し、92条の株式発行条件と価額の算定根拠を出させる3. 契約者なら、自分が割当の対象かを基準日と条件で確認し、受取手続の期限を先に押さえる4. 償却が計画どおり進まない兆候があれば、効力発生日の前に書面で照会し、記録を残す

訴えられた側:1. 効力発生日から逆算し、基金拠出者ごとに現金償却か但書の現物出資かを早期に確定させる2. 現物出資で行くなら92条の株式発行と一体で設計し、価額の相当性を裏づける資料を先に固める3. 55条2項と56条は本条2項で適用除外になるが、他の準備金規制まで外れるわけではないので個別に洗う4. 一社でも交渉が長引く前提で、効力発生日を変更する手順を計画にあらかじめ組み込む

時効(請求できる期限):期限は組織変更計画で定めた効力発生日そのもの(89条1項)。起算点ではなく終期であり、実務は効力発生日からの逆算で日程を組む。基金の返還請求権自体には特定の時効規定がなく、一般の消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年、または権利行使できる時から10年)が適用される

改正沿革 AI による整理

  • 平成7年(1995年)保険業法全部改正 現行保険業法の制定により、相互会社から株式会社への組織変更手続が現在の体系として整備され、基金の処理に関する規律が置かれた
  • 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備(要検証) 組織変更計画・効力発生日という会社法型の用語と構造への整合が図られたとみられる。改正年次と改正内容の細部は原資料での確認が必要

改正の年表

  1. 1.平成7年(1995年) 新設:現行保険業法の全部改正により、相互会社から株式会社への組織変更手続が体系として整備され、基金の処理に関する規律が置かれた(詳細な条文沿革は原資料での確認が必要)

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

保険業法の全文を見る所属する編章節を開く:第二款 相互会社から株式会社への組織変更

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›