保険業法 第69条(組織変更計画の承認)
クイックジャンプ
- 株式会社は、組織変更をするには、組織変更計画を作成して、株主総会の決議により、その承認を受けなければならない。
- 2.前項の場合には、会社法第三百九条第二項(株主総会の決議)に定める決議によらなければならない。
- 3.株式会社は、第一項の決議を行う場合には、会社法第二百九十九条第一項(株主総会の招集の通知)の通知において、組織変更計画の要領を示さなければならない。
- 4.株式会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を記載しなければならない。
- 一組織変更後の相互会社(以下この款において「組織変更後相互会社」という。)の基金の総額
- 二前条第四項の準備金及び同条第六項の損失てん補準備金の額
- 三株主及び新株予約権者に対する補償に関する事項
- 四組織変更後における保険契約者の権利に関する事項
- 五組織変更がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)その他内閣府令で定める事項
- 5.株式会社が第一項の決議をしたときは、当該決議の日から二週間以内に、登録株式質権者及び登録新株予約権質権者に対し、組織変更をする旨を各別に通知しなければならない。
- 6.前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
- 7.会社法第二百十九条第一項(第五号に係る部分に限る。)、第二項(第三号に係る部分に限る。)及び第三項(株券の提出に関する公告等)、第二百二十条(株券の提出をすることができない場合)並びに第二百九十三条第一項(第二号に係る部分に限る。)(新株予約権証券の提出に関する公告等)の規定は、組織変更をする株式会社について準用する。この場合において、同法第二百十九条第二項第三号中「第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社」とあるのは「保険業法第六十九条第四項第一号に規定する組織変更後相互会社」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
組織変更計画の承認とは何ですか?
定義組織変更計画の承認とは、保険業法第69条に定められた規定で、「株式会社は、組織変更をするには、組織変更計画を作成して、株主総会の決議により、その承認を受けなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第69条(組織変更計画の承認)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第69条の条文原文は「株式会社は、組織変更をするには、組織変更計画を作成して、株主総会の決議により、その承認を受けなければならない。」で始まります。
- 保険業法第69条は第一款 株式会社から相互会社への組織変更に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第69条の前の条は保険業法第68条です。
- 保険業法第69条の次の条は保険業法第69条の2です。
- 保険業法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法69条は、保険会社が株式会社から相互会社へ組織変更するには組織変更計画を作成し、株主総会の特別決議による承認を得なければならないと定める。
Q · 保険会社が株式会社から相互会社に変わるとき、株主は何を決められるんですか?
株主総会の特別決議が必要で、3分の1超の反対で止まる
保険業法69条1項により、組織変更には組織変更計画の作成と株主総会の承認決議が必要です。2項でこの決議は会社法309条2項の特別決議に加重されており、議決権の3分の1超を押さえた側は組織変更を単独で阻止できます。さらに3項により招集通知には計画の要領が示され、4項は基金の総額、準備金の額、株主及び新株予約権者に対する補償、保険契約者の権利、効力発生日等を法定記載事項としています。5項では決議日から2週間以内に登録株式質権者等への通知が必要です。
解説
