保険業法 第68条(組織変更)
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- 保険会社である株式会社は、その組織を変更して保険会社である相互会社となることができる。
- 2.少額短期保険業者である株式会社は、その組織を変更して少額短期保険業者である相互会社となることができる。
- 3.前二項の組織変更(以下この款において「組織変更」という。)をする場合においては、組織変更後の相互会社の基金の総額を、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額以上の額とするため、基金を募集しなければならない。
- 一第一項の組織変更第六条第一項の政令で定める額
- 二前項の組織変更第二百七十二条の四第一項第二号の政令で定める額
- 4.前項に規定する基金の総額の全部又は一部は、組織変更時において準備金を積み立てることにより、これに代えることができる。この場合においては、当該積み立てる額については、同項の基金の募集は、することを要しない。
- 5.前項の準備金は、基金償却積立金とみなして、この法律(第五十六条を除く。)の規定を適用する。
- 6.組織変更をする場合においては、第四項の準備金のほか、損失てん補準備金を積み立てることができる。
この条文の基本情報
組織変更とは何ですか?
定義組織変更とは、保険業法第68条に定められた規定で、「保険会社である株式会社は、その組織を変更して保険会社である相互会社となることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第68条(組織変更)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第68条の条文原文は「保険会社である株式会社は、その組織を変更して保険会社である相互会社となることができる。」で始まります。
- 保険業法第68条は第一款 株式会社から相互会社への組織変更に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第68条の前の条は保険業法第67条の2です。
- 保険業法第68条の次の条は保険業法第69条です。
- 保険業法第68条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第68条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第68条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/68
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法68条は、保険会社である株式会社が組織を変更して相互会社になれると定める。変更後の基金総額は政令で定める額以上とする必要があり、準備金の積立てで代替できる。
Q · 保険会社が株式会社から相互会社に変わると、契約者はどうなるの?
契約者は相互会社の「社員」になり、議決権を持つ
保険業法68条1項により、保険会社である株式会社は組織変更して相互会社になれます。相互会社では保険契約者がそのまま社員となり、社員総代会を通じて経営に関与できます。組織変更時には3項により基金の総額を政令で定める額(保険会社は6条1項の政令額、少額短期保険業者は272条の4第1項2号の政令額)以上とするため基金を募集する必要があり、4項によりその全部または一部は準備金の積立てで代替できます。契約者には70条の異議申立手続が用意されています。
解説
株式会社と相互会社、この二つの言葉の違いを意識したことがあるだろうか。あなたが加入している生命保険会社が株式会社なら、あなたは「契約者」でしかない。だが相互会社なら、あなたは「社員」であり、社員総代会という議決の場に立つ権利を持つ。保険業法68条は、その株式会社が相互会社へ組織を変更する道を開く条文である。ここで注目すべきは3項だ。組織変更するとき、変更後の相互会社は「基金」を政令で定める額(生命保険・損害保険会社は10億円)以上まで積み上げなければならない。株主資本という後ろ盾を捨てる代わりに、基金という別の資本クッションを用意させる仕組みだ。さらに4項では、その基金の全部または一部を「準備金の積立て」で代替できる。つまり実際に外部から基金を集めなくても、内部留保で置き換えられる。あなたの保険会社が組織変更を発表したとき、この4項を使ったかどうかで、その会社の財務体力が透けて見える。
法的な位置づけ
保険業法68条は組織変更の根拠規定であり、保険会社である株式会社および少額短期保険業者である株式会社が、その組織を変更して相互会社となることを認める。組織変更時には変更後の相互会社の基金総額を政令で定める額以上とするための基金募集を義務づけ、準備金の積立てによる代替を許容する。
よくある質問 AI による整理
Q1保険会社の組織変更とは何ですか?
会社の法人形態を株式会社から相互会社へ(またはその逆へ)変える手続です。保険業法68条が株式会社から相互会社への変更、85条が逆方向を定めます。
Q2相互会社の基金とは何ですか?
相互会社が事業の元手として外部から集める資金で、株式のような永久資本ではなく償却が予定されています。償却時には基金償却積立金の積立てが必要です。
Q3組織変更に必要な基金の額はいくらですか?
保険会社は6条1項の政令で定める額、少額短期保険業者は272条の4第1項2号の政令で定める額以上です。具体的な金額は政令を確認してください。
Q4基金は準備金で代替できますか?
できます。68条4項により組織変更時に準備金を積み立てることで基金総額の全部または一部に代えられ、その額については基金の募集が不要になります。
Q5準備金で代替した場合の会計上の扱いは?
68条5項により、その準備金は基金償却積立金とみなして保険業法の規定が適用されます。ただし56条の適用は除外されます。
Q6損失てん補準備金も積み立てられますか?
68条6項により、4項の準備金のほかに損失てん補準備金を積み立てることができます。組織変更時の任意的な財務クッションとして位置づけられます。
Q7少額短期保険業者も相互会社になれますか?
なれます。68条2項が少額短期保険業者である株式会社の組織変更を認めており、基金は272条の4第1項2号の政令額以上が必要です。
Q8組織変更に契約者は反対できますか?
保険業法70条以下の異議申立手続により、保険契約者は所定の期間内に異議を述べることができます。期間を過ぎると手続上の権利は行使できません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株式会社の保険会社と相互会社の保険会社、契約者から見て何が違うんですか?
相互会社では保険契約者がそのまま「社員」となり、社員総代会を通じて経営に間接的に関与できます。株式会社では契約者はあくまで契約の相手方で、議決権はありません。剰余金の分配も、相互会社は社員配当、株式会社は株主配当と契約者配当が分かれます。実務のポイント:相互会社の社員総代会の総代は会社側が候補を選定する運用が一般的で、株主総会ほどの牽制力はないと実務家は見ています。「相互会社だから契約者のもの」という説明は、制度の建前としては正しいが、実際の力関係とは距離がある。
Q2組織変更で基金を積むって、結局は保険料が上がるということですか?
直接的に保険料へ転嫁される仕組みではありません。基金は3項で定める政令額(保険会社は10億円)以上を確保するもので、外部の基金拠出者から募集するか、4項により準備金の積立てで代替します。既存契約の保険料は組織変更のみを理由に変更されません。実務のポイント:注目すべきは4項の代替を使うかどうか。準備金で代替できる会社は内部留保が厚く、外部募集に頼る会社は資本調達力が問われている。開示資料でこの一点を見るだけで、財務体力の見当がつく。
間違えやすい点 AI による整理
- 「相互会社になれば契約者が経営に参加できるから、契約者に有利」と単純に考えられがちだが、実際の社員総代会は総代の選出過程が会社主導になりやすく、株式会社の株主総会より監視機能が弱いという指摘が実務上ある。相互会社化は必ずしもガバナンス強化を意味しない。
- 「基金」を株式のような出資持分だと理解している人が多いが、基金は返済(償却)が予定された資金であり、償却時には同額を基金償却積立金として積み立てる必要がある(保険業法56条)。株式のように永久資本ではない。この違いが分からないと、相互会社の自己資本の読み方を根本から誤る。
- 「日本の大手生保はもともと相互会社だから、この条文は使われていない」と思われがちだが、方向は逆に流れることも多く、平成期には相互会社から株式会社への転換(85条以下の株式会社化)が相次いだ。68条はその逆方向の通路であり、両方向の通路が開いていること自体が、この制度の設計思想を示している。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 変更の方向 | 68条:株式会社 → 相互会社 | 85条:相互会社 → 株式会社 会社法743条:一般の株式会社の組織変更(持分会社へ) |
| 資本の裏づけ | 基金総額を政令額以上とするため基金募集(3項)、準備金で代替可(4項) | 株式会社化後は資本金要件(6条1項) 保険業法のような基金下限規制なし |
| 契約者・社員の地位 | 保険契約者が相互会社の社員となる | 社員が株主または金銭交付の対象となる 株主が持分会社の社員となる |
| 契約者保護手続 | 69条の組織変更計画書、70条の異議申立手続 | 相互会社側の社員総会決議と異議手続 会社法上の債権者異議手続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の保険法は保険業の組織を株式会社または協同組合組織とし、日本のような相互会社制度は一般的でない。組織変更の通路も日本ほど整備されていない
韓国も相互会社形態を法律上認めるが、実務上は株式会社形態が圧倒的で、組織変更の実例は限られる
ドイツは相互保険会社(VVaG)の伝統が厚く、日本の相互会社制度の母法的位置づけとされる。株式会社との相互転換に関する規定も整備されている
米国は州法が規律し、20世紀後半以降は相互会社から株式会社への転換(demutualization)が主流。逆方向の mutualization は稀
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入している生命保険会社から「組織変更に関するお知らせ」が届いた。株式会社から相互会社へ変わるという。あなたは何も失わないのか、それとも株主だった立場を失うのか。契約者としてのあなたの権利は84条以下の手続で保護され、異議申立ての機会が与えられる。封筒を開けずに放置すると、その期間が過ぎる。
- 少額短期保険業者(ミニ保険会社)を株式会社で立ち上げたが、営利志向の経営に限界を感じている。2項により相互会社への組織変更が可能だが、基金は272条の4第1項2号の政令額(1,000万円)以上を積む必要がある。
- あなたが保険会社の財務担当だとしたら、4項の準備金代替と3項の基金募集、どちらを選ぶ? 外部から基金を集めれば基金拠出者への償却義務(55条以下)が将来のキャッシュフローを縛る。内部留保で代替すればその縛りはないが、自己資本を食う。
- 組織変更の株主総会決議まであと30日。反対する株主は株式買取請求権を行使する期限が迫っている。行使を忘れれば、株主だった地位は相互会社の社員という別物に置き換わり、換金の機会は消える。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険会社から組織変更の通知・公告を受け取ったら、まず異議申立て期間(1か月を下らない期間、保険業法70条)の締切日を確認する2. 変更後の相互会社の基金総額と、準備金による代替の有無を通知書面で確認、財務の裏付けを読む3. 契約条件に変更があるか(保険金額・保険料・配当方針)を条項ごとに照合4. 納得できない点があれば期間内に書面で異議を申し出る。金融庁への情報提供も並行して検討する
訴えられた側:1. 組織変更を進める側であれば、3項の基金総額の政令要件を満たす計画を先に固める2. 4項の準備金代替を使う場合、5項により基金償却積立金とみなされることの会計・税務上の影響を事前に整理3. 株主総会の特別決議、契約者への公告・異議手続、内閣総理大臣(金融庁長官)の認可、この三つの関門のスケジュールを逆算4. 反対株主の株式買取請求への対応原資を確保しておく
時効(請求できる期限):本条自体に時効の定めはない。ただし組織変更手続には保険契約者の異議申立期間(1か月を下らない期間、保険業法70条)、反対株主の株式買取請求期間(会社法の準用による期間制限)という個別の期間制限があり、これを徒過すると当該手続上の権利は行使できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)。
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