保険会社が「株式会社」から「相互会社」へ姿を変える、その一手を縛るのが本条である。あなたが株主なら、この決議は普通決議では通らない。会社法309条2項の特別決議、つまり議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成が要る。逆に言えば、3分の1超の議決権を押さえた側は、組織変更を単独で止められる。さらに本条4項は、組織変更計画に何を書かなければならないかを列挙している。基金の総額、準備金と損失てん補準備金の額、株主・新株予約権者への補償、そして組織変更後の保険契約者の権利。ここで注目すべきは「株主への補償」が法定記載事項だという点だ。株式会社が相互会社になれば、あなたの持っていた株式は消える。その対価をどう設計するかが、計画書という一枚の紙の上で決まる。招集通知には計画の要領が示されるので(3項)、株主総会の前にその紙を読む機会が必ず与えられている。読まずに委任状を返送する行為が、何を手放すことになるのかを知っておくべきだ。
法的な位置づけ
保険業法69条は、株式会社である保険会社が相互会社へ組織変更する際の手続を定める規定である。組織変更計画の作成と株主総会の承認決議を要件とし、その決議は会社法309条2項の特別決議による。計画の記載事項は、基金の総額、準備金及び損失てん補準備金の額、株主及び新株予約権者に対する補償、組織変更後における保険契約者の権利、効力発生日等として法定されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.招集通知の「組織変更計画の要領」を最初に読む 保険業法69条3項により、招集通知には組織変更計画の要領が示される。議案名だけを見て委任状に押印せず、要領に4項各号(基金の総額、準備金及び損失てん補準備金の額、株主及び新株予約権者への補償、保険契約者の権利、効力発生日)が揃っているかを一項目ずつ照合する
- 2.備置書面を閲覧し、補償の算定根拠を確認する 保険業法70条の備置き・閲覧制度を使い、本店に置かれた組織変更に関する書面を確認する。特に4項3号の「株主及び新株予約権者に対する補償に関する事項」について、金額の算定方法と評価基準日が書かれているかを見る
- 3.総会前に書面で質問状を出す 補償額の算定根拠が不明なら、総会前に会社へ書面で質問を出し、会社法314条の説明義務を発動させる。総会当日に口頭で聞くより、事前の書面質問のほうが回答が議事録に残りやすい
- 4.3分の1超の反対票を確保できるか検討する 会社法125条の株主名簿閲覧請求で株主構成を把握し、特別決議を阻止できる議決権数に届くかを計算する。定款で定足数が引き下げられている場合、必要な賛成票の絶対数が下がるため定款も同時に確認する
- 5.総会で自ら議決権を行使し、反対を記録に残す 委任状の白紙返送をやめ、議決権を自ら行使する。反対する場合は議事録に残る形で表明し、あわせて保険業法71条の株式買取請求の要件(事前の反対通知と総会での反対)を満たす手順を踏む
- 6.決議後の通知・公告と証券提出期限を管理する 決議日から2週間以内の登録株式質権者等への通知(69条5項、公告代替は6項)、および69条7項が準用する会社法219条等の株券・新株予約権証券の提出公告を、効力発生日から逆算して期限管理する
よくある質問 AI による整理
Q1組織変更とは何ですか?
会社が法人格を維持したまま組織形態そのものを変える手続です。保険業法69条の場面では株式会社が相互会社になり、株式は消滅して基金や補償の設計に置き換わります。
Q2組織変更計画には何を書く必要がありますか?
保険業法69条4項が、組織変更後相互会社の基金の総額、準備金及び損失てん補準備金の額、株主及び新株予約権者への補償、保険契約者の権利、効力発生日その他内閣府令事項を法定しています。
Q3組織変更に反対する株主は何ができますか?
まず総会で反対の議決権を行使し、3分の1超を集めれば特別決議を阻止できます。加えて保険業法71条が反対株主の株式買取請求権を定めています。
Q4登録株式質権者への通知はいつまでですか?
保険業法69条5項により、株主総会決議の日から2週間以内です。登録株式質権者と登録新株予約権質権者の双方に、組織変更をする旨を各別に通知する必要があります。
Q5通知の代わりに公告でもいいのですか?
認められます。保険業法69条6項が、5項の個別通知を公告で代替できると定めています。公告方法は定款の定めに従うため、官報や電子公告を確認する必要があります。
Q6手元にある株券はどうすればいいですか?
保険業法69条7項が会社法219条等を準用し、株券・新株予約権証券の提出公告を要求します。公告に示された期間内に提出しないと手続上の扱いが変わります。
Q7組織変更計画の書面はどこで見られますか?
保険業法70条が組織変更に関する書面の備置きと株主の閲覧を定めています。招集通知の要領だけで判断せず、本店備置きの書面を確認するのが実務です。
Q8効力発生日はいつ決まりますか?
保険業法69条4項5号により、組織変更計画の中で効力発生日として定められます。株券提出公告などの期間計算は、この日から逆算して設計します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相互会社になったら、持ってる株はどうなるんですか?
相互会社に株式は存在しないため、株式は消滅する。その代わりに何を受け取るかは、本条4項3号の「株主及び新株予約権者に対する補償に関する事項」として組織変更計画に記載される。実務のポイント:この補償設計は法律が金額を定めていないため、実質的に会社側の設計次第になる。計画書の要領が届いた時点が、内容を検証できる最初で最後のタイミングである
Q2特別決議って、具体的にどれくらい賛成が要るんですか?
会社法309条2項の決議であり、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要である(定款でこれを上回る要件を定めることも可能)。実務のポイント:注目すべきは定足数の方である。定款で定足数を3分の1まで引き下げている会社は多く、その場合は実際に必要な賛成票の絶対数が大きく下がる。定款を確認せずに「3分の2」だけを見ていると、阻止に必要な票数を読み違える
Q3保険契約者は総会に出られないのに、権利は守られるんですか?
本条4項4号が「組織変更後における保険契約者の権利に関する事項」を計画の法定記載事項としており、計画書の中で明示される仕組みになっている。加えて保険業法は組織変更手続全体に契約者保護の枠組みを置いている。実務のポイント:契約者は総会での議決権を持たない一方、組織変更後は相互会社の社員となる立場に移る。決議の場での発言力と、変更後の構成員としての地位は別物であり、この二つを混同すると保護の所在を見誤る
間違えやすい点 AI による整理
- 「組織変更は経営陣が決めて役所が認可すれば済む話」と思われがちだが、本条1項の構造はその逆である。株主総会の承認が先行し、しかも2項で特別決議に格上げされている。経営陣がいくら望んでも、議決権の3分の1超が反対すれば組織変更は成立しない。株主が持っているのは意見表明権ではなく拒否権である
- 「組織変更計画は経営判断の書類だから中身は自由」という理解は前提が誤っている。4項は記載事項を5号にわたって法定しており、うち5号は内閣府令にさらに委任している。書くべきことを書いていない計画は、そもそも法定の計画として成立しない。自由な文書ではなく、埋めるべき欄が決まった書式である
- 株主の側から見れば「株式が消えるのだから補償はもらえて当然」と映るが、法律の側から見れば4項3号が要求しているのは「補償に関する事項を記載せよ」であって「相応の補償を与えよ」ではない。記載義務と内容の相当性は別の問題であり、その落差を埋めるのは総会での議決権行使と、決議取消の訴えを含む会社法上の争い方になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が動かす条文か | 保険業法69条:株主が総会で承認するかを決める | 保険業法71条:反対株主が自分の株式の買取を請求する 保険業法73条:保険契約者が組織変更に異議を述べる |
| 求められる多数・要件 | 会社法309条2項の特別決議(3分の1超の反対で阻止可能) | 反対株主の単独行使(多数決に負けても使える) 契約者の異議手続(議決権ではなく異議申述による関与) |
| 時間軸 | 招集通知(3項)→ 総会決議 → 2週間以内の質権者通知(5項) | 総会前の反対通知から決議後の買取請求期間まで 決議後の公告・異議申述期間 |
| 使わなかったときの結果 | 計画どおり効力発生日に相互会社へ移行する | 補償設計の内容をそのまま受け入れることになる 変更後の契約者の地位を計画書の記載どおりに引き受ける |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業の組織を株式有限公司または合作社に限定し、日本型の相互会社という器を置かない。したがって「相互会社への組織変更」という問題自体が生じず、組織形態の変更は会社法上の定款変更・組織変更の枠で処理される
韓国も保険会社の形態として주식회사と상호회사の双方を認め、株式会社から相互会社への조직변경手続を保険業法内に置く。日本法の構造に近く、決議要件の加重と債権者・契約者保護手続の組合せという設計思想を共有する(条番号は現行法で要確認)
ドイツは Versicherungsverein auf Gegenseitigkeit(VVaG)という相互組合型を古くから持ち、組織変更法(UmwG)が保険相互会社に関する特則を置く。ただし実務上議論が集中するのは VVaG から株式会社への方向であり、日本の本条とは変更の向きが逆になる点が対照上の要点
米国は州法主義で、実務上の中心は mutual から stock への demutualization であり、契約者への対価配分の公正性を監督官庁と裁判所が審査する。株主総会の特別決議で決する日本法と異なり、監督審査と公聴手続の比重が大きい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが保険会社の株式を持っていて、ある日届いた株主総会の招集通知に「組織変更計画の要領」という見慣れない欄がある。ここを読み飛ばすと、次の総会であなたの株式は基金や補償金に置き換わる方向で議決が進む。議案が特別決議事項である以上、反対票を集めれば3分の1超で止まる
- もし、あなたが登録株式質権者だったら? つまり、他人の保険会社株式に質権を設定して登記している金融機関の担当者である場合、決議の日から2週間以内に個別通知が届く(5項)。ただし6項により、その通知は公告で代替できる。官報や電子公告を監視していなければ、担保目的物の性質が変わったことに気付かないまま時間が過ぎる
- 新株予約権を報酬として受け取っていた保険会社の役員。組織変更後の相互会社には株式も新株予約権も存在しない。4項3号の「補償に関する事項」が、あなたのストックオプションの行方を決める唯一の条項になる
- 保険契約者として、契約先の保険会社が相互会社に変わると知らせを受けた。あなたは株主ではないので総会での議決権はない。だが4項4号により、組織変更後のあなたの権利は計画書に明記される義務がある。何が書かれているかを確認する立場にある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 招集通知に示された組織変更計画の要領を保存し、4項各号(基金総額、準備金額、補償、契約者の権利、効力発生日)が全て記載されているか照合する2. 記載漏れや補償算定根拠の不明があれば、総会前に書面で質問状を提出し説明義務を発動させる3. 総会では議決権を自ら行使し、反対の場合は議事録に残る形で表明する4. 他の株主と連携して3分の1超を確保できるかを、株主名簿閲覧請求(会社法125条)で検討する
訴えられた側:1. 組織変更を進める側であれば、4項5号の内閣府令事項を含め記載事項を漏れなく埋める。一項目の欠落が決議の瑕疵になる2. 3項の招集通知への要領記載を忘れない。通知に要領がなければ決議取消事由となりうる3. 5項の登録株式質権者・登録新株予約権質権者への通知は決議日から2週間以内。6項の公告代替を選ぶ場合は公告方法を定款で確認する4. 7項準用の株券・新株予約権証券提出公告の期間計算を、効力発生日から逆算して組む
時効(請求できる期限):登録株式質権者等への通知は決議の日から2週間以内(5項)。株主総会決議取消の訴えは決議の日から3か月以内(会社法831条1項)。株券提出公告は会社法219条準用により効力発生日の1か月前までに行う必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:保険業法69条2項の決議要件加重は、株式の消滅という株主の地位の根本的変動に対する事前統制であり、4項の記載事項法定と3項の事前情報提供とあわせて一体の株主保護構造を成すと理解される。
通説:4項3号は補償に関する事項の記載を義務付けるにとどまり、補償内容の相当性を直接規律しない。相当性の統制は議決権行使、保険業法71条の株式買取請求、会社法上の決議取消の訴え等を通じて事後的に行われる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法全部改正(平成7年法律第105号)により、株式会社から相互会社への組織変更手続が整備され、計画の作成・特別決議による承認・記載事項の法定という現在の枠組みが置かれた(各号の細目は現行条文で要確認)
- 2.平成17年(2005年)以降 改正:会社法の制定・施行に伴い、引用条文が商法から会社法へ置き換えられ、新株予約権者および登録新株予約権質権者に関する取扱いが整理された(改正時期の詳細は現行の改正履歴で要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める